FRB は利上げに動く;企業収益がカギ

ウィークリーコメント: ジェレミーJ.シーゲル教授
Weekly Commentary by Professor Jeremy J. Siegel
FRB は利上げに動く;企業収益がカギ
2016 年 10 月 14 日(金)11:45pm EDT
本日発表された 9 月の小売売上高は、個人消費の緩やかな減速を示唆する内容だった。第 3 四半期は今年最も良
好な四半期とみられるが、MacroAdvisors は第 3 四半期の GDP 成長率予測を 2.6%に引き下げ、第 4 四半期
はわずか 1.8%にとどまると予想している。第 1 四半期の 0.8%、第 2 四半期の 1.4%と合算すると今年の成長率は
1.65%と 2012 年以来の低水準になる見通しだが、成長鈍化が FRB の利上げを阻むことはないだろう。9 月の
FOMC の声明文は筆者の予想よりややハト派色が濃かった(筆者は、景気が現状を維持できるのであれば、「多くの」
あるいは「過半数の」メンバーが早急な利上げが妥当と考えるとみていた)。発表されたドット・プロットでは年末までの FF
レート維持を支持したのは 3 人にとどまった。1 月の FF レート先物は 56.5bps で取引されており、契約のヘッジ性を加
味すると 85%以上の利上げの確率を示唆しているものの、名目的な確率は 76%である。また、成長データは芳しくな
いものの、PPI(生産者物価指数)はインフレが強含んでいることを示している。今朝、ボストン連銀のローゼングレン総
裁は CNBC のスティーブ・ライズマンのインタビューで就労率の急上昇は一時的とはいえ FRB に「一息」つかせたが、労
働人口の変動により再び下方傾向が働くだろうと述べた。
本日、本格的に決算シーズンがスタートし、JP モルガン、シティバンク、ウェルズファーゴが金融セクターを押し上げた。筆者
は、かねてからこの相場上昇が年末まで続か否かのカギは、FRB の政策ではなく企業収益であると主張してきた。株式
市場は、12 月までの利上げ(25bps)予想に乱高下するかもしれないが、企業収益の方がはるかに重要性は高く、
決算が発表されれば株価は上昇基調を続け、10 年国債の利回りは 2%を下回って推移すると考える。
ジェレミー・シーゲル教授は WisdomTree Investment, Inc ならびに WisdomTree Asset Management, Inc の上級投資戦略アドバイザーを務め
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