やはり折本かおりは選択肢を間違えない 卯猫 ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP DF化したものです。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作 品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁 じます。 ︻あらすじ︼ 折本かおり。 彼女は人生で選択肢を間違えたことはない。なぜなら彼女は選ん でいないから。 何も選ばず、全部人任せ。 中学時代比企谷をフッた選択肢も彼女が選んだわけではない。彼 女を取り巻く環境がそう選んだのだ。 そんな彼女がふとした交友関係で比企谷八幡と出会う。 高校生になった彼の魅力に折本かおりは衝撃をうけた。 初めての自分の選択に戸惑いながらも彼女は選んだ道はやっぱり 間違いではなかった。 一話﹁告白﹂ ││││││││││││││││││││││ 目 次 二話﹁葉山﹂ ││││││││││││││││││││││ 1 四話﹁味覚﹂ ││││││││││││││││││││││ 三話﹁勝手﹂ ││││││││││││││││││││││ 6 10 16 一話﹁告白﹂ ﹁表面だけ見て勝手なことを言うのはやめてくれないかな。﹂ ﹁⋮ごめん帰るね﹂ 葉山君ってこんな人だったんだ。なんかつまらない。比企谷の様 子を見ればわかる。これは葉山君彼の独断だ。自分のために比企谷 を使ってる。 ⋮ で も 比 企 谷 の こ と は 理 解 し て る っ ぽ い ん だ よ ね。そ こ だ け は ちょっと悔しい。 居合わせた二人の女の子のほうに目を向ける。美人系のスラット した女の子はこの状況に対して動じていない。かたやお団子のかわ いい系の女の子はこちらから目線を反らしておろおろしいている。 二人とも私よりよっぽど魅力的だなぁ⋮やるじゃん比企谷。 ﹁そっか⋮﹂ ﹂ なのどうして。今は比企谷の周りが⋮比企谷が気になって仕方ない。 この気持ちは今明かさないともう一生理解できないかもしれない。 それは嫌だ。彼に負けた気がする。 1 私は勘違いしていたのだ。やっぱり彼は変わった。こんな可愛い 子達と⋮葉山君のような本当の自分を知ってくれる友達もいる。私 とは違うんだ。 あーこれが嫉妬っていう感情なのかウケるw こんな感情初めてだなぁ。普段適当に周りに合わせて自分が好き なように生きてきたから。 店から出ると夜風が心地よく感じた。あの雰囲気はやっぱり私に は似合わない。 なのに胸の中にある何かがもやもやしている。なぜか比企谷の顔 を思い出してしまう。 どうしたの ﹁私は知らないといけないんだ⋮彼について﹂ ﹁え、かおり ? 中学の時私は彼を知らなかった。だからフッた。意味なんてない。 ? ﹁ごめん千佳。先に帰ってくれない バイバイ∼﹂ ﹁え、あ、うん⋮﹂ ﹁じゃまた明日 私ちょっと用事があるの﹂ ? 怒ってる ? 帰っていく。 あれ 顔はなんだか強張っているように見えた。 カフェに戻ろうとするとさっきの美人が出てきた。すごい速足で てきたの私。 いえば、人に頼みごとをするのも初めてだっけ。どんだけ適当に生き ごめん千佳。でも私の初めての嘘だから許してくれるよね。そう ! なんだか雰囲気がさっきの娘と似てる っちょ、こっちに近づいてきたんだけど かな⋮姉妹そろって美人とかどんな家系よ え ﹂ お姉さんとかなの どうしてまだここにいるの ﹁⋮あなたは誰ですか﹂ ﹁ねぇ折本さんだっけ ? ﹁ぷっ この人意外にギャグのセンスあるか あ、あはははははwww﹂ 大事な話をしているから﹂ たっていい物じゃない。だから帰ってくれないかな。きっと隼人と ﹁へ ぇ ⋮ で も、ご め ん ね。彼 は 雪 乃 ち ゃ ん の も の な の。誰 か に 手 わ 谷に聞かなくちゃいけないことがある。 そう私はこんなところで油を売っている時間はない。