所得税の行為計算否認で全部取消し裁決

◉週刊T&Amaster 商品概要
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_2531.html
☎0120-6021-86 見本誌請求 http://www.lotus21.co.jp/mihonsi.html
無料立読みサイト http://www.lotus21.co.jp/ta
税務
所得税の行為計算否認で全部取消し裁決
審判所、原処分庁選定の比準会社による適正委託料の算定に合理性なし
審判所、事業を営む請求人が同族
会社に支払った業務委託料をめぐ
り、その一部を行為計算否認規定
により否認した課税処分を取り消
す(平成 28 年 2 月 15 日裁決)。
原処分庁が適正委託料算定のため
に選定した比準会社と本件合同会
委託料のうち適正委託料を上回る部分を同
族会社等の行為計算否認規定(所法 157
①)により否認した。これを不服とする請
求人は、審査請求のなかで、類似性のない
同業者をもとに算定した業務委託料に基づ
いて行為計算否認を適用することは違法で
あると主張。これに対し原処分庁は、比準
社の業務は類似性が認められず。
会社の選定には合理性が認められると指摘
適正委託料の算定方法は合理性が
したうえで、行為計算否認規定を適用した
なく、行為計算否認の適用は違法。
課税処分は適法であると主張した。
国税不服審判所は、
「所得税の負担を不
8
本件で問題となったのは、請求人の事業
当に減少させる結果となる(所法 157 ①)
」
所得の計算上、同族会社(請求人やその家
という要件該当性を判断するに当たって
族が社員を務める合同会社である)への業
は、比準する同業者の業種・業態を踏ま
務委託料を必要経費として容認した場合
え、合理的な方法で算定された適正委託料
に、請求人の所得税の負担を不当に減少さ
とのかい離をもって本件委託料が不合理ま
せる結果となると認められるか否かである。
たは不自然であることを明らかにし、その
事実関係をみると、事業所得者である請
結果所得税の負担が不当に減少しているか
求人は、本件合同会社との間でアシスタン
否かを判断すべきであるとした。
トの派遣(確保)、個人事業の経理記帳、
そして、原処分庁が主張する方法で抽出
マネジメント業務などを委託する内容の業
された比準会社(人材派遣会社)はその業
務委託契約を締結し、年額 4,800 万円を事
務内容が本件合同会社の業務内容と相当な
業所得の計算上必要経費に算入していた。
類似性を備えているとは認められないなど
これに対し原処分庁は、本件合同会社の
と指摘。この点などを踏まえ、本件委託料
受託業務のうちアシスタントの派遣や個人
の支払いが請求人の所得税の負担を不当に
事業の経理記帳業務などが人材派遣業に類
減少させるとして所得税法 157 条を適用し
似するものとして人材派遣会社を比準会社
た課税処分は法令の適用を誤ったものと認
に選定したうえで人材派遣会社の人材派遣
められるとしたうえで、課税処分のすべて
料などをもとに適正委託料を計算し、本件
を取り消した。
最新号を含む見本誌を無料で進呈しております。下記よりご請求下さい。
No.649 2016.7.4
見本誌お申し込みページへ