忍?剣士?術者?執事?ボッチ? 仮初 ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP DF化したものです。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作 品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁 じます。 ︻あらすじ︼ 比企谷八幡は九鬼揚羽に仕える九鬼家従者である。 川神学園で面倒に巻き込まれながらも自信の信念を貫き通す。 一話 ││││││││││││││││││││││││││ 目 次 二話 ││││││││││││││││││││││││││ 1 四話 ││││││││││││││││││││││││││ 三話 ││││││││││││││││││││││││││ 8 13 20 一話 テメェは立派な九鬼従者なんだか ﹁おい、忍足。お前俺に学校で話しかけんなって言ってんだろうが﹂ ﹁別 に も う ば れ て も 良 い だ ろ う ら﹂ 俺は目立ちたくないんだよ。もしかした ﹁そんなことならアタイだって言ってやるぞ ﹂ 者にして表の番号には指定されていない者である。 先程から何らかの理由で怒っている男こと比企谷八幡は九鬼家従 ﹁この際だから俺は言いたいことを言うぞ、忍足﹂ 眼、それと燕尾服を纏った男だ。 一人は茶髪な短髪にメイド服の女。もう一人はアホ毛に特徴的な る二人がいた。 豪華な床・壁・置物の中で似合わなく、酷く、無駄な口論をしてい に腹が立つ﹂ ﹁⋮⋮承知済みだが、人に言われると⋮いや、アンタに言われると無性 らいじゃテメェの存在なんて認識されないだろ﹂ ﹁そんなこと分かってるよ。そもそもアタイがちょっと話しかけたく ら闇討ちに合うかも、とかの理由で隠してねえ﹂ ﹁そう言うことじゃねぇよ ? してうかがっている。 距離をとった所で、お互いにお互いの動きを余すことなく目を鋭く ﹁﹁⋮⋮⋮⋮﹂﹂ とる。 二人はどこからともなくクナイを取りだし、お互いに一定の距離を 列1位の忍足あずみは喧嘩を買おうとしていた。 怒られているにもかかわらずスルーしている女こと九鬼家従者序 ? 1 ! おそらく何らかのきっかけが無ければこのまま二人はじっとして いるだろう。 ギィ ﹂﹂ " しかし、 ﹁﹁ !! " 誰かが開けたであろう扉の音が二人の間に駆け巡る。そして二人 ﹂ ﹂ は同時に相手の方へと走り出す。 ﹁はぁっ ﹁おらっあ !! ﹁﹁ ﹂﹂ ﹁お止めなさい、八幡﹂ ﹂ ? クラウディオは二人に向けて再度注意した。 ません﹂ ﹁もう良い大人なのですから、くだらない事で争っているのではあり された。 目の前にいたクラウディオには聞こえていたのか八幡は再び叱責 ﹁⋮⋮うっす﹂ ﹁八幡。貴方は人の事を笑える立場ではありませんよ﹂ その姿を見て八幡は誰にも聞こえないように鼻で笑った。 ﹁⋮⋮フッ﹂ るだけであった。 それに怯んでいるあずみはなにも言えずにただただじっとしてい ている。 列0位であるヒューム・ヘルシングは殺気をあずみに向けて全開にし 高圧的な態度であずみを責めている金髪の老人こと九鬼家従者序 ﹁うっ⋮⋮﹂ ﹁おい、聞いているのか ディオ・ネエロが彼に注意する。 八 幡 の 前 に 現 れ た 白 髪 の 老 人 こ と 九 鬼 家 従 者 序 列 3 位 の ク ラ ウ ﹁そういうことをするなら外でおやりなさい﹂ ﹁⋮⋮少し殺気を出しすぎたか、忍として情けないな﹂ 現れた。 突如として金髪と白髪の老人二人が八幡とあずみの前にそれぞれ ﹁貴様、今何をしようとしているのか分かっているのか ﹂ だが、二人はぶつかる事はなく、むしろ最初の2歩で止まっていた。 !! ﹁⋮⋮すんません﹂ 2 ? !? ﹁⋮申し訳ありません﹂ それに二人は素直に謝り、反省の色を顔に出した。しかしそれでも 貴様の 八幡にだけはまだ言い足りなかったヒュームは八幡の前に出る。 ﹁ふんっ、八幡。貴様はもう少し精神修業でもしたらどうだ ﹂ ﹁えっ⋮⋮自分ですか ﹂ ﹁そんなことより、八幡。帝様がお呼びですよ﹂ 気を出されれば八幡といえども黙るしかないのだ。 流石に戦闘能力だけが強くとも一般人が気絶するくらいの顔と殺 ﹁いえ、なんでもないです﹂ ﹁あっ ﹁⋮⋮あのですね。人はそんな簡単に変わら⋮﹂ 強さは俺の折り紙つきだが、そのくだらん根性だけは認めんぞ﹂ ? ﹁⋮⋮えっ、あれ以上成長するのですか ﹂ ﹁ふっ、そうだな。これからの成長が楽しみだ﹂ ﹁相変わらずの速さですね﹂ 場から消えていった。 ヒュームに催促され、一言3人に伝えたあと風のように八幡はその ﹁はぁ、分かりました。