SURE: Shizuoka University REpository

SURE: Shizuoka University REpository
http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/
Title
Author(s)
Citation
Issue Date
URL
Version
小学校低学年における主体性を育む国語学習の書字活動 :
ヤンゴン日本人学校での実践をもとに
杉﨑, 哲子; 伴野, みづほ
静岡大学教育学部研究報告. 教科教育学篇. 47, p. 29-44
2016-03
http://doi.org/10.14945/00009529
publisher
Rights
This document is downloaded at: 2016-06-14T09:09:17Z
静岡大学教育学部研究報告
(教 科教育学篇)第 47号
(20163)29∼ 44
29
小学校低学年におけ る主体性 を育 む国語学習 の書字活動
―ヤ ンゴン日本人学校 での実践 をもとに ―
Japanese handwriing act市 it57 which can create pllpils'spontane● in the
lower grades h elementar/school lessons
∼ Based m the pracice m YangOn JapaneSe elementary schod∼
杉
峙
哲
子
1
伴
野
2
みづ ほ
Satoko SUGIZAKI, MizuhO TOMONO
(平 成 27年 10月 1日 受理)
Abstract
Generally in」apaneSe language classes in the lower grades of elementary schools,it is tend
to regard practical activities, such as drama or presentation, as important because of the
mmature literate sE出 or hd宙 dual diferences of pupis
However, it is necessary to improve handwriting sk■ ls for establishment of learning
Therefore pupiL should poslively deal Mth handwriung learnhg even in the lower grades
This study anJyzes the practice of lessons which sumulated the■ inking and expression of
the■ rst and second grade pupils of YangOn」 apaneSe elementary school who have dimcultles
h Japanese skills because of their ingulstlc enuronment The lessons were focused on 4
range of learnittζ
rettg aloud,transcrlptlon,reading cOmprehenslon and conlm面 ca」 on
As a consequence,the lessons created ther spOntaneous atitudes for learゴ ng handwriung
and the results gか ′
e ideal examples of emcient Japanese language lessOns
l
は じめに
子 ど もたちが言語 を基 に対象 に関す る概念 を構築す るには、体験 した ことを整理 し、それを
言葉 で表す などの言語活動が必要 となる。 と りわけ「文字 を書 く」活動 は、学習 の定着や評価
としての有効性等 の理 由か ら多 く取 り入れ られる◇ しか し、低学年 の児童 にとっては、文字 を
書 くこと自体 に抵抗があ り個人差 も大 きいため、負担過重 になることも懸念 される。そ こで動
作化 を取 り入れイメー ジを膨 らませ る方法 を用 い るが、劇化や発表会 の設定等 に時間を要す る
ものの習得や活用 として有効 に機能せ ず、活動重視 に陥る状況 も少なか らず見 られる。特に海
外 の 日本人学校 では、児童 を取 り巻 く言語環境へ の不安や在籍児童 の多様化が進 んでい るため、
国内 の学校以上に有効な書字活動 の展開が求め られてい る。
そ こで、ヤ ンゴン 日本人学校 にお ける伴野 の 日々の授業実践 と杉時 の提案実践 をもとに低学
ω
年 にお ける国語学習 の書字活動 について考察す る。なお本研究 での「書字活動」 とは、青木
が「書写 (=第 一の書 く)」 、
「作文 (=第 二 の書 く)」 と併記 し、その機能 を明確 に価値 づ けた
1
2
国語教育系列
ヤ ンゴン日本人学校
杉
311
峙
哲 子
伴
野
みづ ほ
「視写」
「聴写」「 メモ」等 (=第 三の書 く)、 学習 の定着 を図 り評価 に役立てるなどの 目的で取
②
り入れ られる「文字 を書 くこと」 を総合的にとらえてい ることをお断 りしてお く 。
2
ヤン ゴン日本人学校 における実践の動機
2■
1
低学年 における言語活動の課題
一般的 に小 学校 の低学年 は、体験的 な理解や具体物 を活用 した思考や理解、反復練習な どの
繰 り返 し学習等の工夫による「読み・書 き・計算」 の能力 の育成 を重視 す るとい った指導 の工
③
夫 が有効 であ ると言 われてい る 。 しか し文字 を書 く活動 は、手指 の巧級性 が未成熟 で時間を
要 し個人差が大 きいため敬遠 される ことが多 い。 さらに「言語活動 の充実」 とい う方向性 を受
けて、積極的 に劇化 などの活動 に置 き換 えられてい る状況が見受け られる。
学習指導要領 において言語活動 の充実や単元 を貫 く言語活動 を意識 し、多様 な言語活動 を軸
に した国語学習 の展 開 を奨励 してい るのは、 国語力 を全ての学 びに生 きる能力 ととらえ、基
礎 ・基本の習得 にとどまらず、その活用 によつて課題 を解決す る能力 の育成 を目指す ことをね
らい としてい るか らである。 しか し、 いったい こう した活動で何 をね らったのか、児童個 々に
(
どんな力 を身 につ け ようとしたのかが不明確 な授業 を見 る ことも少な くない。
の
「確 かに渋
「多様 な言語活動 が多様 な言語能力 と言語経験 とを保障」す るため、
府 川 は、
滞 した教室 の中に学習者 の興味 をか き立てるよ うな言語活動 を持 ち込め ば、それだけで子 ども
「そ
たちの関心は高 まり、授業 は活性化す る。」と活動重視 の展開を否定 は してい ない。 しか し、
こで用意 した言語活動によつて、子 どもたちにどのような質 の言語能力 が 身 に付 くのか」 とい
うポイ ン トを見極めず、ただ言語活動 を次 々と展 開す るだ けだ とした ら問題 であると、「活動
重視 の学習が陥 りやす い陥穿」 を指摘 してい る。
さらに、国語科 の学習 は言語経験至 上主義 であ ってはならず、あ くまで も「 ことばの学習 で
ある ことの 固有性 と独 自性 とを追究すべ き」 で あ り、
「 ことばその ものの体系性、歴史性、あ
「 ことばの運用能力 を高 め、確 かなものにす
るいはことばの芸術性 などに 目を開かせ」、 また、
ることも、車要な国語科 の教科内容 で ある。
」 と続けてい る。
「 ものの教育 とことの教育 との二面性」 について触れ、
「 もの」 は
田辺 もまた、国語教育 の、
「言語 は、脳髄 中に貯蔵 された
