やはり折本かおりは選択肢を間違えない ID:88023

やはり折本かおりは選択肢を間違えない
卯猫
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︻あらすじ︼
折本かおり。
彼女は人生で選択肢を間違えたことはない。なぜなら彼女は選ん
でいないから。
何も選ばず、全部人任せ。
中学時代比企谷をフッた選択肢も彼女が選んだわけではない。彼
女を取り巻く環境がそう選んだのだ。
そんな彼女がふとした交友関係で比企谷八幡と出会う。
高校生になった彼の魅力に折本かおりは衝撃をうけた。
初めての自分の選択に戸惑いながらも彼女は選んだ道はやっぱり
間違いではなかった。
一話﹁告白﹂ ││││││││││││││││││││││
目 次 二話﹁葉山﹂ ││││││││││││││││││││││
1
四話﹁味覚﹂ ││││││││││││││││││││││
三話﹁勝手﹂ ││││││││││││││││││││││
6
10
16
一話﹁告白﹂
﹁表面だけ見て勝手なことを言うのはやめてくれないかな。﹂
﹁⋮ごめん帰るね﹂
葉山君ってこんな人だったんだ。なんかつまらない。比企谷の様
子を見ればわかる。これは葉山君彼の独断だ。自分のために比企谷
を使ってる。
⋮ で も 比 企 谷 の こ と は 理 解 し て る っ ぽ い ん だ よ ね。そ こ だ け は
ちょっと悔しい。
居合わせた二人の女の子のほうに目を向ける。美人系のスラット
した女の子はこの状況に対して動じていない。かたやお団子のかわ
いい系の女の子はこちらから目線を反らしておろおろしいている。
二人とも私よりよっぽど魅力的だなぁ⋮やるじゃん比企谷。
﹁そっか⋮﹂
﹂
なのどうして。今は比企谷の周りが⋮比企谷が気になって仕方ない。
この気持ちは今明かさないともう一生理解できないかもしれない。
それは嫌だ。彼に負けた気がする。
1
私は勘違いしていたのだ。やっぱり彼は変わった。こんな可愛い
子達と⋮葉山君のような本当の自分を知ってくれる友達もいる。私
とは違うんだ。
あーこれが嫉妬っていう感情なのかウケるw
こんな感情初めてだなぁ。普段適当に周りに合わせて自分が好き
なように生きてきたから。
店から出ると夜風が心地よく感じた。あの雰囲気はやっぱり私に
は似合わない。
なのに胸の中にある何かがもやもやしている。なぜか比企谷の顔
を思い出してしまう。
どうしたの
﹁私は知らないといけないんだ⋮彼について﹂
﹁え、かおり
?
中学の時私は彼を知らなかった。だからフッた。意味なんてない。
?
﹁ごめん千佳。先に帰ってくれない
バイバイ∼﹂
﹁え、あ、うん⋮﹂
﹁じゃまた明日
私ちょっと用事があるの﹂
?
怒ってる
?
帰っていく。
あれ
顔はなんだか強張っているように見えた。
カフェに戻ろうとするとさっきの美人が出てきた。すごい速足で
てきたの私。
いえば、人に頼みごとをするのも初めてだっけ。どんだけ適当に生き
ごめん千佳。でも私の初めての嘘だから許してくれるよね。そう
!
なんだか雰囲気がさっきの娘と似てる
っちょ、こっちに近づいてきたんだけど
かな⋮姉妹そろって美人とかどんな家系よ
え
﹂
お姉さんとかなの
どうしてまだここにいるの
﹁⋮あなたは誰ですか﹂
﹁ねぇ折本さんだっけ
?
﹁ぷっ
この人意外にギャグのセンスあるか
あ、あはははははwww﹂
大事な話をしているから﹂
たっていい物じゃない。だから帰ってくれないかな。きっと隼人と
﹁へ ぇ ⋮ で も、ご め ん ね。彼 は 雪 乃 ち ゃ ん の も の な の。誰 か に 手 わ
谷に聞かなくちゃいけないことがある。
そう私はこんなところで油を売っている時間はない。はやく比企
﹁私は比企谷に聞きたいことがあって⋮﹂
さい。﹂
かわりないんだから。それより質問しているのはこっちよ。答えな
﹁誰だっていいでしょ。あなたが思う通り彼の関係者であることには
?
!!
あれ
しばらく二人を目でおっているとまたもや美人が店からでてきた。
そのあとに続くようにお団子頭の子もでていった。
?
?
比企谷が物って︵笑︶ウケる
も
!