それでは失礼します﹂ ﹁呼ばれているんだ。さっさと向かえ﹂ くに会話したことがないのだ。 であるが、それもそのはず。八幡が一部の従者と九鬼揚羽を除けばろ 滅多なことでは呼ばれない自分が呼ばれたことに驚いている八幡 ? 利だ。 忍者の性分というか、気配を探りながら移動しているのは何かと便 ﹁⋮⋮部屋には⋮⋮5人⋮⋮いや、7人か﹂ 俺こと比企谷八幡は、九鬼帝様がいる部屋の前に立っていた。 ーーーーーーーー を越えているんだ人類最強となってもらわなければ困る﹂ ﹁当然だ。俺がどれ程の人を見てきたと思っている。あいつはこの俺 ? 3 ? 背後に立たれる心配もないし、立たれたら立たれたで剣士の恥をつ けるかもしれないからな。 ﹁⋮⋮嫌な予感しかしない﹂ ろくに話した事がないけど、話すときは絶対に面倒事を持ち込むか らな、あの人。 ﹁⋮帝様。比企谷です﹂ 嫌な予感を知りながら、深呼吸をする。そしてノックを4回して、 俺は声を出す。 ﹃おお、とっとと入れ﹄ 中から帝様のお許しを頂き、俺は扉を開ける。 ﹁失礼します﹂ 俺の予想通り、中には7人の人がいた。 一番目立つ場所にいる俺を雇っている雇い主、九鬼帝にその隣に我 が主にて帝様の実子である九鬼揚羽様。 4 それに九鬼家従者序列2位のマープルの婆さん。マープルが発案 ﹂ した武士道プランの申し子達、葉桜清楚、源義経、那須与一、武蔵坊 弁慶がいた。 ﹁それで、私めに何かご用でしょうか ﹁ああ、実はな⋮⋮﹂ ﹁嫌です﹂ 史になってしまいそう。 ⋮⋮⋮⋮あ、やべ。勢いで言ってしまったが、これ物凄く俺の黒歴 のです。今現在においてお金は必要ありません﹂ ﹁自分は生きるために、そして揚羽様をお守りするために働いている ﹁給料を引き上げてやるから﹂ ﹁分かっていらっしゃるのなら、自分に頼まないでください﹂ ﹁⋮って、やっぱりそう言うよな﹂ き出し、ガクリとする。 帝様は俺の態度をあらかじめ分かっていたかのようなタメ息を吐 であろうとNoと言える日本人だ。 ここはハッキリとそしてさっさと断るに限るな。俺はたとえ上司 ? 心のなかで留めておけば良かった。 これは褒めてルートを確定させようとしてい 我の自慢の執事です﹂ ﹁ふっ、揚羽。良い従者を持ったな﹂ ﹁フハハハハッ ⋮⋮⋮⋮⋮⋮ は っ るに違いない。あぶねぇ、危うくクローンと関わらないといけない それならば、他の者に当たってください。 ルートに入るところだった。 ﹁話はそれだけでしょうか 俺に待ったをかけた。 ﹂ ちっ、うまくいきそうだったのに⋮⋮ ﹁⋮⋮⋮⋮コノ、クソハバア﹂ ﹁聞こえてるんだよ。くそはばあ ? 本当に小さい声で言ったのに何で聞こえてんだよ ﹁えっ⋮いえ、⋮⋮ははっ﹂ やべぇ 笑いしか出来ねぇ 愛想 ! しかしそれを阻もうとする絶対にこの中で年上なミス・マープルが ﹁待ちな、八幡﹂ 屋から退出しようとする。 俺はこれ以上この話を俺のもとに来させないように、そそくさと部 何度も言うようですが自分はお断りします﹂ ? てしまっている。 ﹂ ﹁はぁ、全く。少しはそういう生意気なところを直したらどうだい ﹁え、いや、それはですね⋮﹂ ﹁それより八幡よ。本当に受ける気はないのか ﹂ ? ﹁揚羽様のお願いであろうと、自分が護りたいのは揚羽様や九鬼家の ていく。 マープルの話が長くなると予想をした揚羽様が、再び本題へと戻し ? ﹂ 方々に九鬼という存在です。それに面倒なことをこれ以上増やされ 最後のが本音であろう たら堪りません﹂ ﹁フハハハハッ ? ﹁流石、揚羽様。私めのことをよく分かっておられる。ぶっちゃけ理 !! 5 !! !! ⋮しかしマープルに掴まれば俺は確実と言って良いほど引き受け !! !! 由の3割くらいが後者です﹂ そうなんだよな∼、絶対にこいつらの面倒を見ろとか面倒な事を言 うんだろうな。 本当に何で俺の答えがわかっているのにここまでするのか未だに 分からない。 ﹂ そんなことを思っていたが、揚羽様の顔がみるみる自信の満ちた顔 になっていった。 ﹁我とて何もタダでとは言ってはおらぬだろ ろった方が良いかと﹂ えっ 何でこの事を知ってるんだ いにパニクった。 俺はビックリしてしまった。そしてまともな判断ができないくら ﹁この紙がなんだ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮と﹂ と何かが書かれた紙を渡してくださった。 揚羽様は俺に自分の前に来るように指示されたから素直に向かう ﹁これを見ても言えるとは思えんが ﹂ ﹁いえいえ、御言葉ですが、今の自分を説得するより他の者をみつく ? ﹁⋮⋮⋮⋮これが交渉材料と ﹁⋮⋮⋮⋮﹂ いものだ。 ﹂ しかし俺の戦いかたは⋮⋮⋮⋮いや、戦いかたはいくらあっても良 る。 だが、ここで引き受けなかったらこの剣が二度と手に入らなくな のは確実だ。 ⋮⋮ヤベェ。ここで引き受けちまったら面倒な事に巻き込まれる ﹁うむ、その通りだ。引き受けてくれればそれを譲ろう﹂ ? ﹁そうか、駄目であるか⋮⋮﹂ ⋮本当か ﹂ ﹁仕事引き受けます﹂ ﹁ !? 6 ? ? ﹁相当驚いているようだな。だが、その内容は本当の事だぞ﹂ ? ﹁ええ、子守りをして見せましょう﹂ !? 俺の手にある紙には、九鬼が﹃夜﹄を入手したという情報が書かれ ていたのであった。 7 二話 結局、何も聞かずに引き受けてしまってた俺こと比企谷八幡は内容 を帝様から聞かされた。 ﹁実はな、クローンを川神学園に転入させようと思ってな。その護衛 についてもらいたい﹂ ﹁護衛ですか﹂ ﹂ ﹁勿論八幡以外にもいるが身近に一人くらい強力な奴を置いておきた いものだ﹂ ﹁ならば、ヒュームを置かないのですか ﹁その事なんだが、実は俺の娘を川神学園に入学させて、その護衛を ヒュームに頼んでいる﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮成る程。九鬼紋白様ですか。それならば納得です。クラウ ディオさんは⋮言わずともあの人は忙しい。それで川神学園でなに ﹂ もしていない自分に白羽の矢が立ったわけですか﹂ ﹁内容は以上だが、何かあるか ﹁何だ ﹂ てもよろしいのでしょうか ﹂ ﹂ ? ﹂ ? となると、五日後か⋮⋮そうなると、明後日には東西交流戦がある ﹁あ、それは東西交流戦が終わってからだ﹂ ﹁いつから彼らは転入するのでしょうか 在を消していなければ難易度は難しくなるというのに。 忍の存在を知られていては、それ相応の対応を取られるから極力存 言いようがないが﹂ 一流なんだけどな。ま、こちらが望んだことはしてくれるから文句の ﹁全く、揚羽以外なら適当かつ最低限にしかしないからそこを直せば ﹁忍は陰から守るのが道理です。忍足が可笑しいだけです﹂ だ、護衛対象とは仲良くしてた方が良いんじゃないのか ﹁⋮本当に必要最低限しかしようとしねぇな。それで構わないぞ。た ? 8 ? ﹁いえ、ないです。⋮⋮⋮⋮質問がひとつあります﹂ ? ﹁この仕事は護衛であって、それ以上のことは求めていないと解釈し ? のか。手加減するより逃げた方が俺らしいな。 ﹁そうですか⋮⋮護衛は四六時中がお望みですか 頼んだぞ、八幡 ﹁はい﹂ ﹁うむ ﹂ ﹂ いから全然分からないってのが本音なんだけどな。 俺が出来る最大限の言葉がこれだ。てか、友達とか持ったことがな ﹁⋮⋮分かりました。ある程度の識別でしてみせます﹂ た。 俺が帝様の曖昧な言葉に悩んでいると、揚羽様から助言をいただい よい﹂ ﹁八幡。お主は難しく考えすぎなのだ。友を守る程度の認識でやれば ﹁はぁ、しかし⋮⋮﹂ ﹁いや、そんなにキチンとしなくて良いから。ユルくやったら良いぞ﹂ ? ﹁⋮⋮何か ﹂ ﹁あ、あの﹂ を持っているのが九鬼家だろうな。 やっぱり主から激励を受けると俺の士気が上がる。ま、そういうの !! ﹂ ? ﹁えっ ご、ごめんなさい 気分を悪くしちゃったなら⋮⋮﹂ ﹁揚羽様。流石にここまで言われるとむしろ完勝ですよ﹂ ﹁フハハハハ、今回は言われないと思ったが、これで完敗だな﹂ しかし、他の奴等の顔を見るに同じことを考えているみたいだな。 もう馴れてる。 ⋮⋮いや、俺に会うやつ会うやつ全員こうやって言ってくるから、 んて思っても見なかったな。 あろうことか俺に対して、そんなふざけたことを言うやつがいるな ﹁⋮⋮﹂ ﹁君一人で私たちを護衛するの 一応は護衛対象だ。どいつにも敬語は必須だ。 が俺に話しかけてきた。 と呼べそうな黒い長髪にヒナゲシの髪飾りをつけた女こと葉桜清楚 話がまとまり、もう解散ムードであったところにいかにも文学少女 ? !! 9 !! !? なんせ貧弱そうななりだ こ の 人 い い 人 だ な。す ぐ に 謝 っ て く れ る 人 な ん て そ う そ う い な かったからちょっと感激。 ﹁清楚よ。そんなに気にしなくても良いぞ からな﹂ けど。 ﹂ ﹁⋮⋮ごめんね﹂ ﹁要するに八幡は強いの ﹂ 言ったヤツは決まって、俺も守りたくない対象だったから良かった あったな。 そういや、俺の事をキモいとか守られたくないとか言われたことが ことがあるので、そんなもの痛くも痒くもないです﹂ ﹁はい、大丈夫です。葉桜さんが言ったことより酷いことを言われた ﹁ほ、本当に りそこらの凡人とは違う。 俺が訂正する前に揚羽様がフォローしてくれた。俺の主はやっぱ ? の傷をえぐろうとしている。