「言語」、「 こと」 とは「言語活動」 をさしてい ると論 じてい る。
ものであ つて、言語活動 の媒体 となるもの、そ して文字 とか文法 とかいった形 で取 り出 し、検
討 の対象 とす ることので きるもの」 であ り、「言語活動 は言語 を使 つて活動 す る ことで あ り、
話す 。聞 く 。書 く 。読 む ことである。 しか もその ことと しての言語活動 は、話 しかた・ 聞 きか
た 。書 きか た 。読みか たのような方法・技術な しには成立 しない。つ ま り、学習指導要領 に明
記 されてい る「話す こと・ 聞 くこと・読む こと 。書 くこと」 の領域 とは言語活動 のことで あ り、
°
「 ことの教育 は、かたの教育 を組み込んでなされるべ きもの」 で あ ると言及 してい る 。
国語力 とは、子 どもたちに多様 な言語活動 を経験 させ さえす れば自然 に生 じるとい うもので
はな く、学習者 の実感や生活 と遊離せず に社会生活へ と広が ってい くような言語活動 として組
織す る必要があ る。殊 に、小 学校低学年 におい ては、文字 を書 く活動 をどの ように取 り入れて
い くかの検討が重要である。
2-2
日本人学校 で求め られている国語学習
「典
今 日 は、「 日本 の学校教育が先進諸国の水準 に較べ て大 きく遅れを とってい ること」が、
型的に露 出 してい るのが海外 に作 られる日本人学校である。」 と述べ てい る。それ は、一般 に
小学校低学年における主体性 を育 む国語学習 の書字活動
海外在留 の邦人が組織 した団体
(日
31
本人会等や進出企業 の代表者、保護者 の代表か らなる学校
運営委員会 )が 、「飽 くまで 日本で行 われて い る教 育 と同 じ」 よ うに受験 目的 で 日本人学校 を
設立 したため、 日本人 の児童以外 を受け入 れない状態が長 く続 き、
「 グローバ ル教育 を実行で
きるチ ャ ンス を見過 ご して きた」 ことへ の警鐘 で ある。国民、行政、文科省 が派遣す る教員 の
意識 もグローバ ル化 に消極的であ った とも述べ てい る°。
近年、英語力が重視 されるよ うになって、駐在 の家庭 の子 ど もは 日本人学校 よ り、 む しろイ
ンターナ シ ヨナルスクー ルに入学 させるケースが増 えて きた。一 方で、 日本人学校 には、駐在
家庭 だけでな く、長期滞在 ・永住家庭や国際結婚家庭 といつた多様 な背景 を持 つ家庭が参入 し
て きてい る。 この状態 につい て芝野 は、
「学校内部が トラ ンス ナ シ ヨナル的な様相 を帯 びて き
°
)」
てい る
ととらえてい る。そ して「多様 な子 どもが在籍す るよ うにならたに もかかわ らず、
日本人学校 の教育内容 は ます ます『 日本 らしさ』 に方向づ け られてい る」例 として、イベ ン ト
に時間 をとられて悩 む教員 の声 を紹介 してい る。
日本人学校 に入学 をさせ る親 の願 い は、子 どもたちを取 り巻 く言語環境 に対す る不安 のなか、
母国語 として「 日本語Jの 習得 を確実に し、帰国後あ るいは在住 の際 の生活や進学等、将来 を
見通 して生か したい とい う ものである。 したがって、 これまで以上 に低学年期 の国語教 育へ の
期待が大 きくなってい る。め まぐる しい社会 の変化 を後か ら追 いか け るように して、否応 な し
に教育観 の転換が求め られてい る。その点において、 日本人学校 は、グローバ ル化教育推進 の
今、一段 と「 日本国内の課題が典型的に露出 してい る」 とい うことがで きる③。
°
現在、ヤ ンゴン 日本人学校 で も児童 の構成が多様化 してお り、
「両親の いず れかが外国人J
とい う児 童は、1年 生では16名 中の3名 (母 親が中国人1、 母親が ミャンマ ー人1、 父親が ミャン
マー人1)、 2年 生では23名 中の12名 (父 か母が ミャ ンマー人9、 母 が 中国人1、 父親 がイス ラエ
ル人 1、 父親がイギ リス人1)で ある。その うち、1年 生 の2名 は中学校 までは日本人学校 に在籍
し、高校 はインターナ シ ョナルスクールヘ の進学 を希望、 ミャンマー永住 の予定 で ある。2年
の3名 もミャ ンマー に永住 し日本へ の帰 国はない と思われる。それ以外 の駐在家庭 の児童 は全
体 の半分 (20名 )で 、彼 らはいず れ 日本 に帰国す る。 したが って保護者 は、言語環境 に対す る
不安 を抱 えてい る分、国内の親達以上 に国語学習 を最 も重要に考 えてい る。
こ う した状況にあ りなが ら、 日本国内以上 に日本文イとを重視 し、現地 ミャンマ ーの文化 を理
解す る行事 も多 い ため、時間的制約 を克服 した学習 の効率化が求 め られてい る。 国語力 の定着
° ことが周
に書字活動 が有効 で あ る°
知 されてい るものの、書字 を吉手 とす る児童 が増加傾向
にあ ることも、国内以上 に問題視 しなければならない。そ こで、小 学校低学年における有効 な
国語学習 の書字活動につ いて検討す ることを目的に、ヤ ンゴン日本人学校 において実践 を試み
た。
3 ヤンゴン日本人学校における低学年の授業実践
3-1 ヤンゴン日本人学校の教育方針
lll)
平成 27年 度のヤンゴン日本人学校の教育方針は「日本の学校教育関係法令に準拠 し、日本
と同等の教育を行うとともに、ミヤンマーという地の利を生かした地域素材を活用 して教育活
動を展開することで、国際社会に貢献で きる人材の育成」にあ り、重点項目として、
「学力」
「自
ニ
コ
ー
ュ
立心」
「体力」
「共生心」
「 ミ
ケ ションカJの 5つ を育成すると記している。
「 目指す児童・生徒像」は「か しこい子」
「やさしい子」
「つよい子」であり、それぞれを「名
32
杉
崎 哲
子
伴
野
みづ ほ
「か しこい子」 とは「話 し名人、聴 き名人、読
人」 と呼 んで具体的な指標 と して示 してい る。
書名人」、「やさしい子」 は「挨拶名人、聴 き名人、奉仕名人」、「つ よい 子」 は「遊び名人、聴
き名人、健康名人」である。 いず れに も「聴 き名人」 を挙 げ、聴 く力 を重視 している。
また、
「子供
「指導 の重点」には「人権尊重 の精神 に基 づ くい じめのない学級、学校づ くり」
自 らが課題 をもち見通 しをもって取 り組 む 『わかる授業』『楽 しい授業Jの 実現」「幼・小 ・ 中
の連携 を通 したキャリア教育の充実 と自己肯定感 の高揚」「教育活動全体 にお け る言語活動 の
充実 とコ ミュニケ ー シ ョン能力 の育成」「教育活動全体 における体育・健康 に関する指導 の充
実 と心 身 の調和 的な発達 の促進J「 ミヤ ンマ ーの伝統・文化 を大切 に した学習、英語活動等、
国際理解教育 の充実 と日本 の文化 ・伝統 を尊重す る態度や国際人 としての基礎 の育成」 を挙 げ
てい る。
このように、国際理解 については当然のことながら、言語活動の充実 と体育・健康 を教育活
動全体に関わらせてい くとい う指導の方向性が明確 にされている点が特徴的である。これが学
「学芸的行事」として、
「弁論の会」や「チル ドレンフェスティバル」
「書
校行事 にも反映され、
「チャ
「伝統文化鑑賞会」など、
「体育的行事」 として「水泳教室」
「サッカー大会」
初め大会」
レンジタイム」
「運動会」等が計画されている。
更 に特筆すべ きは、
「学級指導計画」のなかに「留意点」 として、学習の準備や姿勢、話す
とき、聞 くとき、書 くときの「学習ルール共通理解事項」を挙げるとともに、
「話 し方のレベ
レ (声 の大 きさのレベルを数値化)Jや 「鉛筆の望ましい持ち方、姿勢」
フ
「教室環境計画 (教
、
室内の掲示物等の配置図)」 を掲載 していることである。細部 に渡つて積極的に言語環境の整