はやく比企 ﹁私は比企谷に聞きたいことがあって⋮﹂ さい。﹂ かわりないんだから。それより質問しているのはこっちよ。答えな ﹁誰だっていいでしょ。あなたが思う通り彼の関係者であることには ? !! あれ しばらく二人を目でおっているとまたもや美人が店からでてきた。 そのあとに続くようにお団子頭の子もでていった。 ? ? 比企谷が物って︵笑︶ウケる も ! に似ている気がする。 ﹁何を笑ってるのかな⋮お姉さん分からないな﹂ 2 ? ? ! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そしてどこか比企谷 ! ﹁だって比企谷が物ってwしかも所有者がいるなんてwあはははww w﹂ な ﹁ふぅん⋮あなた、少し面白いわね。まぁ真逆なライバルってもの悪 くはないっか﹂ そういうと謎の美人さんはどこかに去っていった。ライバル んのことだろ。 比企谷はきょどって、⋮ぷっ あの顔思い出すとウケるw いや。葉山君に結構怒られたし、 再び店内に入り、さきほどまで座っていた席に戻る⋮やっぱ気まず ? ﹂ どうしよ。思わず隠れちゃった。 ﹁はぁ ﹁ずっと考えてたんだ。俺が壊してしまったものを取り返す方法を。﹂ おっといけない、にやけて戻るわけにもいけないよね。 ! ﹂ ? ふざけんな。当たり前のことなんだよ俺に もうやめにしないか、自分を犠牲にするのは。﹂ いつも一人だからな。 とっては。 ﹁⋮一緒にするな。犠牲 にしてきたんだろ な。俺ができるのはこれくらいしかなかった。君はずっとこんな風 ﹁ただそれは難しいことで、もっとうまくやれればよかったんだけど ﹁お前何言って、はぁ ﹁君は自分の価値を正しく知るべきだ。君だけじゃない、周りも。﹂ ﹁おい﹂ そのせいで⋮君は﹂ ﹁俺は君に期待していて、だから分かっていたのに頼ってしまった。 い。 両手握り合わせている。比企谷は⋮こっちからじゃ表情が分からな る。しかもかなり空気が重い。葉山君は思い悩んだように顔の前で それに、謎の美人さんの言う通り葉山君と比企谷が言い争ってい ? いつだって俺の出来事でしかない。勘違いして割り込んでくんな。﹂ だから周囲がどうとか関係ねぇんだよ。俺の目の前で起きる事は ? ? 3 !! ﹂ ﹁君 が だ れ か を 助 け る の は、誰 か に 助 け ら れ た い と 願 っ て い る か ら じゃないのか こっち来た。葉山君とめて 比企谷がカバンを担いだ。 ⋮って、やば お茶でもしてくれ﹂ ﹁あ、ちょ﹂ 違う違う違う。違うんだよ。 私のことなんて 今日一日こんな身勝手な女に ? の私に気遣えるの ﹁私はね。ただ知りたいの﹂ ﹁あー葉山ならフリーだぞ。﹂ ﹄っ て、友達である葉山君にあんなふうに否定されて、どうしてまだ他人 貶され、笑われたあんたじゃないの比企谷。昔フラれた女に笑われ 文句があるのは私じゃないでしょ ﹁違うよ。文句なんてこれぽっちもない。﹂ ? ねぇ比企谷どうしてこんなことを私に言えるの 嫌いだよね。なんで優しくしてくれるの あんたには私がどう見えてるの ﹂ ・・・・・知りたい。 ﹁まって ? ? ﹁葉山ならそこにいるぞ。邪魔もんの俺は帰るから葉山とでも楽しく ﹁え﹂ ﹁すまんな。今日はこんなことになっちまって。﹂ 出てこなくなる。 どうしよなんて声かけたらいいの。本人を目の前にすると言葉が ﹁あはは⋮﹂ ﹁⋮何してんのお前﹂ てしまう。 もちろん私の願いは叶うことはなくあっけなく比企谷に見つかっ ! ﹁ちげぇよ。気持ち悪い同情を押し付けて勝手に憐れんじゃねぇ。﹂ ? 予想外の返答。この状況でなんで﹃葉山くんって彼女いるの ? ? 4 !! ﹁⋮なんだよ文句があるなら言えよ。﹂ !! ていう質問にいきつくの ﹁は ﹂ ﹁比企谷は ﹂ ウケるw ちょっと意地悪をしてみよう。 ? ﹁ぷっ 生涯ってw﹂ ﹁い、いや⋮生涯でいたことなんてなんてないが﹂ 全身が熱い。比企谷と目が合わせられない。