2016年7月20日 オーストラリア運用チームが語る同国の投資環境(株式編) 2016年7月、レッグ・メイソン傘下でオーストラリア株式の運用を手掛ける マーティン・カリー・オーストラリアから、実物資産セクターの運用戦略を担当 するポートフォリオ・マネージャーのアシュトン・リード氏、同セクターのシニア・ リサーチ・アナリストのアンドリュー・チェンバーズ氏が来日しました。 その際、オーストラリアの投資環境についてインタビューを行いましたので、 2回に分けてご紹介します。 第1回のテーマは「オーストラリアの投資環境(株式編)」です。 オーストラリア株式市場の特徴について 他の先進国の債券や株式より利回りが高く、中でも 内需関連セクターは相対的に高い配当利回り水準 オーストラリア株式の配当利回りは、他の先進国よりも高い 4.8%となっています(2016年6月末時点)(図1)。 業種により利回り水準は異なっており、素材やヘルスケアの 利回りが全体よりも低い水準である一方、金融や電気通信 ポートフォリオ・マネージャー アシュトン・リード氏 図1:利回り比較 (%) 7 シニアリサーチアナリスト アンドリュー・チェンバーズ氏 6.3 6 セクター別利回り 5.1 5 4.7 4.6 4.3 4 ご参考 4.8 3.9 2.7 3 2.0 2 2.3 2.2 1.9 サービス、公益事業などの内需関連セクターの配当利回りは 1 相対的に高い水準となっています。 -0.2 日本国債 オーストラリア国債 米国株式 日本株式 世界株式 インフラ関連企業および店舗などの実物資産は、利用料や 賃料などから安定的なキャッシュフローを生み出しており、景 気サイクルの影響に対して耐性があると考えています。 オーストラリア株式 中でも、オーストラリアの高い人口増加率の恩恵を受けや すい、生活に不可欠なガスや電気等の公益事業、有料道 路・空港などのインフラ関連企業、オフィス・店舗等の不動産 など、実物資産を有するセクターに注目しています。 ヘルスケア 安定した収益構造から、高水準の配当を継続している内需 関連のセクターに引き続き注目しています。オーストラリアで は、一部の上位企業が市場シェアの多くを占める寡占的な 構造が多く見られます。これら企業は高い市場占有率を背 景に、大規模経営による高い効率性や価格決定力の優位 性を有しています(図2)。 素材 高い市場占有率を背景に、安定した収益が期待され る実物資産を有する企業に注目 リート 注目の企業・セクターについて 生活必需品 的な魅力が増しています。 公益事業 収入を期待する投資家にとって、オーストラリア株式の相対 電気通信サービス の利上げペースの減速も見込まれており、安定したインカム -1 金融( リート除く) 世界的に低金利傾向となり低成長が予測される中、米国 0 (出所)ブルームバーグ、Citigroup Index LLC、MSCI 2016年6月末時点 オーストラリア株式および各セクター:S&P/ASX200指数、世界株式:MSCI ワールド・インデックス、米国株:S&P500指数、日本株:TOPIX 国債:シティ世界国債インデックス 図2:市場シェアの比較 豪州 米国 銀行 上位3行 63% 上位3行 33% ガス輸送 パイプライン 首位 79% 各社 10%以下 空港 (航空交通量) 首位(シドニー) 27% 首位(アトランタ) 6% 大型ショッピン グセンター 上位2社 13% 上位2社 4% 損害保険 上位3社 62% 上位3社 20% スーパー マーケット 上位3社 83% 上位3社 45% (出所) マーティン・カリー・オーストラリア 2016年5月末時点 ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種 データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、 将来の成績を予測あるいは保証するものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予 告なく変更されることがあります。●この書面及びここに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面に よる同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作 成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。 