そんなに俺が嫌いなの それより何で俺の事を名前で呼んでいるんだ やめて良い あ、自己紹介を ? ﹁なら、私の事を知ってくれたら呼んで良いの ﹂ 前で呼ぶな。呼んで良いのは俺がよく知っている人だけだ﹂ ﹁お、俺のなゃまえ⋮⋮俺の名前は比企谷八幡だ。比企谷と呼べ。名 ? 黒刀﹃夜﹄だけ貰うから。 ⋮ ? 再び突如として会話に割り込んできたものがいた。そしてまた俺 ? は強いと思うぞ﹂ ﹁⋮出来たらな。それよりさっきの俺が強いかという質問だが、多少 ならないから安心だ。 ⋮⋮自意識過剰すぎたか。声に出さなかっただけでもトラウマに 由を作ってしまったかもしれんな。 そしてそのせいで良い体の女こと武蔵坊弁慶が俺に話しかける理 味わからない言い訳まで並べてしまった。 急に良い体の女が話し掛けてきたせいで、最初噛んじゃったし、意 ? 10 ? してなかったわ。そりゃ聞こえた名前を言うわな。 ? ﹁馬鹿が、誤魔化すな。貴様は九鬼の誰よりも強い﹂ ﹂ なんか悲しい気 ﹁ヒュームさん、おかしな事言わないでください。そんな、はた迷惑な ﹂ 話をしないでくだ⋮⋮﹂ ﹁それは本当か そこのポニーテール女。 ⋮⋮あのね⋮⋮言いたいことは言わせてくれよ 分になるだろうが ﹁ふんっ ﹁違う。ここで一番強いのはヒュームさんだ﹂ !! !! !? ドンッ した。 ? ﹂ ? もらえば十分だな。 ﹁べ、弁慶。良いだろうか ﹂ ﹁義経の好きにしなよ﹂ ﹁何かあるのですか ﹂ !!! ? ﹁⋮比企谷くん、義経と戦ってほしい ﹁はい ﹂ ま、これ以上話を長引かされるのも面倒だから、とっとと理解して いかける。 ヒュームさんは俺を弱いと解釈してそうなクローンに向かって問 ﹁これでも、こいつが強くないと思うか ﹂ そしてヒュームさんの手には俺が無意識に飛ばしたクナイが存在 いる腕がそれを阻んだ。 ヒュームさんの脚は俺の頭には当たらず、その前に俺の黒くなって ﹁これは忍としての反射神経ですよ。一応今も任務中なので﹂ ﹁その割には随分と好戦的な態度だな﹂ ﹁はぁ、やめてくださいよ。そんな面倒な事﹂ !!!" て蹴りが飛んできた。 俺がヒュームさんの顔を立てたにもかかわらず、俺の側頭部に向け ! 学園で学んだだろ﹂ か、強いものと戦うのは。貴様には分かっているだろう、八幡 川神 ﹁ふっ、当然と言えば当然の反応だな。武士娘の本能と言うべきなの ? ? 11 " ああ、そうだな。強いものと戦いたくてうずうずしている川神先輩 が良い例だ。そのせいもあるから正体を隠さなきゃいけないんだが ⋮⋮まさか、ここにも武士道を持ったものがいるとは。 ﹁そんなことはおこ⋮⋮﹂ ﹁良いではないか。クローン達へ良い刺激になろう﹂ ﹁しかし、揚羽様。それだと彼らの自意識を破壊してしまう事になり ますが⋮﹂ ﹂ 分 ﹁ふむ、自意識を持っているとは思わないが⋮⋮どうしてそう思った 自 のだ ﹂ ﹁比企谷八幡が弱いと判断して、大丈夫なのかと聞いてくるところか らして、相当な自意識かと思われますが ? みの親というのに⋮⋮いや、子供に厳しくする精神と同じか。 ﹂ ﹁それでいいなら自分は構いませんが⋮⋮源さんはどうですか ﹁よろしく頼むぞ ﹂ おお、マープルさんは容赦ねぇな。クローンを作り出した謂わば生 要ないよ﹂ ﹁なら、そんな下らない自意識は壊しちまいな。武士道プランには必 ? こうして俺と源義経の戦いが始まろうとしていた。 ﹁それでは場所を移動しましょうか﹂ !! 12 ? 三話 決闘の前に俺は刀を取りに戻り、それを腰に3本さした状態で観客 やクローンが集まっている場所に足を運ぶ。 ﹁ちょっと﹂ ⋮川崎か。何かようか ﹂ 相手は源義経でしょ ﹂ ﹂ こ こ しかし、そこに行く集団の前に一人の女が声をかけてきた。 ﹁あ ﹁アンタ大丈夫なの ﹁心配してくれんのか ただ、比企谷には九鬼で働き始める もせず、何事もなかったかのようにする。 ﹁⋮⋮あ、面倒だからという理由でわざと負けるのはやめなよ ﹂ お互いに顔を少し紅くしながらも、それを隠そうとも指摘しようと 何で突然こんなはずかしい事を言い出すのかな、この人は。 ﹁⋮⋮そりゃどうも﹂ くらいに感謝してるから﹂ ﹁⋮⋮アンタがたとえ誰からも信じられなくなっても私だけは信じる 思っていたが﹂ ﹁随分とあっさりと信じるんだな。普通なら馬鹿にするのがオチだと ﹁そう⋮⋮なら心配ないね﹂ 揚羽様の専属執事をやってねぇよ﹂ ﹁川崎が心配する事なんてねぇよ。俺こう見えても強いから。だてに くる面倒見が良いお人好しだ。 ちょっとした家庭の事情で手を貸した以来、何かと俺に話しかけて 徒である川崎沙希。 