どうして。 う ー ん。ち ょ っ と 待 っ て 私。カ ラ か っ て い る だ け だ よ ね。な の に ﹁だから比企谷は⋮⋮彼女いるかって聞いてんの﹂ ? 彼のおかげで少し冷静さを取り戻せた。そして気 ! であろう。 ﹁今日から私が彼女になってあげる に目を見開いてる。 ﹂ ・・・ なんでこんな顔してるの笑えるんだけどw でも、なんだか彼に勝った気がした。もやもやも晴れた。ぷっ もしろ ! の ウケるw 私の笑い声だけがカフェの中に響いた。なんで私しか笑ってない ﹁あはははははははははwww﹂ お 彼の混乱している顔は今まで見たことのない光景を見ているよう ? ! ﹁・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は ﹂ こんなにおもしろい男なのに、なぜあの時あの時気づかなかったの だ。 踏み出そう。ここまで私に考えさせて、行動にうつさせた男なん ﹁じゃぁ、それも今日までだね﹂ とか言動がおもしろいからじゃない。そうこれは⋮ でも、もう決めた。もうこの思いは本物だ。彼が面白いのは行動が も単純な女だなぁ。 企谷への気持ちも納得いける。まさか初恋が比企谷になるとはw私 もやもやの正体は恋なのかもしれない。それならさっきまでの比 づけた。 さすが比企谷 ﹁⋮俺は本当のこと言っただけなんだが﹂ ! ! 5 ? ? 二話﹁葉山﹂ ﹁あー笑った笑った﹂ こんなに笑ったにはいつ以来だろうか。きっと過去遡っても今日 を越える日はないだろう。 ﹂ 告白の嫌が ﹁そりゃ、よかった。それじゃ俺は帰るからそこをどいてくれ﹂ ﹁え ﹁いや、だから雰囲気悪くした俺に仕返しに来たんだろ らせをしにな。 結果的にだ、お前は気が済むまで笑った。俺はこれで今日のことを お前への貸しにしなくて済む。ギブ&テイクってやつだ。﹂ ﹁⋮それはちょっとひどいんじゃないかな。﹂ 思 わ ず 俯 い て し ま う。そ っ か ⋮ 比 企 谷 な ら そ う い う 解 釈 に な っ ちゃうよね。 比企谷の知っている私はそういうやつだ。お調子者で常に自分勝 手に振る舞う。 ⋮本心を気づいてもらえないのって結構悲しいもんだね比企谷。 ﹁そこだよ比企谷。お前はいつだって自分を下に見る。﹂ 座っていた葉山君が立ち上がってこちらに向かってくる。 てか私、葉山君がいるのすっかり忘れてた⋮告白を聞かれていたか と思うと少し恥ずかしいかな。 ﹁何が言いたい葉山。﹂ ﹁君は自分が傷ついても他人を守る。今だって折本さんのために理由 そこにいる折本さんも、そして彼女たちも﹂ をつくって逃げたわけだ。君は自分だけを肯定して他人は全て否定 するのか ﹁黙れ葉山。﹂ え、どゆこと⋮私のため ⋮彼女達とは先ほどの二人だろう。やっぱり比企谷となんかある ているような・・・ ろうさっきから漂う葉山君の焦燥感は。まるで比企谷の全てを悟っ さっきから葉山君の言っていることが理解できない。なんなのだ ? ? 6 ? ? んだあの二人。比企谷がムキになるほど彼女たちは大切な存在らし い。今気づいたけどライバルってことかな。謎の美人さんもそんな こと言ってたなぁ・・・・・あはは、勝てる気がしない。 ﹁黙らないさ。まるで自分を見ているようだからね。今君は俺の立場 ふざけんな俺は俺でしか にあるわけだ。いつも涼しげな顔をして勉強もできて運動もできる みんなの葉山と同じだ。﹂ ﹁何言ってるか分からねなぁ⋮俺がお前だ ねぇ。﹂ ﹁なら答えを出せよ、比企谷。君が君ならば俺のように逃げたりしな いでくれ。﹂ 葉山君はそういうと微笑んだ。私が昼間見ていた葉山君の微笑み とは全く違う。これが本当の彼の顔なんだろう。 ﹁⋮﹂ 一方、比企谷は葉山を睨み続けている。 あ の ー ⋮ 告 白 し た の 私 な ん だ け ど な ⋮ こ れ が 放 置 っ て や つ か。 さっきから悲しい感情ばっかだけど、今日はいろんな経験ができる なぁ私。 ﹁無言か・・・折本さんの告白が本気だということがわからない君じゃ !? ないだろう。﹂ え、比企谷私の告白気付いてたのにはぐらかしたの ﹂ ﹁ところで折本さん﹂ ﹁は、はい アイス ﹂ まぁ結構好き⋮かな。﹂ ﹁折本さんはアイスは好きかな ﹁へ ? なぜ、このタイミングでアイス ? フェ1つづつください。﹂ ﹁え⋮﹁どういうつもりだ葉山。﹂ ﹂ ﹁なんだい比企谷。今日は語尾に﹃葉山﹄をつけるのが流行っているの かい 7 ? いきなりこっちに話を振らないでくれるかな⋮心臓に悪い。 ! ﹁そ れ は よ か っ た。す い ま せ ん 店 員 さ ん、チ ョ コ パ フ ェ と イ チ ゴ パ ? ? ? ﹁ちゃかすんじゃねえよ。﹂ ﹁おっとそんな怖い顔しないでくれよ。これは俺の罪滅ぼしだ。もち ろん折本さんへのね。彼女の望むシチュエーションをプレゼントし てあげようと思ってさ。 今日は本当にごめんね折本さん。でも俺にできることはしたつも りだ。あとは君と比企谷の二人で決めてくれ。﹂ そう言い残すと伝票をもって会計に向かっていた。その後ろ姿は 昼 間 一 緒 に い た 葉 山 君。か っ こ い い 葉 山 君。彼 は い つ も の 日 常 に 戻っていったよに見えた。 ごめん葉山君。私少し勘違いしてたかもしれない。葉山君って結 この今の気 構おもしろい人だったんだね。でも、やっぱり自分を正当化するため 私の望むシチュエーションって何 に比企谷を使っているところは気に食わない。 ・・・・・・って まずい状況 !? もらってないし⋮ ﹁比企谷、パフェ来たけど⋮どうしよっか ﹂ ここはさりげなく比企谷を誘ってみようかな。まだ告白の返事も 速さ。ここのカフェの店員ただものではない。 どうやらチョコパフェとイチゴパフェが来たらしい。なんという ﹁あの、お客様⋮﹂ で。何を話そうかとか全く考えてないし。どうしよ・・・ いや確かに比企谷と二人になりたかったけども⋮なりゆきなわけ それともこれから、二人で中良くパフェ食べろってこと ! ﹁ぷっ 何かっこつけちゃってんのウケるw﹂ はないからな。﹂ ﹁・・・・・・はぁ、あいつの思惑に嵌るのはシャクだが甘いもんに罪 た。そして照れくさそうに頭を掻きながら 彼は一瞬私のほうに顔を向けたが、すぐにそっぽを向いてしまっ ? はぁあ⋮緊張してるなんて馬鹿みたい。今の私は比企谷と一緒に 居たい。それだけじゃん。 8 !? !? ﹁いや、ウケないから。﹂ ! いつもの私らしく楽しく自分勝手にすればいいんだ。 まだ顔は熱くて、手もいつもはどうしていたか分からなくなってい るけど、気持ちは整理できた。 ﹂ ﹁ね、比企谷﹂ ﹁なんだ 本気の気持ちじゃなきゃ、またはぐらかされてしまう。私は楽しい ことは好きだけどさっきのような悲しい気持ちになるのは苦手だ。 だから今度は違う言葉で、逃げられない言葉で、比企谷に伝えよう。 ﹁・・・・私ね、比企谷のこと好きみたい﹂ ﹁お、おう・・・﹂ 席に着くと二人とも無言になってしまった。・・・言うタイミング ミスったかなぁ私。でも真っ赤な顔になっている比企谷を見れば、そ んなことはなかったと思える。 可愛いとこあんじゃん比企谷。 ほほえんだ私の顔もきっと真っ赤になっていることだろう。 ・・・はやく冷たいパフェでも食べていつもの私を取り戻さなきゃ。 9 ? 三話﹁勝手﹂ ﹁比企谷、はやく食べないと溶けちゃう﹂ ﹁お、おう。﹂ せっかく葉山君が頼んでくれのだから、溶かすのはもったいないよ ね。どっちの味にしようかな・・・ ﹂ 私が悩んでいると、比企谷は堂々とイチゴパフェを手元に置いた。 ﹁普通イチゴとかは女子が食べるんじゃないの ﹁俺 の 知 っ て る 限 り、食 事 で 男 女 差 別 は な い。つ ま り 俺 が イ チ ゴ パ フェを食べてもいいってことだ。﹂ ﹁なにそれ、ただの屁理屈じゃん⋮﹂ ﹁屁理屈上等。俺は俺のしたいように生きる。﹂ 比企谷はドヤ顔でそういうと一口食べた。