に似ている気がする。
﹁何を笑ってるのかな⋮お姉さん分からないな﹂
2
?
?
!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そしてどこか比企谷
!
﹁だって比企谷が物ってwしかも所有者がいるなんてwあはははww
w﹂
な
﹁ふぅん⋮あなた、少し面白いわね。まぁ真逆なライバルってもの悪
くはないっか﹂
そういうと謎の美人さんはどこかに去っていった。ライバル
んのことだろ。
比企谷はきょどって、⋮ぷっ
あの顔思い出すとウケるw
いや。葉山君に結構怒られたし、
再び店内に入り、さきほどまで座っていた席に戻る⋮やっぱ気まず
?
﹂
どうしよ。思わず隠れちゃった。
﹁はぁ
﹁ずっと考えてたんだ。俺が壊してしまったものを取り返す方法を。﹂
おっといけない、にやけて戻るわけにもいけないよね。
!
﹂
?
ふざけんな。当たり前のことなんだよ俺に
もうやめにしないか、自分を犠牲にするのは。﹂
いつも一人だからな。
とっては。
﹁⋮一緒にするな。犠牲
にしてきたんだろ
な。俺ができるのはこれくらいしかなかった。君はずっとこんな風
﹁ただそれは難しいことで、もっとうまくやれればよかったんだけど
﹁お前何言って、はぁ
﹁君は自分の価値を正しく知るべきだ。君だけじゃない、周りも。﹂
﹁おい﹂
そのせいで⋮君は﹂
﹁俺は君に期待していて、だから分かっていたのに頼ってしまった。
い。
両手握り合わせている。比企谷は⋮こっちからじゃ表情が分からな
る。しかもかなり空気が重い。葉山君は思い悩んだように顔の前で
それに、謎の美人さんの言う通り葉山君と比企谷が言い争ってい
?
いつだって俺の出来事でしかない。勘違いして割り込んでくんな。﹂
だから周囲がどうとか関係ねぇんだよ。俺の目の前で起きる事は
?
?
3
!!
﹂
﹁君 が だ れ か を 助 け る の は、誰 か に 助 け ら れ た い と 願 っ て い る か ら
じゃないのか
こっち来た。葉山君とめて
比企谷がカバンを担いだ。
⋮って、やば
お茶でもしてくれ﹂
﹁あ、ちょ﹂
違う違う違う。違うんだよ。
私のことなんて
今日一日こんな身勝手な女に
?
の私に気遣えるの
﹁私はね。ただ知りたいの﹂
﹁あー葉山ならフリーだぞ。﹂
﹄っ
て、友達である葉山君にあんなふうに否定されて、どうしてまだ他人
貶され、笑われたあんたじゃないの比企谷。昔フラれた女に笑われ
文句があるのは私じゃないでしょ
﹁違うよ。文句なんてこれぽっちもない。﹂
?
ねぇ比企谷どうしてこんなことを私に言えるの
嫌いだよね。なんで優しくしてくれるの
あんたには私がどう見えてるの
﹂
・・・・・知りたい。
﹁まって
?
?
﹁葉山ならそこにいるぞ。邪魔もんの俺は帰るから葉山とでも楽しく
﹁え﹂
﹁すまんな。今日はこんなことになっちまって。﹂
出てこなくなる。
どうしよなんて声かけたらいいの。本人を目の前にすると言葉が
﹁あはは⋮﹂
﹁⋮何してんのお前﹂
てしまう。
もちろん私の願いは叶うことはなくあっけなく比企谷に見つかっ
!
﹁ちげぇよ。気持ち悪い同情を押し付けて勝手に憐れんじゃねぇ。﹂
?
予想外の返答。この状況でなんで﹃葉山くんって彼女いるの
?
?
4
!!
﹁⋮なんだよ文句があるなら言えよ。﹂
!!
ていう質問にいきつくの
﹁は
﹂
﹁比企谷は
﹂
ウケるw
ちょっと意地悪をしてみよう。
?
﹁ぷっ
生涯ってw﹂
﹁い、いや⋮生涯でいたことなんてなんてないが﹂
全身が熱い。比企谷と目が合わせられない。どうして。
う ー ん。ち ょ っ と 待 っ て 私。カ ラ か っ て い る だ け だ よ ね。な の に
﹁だから比企谷は⋮⋮彼女いるかって聞いてんの﹂
?
彼のおかげで少し冷静さを取り戻せた。そして気
!
であろう。
﹁今日から私が彼女になってあげる
に目を見開いてる。
﹂
・・・
なんでこんな顔してるの笑えるんだけどw
でも、なんだか彼に勝った気がした。もやもやも晴れた。ぷっ
もしろ
!