後で一つにまとめているこの女は俺と同じ学年にして川神学園の生 俺の事をこんなに健気に心配してくれる青みがかった長い白髪を 気分が悪いじゃん⋮⋮﹂ キッカケを作ってくれた恩があるからそんな人が簡単にやられたら ﹁そ、そんなことじゃないから ? ? 掛けたって言うのもあるから、剣士としての礼儀は果たす﹂ ﹁俺はどんなキャラで成立してんだよ。大丈夫だ。これは俺から吹っ ? 13 ! ? ? ? ﹁そう⋮なら言うことは何もないよ﹂ ﹁ああ、行ってくるぜ﹂ ﹁うん、いってらっしゃい。気を付けてね﹂ 川崎と別れて、集団の中をかき分けながら進んでいくと、やがて ポッかりと空いている場所があり、そこには刀を腰にさした源義経 ﹂ と、審判を勤めるであろうクラウディオさんが存在していた。 ﹁こんなに人が来ているなんてな⋮遅くなりましたか ﹂ 最近入ったばかりの身の程知らずじゃないの ﹁あいつ誰だよ﹂ ﹁さぁ ﹁あいつ揚羽様の執事だろ ると分からないのかな﹂ ﹂ 誰がこんな見せ物にした奴なんかに手を振り返すかよ。 振ったんだよ。 人。テメェらに振ったんじゃねぇよ、ショートの黒髪こと李さんに 俺が手を振ったことに驚いたのか、さらにニヤニヤを加速させる二 俺も手を振り返した。 ﹁⋮⋮なんか今日は俺をいたわってくれる人が多いな﹂ 黒髪さんは心配そうな顔で手を振ってくれた。 髪はニヤニヤとした顔で手を振り、それを止めたであろうショートの 全員俺が見ていることに気がついたようで、原因であろう金髪と茶 チラリと周りを見渡すと、ひときわ目立つ3人のメイドがいた。 ﹁⋮⋮あれか﹂ てか、誰がこれからはじまることを流したんだよ。 ﹁義経も待ってはいないぞ ﹁いえいえ、広まるのが早いだけで貴方は誰も待たせてはいませんよ﹂ ? あんな奴がやってたら揚羽様の品が下が ? ﹁分かっていますよ、クラウディオさん。剣士として中途半端なこと さい﹂ ﹁八幡、気にすることはありませんよ。貴方は自分の戦いに集中しな まった。 周りを気にするにつれ、俺の陰口を叩いている事に気がついてし ? 14 ! ﹁あんな生意気な野郎さっさと負けろ﹂ ? はできませんから﹂ 気にかけてくれるクラウディオさんから源の方に視線を向けると 瞑想して集中していた。 ﹁⋮⋮やっぱり、やらなきゃダメだよな﹂ 俺は決闘という面倒と観客が鬱陶しいことから目をそらしたくな るが、源の態度を見て礼儀を示さなければならないと、と感じた。 ﹁それではお二人とも、ご用意はよろしいでしょうか﹂ ﹂ ﹁自分はいつでも﹂ ﹁大丈夫だ ﹁では⋮⋮﹂ クラウディオさんの合図が今まさに発せられようとするときに、源 は自らの腰にある刀を抜き、俺は鞘ごと刀を腰から抜き出し、鍔に近 ﹂ ﹂ い鞘の部分を左手で持つ。 ﹁始め ﹁でやぁっ 開始の合図と共に源は俺の方に向けて刀を振り上げてくる。 それに対して俺は慌てるまでもなく、ただ避ける。 ﹁⋮⋮﹂ ﹂ 最初の一撃を見て思ったが⋮⋮こいつは剣士を嘗めているのか ﹁はぁっ いや、最初から様子見はなく、本気で来ている辺り、なめているこ とはないのか ﹂ ? ﹁これじゃあクローンの勝ちだな﹂ ﹁攻撃できないんだろ ﹁おいおい、避けてばっかかよ﹂ 続けている。 刀を抜かず、端から本気でやる気がない俺はずっと源の攻撃を避け とりあえずこの刀を抜くきはなくなった。 のか。 でも、なんか興冷めしちまうな。何かを期待してしまった俺が悪い ? 15 ! !!! ﹁無駄だ。そんな遅い攻撃が当たるとは思うな﹂ !!! ? !!! ﹂ 周りから、俺の行動が気にくわないのか不満がポツポツと出てき た。 ﹁比企谷くん﹂ ﹁⋮⋮戦いの最中ですが、何か ﹂ ﹁それとも⋮⋮貴女は死にたいのですか ﹂ ている戦いになど、これっぽっちも重要ではない。 戦闘の経験は大事だが、それは命がけの戦いの話だ。命が保証され と死の淵に立っていないのなら、この戦いに何の意味もない﹂ ﹁あきらめた方が良いですよ。これは殺し合いではなく決闘です。生 ま、それも武士娘の本能から来るやつか。 る顔だ。 源も最初から薄々は分かっていただろう。現に今の顔は焦ってい ﹁ハァ⋮⋮ハァ⋮ッ﹂ り軽々と避ける。 そこから源は俺に猛攻撃を仕掛けてくるが、俺は意図も容易く見切 ﹁⋮⋮ッ ノとは違いますから﹂ を持っていません。自分はうさぎを狩るのに全力を出すバカなケモ ﹁失礼。やはり気分が変わりました。自分は、生憎この刀以外に武器 源が注文することは至ってシンプルなものだった。 ﹁もっと真面目に やってくれ﹂ るように見える。 源は俺から離れて、戦闘中だからかは分からないが、俺を睨んでい ? 開き始めた。 しかしそんなものを聞いていなかったかのように、ポツポツと口を 俺は落としてからの優しくする戦法で諦めさせようとする。 