1 2016年7月20日 金融(銀行)セクターについて 図3:銀行貸出残高 (兆豪ドル) 2.5 オーストラリアの銀行は、国内の資金ニーズが強く、 預貸率と住宅ローン比率が高いことが特徴 2.0 四大銀行は、貸出総額がオーストラリア全体の80%*1を 1.5 非住宅ローン 住宅ローン 占めるなど高い市場シェアを有しており、世界の大手銀行の 中では最上位となるAA-の格付けが付与されています。 オーストラリア国内での資金ニーズが強く、四大銀行の預 1.0 0.5 貸率は123%*1とオーバーローン状態にあります(日本の都 市銀行5行の預貸率は55%*1)。また、貸出に占める住宅 ローンの比率が高いことから、利下げや人口増加による住 0.0 2002/6 2004/6 2006/6 2008/6 2010/6 2012/6 2014/6 (年/月) (出所) APRA 2002年6月末~2016年5月末時点 宅需要の拡大はプラスに寄与すると考えます(図3)。 *1 APRA、銀行協会 2016年5月末時点 リート(不動産投資信託)について リートは店舗用不動産が中心で、人口増加や消費 拡大の恩恵を受けやすいことが特徴 図4:店舗用リートのテナント売上と賃料の推移 10,000 8,000 そのため、リートは人口増と堅調な経済を背景にした消費 拡大の恩恵を受けやすく、テナント賃料も小売売上高の拡 大とともに上昇しており、今後も賃料収入の増加や配当成 長が期待されます(図4・線グラフ)。 6,000 豪ドル安の恩恵を受けるセクターは? 5,000 *2 ツーリズム・リサーチ・オーストラリア、オーストラリア統計局 2015年12月末の総人口で算出 *3 日本政府観光局、総務省統計局 2015年12月の総人口で算出 1,000 【リートの用途別構成比】 専門 ヘルスケア 0.6% 3.8% 工業 10.9% 1999 2001 2003 2005 1,400 1,200 オフィス 10.4% 各種(複合) 25.4% 2007 2009 住宅 0.4% 800 店舗用 48.5% 2011 2013 600 400 2015 (年度) (出所)マーティン・カリー・オーストラリア、ブルームバーグ 1999~2015年度 ※用途別構成比は、S&P/ASX300 A-REIT指数の2016年6月末時点の時価 構成比 ※テナント売上高・賃料は、センター・グループ、GPTグループ、ビシ ニティ(旧ノビオン、旧フェデレーション・センターズ)の平均値 図5:インバウンド収入と旅行者数の推移 2013年初には1豪ドル=1米ドルを上回っていた豪ドルは、 400 オーストラリアを訪れる旅行者(留学生を含む)が総人口 に占める割合は約30%*2と、日本の約16%*3を大きく上 回っています。オーストラリアの2015年度のインバウンド収 入と旅行者は、中国とインドの富裕層観光客の増加によっ て、過去最高となっています(図5)。 1㎡当りのテナント賃料(右軸) 7,000 観光産業は豪ドル安から恩恵を受け、足元のインバ ウンド収入と旅行客数は過去最高水準 2016年6月には0.72~0.75米ドル程度で推移しており、豪 ドル安は観光産業や留学などの教育産業にとってプラスに 寄与しています。 1㎡当りのテナント売上高(左軸) 9,000 オーストラリア・リートはショッピングセンターなどの店舗用 不動産が全体の約5割を占めています(図4・円グラフ)。 ショッピングセンターは上位リートによる寡占化が進んでおり、 テナント空室率は低水準で推移しています。 (豪ドル) (豪ドル) 300 (万人) (億豪ドル) インバウンド収入 (左軸) インバウンド旅行者数 (右軸) 800 700 200 600 100 500 0 2005 2007 2009 2011 2013 400 2015 (年度) (出所)ツーリズム・リサーチ・オーストラリア (期間)2005年度~2015年度 ※年度は当年4月~翌年3月 ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種 データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、 将来の成績を予測あるいは保証するものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予 告なく変更されることがあります。●この書面及びここに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面に よる同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作 成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。 2
© Copyright 2024 ExpyDoc