Title 連邦制度の研究( Abstract_要旨 ) - Kyoto University Research

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連邦制度の研究( Abstract_要旨 )
小森, 義峯
Kyoto University (京都大学)
1966-03-23
http://hdl.handle.net/2433/211747
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
- 【15 】
氏)
森
や
もり
\.-
よし
義
峯)
みね
博
士
学 位 の 種 類
法
学 位 記 番 号
論 法 博 第 11 号
学位授与の 日付
昭 和 41 年 3 月 23 日
学位授与の要件
学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当
学位論文題 目
連邦制度の研究
論 文 調 査 委員
教 授 大 石 義 雄
学
(主 査)
論
文
内
教 授 須 貝 備 一
容
の
要
教 授 杉 村 敏 正
旨
この論文 は, 全体を総論 と各論 とに大別 し, 総論は 2 章 か ら成 り, 各論 は 8 葦 か ら成 る。
総論の第 1 章 は, 連邦制度の概念 と し, その第 1 節総説 において, 連邦制度の概念 に関す る内外 の学者
の見解を紹介 してい る。 そ して, この連邦制度の概念をよ り一層 明確 な らしめ るために, 第 2 節 で, 連邦
国家 と単一 国家 とのちがい, 算 3 節 で, 連邦国家 と国家連合 とのちが い, 第 4 節 で, 国権および主権の概
念 と連邦国家 におけ るその態様, 第 5 節 で, 連邦国家 と宗 主国関係 とのちがい, 第 6 節 で, 連邦国家成立
の要因を説 かれてい る。
総論の第 2 章 は, 連邦国家の特質 と し, その第 1 節総説 において, その特質 と して, 8 項 目をあげてい
る。
その八つの特質 とい うのは, (1)連邦国は, 常 に成文の連邦憲法を有 し, その基礎の上 に樹立 されてい る
こと, (2)連邦 も支分国 も, ともに国家であ ること, (3)主権 は連邦だけが有す ること, (4)支分国は, 連邦か
らの脱退の 自由を有 しないこと, (5)連邦 と支分国 との問 では, 連邦憲法 に基いて, 管轄領域が明確 に配分
されていて, それぞ れの領域内では, 相互 に同格であ り, 且 つ独立 であること, (6)支分国は, 何 らかの形
で, 連邦意思の形成 に参加 し, それは, 通常, 連邦の立法機関の中に支分国の代表機関を含めるとい う形
で実現 されていること, (7)連邦国においては, 連邦 と支分国間, も しくは支分国相互間の紛争を裁定す る
機関が設 け られてい ること, (8)支分国相互間の地位 は平等 であることである。
そ して, 第 2 節 「特質の一 について」 以下第 9 節の 「特質の八 について」 までにおいて, 現存す る連邦
諸国の具体的事例を引用 しつつ, それぞれの特質 について詳説 してい る。
各論においては, 米国 ・ スイス ・ ドイツ ・ カナダ ・ オ- ス トラ リア ・ ソ連邦 ・ オ- ス トリア ・ イン ドの
八主要連邦諸国について, 連邦制度 の成立乃至発展の歴史および現行制度 の態様を明 らかに してい る。 な
お, これ ら 8 か国の外, アルゼ ンチン ・ ブラジル ・ メキシ コ ・ ヴ ェネズエラ ・ ビルマ ・ パキスタン ・ ユー
ゴースラヴ イア ・ リビア連合王国 ・ ナイジ ェ リア ・ マ レーシア連邦 . 南 アフ リカ共和国等 の態様 につ いて
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も, 総論において必要 に応 じて触れている。 また, イギ リス連邦の性格 ・ 態様 について も言及 している。
各論の主要 8 か国に関す る連邦制度の説明に当っては, 各章を通 じて, 第 1 節 において, 憲法史的概観
をのべている。 また, 各論の各章において, 連邦国 と支分国 との問の権限の配分のあり方 と連邦 および支
分国の立法 ・ 司法 ・ 行政三機関の態様を詳説 している。 この外, 当該連邦国の重要 な特色 と思われるもの
については, 特 に節および款を設けて説明 している。
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
この論文のね らいは, 実在 した, また現存す る連邦制度を広 く国法学的観点か ら研究 し, 世界連邦への
足がか りを得よ うとす るにある。
わが国では, 連邦制度そのものの学問的な研究書 としては, わずかに, 宮沢俊義著 「連邦制度概説 」(昭
和 14 年, 中葦民国法制研究会発行) が見 られるだけである。 しかも, この宮沢氏の著書は, 当時のわが国
の対支政策的見地か らの著作であり, またその書名が示すよ うに, 概説書であ り, 外国制度 の紹介の範囲
も, 米 ・ 独 ・ オース トリアの 3 か国にかぎられている。
しかるに, この論文 は, 主要連邦諸国の一つ一つについて広 く, 深 く憲法史的研究を含めて, 国法学的
観点か ら, 比較憲法論的に連邦制度を詳細 に研究 した ものである。 今 日わが国におけるこの分野での最 も
す ぐれた研究書であると言 ってよい。
よ って, この論文は法学博士の学位論文 としての価値あるものと認める。
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