だ経験が足りなかったと理解してくれる筈です﹂ ﹁ここで貴女が降参するとおっしゃっても誰も責めはしませんよ。ま した。 すると、源は構えを少し解き、俯いて表情をうかがわせないように 俺は少しばかり殺気を放ち、脅して諦めさせようとする。 ? 16 !! ﹁⋮⋮確かに義経は本当の戦いを知らないのかもしれない﹂ ﹂ ﹁⋮⋮﹂ ﹁でも 慶であった。 ﹁弁慶⋮﹂ ﹂ ﹁そうなってしまえば⋮⋮何だって ﹂ か ? そうなってし ﹂ だから、どうしようもなくなって という言葉は心の中でおさえ込み源の答えを待つ。 しまったら助けてもらう ﹂ そうして義経は立派な武士になって見せ !! その刀は、黒い刃にメラメラと燃える炎のような赤い模様があっ ここで俺は遂に左手に持っていた鞘から右手で刀を抜く。 いだ。口調は直させてもらう﹂ ﹁悪い悪い。ついつい笑ってしまったわ。ここからは剣士と剣士の戦 他の見ている奴等は引いているが。 ない。 源は俺の一挙一動を見逃さまいとしているから俺の笑いにも動じ ﹁⋮⋮﹂ ﹁クフッ⋮おっと、思わず気持ち悪い笑いになってしまった﹂ 何か途中から決意表明になってしまっているが⋮⋮ る まさか何かを犠牲にでもするの 源の声を遮って言の葉を紡いだのは、観客の最前列にいた武蔵坊弁 ﹁義経。私はいつまでも味方だから﹂ ⋮⋮﹂ ﹁義経はまだやりたいことが沢山ある。だから、そうなってしまえば ﹁⋮⋮その選択でどうしようもなくなってしまってもか まったら義経は絶対に後悔する ﹁ここで引いてしまったら剣士じゃなくなってしまう 真っ直ぐ俺の顔を見てくるから俺の方が引いてしまったわ。 ている顔だった。 ばっと上げた顔には焦りやその他マイナスの面はなく、決意を固め !! 俺のように ? ﹁⋮⋮義経には頼れる家臣がいる " 17 !! ? !! !! " !! た。 おおわざもの しゅうすい ﹁我が刀は、大業物・ 秋 水。この刀を持ってしてお前に剣士としての ⋮ふぅ⋮⋮﹂ 洗礼を与えてやろう﹂ ﹁ 俺がそう言い刀を構えると、源は体を落ち着かせて無駄な力を抜い ていく。 良いね。剣士同士の戦いはこの空気だよ。 ﹂ ﹁来い、源義経﹂ ﹁はっ ガンッ ﹂ !! を使わずに終わってしまうぞ " !! て後ろに吹き飛ばされた。 柔 " ﹂ !! ﹁ッ ⋮⋮⋮はぁ⋮はぁ﹂ ﹁ほらよ﹂ 体力はつきようとしていた。 なく、受け流す事によって難をしのいでいるが、気力によって戻った そこからは源の防戦一方であった。俺の剛腕を受け止めるのでは ﹁くっ⋮⋮まだまだ 俺は余談を許さず、追撃して何とか体勢を整えた源に斬りかかる。 ﹁そんなんじゃ俺は ﹂ しかし、源は俺との激突でとどまることはできず、俺の剛腕によっ ﹁うっ⋮⋮ 鉄と鉄がぶつかり合う音が周囲に鳴り響いた。 !!" そして次の瞬間、 それに対して俺は刀で迎え撃つべく、右手を上げる。 源はさっきとは違う動きで俺に突っ込んできた。 !! ならば、俺もそれ相応の技で仕留めてやろう。 そ の 集 中 力 は 誉 め て や ら ん こ と も な い ほ ど だ な。流 石 は 源 義 経。 ﹁⋮⋮はぁ⋮はぁ⋮すぅ﹂ ﹁次が最後だぞ。気を引き締めろ﹂ ⋮⋮今が潮時かな。 遂に源は俺の攻撃を受け流しきれずに方膝をついてしまった。 !! 18 ! " ﹂ ガン ジ ビ ゼツ シン イ ﹁ふっ⋮⋮⋮眼・耳・鼻・舌・身・意⋮⋮⋮﹂ ﹁はあっ アク ヘイ ジョウ セン 源は俺が攻撃しないのを分かると、自分から進んで斬りかかる。 コウ しかし、今度は俺が完璧に受け流す。 ﹁人の六根に好・悪・平、またおのおのに浄と染﹂ ﹂ 続いている源の攻撃を、今度は受け流すのではなくヒラヒラと避け る。 ﹁一世⋮⋮⋮三十六煩悩 うとするが、時既に遅し。 ﹂ ポ ン ド ほう ﹁行くぜ。一刀流・三十六煩悩鳳 ﹁なっ ﹂ !!!! 何か俺がしでかすと感じたのか、俺から距離を開かせないと詰めよ 構えをとる。 右腕の二の腕を口の近くによせ、一の腕と二の腕が直角になるような 後ろに飛び、距離を自らおき、右肩を前に出して、刀を握っている 定めたケモノが牙を剥き出す瞬間のように。 口上を言い終えた俺は思いっきり、殺気を解放する。まるで狙いを !!!! う。 体 力 が 限 界 の も 有 る の だ ろ う が、源 は 簡 単 に 後 ろ に 飛 ば さ れ て ⋮⋮⋮ ﹁えっ⋮⋮⋮それくらいは耐えろよ。ま、今の状態じゃ無理ないか﹂ ざわざわとしている周りを見ると、物珍しい物を見るような目だっ た。 ﹁今どき飛ぶ斬撃なんて珍しくないだろ﹂ ふぅ、と馬鹿にするような態度をしながらクラウディオさんが源の 方に行き確認するのを待つ。 