Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン 欧州 2016年5月23日 欧州難民問題の動向 オーストリアに限らず、欧州の政治に難民問題が深く関わっています。ともすると欧州の難民問題は日本での取り扱 い(関心)は少ないようにも思われますが、間接的に財政政策など日本にも影響を与えている可能性があります。 オーストリア大統領選:接戦、反移民政策を 掲げる極右政党議員がリード 欧州の一国であるオーストリアの大統領選の決選投票が 2016年5月22日に行われ、反移民政策を掲げる極右政党の 自由党の国民議会(下院)議員ノルベルト・ホーファー氏が22 日投票分の得票率は51.9%を獲得しました。一方、対立する 緑の党元党首アレクサンダー・ファン・デア・ベレン氏が48.1% と僅差となっています。23日に有権者の14%に相当する約90 万票もの不在者投票の開票で最終結果が判明する予定(日 本時間23日夜頃)です。ホーファー氏が当選すれば欧州連 合(EU)初の極右政党出身の国家元首となります。 どこに注目すべきか: 欧州難民問題、ダブリン協定、トルコ オーストリアに限らず、欧州の政治に難民問題が深く関わっ ています。ともすると日本での関心は低いようにも思われま すが、改めて欧州の難民問題を振り返ります。 まず、難民の数の問題があまりに大きいことです。(公式 データはないが)欧州への非正規移民の数をユーロスタット (EU連合の統計局)で見ると主にシリア内戦に関連して2015 年に130万人を超える人々がEUに難民申請しており(図表1 参照)、過去と比較にならない対応が求められています。 次に問題となるのは、というより最も頭が痛いのが、どこが 受入れるかです。図表1で受入れ上位国を見るとドイツが突 出しています。ドイツの難民申請者が2015年に加速した背 景は欧州の難民認定制度(ダブリン協定、難民申請はEU内 で最初に到着した国が「安全な国」等であった場合、その国 のみに申請できる、したがってドイツに最初に到着しない場 合ドイツに通常難民申請できない)を2015年中頃に一時的に 停止したことなどによります。 ドイツ政府の難民の積極的な受入れ姿勢は喝采を浴びた 時期もありましたが、ドイツ国内では雇用とテロへの懸念か ら難民政策への見直しを求める声が強まり、2015年末にドイ ツ与党は難民申請受け入れの削減に舵を切っています。 ピクテ投信投資顧問株式会社 次にEUやドイツが難民対策の拠り所としたのはトルコです。 EUは強行的な政治運営などトルコに嫌悪感を示す面も見ら れました。しかし、難民の3割以上がシリア人で、トルコから地 中海やエーゲ海を越えてEUを目指す難民が後を絶たないと いう現実があります。そこで、トルコとEUは主にシリアからの 難民に対し人道的援助を提供する難民ファシリティを2015年 後半に設立、EUが資金を拠出してトルコにいる難民の生活 の改善や国境警備などをトルコに求めています。 ただし、トルコのエルドアン大統領が憲法改正に慎重姿勢 だったダウトオール首相(当時)を辞任に追い込むなど政治姿 勢に問題があり、難民問題を通じてトルコとの関係を強化し たメルケル首相への批判が高まるなど問題は複雑化してい る様相です。ドイツ国内でも懸念が浮上しています。支持率 は10%程度と水準は低いものの反難民を掲げる「ドイツのた めの選択肢(AfD)」が台頭、2017年の総選挙を前に難民問 題を前進させることは極めて大切です。 日本も無関係ではないのかもしれません。日本は景気下支 え策として財政政策への期待が高まり、各国へ政策協調を 求めていますが、ドイツからはなかなか理解を得られません。 難民問題の先行きが不透明なため、ドイツが財政政策に積 極的になれないという可能性も考えられます。 図表1:欧州(EU28ヵ国)への難民申請数の推移 (年次、期間:2008年~2015年、国は難民申請数2015年上位4ヵ国) 140 万人 120 EU28ヵ国 100 ドイツ ハンガリー 80 スウェーデン 60 オーストリア 40 20 0 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 出所:ユーロスタットのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 15年 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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