備に取 り組む姿勢が示され強化されている。
3-2
伴野による第 1学 年の国語指導
1)年 間計画
(前 半)の 指導内容
ヤ ンゴン日本人学校では、国内の学校 と同様に主 として検定教科書の教材を使 って国語の授
業 を進めている。 ここでは、杉峙が訪緬するまでの授業内容 を押 さえてお くことにする。
「挨
入学直後 は問いかけへの応答の教材 (あ さ/カ ッコ内は教材名、以下同様)か ら始め、
拶や言葉遣いのルール」の学習 (な んていおうかな)を 経て、読み聞かせの感想 を言い合 う (ど
んなおはなしかな)と いうように、先に「話す こと」
「聞 くこと」
「読むこと」の学習 を終えて
から、
「υヽ
ちねん」、組、名前 を平仮名で書 き、
「 自己紹介 し合 う」教材 (ど うぞよろしく)で 、
紹介 カー ドを作 つて交換 し合うとい う「文字 を書 く」活動が展開されている。
教材文の読みと書字 とを結びつけた教材 (う たにあわせてあい うえお)で は、語のまとま り
や響 きに気 をつけて「音読」 した後に、文字をなぞって筆順を知 り、マス ロに書 くことを学習
させている。その後、
「平仮名を使 つて単語を書 く」際に、
「音節 と文字の関係 (こ とばをつ く
ろう)」 に気づかせ「既習の文字を使ちて言葉を作 リノー トに書かせる活動」 を行 つている。
「清音 と濁音の平仮名 をノー トに書 く。 (か きとかぎ)」 では、
「唱え歌を、いろいろ
引き続 き、
な言い方で楽 しく読む」ことを書字の前 に行っている。
「□に入る述語を考え、声 に出して読み、
ノー トに句点を確かめて、丁寧に書 く。 (文 の最後に句点を打つ。
)」 「挿絵や自分 の身の回 りか
ら F□ が□。
」 とい う教材 (ぶ んをつ
』のもの・ ことを見つけた りして、文 を書いて発表する。
くろう)で も同様に、まずは身の回 りから見つけ出し、声に出してから書かせている。
「促音」
を扱 う (ね ことねっこ)学 習の際は、促音のある言葉を集め、
「清音、濁音、半濁音を、書 き
順や濁点、半濁点の位置に気をつけて書 く」 とい うように、書写的な学習内容 を「声 に出して
33
小学校低学年 にお け る主体性 を育 む国語学習 の書字活動
読 む」 ことと併せて扱 い、
「長音」 に関 しても同様に、助詞「を」の使い方を含めて「読み」
と「書 き」を一体化 させて取 り扱 うだけでな く、
「書 く練習」や「友達 との交流」 を交えて書
字活動を展開している
(お
ば さん とおばあさん)。
ちばし)で は、
「語 と語の関係 に注意 して、助詞 『は』 を正 しく用い
ながら、文 を書 くことができる。
」 とい う目標 を掲げ、
「教材文の中から、『これは、一です。
』
とい う文 を見つけノー トに書 き写す。
』『これは、一 の
」 ことや「『これは、なんの一で しよう。
また、読みの教材
(く
一 です。
」活動 を展開 している。説明的な文章 を読んで内容 をとらえるとと
』 とい う文 を書 く。
もに、
「問い」 と「答 え」 とい う形式 に興味をもって文 を書 き、敬体に慣れさせ、助詞「は」
を正 しく使うことも指導 している。その後の働音 と助詞「へ」の用法を理解 し文中で正 しく使
えるようにする
(お
もちやとおもちゃ)際 は、リズムに気 をつけて読むよう指導 している。
「語
以上のように様 々な文の書 き方 を学んだ後は、題材に必要な事柄、対象 を観察 して集め、
と語の続き方」に注意 し、句読点を使 つてつなが りのある文 を書 く (お おきくなった)学 習を
展開している。ここでは「植物 を観察す る」生活科 と関わらせて、必要 に応 じて「横書 きの書
き方」を確認 している。さらに、掲示 し相互に評価 し合い交流す る展開へ と進めている。
助詞の用法を確認させる教材
(は
をへ をつかおう)で も、唱え歌をリズムをつけて読み、音
「視写」を意識的に取 り入れている。
読や視写する活動 を通 して語 と語の関係 を把握で きるよう、
前半のまとめとして、
「好 きなこ ととその理由」 を文 と文 との続 き方に注意 しながら二文で
「好 きなことをカー ドに書いて友達に紹介する。
」活動 を行い (す きなこと
書 くことを目標 に、
なあに)、 生活科 と関連させて、
「知 らせたい体験 を決めて必要な事柄 を思い出し、長音、拗音
などの表記や助詞を正 しく使 つて、語 と語、文 と文 とのつなが りに気 をつけて書 き交流す る」
学習 を展開 してい る (こ んな ことをした よ)。
2)伴 野の実践の重点項 目
第 1学 年 は2ク ラス編成 で今年度 を迎 えたが、実際 の入学者が
視写
【
(ノ
ー ト)】
「はなのみち」
減 り、伴野 と伊藤教諭 の クラス とも8名 ず つ とい う少人数 である。
く ■ヘ ル
国語 の時数 は確保 されてい るが、行事の関係 で 日本国内の学校 よ
り3週 間程遅れてい る。ただ児 童数が少 ない分、両 クラス は足並
みをそろえ、予定通 りに基礎的な学習 を着実 に進める ことがで き
てい る。
伴野の実践 は、特に重点的に「音読」 と「視写 (聴 写)Jと を
相互に関連付けながら取 り組 んでいるとい う点が特徴的である。
「声に出して読めなければ、書 くことができない、内容の読み取
りもで きない」 というのが伴野の実践 における拘 りである。また
年間計画 に書字活動が示 されていない単元においても、ノー トに
て読み進めた。
「 おむすびころ りん」では、語のまとまりや内容、文章の リズ
憾 んま あ
いて、想像 を広げて読んでいった。その際、登場人物を絵で表 し
「音読」を取 り入れ
名称 とともにノー トに記 して確認 してから、
Iつ
て″ろ。
「はなのみちJで は、文章や挿絵を見ながら、場面の様子 につ
劇 耐 、〓な 賞 く
ているo
◆「読み」教材における音読と動作化
はし ず て うお
書 くことを徹底 して指導 し学習 を定着 に導いている。
「くちlJし 」
34
杉
崎
哲
子
伴
野
みづ ほ
ム に注意 しなが ら読 み、
「おお きなかぶ」 は、「繰 り返 しなが ら高まってい く話 の展開や言葉 の
リズム を楽 しみ、考えなが ら音読す る」 ことを目標 に取 り組 んだ。
一般的にこの教材 は、劇化す ることに よつて、場面 の様子や登場人物について想像 を広 げな
が ら読 んでい く。 しか し伴野 は、この 目標 を「音読」 の段階で既 に達成 してい ると考 えられる。
その証拠 に、特別にお面や小道具 を用意 しな くて も、児童達は登場人物 にな りきり心 を込めて
声 を発 し見事 に演 じ切 つたか らであ る。
◆音読と視写との連関
読み教材においても、平仮名指導を併行させ、ノー トのマス ロ (1行 8マ ス)で あることを
意識 して板書 している。時間を確保 して視写を徹底 し、手指の運動を伴 って視覚で確認 してい
る。リズ ミカルな「音読」の繰 り返 しによって、聴覚でも「主語 と述語の関係Jや 「場面のと
らえ」を明確 にできる。この考え方は、
「 ノー トを丁寧に書 くことで、考えを広げることがで
きる。 ノー トを授業の 中心に据えると授業が引き締まる。
」とい う、吉永を中心 とした「京女式」
に由来 している⑫ 。
児童 Hは 、母親が中国人で、横浜の中華幼稚園を経て、この春、日本人の父親の赴任に伴 っ
てヤ ンゴンにやつて来た。平仮名が上手 く書けず字を覚えられずに苦労 していたが、Hは 音読
が大好 きで、動作を付けて「おむすびころ りん」の全文暗誦音読に取 り組み、 クラスで一番早
く合格 した。楽 しんで取 り組み、家庭でも毎日自主的に音読 を7・ 8回 練習 している。
文字 を書 くことに時間を要 した児童も慣れて くると手際 よく視写できるようになる。夏休み
を迎えるまでにノー トが 3冊 目に突入 した児童 も現れた。徐 々に書字に対する抵抗感が払拭 さ
