時には見られる非農業部門雇用者数の下落だが

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北米
2016年6月6日
時には見られる非農業部門雇用者数の下落だが
5月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想を下回りましたが、雇用者数は単月では変動が大きい時もあり、
雇用市場全体の動向を見るには慎重な判断が求められますが、確かに雇用統計には気になる点も見られます。
5月の米雇用統計:非農業部門雇用者数は
市場予想を大幅に下回り3.8万人の増加
米労働省が2016年6月3日発表した雇用統計によると、5月
の非農業部門雇用者数は前月比3.8万人増と市場予想(16
万人)、前月(12.3万人増と、速報値の16万人増から下方修
正)を下回りました(図表1参照)。5月失業率は4.7%と前月
(5%)、市場予想(4.9%)を下回りました。ただし、労働参加率
が0.2%低下したことに注意が必要です。5月平均時給は前月
比で0.2%増と市場予想(同0.2%増)に一致しました。なお、前
月は同0.4%増と速報値の同0.3%増から上方修正されました。
どこに注目すべきか:
非農業部門雇用者数、ストライキ、イエレン
(月次、期間:2014年5月~2016年5月、前月比)
35 万人
30
25
20
15
10
5
0
14年5月
2015年3月
8.4万人
2016年5月
3.8万人
非農業部門雇用者数(前月比)
14年11月
15年5月
15年11月
16年5月
図表2:主な業種別非農業部門雇用者数の変化
(月次、期間:2016年4月(左)と2016年5月(右)、前月比)
15
10
4月
万人
5月
民間サービス部門の 政府部門
主なセクター
財生産部門の
主なセクター
5
0
政府部門
人材派遣
情報
卸売
民間サー
ビス部門
建設業
-5
鉱業・天
然資源
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1: 米非農業部門雇用者数の推移
財生産
部門
5月の米雇用統計は非農業部門雇用者数(雇用者)が前月
比で市場予想を下回りました。雇用者数は単月では変動が
大きい時もあること、今回は大手通信会社のストの影響も考
慮する必要があり、雇用市場全体の動向を見るには慎重な
判断が求められます。ただし、以下の点に注意が必要です。
まず、今回大幅に下落した雇用者数が7月公表分以降元の
ペースに戻るかです。図表1にあるように2015年3月にも雇
用者数の急激な落ち込みが見られました。過去にも同様の
落ち込みが何度か見られましたが、通常のケースでは2~
3ヵ月以内に元の増加ペースへと回復しており、来月以降の
戻りに注目しています。なお、この点を確認する必要性から
6月の利上げは相当困難になったと思われます。
2点目は、雇用者数の低下が幅広い業種に見られることで
す。今回のデータは大手通信会社のストの影響を受けてい
ることは市場でも認識されています。業種別雇用者数を見る
と、大手通信会社がカウントされる情報セクターは5月に大
きく低下しています(図表2参照)。ただし、ストライキで説明
されるのは3.5万人程度で今回の下げ分をすべて説明できる
わけではありません。財生産部門を構成する建設はマイナ
スが拡大し、鉱業は石油市場の不振から雇用の回復は見ら
れません。民間サービス部門では、ストの影響で情報が不
振となる分、増加が期待された人材派遣などがむしろマイナ
スとなっています。民間サービスの不振が気がかりです。
3点目は、同じ3日に公表された5月のISM非製造業景況指数
も52.9と前月の55.7を下回るなど拡大ペースに鈍化が見られ
ました。 ISM非製造業景況指数は先の雇用統計の民間サー
ビス部門と重なるセクターも多く気になるところです。
ただし、労働参加率の低下が要因とはいえ、失業率は低水
準で、賃金も先月分が上方修正されるなど悪くない面もあり、
データ公表後の米金融当局の反応も、雇用者数の低下を懸
念する見方と、1回のデータで判断すべきでないに分かれて
いるようです。そうなると、金融政策を占う上で6日のイエレン
議長の講演における雇用市場への見解が大切と見ています。
出所:米労働省(BLS)のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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