比企谷とイチゴパフェ の2ショットの似合わなさに思わず笑ってしまった。 冷たくておいしい ﹂⋮聞けよ。まぁ、 ﹂ 私が笑うたびに少し照れるのはなんでだろう。惚れてるこっちか らすると、いじめたくなって仕方ない。 おっと⋮ついつい会話がはずんじゃった。 ﹁で、比企谷。そろそろ告白の返事を聞かせてくれる・・・かな 忘れそうだったけど。 ﹁はぁ⋮⋮お前⋮マジで俺のこと好きなのか ﹂ 私は確信に迫る。今日の本題を忘れてもらっては困るよ。⋮私も ? 別に顔が赤くなってるかもしれないとか、目線が泳いでないかとそ する。 私は背筋をぐーと伸ばして比企谷に気づかれないように深呼吸を ﹁だからそう言ってるじゃん。私は比企谷のことが好き。﹂ ? 10 ? ! さっきまでの険悪な雰囲気はどこにいったのか⋮安心した。 ﹁やっぱ似合わないね。﹂ ﹁うっせ。そもそもな﹁んー w悪くはないだってw﹂ 悪くはないな。﹂ ﹁ぷっ ! でた、上から目線。やっぱりおもしろいなぁ比企谷は。 ! ﹂ ういうことが心配でしてるわけじゃないから。たぶん。 ﹁異性として うーん、はっきりしない。でも 異性としてか⋮同姓にこんな気持ちになったことないしな・・・異 性だから比企谷に惹かれたのかな ﹁もちろん﹂ 収まり ? これから初めて話す本心について怖いのか目線を下に下げてしま てことを比企谷には分かってほしいの。私を知ってほしいの。﹂ ﹁勝手なのは分かってる。でも⋮でも⋮いつもの自分勝手とは違うっ ﹁⋮。﹂ だよね﹂﹂ 第一、俺は一回お前にフラれている。今更付き合おうなんて﹁勝手 ﹁やっぱ気の迷いなんじゃないか 顎に手を当て考える比企谷。 ﹁収まりがつかなくて⋮か。﹂ て堪らなかった。 そして、気が付いたら告白していた。まだ比企谷のことが知りたく れだけだと思ってた。 これは本当のことだ。比企谷に聞きたくて、話したくて、最初はそ がつかなくてつい......﹂ ﹁そだね・・・急すぎるよね。でもほら私って自分勝手じゃん つい先日で、遊んだのだって今日が初めてで、私だって急だと思う。 でも、比企谷の言うことはもっともである。比企谷と再会したのは 本人はいたって普通なことに納得いかない。 いひどいな・・・私はこんなに緊張しているというのに。告白された ため息をついたように吐き捨てる比企谷。さっきからちょいちょ あったばかりで今日告白する理由がわからん。﹂ も、どこで俺のことを好きになったか分からないし、なにより先日 ﹁は ぁ ⋮ わ か っ た よ。お 前 が 俺 を 好 き だ っ て こ と は 理 解 で き た。で 私ははっきりそう答えた。好きって感情には変わりないから。 ? ? 11 ? う。 私はいつだって自分勝手に生きてきた。でも・・・今回は違う。同 じ自分勝手だけど違うんだ。 私はありのままの自分を話そうと決心した。 ﹂ ﹃がんばれ私﹄そう言い聞かすと、重い顔を上げ ﹁ねぇ比企谷、﹃選択﹄ってしたことがある ﹂ ﹂ ? ﹁なにそれウケる・・・﹂ し。あの告白のおかげで今の俺がいるって言っても過言じゃないな﹂ ﹁そりゃ、何回かはな・・・・お前に告白したのだって俺自身の選択だ 分の人生が変わっちゃうような選択。例えるなら・・・告白とか ﹁そうじゃなくてさ。どっちも半分半分。どちらかを選んじゃえば自 けない場面なんていくらでもあるだろ ﹁突然なんだよ。そりゃ文理選択とかテスト問題とか選択しなきゃい ? う。 ﹂ ﹁・・・・まぁそこは置いといて、お前の言う﹃選択﹄ってのがなんだっ て言うんだ ﹁私ね。選択をしたことがなったんだ。﹂ ﹁⋮。﹂ 少 し 話 す の が 楽 に な っ て き た。比 企 谷 は ち ゃ ん と 聞 い て く れ る。 私を見ていてくれる。 ちょっと調子もどってきたかも。 ﹁いつも周りを振り回したり、自分勝手に行動したり、好きなことばか りしてた。そんな人間なんだー私って。 12 ? いつも、どう笑っていたか思い出 ? ﹁ウケてるんならそれらしい顔しろってんだよ。