れるばか りか、児童自身に「ノー トJへ の拘 りが生まれてい くのである。
4 提案実践と児童の表れ
4-1「 ないたあかおに」の実践 (44頁 の画像参照
<ね らい> 「読むこと」の教材における書字活動について考える。
)
「読むこと」の教材を扱 うときに問題になるのが、確かな読みのために何 を書 き留めさせる
べ きなのかということである。特に 1年 生の児童は手指の巧緻性が未発達で書字の定着 にも個
人差が大 きいため、どの程度に書 くのか、どのように書 き留めさせるかなどを検討す る必要が
「必要最小限に書字活動 を組み入れる」 とい うことを合頭に教材 を選定 した◇
ある。そ こで、
差 し込みの読み教材 を用いた実践に時間を割 くことはで きないが、主に「読み開かせ」 と書
字活動 (=板 書の視写)に よつて内容をとらえさせることは可能であると考え、あえて長い文
章の「 ないたあかおに」を取 り扱うことにした。
浜由廣介の 『ないた赤おに』 は、過去には小学校 2・ 3年 生の教科書に採択されたことがあ
り、道徳教材 として使われることも多い。 ここでは、児童に与える絵の印象 を重視 し、い もと
めを つた。
ようこ挿絵の本°
使
(展 開は44頁 の資料参照)
なお「読み開かせ」は「聞く行為」にはなるものの、高木の定義では「『読 むこと』 の指導
における共通の分析対象 となるく教材 >(141」 が存在するため、
「話 し・聞 く活動その ものである」
「話す・聞 くことの指導」ではなく、
「読むこと」の教材の醍示方法 ととらえられる。
1)「 読み間かせ」と板書
最初に「入 りロ トン トン」の動きに関連づけた 2つ の場面を示 して物語へ と誘 い、状況に応
じて次の 3パ ターンを使い分け、変化を持たせて「読み聞かせJを した。
小学校低学年 にお ける主体性 を育 む国語学習の書字活動
35
「青鬼」だけを見せて読む。
① 拡大 した挿絵の「赤鬼」
② 場面を表す絵 だけを見せて読む。
③ 大判の本をめ くりながら読む。
登場人物の動 きに着 目させるところでは① を、場面全体 をとらえさせる必要があるところで
は②の方法を用い、印象づけたい挿絵 は拡大 して示 し絵 を貼 る位置を工夫 して板書 した。場面
の変化が大 きい ところでは紙芝居 を捲 るような効果を期待 して③で行 った。
最初に登場人物をおさえ、読み聞かせた部分の内容理解は、児童に発言させて確認 した。その
うえで板書 し書 き写させるようにした。その際、ノー トのマス ロを意識 し、句読点 も声 に出し
ながら板書 し、ほとんどの児童が正確 に書 き写せる時間を確保す るよう配慮 を要 した。
2)自 発的な動作化
「読み間かせ」 を進めてい く途中、児童の一部が赤鬼 と青鬼 とのや りとりをしっか りと把握
で きていない ように思われた。その時伴野が、動いてもよいと子 どもたちに声 をかけた。
す ると即座 に、Hと もう一人の児童が席 を離れ、それぞれ赤鬼 と青鬼の役 になって動 き出し
た。改めて文章を丁寧 に一文ずつ読み直す ことにし、
「村で暴れる (青 鬼)」 「それを上める (赤
鬼)」 、
「頭をこつんとたた く (赤 鬼)」 「もっと強 くとい う (青 鬼)」 等 と、一文ずつ確認 してい
たところ、いつの間にか、それまで席 についていた他の児童が「その様子 を陰でそっとみてい
た」 とい う村人になり切 って、教室の扉の陰から覗いていた。子 どもたちは、 自発的な動作化
によって、文章の内容を読み取 つていつたのである。
3)文 章の内容理解 と声にだして読むこと
青鬼の家の扉に貼 つてあつた「赤鬼 に宛てた手紙」は片仮名で書かれている。 しかし、 これ
を大 きいフォン トの教科書体のひらがなに直 し、各自に配布 した。内容を読み取 らせるために、
まず範読 し、続いてゆっ くりとして範読に沿 つて指で文字 を追わせるようにした。その後 は、
個々に自分のペースで声に出して読むように指示をした。 この手紙の内容は、元気 よく声を揃
えて読むような内容ではないからである。
小学校第 1学 年 には「音読」がよく取 り入れられるものの、黙読の効果について も検証 し、
書かれた内容によつては声を揃えて読むことが逆効果にもなることも意識する必要がある。
4)登 場人物への同化と感想
物語文の教材について、初発の感想を問い授業後 にも感想 を書かせるとい うことは現場でよ
く行 われる。初発の感想を導入や授業展開のヒン トとして生かす ことがで き、授業前後の感想
の内容を比較することによつて、読みの深まりを確認することも可能である。
しかし1年 生の発達段階 を考慮すると、登場人物 になったつ もりで気持ちを表す よう提示す
る方が内容をとらえやすい。授業後に登場人物に手紙を書 くとい う設定 15も よく用い られる。
「 ないたあかおに」の実践では、実験的に、あえて登場人物 にな りきらせることを避 け、児
童自身から赤鬼 と青鬼のどちらか一方に手紙 を送るとい う設定 にした。二人の登場人物の関係
性をどうとらえるのかを探 るには、両者から離れた位置に身を置かせた方がよいとの判断から
である。どちらか一方にすることによって、「泣 いている赤鬼Jと 「旅 にでた青鬼」の状況を、
物語の展開を含めてとらえ直す効果 も期待で きると考えた。
児童の多 くは、はじめは両方 に手紙 を書いてあげたい と悩み、その後一方に決めていた。書
なったつ もりで書いている。 こうした表れから、 こ
° してい く特徴が示唆された。
の時期の子 どもの、無意識に登場人物に同化°
き始めると、いつのまにか赤鬼
(青 鬼)に
36
哲
子
伴
野
みづ ほ
(注 )◇ は児童が書いた手紙 (以 下同様)
◇あおおにさん、どこにすむの ?あ かおにさんが ないているよ。はや くかえつて きてね◇
ずつとかえつてこなかった らさびしいよ。あかおに
5)読 みの深さを量る書字活動
赤鬼に宛てて書 くとい う児童の場合、
「赤鬼 は泣いているから可哀そ う」 とい う気持ちから、
「赤鬼 を慰めてあげたい」
「 どうしたら慰められるのか」 と考 えてい く。自分の立ち位置を自覚
できると、
「赤鬼 は村人 と仲良 くで きるのに、なぜ泣いているのか」 と考えを深める。そして、
」 というように思考が継続 してい く。
「赤鬼 に代わって青鬼に気持ちを伝えたい。
◇あおおにさん、。いつかかえってきてね。あおおにさんのてがみをみるとかなしくなり
ました。いつかぜったいに かえってきてね。○○より
◇あおおにさんへ。どこにいるの ?あ かおにさんがないているから はや くかえつて きて
ね。あかおにさんが しんぱい しているよ。まいごにならないでね。○○ より
赤鬼の涙の意味 を感 じ取 り青鬼は赤鬼への気持ちを手紙に書 き記 したけれど、赤鬼は自分の
気持ちを青鬼に伝えていない とい うことも理解で きてい く。
「感想」ではなく「手紙 を書 くこと」にしたのは、登場人物 に対 して「思い」を込めること
を意図 したからである。予想以上に児童が「あおおにの手紙」 をじっ くり読んでいて驚いた。
日頃、元気に動 きまわっている児童が、静かに青鬼から赤鬼への手紙 (貼 り紙)を 幾度 も黙読
した り、小声で読み直した りしていたのである。改めて「手紙」 というものの力 を痛感 した。
さらに考えを深め、
「青鬼 も優 しい鬼だということを村人に伝えたい」 と考えた児童 もいた。
◇あおさんへ。げんきにしててね。いつかかならずかえってきてね。あのたんこぶだい
じようぶですか。どこにいったの。あかおにさん、ないてるよ。あおおにさんのやさし
いおてがみをはなしたら、やさしいおにになれるよ。げんきにがんばってね。○○より
児童が多字数を筆記するには大変な労力が必要である。 したがって、 ここでは書字 した文字
の「読みやすさ」の追求は考えられず、あくまでも読みの深 さを量ることになる。
4-2
書写的視点による書字定着のための授業展開の工夫
1)「 動きの提示」による「ことば」としての書字指導
.