そしてそれが終わったクラウディオさんは皆に聞こえる声で、 ﹁勝者・比企谷八幡﹂ クラウディオさんの合図で俺の勝利が確定した。 19 !!!! 振るった刀から斬撃が飛び出し、渦のような形状をしながら源を襲 !? 四話 夕日の赤が辺りを照らし、周りにはそれに焚き付けられたか、いつ もより一層騒がしい声が響いてくる、今日のこの時である。 ﹁ったく、騒がしいことが好きなこったな、川神学園の生徒は﹂ 川神学園は本当に毎日うるさいが、今日の比ではない。なぜかと言 えば、明日から行われる東西交流戦による戦略とかその他もろもろで 煩い。 ﹁適当にやり過ごせば良いものを⋮⋮⋮バカ真面目というか⋮バカだ な﹂ 基本、弾けているのはバカだからな。 そんな不変の事実を考えながらも、足はある場所へと向かってい た。 ﹁この習性と呼べるレベルになっちまったのは、どう考えても傍若無 人の平塚先生が悪い﹂ ちょうど一年前くらいに下らない理由で呼び出され、下らない先生 の心を傷つけてしまい、アラサーで少年心が存在している先生に強制 労働させられていたら、いつの間にかこうなっていた。 ⋮⋮⋮ムッ、どこからともなく殺気らしきものが飛んできた気がす るが気のせいだ。 そしていつの間にか、何も部屋の名称も書かれていない扉の前に 立っていた。 ﹁⋮⋮⋮うーっす﹂ 少しだけ躊躇った後、扉をガラガラと開けて中に入る。 ﹁あら、遅かったわね。比企谷くん﹂ そしてそこにはあの川神百代に、毎日と言って良いほど付きまとわ れている黒髪のロングの美女がいた。 ﹁ああ、ちょっと明後日のゴタゴタで巻き込まれてたんだよ﹂ ﹁あら、普段影が薄くて認識されずらい貴方が珍しいわね﹂ ﹁⋮⋮⋮そうでごさんすね﹂ うんうん、初めて会った時よりかは幾分ましになったと思っている 20 よ 最初だったら存在否定してくると思うし。 ﹁そ れ に 比 企 谷 く ん が こ ん な 祭 の ノ リ に 参 加 す る と は 思 っ て も 見 な かったわ﹂ ﹁そりゃそうだ。俺も思っても見なかった。それより俺は体力が少な いのに戦闘要員に入るとは思ってなかったわ、雪ノ下﹂ ﹂ 美女こと雪ノ下雪乃は俺の言葉を聞き、はぁ、とため息をつきなが ら辟易と答えてくれた。 ﹁私が川神先輩に追い回されているのはもう知っているわね ﹁おお、噂になってる﹂ ノ下には忍びない。 ﹁そういや、由比ヶ浜は東西交流戦に出るのか ﹂ ら狙われているとか、いないとか。聞けば一発だが、それだと今の雪 な。毎日毎日が同じならば人は飽きる生き物だけど、噂では入学式か 返す言葉が見つからず、適当に返した。てか、川神先輩は飽きない ﹁⋮あ、ああ⋮⋮⋮まあ、結果オーライだろ﹂ のよ﹂ ﹁そのお陰⋮いえ、そのせいで私の体力は以前とは大分ましになった ? ﹁やっはろー ﹂ 部は周りに流されずに通常運転してるのである。 今日も今日とて、仲が良いのか悪いのかわからない状況でこの奉仕 ﹁謝られたほうが惨めになるからやめて﹂ ﹁ごめんなさい。配慮が足りなかったわ﹂ するのどれかだからな﹂ ﹁ああ、俺の休み時間中は寝て過ごすか、イヤホンつけるか、ボーッと ﹁貴方は随分と耳が良いのね。そんなに噂を拾えるだなんて﹂ 聞いたわ﹂ ﹁⋮そうだったな。男子の希望で何とか救護班になっていたとか噂で 女人気だから﹂ ﹁ええ、彼女も出るわよ。比企谷くんも知っているとは思うけれど、彼 ? そして、一番うる⋮賑やかな巨乳な少女こと由比ヶ浜結衣が奉仕部 !! 21 ? に到着した模様である。 ﹁いやー、救護班の説明を受けてて遅くなっちゃった ﹂ ! ﹂ ﹂ 相も変わらずテンションは高くて着いていけない。そしてそれは 雪ノ下も同じだが⋮ バカにしないでよね ﹁て言うか、由比ヶ浜は説明を受けて理解したのか ﹁あ、当たり前だし ﹂ ? えてしまったわ﹂ うぅ⋮ひどいよ、ゆきのん !! ﹁そう言えばヒッキーは攻めるの 守るの ﹂ ? ﹁どっちも ﹂ ﹁その事か。俺はどちらかと言えばどっちもだな﹂ きた。 未だに雪ノ下とユリユリしている状態で俺に戦場の配置を聞いて ? が気にせず自分の事をできるまでになった。 リの空気が漂うことなんて当たり前すぎて、今ではもう視界に入ろう そう言いながらも、頬を赤らめる雪ノ下。いつもの事だが、ユリユ ﹁ゆ、由比ヶ浜さん。いい加減抱きつくのはやめてくれないかしら﹂ ﹁ええっ ﹂ ﹁ごめんなさい、由比ヶ浜さん。私も思わず比企谷くんと同じ事を考 ﹁なら、雪ノ下は本当のところどう思った ! ? ! ﹁どういうこと ﹂ 過去を精算してあらためて大切だと思えるのは、かろうじて揚羽さ の事ではない。 ⋮⋮⋮でも、それは今の比企谷八幡の話であって、昔の比企谷八幡 る。