俺の渾身の自虐ネタ がすべっちまったじゃねぇか。﹂ ﹂ 私そんなに笑えてなかったかな せない。 告白したことが それにしても、 ﹁自虐・・・ ? 彼は自虐と言った。でもなんで告白したことが自虐になるんだろ ? ? でもさ、やっぱり壁にぶつかることってあるじゃん げてきた。友達に合わせたりしてさ。﹂ ﹁意外だな。はじめてなのか。﹂ ﹁告白はよくされるんだけどね。比企谷とか ﹁おい、俺は一回しかしたことねぇぞ﹂ ﹂ ﹂ そのときは逃 動をとってる・・・はじめて自分から告白しちゃうとか・・・ね。﹂ ﹁さすが比企谷。気づいてたんだね。そう、今の私はいつもと違う行 思わず驚いてしまう。 も似つかない。﹂ ﹁そうだな。それが俺の知っている折本かおりだ。今のお前とは似て ? ﹁とにかく 私は始めての選択で比企谷に告白した。あぁこんなにお 私は、まだまだ比企谷のことを理解してない。 んなに優しかったんだ。 うれしいな。触れてほしくないところは話を反らしてくれる。こ ﹁だよねw﹂ ﹁・・・しねえよ。﹂ ﹁なんなら今からしてくれたら即OKするけど ? れなかった。 選択したっていうより選択せざるを得なかったとでも言うのかな 葉山君とのやり取りを見て影響されちゃった。﹂ 比企谷はどこか寂しそうに斜め下に視線を落としていた。 目が合うと、お互いぎこちない笑顔になった。 あぁ・・・私、察しちゃったな。 比企谷は真剣な顔をすると頭を下げた ﹁悪いが俺は今の折本に対して好意をもっていない。だから付き合う 13 ? もしろい人ともう会えないんだなぁと思ったら、いてもたってもいら ! ﹁折本⋮お前は結局自分勝手なままだよ。﹂ ? ことはできない。﹂ あぁ、やっぱりね。 ﹁そっか・・・比企谷ならそう言うと思ったよ。﹂ あーあ。フラれちゃったよ私。人生初めての告白なのに。 まぁ今日始まって今日終わるような恋なら悲・・しく・なん・・・・ て。 あ、あ・・・れ ﹁ちょ・・・どう・・して・・涙なんか﹂ 私は涙を流していた。 涙⋮そっか悲しいんだ。比企谷にフラれたことが堪らなく悲しい んだ。 ﹁ほ、ほら使えよ。まさか泣くとは思わなかった。すまん。﹂ 慌てた比企谷がハンカチを差し出してくれた。 ﹁あはは・・・なんで比企谷が謝ってんのよ。﹂ ﹁いや、だって泣かせちまったのは⋮俺だしな。﹂ また優しくしてもらっちゃった。もうフったんだから、いっそ突き 放してくれたら楽なのに。 ﹂ 中学校の時、知らなかった比企谷の優しさを今日は何回も感じた。 ﹂ ふと、疑問に思ったことを聞いてみる。 ﹁ねぇ、比企谷。私にふられた時泣いた ﹁・・・・言わねぇ﹂ 分かりやすいよ比企谷。でも泣いてくれたんだ。 ﹁じゃこれでお互い様だね。﹂ ﹁⋮まぁそういうことになるか﹂ ﹁フラれるって結構悲しいんだね。ウケるw﹂ 振り絞った笑顔はどのような顔だったのか。 ﹁お前は強いよ・・・俺なんかよりずっとな。﹂ そういうと笑みを見せてくれた。 そして彼は ﹁なぁ折本・・・フられた直後で悪いんだが俺の話聞いてくれないか 何を言い出したかと思うとフッた相手に頼み事をしてきた。 ? ? 14 ? 普通なら言うことなんて聞かないで帰ってしまうだろう。でも私 は ﹁⋮うん、いいよ。聞いてあげる。﹂ 私は笑顔で返事をした。 残ったパフェのアイスはもうほとんど溶けきっていた。 15 四話﹁味覚﹂ ﹁フ ッ た 女 に 普 通 相 談 す る なぁ。﹂ 私だってまだ傷ついてはいるんだけど 嘘だから 比企谷に対して ウケるw 私も聞いてあげるって言ったじゃ ⋮わりぃ。やっぱいいわ。忘れてくれ﹂ ﹁ちょ、ちょと待って ん。﹂ これが未練か・・・・私が未練 ちなのかな⋮ 軽くあしらうとこでしょ。 私。 もう調子狂う そして、ずっと比企谷の腕つかんでたの 何素直に謝ってんの。あー ? あはは⋮いよいよ笑えなくなってきたよ。 ? ! ﹁なんで不機嫌なんだよ⋮じゃ⋮よろしく頼む。