の
ウケるw
私の笑い声だけがカフェの中に響いた。なんで私しか笑ってない
﹁あはははははははははwww﹂
お
彼の混乱している顔は今まで見たことのない光景を見ているよう
?
!
﹁・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は
﹂
こんなにおもしろい男なのに、なぜあの時あの時気づかなかったの
だ。
踏み出そう。ここまで私に考えさせて、行動にうつさせた男なん
﹁じゃぁ、それも今日までだね﹂
とか言動がおもしろいからじゃない。そうこれは⋮
でも、もう決めた。もうこの思いは本物だ。彼が面白いのは行動が
も単純な女だなぁ。
企谷への気持ちも納得いける。まさか初恋が比企谷になるとはw私
もやもやの正体は恋なのかもしれない。それならさっきまでの比
づけた。
さすが比企谷
﹁⋮俺は本当のこと言っただけなんだが﹂
!
!
5
?
?
二話﹁葉山﹂
﹁あー笑った笑った﹂
こんなに笑ったにはいつ以来だろうか。きっと過去遡っても今日
を越える日はないだろう。
﹂
告白の嫌が
﹁そりゃ、よかった。それじゃ俺は帰るからそこをどいてくれ﹂
﹁え
﹁いや、だから雰囲気悪くした俺に仕返しに来たんだろ
らせをしにな。
結果的にだ、お前は気が済むまで笑った。俺はこれで今日のことを
お前への貸しにしなくて済む。ギブ&テイクってやつだ。﹂
﹁⋮それはちょっとひどいんじゃないかな。﹂
思 わ ず 俯 い て し ま う。そ っ か ⋮ 比 企 谷 な ら そ う い う 解 釈 に な っ
ちゃうよね。
比企谷の知っている私はそういうやつだ。お調子者で常に自分勝
手に振る舞う。
⋮本心を気づいてもらえないのって結構悲しいもんだね比企谷。
﹁そこだよ比企谷。お前はいつだって自分を下に見る。﹂
座っていた葉山君が立ち上がってこちらに向かってくる。
てか私、葉山君がいるのすっかり忘れてた⋮告白を聞かれていたか
と思うと少し恥ずかしいかな。
﹁何が言いたい葉山。﹂
﹁君は自分が傷ついても他人を守る。今だって折本さんのために理由
そこにいる折本さんも、そして彼女たちも﹂
をつくって逃げたわけだ。君は自分だけを肯定して他人は全て否定
するのか
﹁黙れ葉山。﹂
え、どゆこと⋮私のため
⋮彼女達とは先ほどの二人だろう。やっぱり比企谷となんかある
ているような・・・
ろうさっきから漂う葉山君の焦燥感は。まるで比企谷の全てを悟っ
さっきから葉山君の言っていることが理解できない。なんなのだ
?
?
6
?
?
んだあの二人。比企谷がムキになるほど彼女たちは大切な存在らし
い。今気づいたけどライバルってことかな。謎の美人さんもそんな
こと言ってたなぁ・・・・・あはは、勝てる気がしない。
﹁黙らないさ。まるで自分を見ているようだからね。今君は俺の立場
ふざけんな俺は俺でしか
にあるわけだ。いつも涼しげな顔をして勉強もできて運動もできる
みんなの葉山と同じだ。﹂
﹁何言ってるか分からねなぁ⋮俺がお前だ
ねぇ。﹂
﹁なら答えを出せよ、比企谷。君が君ならば俺のように逃げたりしな
いでくれ。﹂
葉山君はそういうと微笑んだ。私が昼間見ていた葉山君の微笑み
とは全く違う。これが本当の彼の顔なんだろう。
﹁⋮﹂
一方、比企谷は葉山を睨み続けている。
あ の ー ⋮ 告 白 し た の 私 な ん だ け ど な ⋮ こ れ が 放 置 っ て や つ か。
さっきから悲しい感情ばっかだけど、今日はいろんな経験ができる
なぁ私。
﹁無言か・・・折本さんの告白が本気だということがわからない君じゃ
!?
ないだろう。﹂
え、比企谷私の告白気付いてたのにはぐらかしたの
﹂
﹁ところで折本さん﹂
﹁は、はい
アイス
﹂
まぁ結構好き⋮かな。﹂
﹁折本さんはアイスは好きかな
﹁へ
?
なぜ、このタイミングでアイス
?
フェ1つづつください。﹂
﹁え⋮﹁どういうつもりだ葉山。﹂
﹂
﹁なんだい比企谷。今日は語尾に﹃葉山﹄をつけるのが流行っているの
かい
7
?