書字 を単なる記号 ととらえるのではなく「 ことば」の学習に結び付ける必要性を検討 したい
と考え、以下のように実践 した。通常は、平仮名を一音ずつ別々に学ばせ、それを組み合 わせ
て「 ことl劇 を作 ってい く。 しかし、ここでは、
「書 き進め方」の共通点によるペ アを取 り扱い、
そのまま「 ことば」 として扱 つて学習 を進めた。
① ひらがな指導「つ」
「 の」/「 かたつむ り」の殻の渦巻 き状 の形から「つ」 と「の」の字形
と動 きを想起させ、
「でんでんむ しむし…」の歌へ と発展 させて伴野が実践 した。文字の書
き進め方 を提示するとともに、単なる記号 として文字を扱 うのではなく、
「つの」
「かたつむ
り」 とい うことばに結 び付けていつた。ちようど校内でカタツムリを発見 したこととも重な
り、児童にとって印象的な実践 となった (文 末の画像参照)。
② ひらがな指導「い」
「 り」/「 ないたあかおに」の導入 に、入 り口 (扉 )を トン トンと叩 く
動 きと字形の想起 を取 り入れた。平仮名学習を一通 り経験 した段階で、動きを伴 う文字の想
起から場面提示 に結びつけ、 2つ の画面の違いにより「あらす じ」のイメージを予測 させた。
これによっで読み教材への自然な導入に貢献で き、文字学習にコミュニケーションの始まり
の意味を含めることもで きた。
「 な」の字形 も鬼の泣き顔のイメージと重ねることができた。
2)基 本点画
ワ′
00
小学校低学年 にお け る主体性 を育む国語学習の書字活動
(点 画を構成するパーツ)の 意識 づけとその動作化
担任教員か らの依頼で、 2年 生 の児童 に対 して漢字指導 を行 うことになった。漢字 の学習 は、
教材文 を扱 う最初 の時間に新 出漢字 と して取 り扱 い、時 と して教科書 の見開 きあるい は半頁 に
掲載 されてい るクイズ形式等 で確認す るのが一般 的である。教 科書 には誰が実践 して も興味深
く取 り組 めるよ うに工夫 された頁が用意 されてい るにもかかわ らず、児童の多 くが漢字 の書 き
取 りは苦手 だ といってい る。それはt工 夫 され た頁 が、
「覚 えて い る漢字 の確認」 の機能 に他
ならないか らだ と考 えられる。児童が 自 ら点画 を構成 し書 き進め られる手立てが重要である。
そ こで、最初 に基本点画 を毛筆 で大 きく書 いて示 し、それぞれの名称 を確認 させたo縦 画、
横画、左払 い、右払 い、おれ、まが り、そ り、右 上は らい、点 (縦 点、斜め点、長点)に 加 え、
終筆 の 区別 (と め、はね、は らい)も 毛筆で提示す ると視覚的 に明確 にで きる。併行 した「空
°つ
書 」 は、点画 の「動作化」 とい うことがで きる。
「 なぞ り」 について与 えられた線 を辿 るこ
Dの に対 して、動 きを確認 しなが ら児童 自身が点画 を組
とに留 まる危険性が指摘 されてい る °
み合わせて脳内 に字形 をイ ンプッ トで きるとい う点 において、有効 な手立てである。
3)漢 字学習 への運動の活用
書写的な学習が結果的に文字 (漢 字)学 習に結 びつ くこと
を、杉 崎 は「漢字学習へ の運動」 と呼 んでい る °)。
基本点画 を確認 した後 は、
「 左右 の組み立て方」 の文字 に
ついて字形 の整 え方 の ポイ ン トを押 さえた。 この時、偏 の書
き方 のポイ ン トを基 本点画 で説 明で きる よ うに したため、
ノー トには、点画 の種類や終筆 の区別 を明確 に書 けていた。
「縦点 +横 画」 の「なべ ぶた」 は、鍋 の蓋の絵 を使 い、
「 父の
頭 に鍋の蓋」 と唱えて「 父」
「 交」 を学習 させた。
そ の後、次時か ら学習す る教材文 の新 出漢字 のカー ドを全
○か くれんぼ
隠れ ている漢字をみ つ けよ う。
「数 J「 教 J→ 「歌」
¨「欠」 と 「欠」 の違 い
○基本 点画 の確認
*「 右 上は らい」
「女 Jと 「子 Jの 横画 が変 化
○ 「縦点■節動 =な ぺ ぶ た
*「 方Jと 「万」
縦点、横画、折れて跳 ね る、 ノ
○父 の頭 になべ の フタ ‐ 「交 J
「父 」「京」
【
漢字学習への展開例】
員に配 り、1文 字につ き4∼ 5名 で書 き進め方を考え発表す るとい う実践 を行った (文 末の画
像参照)。 児童は、各自で筆順 を確かめ基本点画を組み立てて説明で きていた。全員の説明が
終了 したところでノー トに書いたが、手本 として漢字 を示さなくても、字形 に気 をつけて書い
ていた。
「『昼』 は、
興味のない授業には参加 しない とい う要支援の男子児童 も、意欲的に取 り組み、
カタカナのコのように、横からの折れ、横 で閉 じ、左払い、右払い。その下に『日』 と『一』
とい うように書 き進める。
」 と、友達 と一緒 に発表す ることがで きていた。児童自身に文字を
構成 させるとい う発想は、児童の知的好奇心を刺激するもので、アクテイブ・ ラーニングの考
え方 に結び付ける可能性 も考えられよう。
1年 生の片仮名学習では「パーツ (部 品)」 とい う言い方で基本点画を取 り扱い、今後の漢
字学習にも結び付 くよう工夫 した。
4-3 「話すこと・聞くこと」と書字活動
「話す こと 。聞 くこと」 に関して杉峙 は、静岡県西部の小学校 2校 の研修 において、静岡大
学教育学部附属島田中学校が以前から取 り入れている「語 り返 し」を提案 した。 1校 はそれを
「国語スイッチJと 呼び、別の 1校 は「おはなしバ トン」 とい うネー ミングで継続的に実践 し
ている。これは授業開始直後の 5分 間程度 を使 つて、二人組でテーマを決めて語 り合い、聞い
た人が話者に向かつて「語 り返す」ものである。 1時 間の授業で、どの児童 も必ず 1回 は人に
38
杉
峙
哲
子
伴
野
みづ ほ
話をし、人の発言 をしっか りと聞 くとい う経験を積み重ねてい く「話 し・聞 く活動」である。
意図的に仕組む「話す こと ,聞 くこと」の学習以外にも、児童が話 したり聞いた りする活動
は、色 々なシー ンで行われる。 (「 ないたあかおに」等の授業でも、
「話す・聞 く」活動 を積極
的に取 り入れた。
)児 童の活発な発言 を教員が上手 くつないで展開してい く授業 は、参観者に
とって見応えがあ り、実践 した教員側 も満足することが多い。しかし授業後に児童全員のノー
トを確認すると、全 く授業に参加で きていなかった児童が多かった り授業の中で生まれた内容
座に忘れ去 られ:発 言者本人のなかにさえ残 つていなかったりしている
的に「光る発言」力淑口
ことに気づかされる。発表は一部 に限 られるため、
「メモ」程度にでも全員が自分の考えや友