﹂ のか分からないから仕方ないよね。 ちょっと不機嫌な感じになっちゃった。私だってなんで不機嫌な ﹁いいから話してよ。﹂ ! おい、私。そこは﹁何照れてんの キモいんだけどウケるw﹂とか ﹁お、おう。﹂ ﹁あ⋮ごめん。﹂ えると嬉しいんですが⋮﹂ ﹁あ、あの∼お、折本さん ちゃんと話すから、その⋮腕を離してもら 葉山君葉山君うるさい千佳のことを思いだす。千佳もこんな気持 いなぁ。 すっかり恋愛脳になっちゃって・・・これからは千佳のこと笑えな 私。 ここで別れちゃったら、もう出会えないとでも思っちゃったのかな ものもない。 とが好きだ。ここまで執着したものはないし、失いたくないと思えた とっさに手を出してしまったわけだが⋮やっぱり私は比企谷のこ ? 帰ろうとした比企谷の腕を必死にとる。 ! ﹁ ? ? 16 ? ! ! アイスコーヒーとピーチソーダください。﹂ 再び私に頭を下げる比企谷。 ﹁店員さーん 比企谷はコーヒーだよ。ピーチソーダは私の。﹂ ﹂ ! ﹁はやっ ﹂ ﹁お待たせしました∼﹂ 今回で変わったとすれば私の少しの恋心くらい。 この距離が私と比企谷との﹁正しい﹂距離。 そう、これでいい。 ﹁あははwその嫌そうな顔ウケるw﹂ ﹁うげ・・・お前ってそういう奴だっけ。﹂ ﹁そそそ﹃恋﹄。私の愛情だから受け取ってくれると嬉しいな∼﹂ ﹁故意かよ⋮﹂ ﹁うん。そう思ったから頼んだ ﹁俺、コーヒー飲めないんだけど・・・﹂ ﹁はぁ でみたかったんだよピーチソーダ。﹂ ﹁それにしても、よく俺が飲みたいもんがわかったな⋮ちょっと飲ん 私の苦笑いに比企谷は苦笑いで返してくれた。 ﹁ふっ・・・そうだな。俺も重苦しいのは嫌いだ。﹂ んだ。今日のデートみたいにさ。﹂ ﹁私やっぱりこういうの苦手てさ⋮比企谷とは軽い気持ちで話したい ﹁おい、人が頭下げてるのに何してんの。﹂ ! ﹂ ? な、甘くないコーヒーはお断りだ。﹂ ﹁俺 は 苦 い 人 生 な ら コ ー ヒ ー は 甘 く て も い い じ ゃ な い か っ て 精 神 で ﹁ぷっwそんなに嫌なわけ あからさまに嫌な顔をする比企谷。 ピーチソーダ、比企谷の前にはコーヒーを置いた。 店 員 さ ん は ど ち ら が ど っ ち を 頼 ん だ か 聞 く こ と な く 私 の 前 に は になるだろう。 きを送ってもいいかもしれない。きっと早すぎるカフェとして有名 やっぱりこのカフェの店員さんは只者ではない。今度TVにはが あいかわらずの速さに、比企谷が驚く。 !? 17 ? ﹁あははははwwwなにそれお、お腹痛いww﹂ ﹂ コーヒーで、こんなにかっこつける奴なんて比企谷くらいだろう。 本当にこの男はいつでも私を笑わしてくれる。 このピーチソーダ結構おいしいかも どれ、私は飲ませてもらおうかな。 ﹁うーん ! ﹁・・・は ﹂ ﹁一口飲んでみる ﹂ 彼も喉が渇いてるはずだろう。ちょっと意地悪しちゃったかな⋮ 対して比企谷はコーヒーから目を離さない。 さっきまでアイス食べたから喉が渇いてたんだよね∼。 ! ? 感情ばっかりで今日は疲れてたのかな。 の。﹂ ﹂ ﹂ ﹂ ﹁うーん。比企谷ならいいっかなーって。私の好きな人だし役得的な ﹁なら、なんで⋮﹂ と遊ぶときも、なるべくそういうことは避けてきた。 これは本当のこと。もともと男と付き合った経験はないし、男友達 ﹁いや、したことないけど こういう ぷっ子供みたい もしかして間接キスのこと ﹁いや・・その・・お前気にしないのか 気にするって何を ﹁あっはははw比企谷間接キスなんて気にしてんの ん ? ﹁いや、普通気にするだろ。折本は⋮その、慣れてんのか w﹂ !? フラれたのを理由としていじりすぎたかもしれない。似合わない ﹁いや、ちょっと意地悪しすぎたかな∼と思ってさ。﹂ ? なんだこの男可愛いぞ。間接キスくらいでこんな反応を普通する のだろうか。 やっぱりいじめよう。私の欲求が彼をいじめろと告げている。 ﹁え ∼ 比 企 谷。