いきなりこっちに話を振らないでくれるかな⋮心臓に悪い。
!
﹁そ れ は よ か っ た。す い ま せ ん 店 員 さ ん、チ ョ コ パ フ ェ と イ チ ゴ パ
?
?
?
﹁ちゃかすんじゃねえよ。﹂
﹁おっとそんな怖い顔しないでくれよ。これは俺の罪滅ぼしだ。もち
ろん折本さんへのね。彼女の望むシチュエーションをプレゼントし
てあげようと思ってさ。
今日は本当にごめんね折本さん。でも俺にできることはしたつも
りだ。あとは君と比企谷の二人で決めてくれ。﹂
そう言い残すと伝票をもって会計に向かっていた。その後ろ姿は
昼 間 一 緒 に い た 葉 山 君。か っ こ い い 葉 山 君。彼 は い つ も の 日 常 に
戻っていったよに見えた。
ごめん葉山君。私少し勘違いしてたかもしれない。葉山君って結
この今の気
構おもしろい人だったんだね。でも、やっぱり自分を正当化するため
私の望むシチュエーションって何
に比企谷を使っているところは気に食わない。
・・・・・・って
まずい状況
!?
もらってないし⋮
﹁比企谷、パフェ来たけど⋮どうしよっか
﹂
ここはさりげなく比企谷を誘ってみようかな。まだ告白の返事も
速さ。ここのカフェの店員ただものではない。
どうやらチョコパフェとイチゴパフェが来たらしい。なんという
﹁あの、お客様⋮﹂
で。何を話そうかとか全く考えてないし。どうしよ・・・
いや確かに比企谷と二人になりたかったけども⋮なりゆきなわけ
それともこれから、二人で中良くパフェ食べろってこと
!
﹁ぷっ
何かっこつけちゃってんのウケるw﹂
はないからな。﹂
﹁・・・・・・はぁ、あいつの思惑に嵌るのはシャクだが甘いもんに罪
た。そして照れくさそうに頭を掻きながら
彼は一瞬私のほうに顔を向けたが、すぐにそっぽを向いてしまっ
?
はぁあ⋮緊張してるなんて馬鹿みたい。今の私は比企谷と一緒に
居たい。それだけじゃん。
8
!?
!?
﹁いや、ウケないから。﹂
!
いつもの私らしく楽しく自分勝手にすればいいんだ。
まだ顔は熱くて、手もいつもはどうしていたか分からなくなってい
るけど、気持ちは整理できた。
﹂
﹁ね、比企谷﹂
﹁なんだ
本気の気持ちじゃなきゃ、またはぐらかされてしまう。私は楽しい
ことは好きだけどさっきのような悲しい気持ちになるのは苦手だ。
だから今度は違う言葉で、逃げられない言葉で、比企谷に伝えよう。
﹁・・・・私ね、比企谷のこと好きみたい﹂
﹁お、おう・・・﹂
席に着くと二人とも無言になってしまった。・・・言うタイミング
ミスったかなぁ私。でも真っ赤な顔になっている比企谷を見れば、そ
んなことはなかったと思える。
可愛いとこあんじゃん比企谷。
ほほえんだ私の顔もきっと真っ赤になっていることだろう。
・・・はやく冷たいパフェでも食べていつもの私を取り戻さなきゃ。
9
?
三話﹁勝手﹂
﹁比企谷、はやく食べないと溶けちゃう﹂
﹁お、おう。﹂
せっかく葉山君が頼んでくれのだから、溶かすのはもったいないよ
ね。どっちの味にしようかな・・・
﹂
私が悩んでいると、比企谷は堂々とイチゴパフェを手元に置いた。
﹁普通イチゴとかは女子が食べるんじゃないの
﹁俺 の 知 っ て る 限 り、食 事 で 男 女 差 別 は な い。つ ま り 俺 が イ チ ゴ パ
フェを食べてもいいってことだ。﹂
﹁なにそれ、ただの屁理屈じゃん⋮﹂
﹁屁理屈上等。俺は俺のしたいように生きる。﹂
比企谷はドヤ顔でそういうと一口食べた。比企谷とイチゴパフェ
の2ショットの似合わなさに思わず笑ってしまった。
冷たくておいしい
﹂⋮聞けよ。まぁ、
﹂
私が笑うたびに少し照れるのはなんでだろう。惚れてるこっちか
らすると、いじめたくなって仕方ない。
おっと⋮ついつい会話がはずんじゃった。
﹁で、比企谷。そろそろ告白の返事を聞かせてくれる・・・かな
忘れそうだったけど。
﹁はぁ⋮⋮お前⋮マジで俺のこと好きなのか
﹂
私は確信に迫る。今日の本題を忘れてもらっては困るよ。⋮私も
?