達の意見を書 き留められると、学びの指標や評価 となり、次の学びへ とつなが り得 る。
今回、 2年 生の「話す こと」の単元「大好 きなこと、教えたい」 を担当 した杉時は、
「おは
「大好 きなことは○○です。
なしキャッチポール」と呼んで、導入 に「語 り返 し」を取 り入れた。
「あなたが大好 きなことは○○ですね。
その理由は○○だからです。
」 ということを聞き合い、
それは○○だからですね。
」 と聞き取 りの内容を確認 し合わせた。その後に、ノー トに自分の
好 きなこととその理由を書 き留めて、お互いに伝え合 わせる授業 を行 つた、
しか し、 ここで大きな疑間が生 じた。 この教材 は「教えたい」 となっているが、
「大好 きな
こと」は「教える」のでl■ なく「伝 える」ではないだろうか考えたのである。そして、前述の
「漢字の書 き方、教えたい」 と
「基本点画の理解に基づ く漢字学習」を「教えたい内容」 とし、
い う授業へ と発展 させることにした。教 える以上、確かな情報 を得ていることが必須条件であ
る。と同時に、聞く側が「知 りたい と思える情報」であることが大前提ではないかと考えた。
一般的な語の使い方 として、
「無意識に耳に入 って くる音 を受け入れる」 とい う場合 と「人
に何かを尋ねる」時に「聞く」を使 い、積極的に意識 して音に耳 をかたむける場合に「聴 く」
を使う K201。 ャンゴン日本人学校が力 を入れている「聴 く力」 とは、
「耳 を傾ける=聴 く」音が
決まってお り、話された内容を積極的に受け入れるとい う観点から「聴 く」の語を用いて「意
「聴 く」
識的に聞 く」という段階であることを示 している (堀 川は聞き方を「聞 こえる」
「聞 く」
゛
D、
「傾聴J「 訊 く」の 5つ のレベルに分け
「訊 く」の三段階に分 けて
高橋 は「聞 く」
「聴 く」
②
いる
これは、『小学校学習指導要領解説国語編』にある「低学年では、大事なことを落
)。
とさないようにしながら、興味 をもって聞くこと」 と同義 ととらえられる。
多 くの グループが自発的に発表内容 のメモを用意 し、最後 にはまとめとして全員が自分 の
ノー トに新出漢字 を書き留めた。このように、教員 が説明 し「 ドリル」 をなぞる退屈で字形意
識の結 びつ きが低い一般的な学習 とは異な り、点画への意識や書 き進め方を自分 たちで確認 し
合 う効果的な学習 となった。話す内容如何で、児童は主体的に書 く活動 を始めるのである。
5.主 体性を育む国語学習
5-1.低 学年における書く活動
「作文Jと いう用語 を用いず「書 くこと」 とい うよ
現行の小学校学習指導要領国語科では、
うになって、で きあがつた作品を重視する考え方から「文章 を書 くとい う活動その もの」と「そ
の過程」を重視するとい う指導理念へ と移行を象徴的に表 している の 。 したが って、書字活
動 を4つ の領域 と関連づけてい くことは極めて自然である。伴野はこれまで高学年 を担当する
ことが多かったため、高学年 までにどのような力を定着させたいのか、 どのように落 とし込ん
でい くとよいのかという観点 を含 めて、日の前の 1年 生の姿 を見取 りながら指導内容 を確認 し
小学校低学年 にお ける主体性 を育む国語学習 の書字活動
39
てい る。杉峙 もまた、小 学 1年 生か ら大学生 までの指導経験 を踏 まえ、長期的 。段階的に見通
して学びをとらえて、国語学習 の 4領 域 と書字活動 との連関に注 目して きた。
国語 に限 らず、社会 の 目まぐる しい変化 のなかでは、学習指導で育成すべ き資質や能力 とは、
まず は学習す る子供 の視点に立ち、学 びを通 じて何が で きるよ うになるのか とい う観点か ら整
理 しなければな らない。その うえで、整理 された資質・能力 の育成 に生 きる指導内容 を検 討 し、
子 どもたちの具体的な学 びの姿 を考 えて構成 して い く必要があ る ② 。全 ての学 びに生 きる国
語力 とは、基礎 ・基本 の習得 にとどめず、その活用 によって課題解決 の能力に結びつ く。そ こ
で、低学年 の時期か ら「文字 を書 く」活動 を上手 く取 り入れて い く必要があると考 える。
実践 で明 らかになった ように、教員 の細やかな配慮 によって、音読 とともに視写 を取 り入れ
て読 みを確 かにす ること、話す内容 を確認す るため、 また「聴 き名人Jの 取 り組み を質的 に向
上 させるための書字活動 を取 り入れてい くことは、低学年 にお いて も十分可能である。
具体的には、砂崎が、例 えば 1年 生の時期 の板書 につい て「子 どもたちが見てわかる、勉強
した順序 がわかる、大事 な言葉がわかる ことを大切 に」 して、
「教科書 にかい てある文 をその
まま写 した り大事な言葉 を抜 き出 した りす ることが 中心Jに なると述べ 、耳で聞い て記憶 し、
文字化 して定着 させ る こ とが重要 であると強調 してい る (2)。
5-2.子 どもの「新鮮な活力」を育てる低学年の国語学習
最初 に伴野学級 を訪ねた とき、全員で声 を合わせ、聞いてい る もの まで もが躍 り出 した くな
るような「おむす びころ りん」 の楽 しい音読 を聞かせて くれた。 この時、伴野 自身 も無意識 に
体全体 を屈伸 させ 、胴 の側面 を軽 く叩 いてリズム打 ちを してい た。次 の時間に、音楽に合わせ
て縄 跳 びをす る体育 の授業 を見学 した ところ、音読 と同様に、子 どもたちが リズム に乗 つて笑
顔 に満ちて活動 していた。伴野が児童 と一緒 になって体全体 を動 か し元気 に声 を出 して指導す
る姿が子供たちの活気あ る発声 を誘 い出 した と考 える。
こ うした伴野 の考え方 の根底 には今井 の教育観があ り、具体 的な指導 の ヒン トを「 1年 生の
指導 の着眼」 に確認で きる。今井 は、
「子 どもたちの持 ってい る、す ぐれた感受性、想像力、
倉J造 力 を生か し、常 にぴちぴちとお どる新鮮 な活 力 を育 てたい。」 と考え、そのために「お と
なか ら与 えられた観合的なものをと り去 り、 ともするとその まま凋んでい きそうな感覚 をゆ り
動 か し、驚 きを感 じ、物の真相 に直入す る純粋 さを持 つ、子 ど もの本来 の素直 さに生かす。」
ことを重要視 してい る の 。歌で始 まる今井 の学級経営 と伴野 の リズ ミカルな音読 は体育 の指
導に共通す る もので、子 どもに内在する「新鮮な活力」 を引 き出すのに有効 であ つた。
「 ない たあかおに」 での児童の一連 の動 きは、彼 らが「読み 聞かせJの 内容 を理解 し自発的
に動 きに置 き換 えた ものである。 こ とばの力 を育てるには、教 員側 が見栄えを気 に して行 わせ
