日本物理学会2016年年次大会(東北学院大学)で高田君(M1)

温度可変シュタルク分子速度フィルターの開発
上智大
上智大理工
高田裕介,
高田裕介 岡田邦宏
Development of a new temperature variable Stark velocity filter
Department of Physics, Sophia University
Yusuke Takada and Kunihiro Okada
我々は星間化学データベースへの貢献を目的として,低温における気相イオン-極性分
子反応の反応速度定数の測定を行ってきた[1]。しかし,従来型のシュタルク分子速度フィ
ルター[2]では,極性分子の並進温度可変範囲は 3~10 K 程度と非常に狭く,反応速度定数
の並進温度依存性を測定するには不十分である。本研究では,低速分子線の出射位置を変
更することなく並進温度を広範囲に変更することが可能な,新しい構造をもつ温度可変シ
ュタルク分子速度フィルターを提案する。従来型シュタルク分子速度フィルターの構造を
図 1(a)に示す。この構造において分子線の並進温度を大きく変更するためには、軌道半径
R を大きく変更しなければならないが, 90°偏向型では R を変更するたびに分子線の出射
位置が変わってしまう。一方、本研究で提案する新しい分子速度フィルターでは、偏向角
θ を 10~30°に抑え、さらに図 1(b)のような波打ち構造とすることによって、分子線の出
射位置を変えずに“軌道半径 R が異なる速度選別部”を容易に交換できる構造とした。
R, θ の変更によって全体の長さ L が変化するが、直線部分の長さを調整することは容易で
あり、異なる R, θ をもつ電極を同じ真空装置に組み込むことができるので、同一のビーム
アライメントで並進温度を大きく変更した測定が可能となる。本講演では、モンテカルロ
シミュレーションによって得られる極性分子の速度分布及び回転状態分布について議論
し,装置開発の現状を報告する。
(b)
R
0.1
θ
0.08
2θ
R
L
R
θ
R
relative intensity
(a)
R = 50, θ = 30deg.
R = 600, θ = 10deg.
0.06
0.04
0.02
0
0
100
200 300
v (m/s)
400
500
図1.(a)従来のシュタルク分子速度フィルターの構造. 図2.モンテカルロシミュレーションに
(b)本研究で提案する新しいシュタルク電極構造
よるCH3CNの並進速度分布
[1] K. Okada et al., Phys. Rev. A 87, 043427 (2013); Phys. Rev. Appl. 4, 054009 (2015).
[2] S. A. Rangwala et al., Phys. Rev. A 67, 043406 (2003).