別に顔が赤くなってるかもしれないとか、目線が泳いでないかとそ
する。
私は背筋をぐーと伸ばして比企谷に気づかれないように深呼吸を
﹁だからそう言ってるじゃん。私は比企谷のことが好き。﹂
?
10
?
!
さっきまでの険悪な雰囲気はどこにいったのか⋮安心した。
﹁やっぱ似合わないね。﹂
﹁うっせ。そもそもな﹁んー
w悪くはないだってw﹂
悪くはないな。﹂
﹁ぷっ
!
でた、上から目線。やっぱりおもしろいなぁ比企谷は。
!
﹂
ういうことが心配でしてるわけじゃないから。たぶん。
﹁異性として
うーん、はっきりしない。でも
異性としてか⋮同姓にこんな気持ちになったことないしな・・・異
性だから比企谷に惹かれたのかな
﹁もちろん﹂
収まり
?
これから初めて話す本心について怖いのか目線を下に下げてしま
てことを比企谷には分かってほしいの。私を知ってほしいの。﹂
﹁勝手なのは分かってる。でも⋮でも⋮いつもの自分勝手とは違うっ
﹁⋮。﹂
だよね﹂﹂
第一、俺は一回お前にフラれている。今更付き合おうなんて﹁勝手
﹁やっぱ気の迷いなんじゃないか
顎に手を当て考える比企谷。
﹁収まりがつかなくて⋮か。﹂
て堪らなかった。
そして、気が付いたら告白していた。まだ比企谷のことが知りたく
れだけだと思ってた。
これは本当のことだ。比企谷に聞きたくて、話したくて、最初はそ
がつかなくてつい......﹂
﹁そだね・・・急すぎるよね。でもほら私って自分勝手じゃん
つい先日で、遊んだのだって今日が初めてで、私だって急だと思う。
でも、比企谷の言うことはもっともである。比企谷と再会したのは
本人はいたって普通なことに納得いかない。
いひどいな・・・私はこんなに緊張しているというのに。告白された
ため息をついたように吐き捨てる比企谷。さっきからちょいちょ
あったばかりで今日告白する理由がわからん。﹂
も、どこで俺のことを好きになったか分からないし、なにより先日
﹁は ぁ ⋮ わ か っ た よ。お 前 が 俺 を 好 き だ っ て こ と は 理 解 で き た。で
私ははっきりそう答えた。好きって感情には変わりないから。
?
?
11
?
う。
私はいつだって自分勝手に生きてきた。でも・・・今回は違う。同
じ自分勝手だけど違うんだ。
私はありのままの自分を話そうと決心した。
﹂
﹃がんばれ私﹄そう言い聞かすと、重い顔を上げ
﹁ねぇ比企谷、﹃選択﹄ってしたことがある
﹂
﹂
?
﹁なにそれウケる・・・﹂
し。あの告白のおかげで今の俺がいるって言っても過言じゃないな﹂
﹁そりゃ、何回かはな・・・・お前に告白したのだって俺自身の選択だ
分の人生が変わっちゃうような選択。例えるなら・・・告白とか
﹁そうじゃなくてさ。どっちも半分半分。どちらかを選んじゃえば自
けない場面なんていくらでもあるだろ
﹁突然なんだよ。そりゃ文理選択とかテスト問題とか選択しなきゃい
?
う。
﹂
﹁・・・・まぁそこは置いといて、お前の言う﹃選択﹄ってのがなんだっ
て言うんだ
﹁私ね。選択をしたことがなったんだ。﹂
﹁⋮。﹂
少 し 話 す の が 楽 に な っ て き た。比 企 谷 は ち ゃ ん と 聞 い て く れ る。
私を見ていてくれる。
ちょっと調子もどってきたかも。
﹁いつも周りを振り回したり、自分勝手に行動したり、好きなことばか
りしてた。そんな人間なんだー私って。
12
?
いつも、どう笑っていたか思い出
?
﹁ウケてるんならそれらしい顔しろってんだよ。俺の渾身の自虐ネタ
がすべっちまったじゃねぇか。﹂
﹂
私そんなに笑えてなかったかな
せない。
告白したことが
それにしても、
﹁自虐・・・
?
彼は自虐と言った。でもなんで告白したことが自虐になるんだろ
?
?