る劇や形骸化 した動作 ではな く、児童 自身か ら自然 な動作が沸 き起 こ り、それによって主体的
な学習が可能になった と考 える。
5-3
今後の課題
1)言 語活動の相互の連関
実践 の最後 日に1・ 2年 生の「 ス ピーチ大会」 を参観 した際、
「僕の宝物 」 とい うタイ トルで
話 してい た 2年 生の男子児童が、途中、ス ピーチの内容 を忘れ黙 って しまった。担任 は「早 く
進め るよ うに」 と小声 で促 したが、母親 と伴野 は、「紹介す る順 番 には拘 りがあるか ら」 と待
つ ことを提案 した。「宝物」 の一つ を思 い 出 したの を契機 に、彼 は一気 に話 を続 けた。途中 に
沈黙 はあ った ものの、話す内容 に思 い入れが感 じられ、聴衆 を惹 きつ ける素晴 らしいス ピ‐チ
杉
Ю
峙 哲
子
伴
野
みづ ほ
だった。何をねらいにした「スピーチ大会」かを考えさせられる出来事だつた。
「自分の夢 を紹介するとい う題材への照れもあっ
「スピーチ大会」について、
萩野校長 は、この
「教えたい」の単元
てか、高学年で幾らか形式的になっている。
」 と残念そうに話されていた。
で検証 したように、話 したい内容か、聴きた くなるような内容か とい うことを考えると、発達
段階に応 じて、児童・生徒に話すテ‐マを選ばせ、例えば自分が好 きな教科の学びや自由研究
の内容を「プレゼン」する等の発表の場にすることも有効であると考 える。その際には、スピー
チの内容を書きとめる活動が、事前に行われるとい うことになる。
課題 としては、
「スピーチ大会」 に限らず、学校生活で重点的に取 り組 む「言語活動」が、
それぞれ「ぶつ切れJの 状態になっていることである。習得や活用に有効に機能させるには、
言語活動を相互に連関させ、発達段階を考慮 して段階的かつ継続的に取 り組む必要がある。
2)PISA型 の表現活動とその評価
PISA型 の読解力のあり方が、表現学習にも影響を与えていると述べ、これからの
「書
長崎は、
い
こと
」であると言及 して る。これから求められ
くこと」の学習は、
「生 きる力 としての書 く
ている読解力が、従来の「情報の取 りだし」や「解釈Jに 留まらず、読み取 つたことから「熟
考」 し「評価Jす る。そして、そこから判断することを「論述」するところまでを視野に入れ
°。 したがって「書 くこと」 も、自分 の考えや友人の意見を聞き取 っての
るとい うのである°
メモ書 きな どの書字活動 を重ねて、根拠を明確 にして書 くことが求められてい くと考えられる。
文字の形になっていると評価 に活かしやすい とはい うものの、評価に関 しての検討も今後 の
「あおさんの青、あかさんの
課題である。
「 ないたあかおに」で手紙を書 き終 えた後、児童は、
赤」 とつぶやきながら、熱心に用紙 に付された伝書鳩の絵 に色を付けた り自由に絵 を加えた り
していた。 この場合、字形や丁寧 さは問題 にならないが、それらを評価する場合 もあるため、
表現活動ではねらいに則 した評価項 目や評価規準の明確化が必須である。
6
おわりに
'
国内でもグローバル化促進により英語力が重要視 されている。 しか し母国語が確立されてい
ない と、ことばは空虚なものになる。また、文字を書 く機会の減少 により外国籍の児童でなく
ても書字に関する不安が増大 している。しかも「書 く過程」が示されず沢山の文字が瞬時に目
に飛び込んで くる言語環境は、情報過多であるが故 に、消化不良になって児童 を混乱 させてい
る。言語環境への不安 を訴える保護者 に対 して、逆に厳選 して与 えられるチャンスだととらえ
るよう話 したのは、国内の言語環境 の悪化を憂慮 しているからである。
ヤ ンゴン日本人学校における実践 を通 して、国語力、 ことばの力の育成には、文字の指導が
出発点 になるとの考 えが一層強固になった。教員側が提示するのではなく、点画 というパーツ
を組み立てるとい う発想によって児童が主体的に取 り組め書 き進め方 も理解で きた。今後 も、
書写書道教育の立場から、書字について研究を進めてい きたい と考えている。
付記】
【
本研究は、平成25年 度∼平成27年 度日本学術振興会科学研究費補助金 (挑 戦的萌芽研究)
「 日常に生 きる書写指導確立のための 「書 く過程』に着 目した効果的な教材開発」
(課 題番号 25590264)に
よる研究成果の一部である。
小 学校低 学年 にお け る主体性 を育 む国語 学習 の書 字活動
41
書 くこ と
(表 現・ 伝達)
読 む こと
(内
話す こと・ 聞 くこと
容理解)
聴党
⇒ (伝 達 )
―
②ぢ○彗⑭i
ヽ ざ下 一
ご一
k
な 一
分一
だ下 蒼
く 下 マ■ っ 一
ね
て一
ミ一
て一
Ⅷ
Hの 書いた「あおおにへの手紙」
夏休みの思い出
≪脚注 ≫
(1)青 木幹勇 『国語科授業 の新展開9。 表現力 を育 てる授業』明治図書1981 p.170
(2)「 書 く学習の意義 と可能性」杉崎哲子 『教科開発学論集 第 1号 』愛知教育大学 ・静岡大学
共同教科開発学専攻 pp.145∼ 162 2013
(3)改 正学校教育法 (2007年 6月 発表)に 「基礎的な知識及 び技能 を習得 させ るとともに、 こ
れ らを活用 して課題 を解決す るために必要な思考力、判断力、表現力その他 の能力 をは ぐ
くみ …」 とい うように、
「活用」 と「問題解決」 を柱 とす る学習活動 の在 り方が 明示 され
たのを受けて、第八次の学習指導要領 で改訂 された (2008年 3月 告示 )。
(4)「 ことばによる総合知 の形成」府川源一郎 『小学校国語科授業研究 第四版』 田辺洵一 。大
熊徹 ・塚田泰彦編 教育出版 2013 第3章 10国 語科 と総合的な学習 (2)p.130∼ 137
上掲書 (4)第 1章 l p■ ∼7
(6)「 日本人学校 とい う矛盾」今田述 『月刊 カレン ト第829号 』 近代教 育 の先覚 ・澤柳政太郎 に
学ぶ⑨ p.42∼ 45 潮流社 2013
(5)「 国語科 の構造一 国語科 はどのような教科 か―」田辺洵一
(7)「 日本人学校教員 の『日本 らしさ』をめ ぐる実践 と葛藤」芝野淳一『教育社会学研究第95集 』
日本教育社会学会編 2014 p.111∼ 129
0ろ
′仕
杉
崎
哲
子
伴
野
みづ ほ
グローバル化の中での海外子女教育のあり方」『グローバル経営2010年 2月 号』p21
(9)昭 和39年 設立。その後50年 間にわた リヤンゴン在留邦人の子 どもたちを支えている。現在、
159名 の園児・児童 生徒が在籍。〔
幼稚部3学 級 (32名 )小 学部7学 級 (107名 )、 中学部3
(8)「
