シーゲル教授ウィークリーコメント:2016年5月13日付

ウィークリーコメント: ジェレミーJ.シーゲル教授
Weekly Commentary by Professor Jeremy J. Siegel
4 月の小売売上高は好調だったが、(現段階では)
6 月の利上げには不十分
2016 年 5 月 13 日(金)3:50PM PDT, ラスベガス
しばらく不振が続いていた米小売売上高がようやく 4 月に好転し、ミシガン大学消費者信頼感指数も最近の低迷傾向
を脱して上昇した。小売売上高データは第 2 四半期の GDP 成長率予測を約 0.3 ポイント押し上げ、エコノミストの大
半は+2~2.5%を見込んでいる。第 1 四半期と比べると大幅な上昇ではあるが、それでも精彩を欠く水準と言わざるを
えない。世界金融危機前には長期的な生産性の伸びが平均 2%だったことを思い起こして欲しい。雇用者数あるいは
労働時間が増加しない状況では、生産性が 2%伸びれば GDP 成長率も同程度となる。すなわち、生産性は依然とし
て平均値を大幅に下回っていることになる。
PPI(生産者物価指数)上昇率は予想をわずかに下回り、小売売上高の利回り押し上げ効果を一部相殺して、10
年債の利回りは 5bps 低下して 1.70%となった。次回の FOMC(6 月 14 日~15 日)前には雇用統計 1 件と消
費者物価データ 2 件が発表されるが、コンセンサス予想は 6 月に FOMC が利上げに踏み切るには弱いとみている。5
月 18 日には 4 月に行われた会議の詳細な議事録が発表されるが、6 月に利上げがあるとすれば、FRB のイエレン議
長やフィッシャー副議長といった大物が向こう数週間のうちその旨を示唆する発言をするであろう。
さして驚きの無い企業収益の動向は、投資家が株式市場を追いかけるものではないため、株価は引き続き下落傾向に
ある。今週の大きなニュースは、業績不振が続いている、世界中で最も話題にされている銘柄、アップル、とそれ以上に
重要なのは軟調な業績と会社予想が発表される大手小売店のメイシーズとノードストロームである。「百貨店」の時代は
もはや終わり、アマゾンが小売業界を制覇するのだろうか?こうした疑問は以前からあったが、ここに来てさらに現実味を
帯びてきている。また、こうした状況は低金利環境でしぶとく持ちこたえている小売 REIT にとってどのような意味があるの
だろうか?
ジェレミー・シーゲル教授は WisdomTree Investment, Inc ならびに WisdomTree Asset Management, Inc の上級投資戦略アドバイザーを務め
ています。本資料はシーゲル教授の現時点でのリサーチおよび見解を掲載したもので、変更の可能性があります。本資料は特定の取引戦略の採用、またいか
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