でもさ、やっぱり壁にぶつかることってあるじゃん
げてきた。友達に合わせたりしてさ。﹂
﹁意外だな。はじめてなのか。﹂
﹁告白はよくされるんだけどね。比企谷とか
﹁おい、俺は一回しかしたことねぇぞ﹂
﹂
﹂
そのときは逃
動をとってる・・・はじめて自分から告白しちゃうとか・・・ね。﹂
﹁さすが比企谷。気づいてたんだね。そう、今の私はいつもと違う行
思わず驚いてしまう。
も似つかない。﹂
﹁そうだな。それが俺の知っている折本かおりだ。今のお前とは似て
?
﹁とにかく
私は始めての選択で比企谷に告白した。あぁこんなにお
私は、まだまだ比企谷のことを理解してない。
んなに優しかったんだ。
うれしいな。触れてほしくないところは話を反らしてくれる。こ
﹁だよねw﹂
﹁・・・しねえよ。﹂
﹁なんなら今からしてくれたら即OKするけど
?
れなかった。
選択したっていうより選択せざるを得なかったとでも言うのかな
葉山君とのやり取りを見て影響されちゃった。﹂
比企谷はどこか寂しそうに斜め下に視線を落としていた。
目が合うと、お互いぎこちない笑顔になった。
あぁ・・・私、察しちゃったな。
比企谷は真剣な顔をすると頭を下げた
﹁悪いが俺は今の折本に対して好意をもっていない。だから付き合う
13
?
もしろい人ともう会えないんだなぁと思ったら、いてもたってもいら
!
﹁折本⋮お前は結局自分勝手なままだよ。﹂
?
ことはできない。﹂
あぁ、やっぱりね。
﹁そっか・・・比企谷ならそう言うと思ったよ。﹂
あーあ。フラれちゃったよ私。人生初めての告白なのに。
まぁ今日始まって今日終わるような恋なら悲・・しく・なん・・・・
て。
あ、あ・・・れ
﹁ちょ・・・どう・・して・・涙なんか﹂
私は涙を流していた。
涙⋮そっか悲しいんだ。比企谷にフラれたことが堪らなく悲しい
んだ。
﹁ほ、ほら使えよ。まさか泣くとは思わなかった。すまん。﹂
慌てた比企谷がハンカチを差し出してくれた。
﹁あはは・・・なんで比企谷が謝ってんのよ。﹂
﹁いや、だって泣かせちまったのは⋮俺だしな。﹂
また優しくしてもらっちゃった。もうフったんだから、いっそ突き
放してくれたら楽なのに。
﹂
中学校の時、知らなかった比企谷の優しさを今日は何回も感じた。
﹂
ふと、疑問に思ったことを聞いてみる。
﹁ねぇ、比企谷。私にふられた時泣いた
﹁・・・・言わねぇ﹂
分かりやすいよ比企谷。でも泣いてくれたんだ。
﹁じゃこれでお互い様だね。﹂
﹁⋮まぁそういうことになるか﹂
﹁フラれるって結構悲しいんだね。ウケるw﹂
振り絞った笑顔はどのような顔だったのか。
﹁お前は強いよ・・・俺なんかよりずっとな。﹂
そういうと笑みを見せてくれた。
そして彼は
﹁なぁ折本・・・フられた直後で悪いんだが俺の話聞いてくれないか
何を言い出したかと思うとフッた相手に頼み事をしてきた。
?
?
14
?
普通なら言うことなんて聞かないで帰ってしまうだろう。でも私
は
﹁⋮うん、いいよ。聞いてあげる。﹂
私は笑顔で返事をした。
残ったパフェのアイスはもうほとんど溶けきっていた。
15
四話﹁味覚﹂
﹁フ ッ た 女 に 普 通 相 談 す る
なぁ。﹂
私だってまだ傷ついてはいるんだけど
嘘だから
比企谷に対して
ウケるw
私も聞いてあげるって言ったじゃ
⋮わりぃ。やっぱいいわ。忘れてくれ﹂
﹁ちょ、ちょと待って
ん。﹂
これが未練か・・・・私が未練
ちなのかな⋮
軽くあしらうとこでしょ。
私。
もう調子狂う
そして、ずっと比企谷の腕つかんでたの
何素直に謝ってんの。あー
?
あはは⋮いよいよ笑えなくなってきたよ。
?
!
﹁なんで不機嫌なんだよ⋮じゃ⋮よろしく頼む。﹂
のか分からないから仕方ないよね。
ちょっと不機嫌な感じになっちゃった。私だってなんで不機嫌な
﹁いいから話してよ。﹂
!