学級 (20名 )ヽ 計13学 級 (159名 )〕 昨年度 には創立50周 年式典挙行、新年度は校舎増築が
ほぼ完了 し入園・入学式 を新校舎で迎えた。 (ヤ ンゴン日本人学校 F平 成27年 学校要覧J
よ り)
(10)『 書字行為 と言語能力及 び言語活用能力 との相関性に関す る研究 を進めるための基礎調
査』鈴木慶子21X12、 「文字列 を書 きまとめる能力 と効果的な学習プロセスについて」青山
浩之・柳澤 ももこ『書写書道教育研究』第23号 (全 国大学書写書道教育学会編)p ll∼ 20
2008
1 つ一 3 4 5
上掲9 経営方針 p12∼ 39
『国語の強化書』吉永幸司 教育技術 M00K小 学館 2015、
Fな いた赤おに』浜田広介著、い もとようこ絵、白泉社 1988
「 コミュニケーシヨンをどう教えるか」高木展郎 『日本語学J p249 2002
「『書 く活動』 と『書 く力 を育てる指導」 とを区別 しよう」谷 口茂雄 F月 刊国語教育研究
No498
2013 p20-21
(16)「 読みの概念」Cカ ミイ、Rロ ング、Gマ ニ ング、Mマ ニ ング、上田哲世訳 『ビアジェの
構成論による幼児の読み書き―新しい文字教育の理論 と実践=J211112 第 2章 p26∼ 28
(17)「 小学校国語科書写 におけ る漢字学習へ の運動 を視野 に入れた毛筆指導 についての一考
察J杉 峙哲子 『書写書道教育研究』第211号 (全 国大学書写書道教育学会編)p51∼ 60
2006、 『空書の脳内メカニズム :運 動 による文字処理過程 の神経的不可低減の仕組み』松
尾香弥子 風 間書房 2004
(18)『 入門期 の書字学習 に関す る教育心理学的研究』小野瀬雅人 風間書房 21X15、 「なぞ り
学習 の字形認識効果 についてJ杉 崎哲子・沓名健 一郎 『形 の科学会誌第27巻 第 1号 J
p62-63 2012
´
(19)「 小学校学習漢字の『手書 きJ習 得を図る指導法の構築 ―『書 き』の誤答分析 を通 して 一」
杉崎哲子 『教科開発学論集 第 2号 J愛 知教育大学・静岡大学共同教科開発学専攻 p159
∼172 2014、 『チームで覚えて誤答が激減 l小 学校の全漢字1006字 の書きラクラク覚 え方
辞典』杉峙哲子 明治図書 2014
(20)『 新明解国語詳典』 三省堂 第7版 2011
(21)『 話 し方 と聞き方の構成 ―その診断と治療 ―』堀川直義 至文堂 1965
(22)「 四つの F聞 く』 をふまえた指導 を」高橋俊三 『月刊国語教育研究389号 』明治図書2004
(23)「 多様化するメデイア環境 の中での『文字・漢字』指導の課題」高木まさき『月刊国語教
育研究No504 2014 p28∼ 31
(241「 発達に沿 つて、国語力を強化す る一言葉を耕す 1年 生」砂崎美由紀 『京女式板書・発問
術‐
考える子どもを育てる J京 都女子大学附属小学校編・吉永幸司編著 小学館 2013
(25)「 一年生指導 の着眼J今 井鑑三 『奈良・学習研究』 1951 No48 p12∼ 18、 「基礎学力を
のばすにはどのように指導 したらよいか。
J『 国語・読解 の基礎的指導』 初等教育資料
文部科学省教育課程幼児教育編 東洋出版社 1950 p17∼ 19
「 とらえるカ ー国語教育の視覚 よりJ笹 倉美好 『奈良・学習研究』1956 No53 p12∼ 15
(26)「 これか らの 『書 くこと』 の学習 に向けて」長崎秀昭
上掲書 (4)p92∼ 99
43
小学校低学年 にお け る主 体性 を育 む国語学習 の書 字活動
実践の様子】
【
≪ な いた あ か お に ≫
入 日の扉 が あ る 2場 面 を提 示
板 書 で 確 認 「動 い て い い よ。 」
読 み 聞 かせ
ヽ`
′
│
﹃
麒
あ か さん 、 も つ と強 く
!
扉 の か げ か ら覗 く村 人 達
ま つ て よ、 あお さん
―
LH
署
L鷹
≪動 きの提 示 ≫
「つ の 」 だせ 、 か た つ む り
≪ 漢 字 の 書 き方 、教 え た い ≫
基 本 点 画 で 漢 字 を確 認
10画 目の 接 し方 に 注 意
`
ア
鰺
こ _:
44
杉
峙 哲
子
・
伴
野
みづ ほ
【
実践の展開/な いたあかおに】
(4時 間 )
ないたあかおに
…書宇活動 に下線 を付 した。
く第 1時 >
「 り」 の 書 き進 め方 を確 認 、 動 作 の 意 味 =「 訪 問」
① 「い りぐち トン トン」 「い 」′
② 「お話キャッチボール」
‐語 り返 し :
と青色 とでは 、 どち ら
,
登場人物 の確認、「あかおに/こ ころのや さしい おに」→ 板書 (視 写)
立て札 を見たき こ りが、「だま されてい るかもしれない」 と思 い逃げて行 つたことを確認。
<第 2時 >
① 「しょんぼ りしてい るあかおに」 ど うしてか… 「お話 キャッチボ‐ル 」
② 読み間 かせ
(そ
こに青鬼 がやつてきて、提案す る ところ)
まいや りかた)に ついて確認す る。→ 板書 (視 写)
③ 青鬼 の提案
(う
④ 読み開 かせ
(青 鬼が村で暴れ、赤鬼 が青鬼を退治す ると ころ)⇒
★ 自然な動作化
村人達 が赤鬼 の家 に遊びに来 るよ うになった (入 リロ トン トンの 1枚 目の絵 )
:
⑤ 「あかおにには にんげん の ともだちができま した。」 → 板書 (視 写)
く第 3時 >
① 赤鬼 の 「きがか り」 とは何か。 なぜ気 にな つた のか8:「 お話キャ ッチ ボール 」
② 読み聞 かせ
赤鬼が青鬼に会 いに行 き、戸 口で貼 り紙 を見てい る絵 (入 リロ トン トンの 2枚 目の絵 )
③ 貼 り紙 =「 青鬼か ら赤鬼へ の手紙」を配布 (カ タカナ表記 をひ らがなに直す )
④ 範読、範読 に合わせて指で辿 る、ひ とり読み (自 分 のペ ースで 、声にだ して読む。)
⑤ 「赤鬼 は しくしく泣 きま した。」 とい う場面をお さえる。→ 板書 (視 写)
⑥ 赤鬼か青鬼 の、 どちらかに手紙 を書 くとい う次回の活動 につい てアナ ウンスす る。
どち らに書 きた いか考 え させ る。
① ②
<第 4時 >
赤鬼 と青鬼 の状況 を確認す る。
手紙 に書きたいことを出し合 う: 二 1板 書のみ
赤鬼に/(泣 いているから可哀想)泣 かないで、元気 を出してと言いたい。
青鬼 に 「ごめんね 」 と言 い た い と思 うか ら、代 わ りに言 つ てあげた い 。
青鬼 さんの手紙 を村 の人に見 せ てあげてほ しい:
青鬼に/ど こに行くの。ぶつけたところは大丈夫か聞きたい。
赤鬼さんが 「ごめんね」 と言つていること、泣いていることを伝 えたい。
③ 各 自が垂型睦理塾L(手 紙の用紙、絵 日記の用紙)
‐