会社法制見直しの 検討課題を読み解く 会社法制見直しの 検討課題を

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役員報酬や D&O 保険の見直しも
会社法制見直しの
検討課題を読み解く
会社法改正の議論がスタートする。金田勝年法務大臣は 2 月 9 日、法制審議会に会社法制
(企業統治等関係)の見直しについて諮問した。諮問では、①株主総会に関する手続の合理
化、②役員に適切なインセンティブを付与するための規律の整備、③社債の管理の在り方の見
直し、④社外取締役を置くことの義務付けなど、企業統治等に関する規律の見直しの要否を検
討すべきとされている。株主総会資料の電子的提供を可能にするほか、株主提案権の濫用的な
行使の制限、リストリクティッドストックなどの株式報酬についても無償で発行することがで
きるよう、会社法の規律を見直す方向だ。また、社外取締役の選任義務付けも検討される。た
だ、すでに上場企業の 9 割超で選任されており、平成 26 年改正会社法の狙いどおりの結果と
なっている。
株主総会資料の電子的提供が可能に
1 つ目の論点として挙がっているのが株主
る(この通知を「アクセス通知」という)、
総会資料の新たな電子提供制度だ。「日本再
③①及び②の措置をとった場合には、株主に
興戦略」改訂 2015(平成 27 年 6 月 30 日閣
対して①で掲載した情報が適法に提供された
議決定)を受け、経済産業省が設置した株主
こととするというものである。
総会プロセスの電子化促進等に関する研究会
現行、招集通知及び関連書類の電子提供に
が平成 28 年 4 月 21 日に株主総会資料につい
関しては、会社法上 2 つの制度が設けられて
ての新たな電子提供制度の整備についての提
いる。1 つは、招集通知等については、株主
言を取りまとめており、今回の見直しもこれ
から事前に個別承諾を得ることにより電子的
を踏まえたものとなりそうだ。
方法により株主に提供することができるとい
念頭にある新たな電子提供制度とは、米国
うもの。平成 14 年施行の商法改正により導
やカナダのいわゆる Notice & Access 制度を
入されたものだが、個別承諾を必要とするな
参考としたもの。株主に対する株主総会資料
どのハードルが高く上場会社の利用は進んで
の提供について、①株主総会の招集に際して
いない。また、2 つ目は、定款の定めに基づ
株主に対して提供しなければならない情報を
き、株主参考書類の一部について Web 開示
全てインターネット上のウェブサイトに掲載
を行うことにより株主に提供したものとみな
する、②株主に対し、当該情報を掲載した
す制度。上場会社の約 45% に利用されてい
ウェブサイトの URL 等を書面により通知す
るが、電子提供できる書類は関連書類の一部
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にとどまっており、利便性は決して高いもの
を対象として書面請求権を認める方向で議論
とはなっていないとの指摘がある。今回の新
が進められそうだ。書面請求権とは、株主が
たな電子提供制度が実現すれば、コストや事
会社に対してウェブサイトに掲載された株主
務負担を軽減することが可能になる。
総会情報を記載した書面について、会社の費
書面請求権を容認へ
用で自らに交付することを請求することがで
また、インターネットを利用していない者
きる権利のこと。書面請求権や書面の発送期
がいることを踏まえ、株主総会情報のすべて
限等が検討課題となる。
株主提案権の濫用的な行使を制限、持株要件の引上げを検討
株主提案権の濫用的な行使について制限す
を行使することができるとされている(会社
るかどうかも検討される。一部の会社ではあ
法 303 条、305 条)。
るが、1 人の株主が不当と認められるような
ただし、昨今の投資単位の引き下げなどに
目的で膨大な数の議案を提案する等の株主提
より、最低 1,500 万円の投資で株主提案が
案権を行使している事例を踏まえてのもので
可能となる銘柄も想定され、株主提案権を行
ある。
使することができる株主の範囲が広くなって
公開会社である取締役会設置会社において
しまっている点に懸念が生じている。このた
は、総株主の議決権の 100 分の 1 以上の議
め、今回の見直しでは、300 個以上とされて
決権又は 300 個以上の議決権を 6 か月前か
いる持株要件の引上げの可否が検討されるこ
ら引き続き保有する株主に限って、株主提案
とになる。
リストリクティッドストックなどの株式報酬も無償で発行へ
パフォーマンスシェア(PS)やリストリク
払込み又は金銭債権を現物出資として給付す
ティッドストック(RS)のような株式報酬に
る形をとる必要があるとされている。このた
ついては、種類株式や信託を用いた方法によ
め、ストックオプションと同様、株式報酬に
り導入することが可能であるとされている
ついても無償で発行することができるよう会
が、これらの方法については実務的な負担や
社法の規律を見直すかどうかが検討されるこ
仕組みの複雑性が問題点として存在している。
とになる。
会社が株式報酬を取締役に付与しようとす
取締役報酬の開示を拡大
る場合には、会社法上、募集株式を無償で発
また、事業報告における取締役の報酬に関
行することができないと解されているため、
する開示の充実も検討課題となる。具体的に
会社は、取締役に対して一旦金銭又は金銭債
は、①取締役の報酬の決定について取締役会
権を報酬として付与するとともに、当該取締
に委任する株主総会の決議がある場合には、
役を引受人として募集株式を発行し、引受人
その内容を開示すること、②取締役会の決定
である取締役が報酬として付与された金銭を
に関する方針の有無及び当該方針の具体的な
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