おい、私。そこは﹁何照れてんの キモいんだけどウケるw﹂とか
﹁お、おう。﹂
﹁あ⋮ごめん。﹂
えると嬉しいんですが⋮﹂
﹁あ、あの∼お、折本さん
ちゃんと話すから、その⋮腕を離してもら
葉山君葉山君うるさい千佳のことを思いだす。千佳もこんな気持
いなぁ。
すっかり恋愛脳になっちゃって・・・これからは千佳のこと笑えな
私。
ここで別れちゃったら、もう出会えないとでも思っちゃったのかな
ものもない。
とが好きだ。ここまで執着したものはないし、失いたくないと思えた
とっさに手を出してしまったわけだが⋮やっぱり私は比企谷のこ
?
帰ろうとした比企谷の腕を必死にとる。
!
﹁
?
?
16
?
!
!
アイスコーヒーとピーチソーダください。﹂
再び私に頭を下げる比企谷。
﹁店員さーん
比企谷はコーヒーだよ。ピーチソーダは私の。﹂
﹂
!
﹁はやっ
﹂
﹁お待たせしました∼﹂
今回で変わったとすれば私の少しの恋心くらい。
この距離が私と比企谷との﹁正しい﹂距離。
そう、これでいい。
﹁あははwその嫌そうな顔ウケるw﹂
﹁うげ・・・お前ってそういう奴だっけ。﹂
﹁そそそ﹃恋﹄。私の愛情だから受け取ってくれると嬉しいな∼﹂
﹁故意かよ⋮﹂
﹁うん。そう思ったから頼んだ
﹁俺、コーヒー飲めないんだけど・・・﹂
﹁はぁ
でみたかったんだよピーチソーダ。﹂
﹁それにしても、よく俺が飲みたいもんがわかったな⋮ちょっと飲ん
私の苦笑いに比企谷は苦笑いで返してくれた。
﹁ふっ・・・そうだな。俺も重苦しいのは嫌いだ。﹂
んだ。今日のデートみたいにさ。﹂
﹁私やっぱりこういうの苦手てさ⋮比企谷とは軽い気持ちで話したい
﹁おい、人が頭下げてるのに何してんの。﹂
!
﹂
?
な、甘くないコーヒーはお断りだ。﹂
﹁俺 は 苦 い 人 生 な ら コ ー ヒ ー は 甘 く て も い い じ ゃ な い か っ て 精 神 で
﹁ぷっwそんなに嫌なわけ
あからさまに嫌な顔をする比企谷。
ピーチソーダ、比企谷の前にはコーヒーを置いた。
店 員 さ ん は ど ち ら が ど っ ち を 頼 ん だ か 聞 く こ と な く 私 の 前 に は
になるだろう。
きを送ってもいいかもしれない。きっと早すぎるカフェとして有名
やっぱりこのカフェの店員さんは只者ではない。今度TVにはが
あいかわらずの速さに、比企谷が驚く。
!?
17
?
﹁あははははwwwなにそれお、お腹痛いww﹂
﹂
コーヒーで、こんなにかっこつける奴なんて比企谷くらいだろう。
本当にこの男はいつでも私を笑わしてくれる。
このピーチソーダ結構おいしいかも
どれ、私は飲ませてもらおうかな。
﹁うーん
!
﹁・・・は
﹂
﹁一口飲んでみる
﹂
彼も喉が渇いてるはずだろう。ちょっと意地悪しちゃったかな⋮
対して比企谷はコーヒーから目を離さない。
さっきまでアイス食べたから喉が渇いてたんだよね∼。
!
?
感情ばっかりで今日は疲れてたのかな。
の。﹂
﹂
﹂
﹂
﹁うーん。比企谷ならいいっかなーって。私の好きな人だし役得的な
﹁なら、なんで⋮﹂
と遊ぶときも、なるべくそういうことは避けてきた。
これは本当のこと。もともと男と付き合った経験はないし、男友達
﹁いや、したことないけど
こういう
ぷっ子供みたい
もしかして間接キスのこと
﹁いや・・その・・お前気にしないのか
気にするって何を
﹁あっはははw比企谷間接キスなんて気にしてんの
ん
?
﹁いや、普通気にするだろ。折本は⋮その、慣れてんのか
w﹂
!?
フラれたのを理由としていじりすぎたかもしれない。似合わない
﹁いや、ちょっと意地悪しすぎたかな∼と思ってさ。﹂
?
なんだこの男可愛いぞ。間接キスくらいでこんな反応を普通する
のだろうか。
やっぱりいじめよう。私の欲求が彼をいじめろと告げている。
﹁え ∼ 比 企 谷。フ ッ た 女 と は 間 接 キ ス も で き な い っ て い う わ け ∼
ショックだなぁ・・・私は親切心で言ってるのに。﹂
?