勿論、一番大切なのは揚羽さまとの時間だがな。 正直に言えば、俺はこいつらとの時間を悪くないと思い始めてい いるもう一人が来るのを俺の見聞色の覇気で察知してしまった。 3人で東西交流戦の事を話していると、奉仕部に根付いてしまって ﹁だから君たちは謝るタイミングを間違っているから﹂ ﹁あ⋮ごめん、ヒッキー⋮﹂ ﹁由比ヶ浜さん、察してあげなさい。要するに忘れられてたのよ﹂ ? 22 !? ﹁明確に決められなかったんだよ﹂ ? まとだ。 ﹁どうしたの、ヒッキー ﹂ いや、どうやって逃げ回ろうかと考えてたんだよ﹂ ﹂ ヒッキー逃げるのだけは上手そうだからね !! かっているのではないの ﹁そうだよね ﹂ ﹁貴 方 は そ ん な こ と を 考 え な く と も、体 で ど う や っ て 逃 げ る か が 分 ﹁あ ﹁そうね。難しい顔をしているけれど﹂ ? ? 浜がしっかりとできるのかが心配だわ﹂ ﹂ ﹁だ、大丈夫だし。ヒッキーが怪我しても私が治してあげるから こんにちはー ﹁そりゃどうも﹂ ﹁せんぱーい ! た少女、一色いろはがノックもせずに入ってきた。 ? それに雪ノ下は諦め顔をしながら、他の話題をふる。 ﹂ ﹁一色さん、サッカー部の方に行かなくても構わないの ﹁私って奉仕部にも入っているじゃないですか ﹁いえ、そんな事実はないわよ﹂ ﹁そんな固いことを⋮⋮⋮﹂ ﹂ 3人で会話しているところに、一つ下の学年である亜麻色の髪をし ! ﹂ ﹁⋮そうだな。俺のステルスは常備されてるからな。それより由比ヶ ! !! こんなくだらない事をしているより人で遊ぶ方がマシだ ているのだろう。 思っているのだろう。 そんな昔の俺を今の俺は否定する。 ーーーーーーーー " しかし、依頼が来ることはほとんどない。ま、来たとしても、ろく 生徒の手助けをするためのところである。 忘れがちであるが、奉仕部は仲良しこよしをするところではなく、 と 屈だと思ってしまう部分があるのは、恐らく昔の俺がこの時を否定し 俺はこの時間や九鬼での時間をどこか愛しいと思う反面、どこか退 ? 23 ? " な事じゃないから来なくていいが。 前に一度川神先輩が﹁ずっと避けられている後輩と仲良くしたい﹂ という依頼が来て、その相手が依頼を頼んでいる雪ノ下だったとか、 くだらない事が合ったりして、兎に角面倒だ。 したがって今日も、いや、今日はそんな悩みを打ち消すほどのイベ ントがあるから、来るやつはいないだろう。 来るとしても、俺みたいな孤高を気取っていてる痛い奴だけだ。 そして、何事もなく時間となり、何事もなく教室から退出して、何 事もなく3人と1人に別れて今日の学校は終了だ。 ⋮⋮⋮1人は俺なのは周知の通りだ。 ﹁あ∼、明後日はどうやって逃げ回ろうか⋮⋮⋮﹂ ﹂のくだりは﹁お前も東西交流戦に出ろ ﹂から始まっ ぶっちゃけ、出たくもなかったが、あの忍足のせいで⋮昨日の﹁話 しかけんな た。 ﹁八幡﹂ ﹂ いつも九鬼英雄さまに無い尻尾を振ってる女王蜂に言われた ﹁喧嘩売ってんのか くねぇよ﹂ ﹁はっ ﹁何独り言を言ってんだよ、キモいぞ﹂ ﹁⋮はぁ、何で考えてたら出てくるのかね。噂なんてしてないのに﹂ !! んか慣れてたわ﹂ ﹁⋮何か悪いな﹂ いつものメイド服姿で俺の前に現れた忍足あずみ。学校では時間 ﹂ 帯とかでめったに会わないはずだから⋮用があるのか。 ﹁で、何の用だ ﹁わかった。気にはとめとく。で、結局2年生の部は勝てそうなのか ローンの情報を公開していないからの対処だろ。 忍足は俺の近くまで来て、耳元で呟いた。おそらく、確実にまだク ぞ﹂ ﹁⋮⋮⋮クローンを東西交流戦の時にお披露目するかもって言ってた ? 24 !! ﹁⋮⋮⋮いや、よく考えたらここ学校だし、キモいって言われることな ? !! ﹂ ﹁あ あのメンツで勝てないと思うか ﹁そ、じゃあ﹂ ﹂ ﹁⋮⋮一度だけ助けてやる。じゃあな﹂ ﹁もしもの話だ﹂ ﹁そんな敵が現れるとは⋮⋮⋮﹂ ﹁じゃあ、あたいが危なくなっても助けてくれるのか﹂ いてやるよ﹂ ﹁別に負けそうになったらの話だ。そんなことが無いように応援しと ﹁あたいに対してよく上から目線で言えるな﹂ ないが﹂ ﹁戦う理由が無いだけだ。負けそうになったら手伝ってやらんことも ﹁戦えよ。お前は立派な戦力だろ﹂ ﹁うるせぇ。ま、俺は東西交流戦を見物でもしとくから﹂ ﹁相変わらず慎重な性格してんな﹂ したことはない﹂ ﹁念には念をというやつ。絶対は無いんだ。だから気を付けるのに越 ? 俺は自らの仕事をするためと明後日に向けて、九鬼へと戻っていっ た。 25 ? ?
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