フ ッ た 女 と は 間 接 キ ス も で き な い っ て い う わ け ∼ ショックだなぁ・・・私は親切心で言ってるのに。﹂ ? 18 ? ? ? !? ? ﹁お、おう⋮。い、いやでも﹂ ? 大げさな演技をしてみる。 チラッと比企谷のほうを見ると何かと葛藤しているようだった。 ﹂ 私、コップに口あと付くとか嫌なん 飲めばいいんだろ 諦めがついたように息を吐くと、 ﹁わ、わかったよ ﹁あ、ちゃんとストロー使ってね ロー。あれ ただのストローよね。 ト ロ ー。そ う 市 販 で 売 っ て る の と 同 じ。で も 比 企 谷 が 使 っ た ス ト ・・・目の前に比企谷が使ったストローが⋮うん。これはただのス よーし。満足したし私も飲もうかな ﹁し、仕方ないだろ。間接キ、キスとか初めてなんだし。﹂ ﹁へえ∼味がわからないくらい緊張してくれたんだぁ∼﹂ まだ私のこと意識してくれてるんだ。 れしい。 味が分からなかったか⋮よっぽど緊張してたんだね。ちょっとう そういうと私の手元に返してくれた。 んなさい味なんて分からなかったです。﹂ のハーモニーを奏でるっていうか﹁ピーチソーダなんだけど。﹂⋮ごめ ﹁ま、まぁうまいんじゃねぇの。レモンの香りが広がってなんていう 数秒間のこととは思えないほど長く感じた。 てるのが分かる。 吸い出せれるまでの過程を眺めてると、どんどん彼の顔が赤くなっ 彼の口がストローについた瞬間少し体が熱くなった。 が離せなくなっていた。 るまで彼から目を離せなかった。彼が私のストローを使うことに目 そういうとゴクリッと比企谷の喉がなった。ストローに口をつけ ﹁⋮覚えとけよ。﹂ ﹁はやく飲んでよ∼。私も飲みたいんだから∼。﹂ ﹁おま⋮ずるいぞ。﹂ さらにいじめてみる。どうだ比企谷、これで逃げ道はない だよね。﹂ ? ! 19 ! ? ! よくわからなくなってきた。 ? ﹁⋮﹂ ﹁お、おいどうした ﹂ ﹁これはストロー、ただのストロー。﹂ ﹂ 私が緊張とかありえないし ﹁おーい、折本さん。・・・もしかして緊張してる ﹁ななな何を言ってるのかなぁ∼ ﹂ ! 比企谷がにやにやしているので、少しムキになってストローを口に する。 ﹂ もしかして私も⋮。 折本さん ⋮味がしない。あ、あれ∼ ﹁お味はいかがでしたか ? ? 私は何を飲んでいるんだっけ でも、比企谷にやられっぱなしなのは嫌だ これ何味だっけ ﹂ ? まだにやにやしてる比企谷が意地悪そうに聞いてきた。 あれ ﹁はぁ ﹁・・・比企谷の味がする。﹂ くっ⋮分からない ? 比企谷は・・・あれ ﹁そ、そうだな。﹂ 比企谷コーヒー飲んでない ﹁あはは∼な、なんか気まずいね。﹂ ﹁﹁⋮﹂﹂ ﹁あのさ﹂﹁おい﹂ な、何か話さないと それにしても気まずい⋮。 なんと彼はあれほど苦手だと言っていたコーヒーを飲んでいた。 ? 私はそのまま味の分からないピーチソーダを飲み続けている。 しばしの無言。お互い目を合わせられないで黙ってしまった。 ﹁﹁⋮﹂﹂ に効いたらしく彼の顔も赤い。 やられっぱなしは嫌だと思って発した言葉が、思ったよりも比企谷 供でした。 なるほど⋮間接キス恐るべし。バカにしてごめんね比企谷、私も子 い。 照れ隠しに、さらに照れるようなセリフを言ってしまった。顔が熱 ! ? ? 20 ! ? ? ! ? !? ﹁﹁⋮﹂﹂ もう、どうすればいいのこの状況。 ﹂ 誰でもいいから助けて ﹁あ、八幡だ ﹁⋮﹂ え ﹂ なによその比企谷の態度 ﹁と、戸塚 この子、比企谷のことを下の名前で呼んでる⋮一体どういう関係 入口からジャージ姿の女の子が入ってきた。 ! ⋮それにしても比企谷の周りってレベル高い女の子多いよね。 ? ! 見たことないくらい生き生きしてるんですけど !? !? やっと味が分かったピーチソーダを泡立てながら彼女を睨みつけ てた。 21 ! !
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