18
?
?
?
!?
?
﹁お、おう⋮。い、いやでも﹂
?
大げさな演技をしてみる。
チラッと比企谷のほうを見ると何かと葛藤しているようだった。
﹂
私、コップに口あと付くとか嫌なん
飲めばいいんだろ
諦めがついたように息を吐くと、
﹁わ、わかったよ
﹁あ、ちゃんとストロー使ってね
ロー。あれ
ただのストローよね。
ト ロ ー。そ う 市 販 で 売 っ て る の と 同 じ。で も 比 企 谷 が 使 っ た ス ト
・・・目の前に比企谷が使ったストローが⋮うん。これはただのス
よーし。満足したし私も飲もうかな
﹁し、仕方ないだろ。間接キ、キスとか初めてなんだし。﹂
﹁へえ∼味がわからないくらい緊張してくれたんだぁ∼﹂
まだ私のこと意識してくれてるんだ。
れしい。
味が分からなかったか⋮よっぽど緊張してたんだね。ちょっとう
そういうと私の手元に返してくれた。
んなさい味なんて分からなかったです。﹂
のハーモニーを奏でるっていうか﹁ピーチソーダなんだけど。﹂⋮ごめ
﹁ま、まぁうまいんじゃねぇの。レモンの香りが広がってなんていう
数秒間のこととは思えないほど長く感じた。
てるのが分かる。
吸い出せれるまでの過程を眺めてると、どんどん彼の顔が赤くなっ
彼の口がストローについた瞬間少し体が熱くなった。
が離せなくなっていた。
るまで彼から目を離せなかった。彼が私のストローを使うことに目
そういうとゴクリッと比企谷の喉がなった。ストローに口をつけ
﹁⋮覚えとけよ。﹂
﹁はやく飲んでよ∼。私も飲みたいんだから∼。﹂
﹁おま⋮ずるいぞ。﹂
さらにいじめてみる。どうだ比企谷、これで逃げ道はない
だよね。﹂
?
!
19
!
?
!
よくわからなくなってきた。
?
﹁⋮﹂
﹁お、おいどうした
﹂
﹁これはストロー、ただのストロー。﹂
﹂
私が緊張とかありえないし
﹁おーい、折本さん。・・・もしかして緊張してる
﹁ななな何を言ってるのかなぁ∼
﹂
!
比企谷がにやにやしているので、少しムキになってストローを口に
する。
﹂ もしかして私も⋮。
折本さん
⋮味がしない。あ、あれ∼
﹁お味はいかがでしたか
?
?
私は何を飲んでいるんだっけ
でも、比企谷にやられっぱなしなのは嫌だ
これ何味だっけ
﹂
?
まだにやにやしてる比企谷が意地悪そうに聞いてきた。
あれ
﹁はぁ
﹁・・・比企谷の味がする。﹂
くっ⋮分からない
?
比企谷は・・・あれ
﹁そ、そうだな。﹂
比企谷コーヒー飲んでない
﹁あはは∼な、なんか気まずいね。﹂
﹁﹁⋮﹂﹂
﹁あのさ﹂﹁おい﹂
な、何か話さないと
それにしても気まずい⋮。
なんと彼はあれほど苦手だと言っていたコーヒーを飲んでいた。
?
私はそのまま味の分からないピーチソーダを飲み続けている。
しばしの無言。お互い目を合わせられないで黙ってしまった。
﹁﹁⋮﹂﹂
に効いたらしく彼の顔も赤い。
やられっぱなしは嫌だと思って発した言葉が、思ったよりも比企谷
供でした。
なるほど⋮間接キス恐るべし。バカにしてごめんね比企谷、私も子
い。
照れ隠しに、さらに照れるようなセリフを言ってしまった。顔が熱
!
?
?
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!
?
?
!
?
!?
﹁﹁⋮﹂﹂
もう、どうすればいいのこの状況。
﹂
誰でもいいから助けて
﹁あ、八幡だ
﹁⋮﹂
え
﹂
なによその比企谷の態度
﹁と、戸塚
この子、比企谷のことを下の名前で呼んでる⋮一体どういう関係
入口からジャージ姿の女の子が入ってきた。
!
⋮それにしても比企谷の周りってレベル高い女の子多いよね。
?
!
見たことないくらい生き生きしてるんですけど
!?
!?
やっと味が分かったピーチソーダを泡立てながら彼女を睨みつけ
てた。
21
!
!