グローバル・マクロ・ トピックス 2016/ 5/2 投資情報部 シニアエコノミスト 宮川 憲央 低成長にとどまった1-3月期の米国経済 ~米国・GDP(2016年1-3月期、速報値) 1-3月期の実質GDP(速報値)は前期比年率+0.5%となり、2015年10-12月期の同+1.4%から減 速し、市場予想もやや下回る結果となった。 個人消費や住宅投資の底堅さを支えにプラス成長は確保したものの、海外経済の低迷、ド ル高、原油安といった外部環境からの逆風の影響によって、製造業を中心に、企業部門や 海外からの需要が抑制されていることが確認される結果といえるだろう。 今後の米国経済については、雇用・所得の増加や安価なガソリン価格に支えられて、個人消 費は堅調に推移していくとみられる。また、足取りの重さは残るものの、原油安やドル高の動 きが和らいでいることもあり、製造業もこれまでの減速から持ち直していくとみられる。こうし た点から、米国経済の緩やかな成長トレンドは今後も継続すると判断している。 家計部門は底堅いも のの、企業部門や海 外からの需要は弱め 1-3月期の実質GDP(速報値)は前期比年率+0.5%となり、2015年10-12月期の同 +1.4%から減速し、市場予想(ブルームバーグの集計では同+0.7%)もやや下回る結 果となった。 需要項目別の主な内訳をみると、個人消費の増加ペースが鈍化したほか、設備 投資、在庫投資、純輸出が2015年10-12月期から減少した一方、住宅投資や政府 支出は増加した。個人消費については、可処分所得は同+2.9%と堅調に増加したも のの、株価の下落等が消費者心理の慎重化につながったことが影響したとみられ る。また、設備投資は2四半期連続の減少。原油価格の下落から、油田開発等、鉱 業関連の構築物投資は同▲86.0%と大幅な減少が続いたほか、機器投資も減少が 続いた。企業収益が悪化するなかで、企業の投資に対する慎重な姿勢が続いてい るとみられる。総じてみれば、個人消費や住宅投資といった家計部門の需要は底堅 い一方、海外経済の低迷、ドル高、原油安といった外部環境からの逆風の影響に よって、製造業を中心に、企業部門や海外からの需要が抑制されていることが確認 される結果といえるだろう。 今回のGDP統計の内容は、アトランタ連銀が発表するリアルタイムでの成長率予 測モデル「GDP Now」で示されていた姿や4月の米連邦公開市場委員会(FOMC) 声明文で描写されていたものにおおむね近い。FOMCとしてある程度、今回の低成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 2016/5/2 グローバル・マクロ・トピックス 長は予測されたものといえるだろう。雇用が堅調に増加していることもFOMCの景気 認識を支えている。とはいえ、低成長が続いた場合には、雇用の増加ペースにも影 響が及んでくるため、6月利上げ決定のためには、4月以降のデータで米国経済が 1-3月期の弱い動きから持ち直していることを確認する必要があろう。 今後の米国経済については、米国の株価がすでに高値圏まで回復していること に加えて、雇用・所得の増加や安価なガソリン価格を支えに、GDPの7割程度を占 める個人消費は堅調に推移していくとみられる。また、足取りの重さは残るものの、 原油安やドル高の動きが和らいでいることもあり、製造業もこれまでの減速から持ち 直していくとみられる。こうした点から、国内需要がけん引する米国経済の緩やかな 成長トレンドは今後も継続すると判断している。 米実質GDP成長率の推移(前期比年率) (四半期:2012/3~2016/3) (%) 6 5 4 個人消費 設備投資 住宅投資 在庫投資 純輸出 政府支出 3 2 1 0 ▲1 ▲2 ▲3 ▲4 12 13 14 15 16 (年) 出所:米商務省のデータよりみずほ証券作成 実質GDP成長率の推移(前期比年率) (%) 2015年 1-3月 実質GDP 個人消費 耐久財 非耐久財 サービス 設備投資 構築物 機器 知的財産 住宅投資 在庫投資(注) 純輸出(注) 輸出 輸入 政府支出 連邦政府・国防 連邦政府・非国防 州・地方政府 0.6 1.8 2.0 0.7 2.1 1.6 ▲ 7.4 2.3 7.4 10.1 0.9 ▲ 1.9 ▲ 6.0 7.1 ▲ 0.1 1.0 1.2 ▲ 0.8 4-6月 3.9 3.6 8.0 4.3 2.7 4.1 6.2 0.3 8.3 9.3 0.0 0.2 5.1 3.0 2.6 0.3 ▲ 0.5 4.3 7-9月 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 2.0 3.0 6.6 4.2 2.1 2.6 7.2 9.9 0.8 8.2 0.7 0.3 0.7 2.3 1.8 1.4 2.8 2.8 10-12月 1.4 2.4 3.8 0.6 2.8 ▲ 2.1 ▲ 5.1 ▲ 2.1 ▲ 0.2 10.1 ▲ 0.2 ▲ 0.1 ▲ 2.0 ▲ 0.7 0.1 2.8 1.5 ▲ 1.2 2016年 1-3月 0.5 1.9 ▲ 1.6 1.0 2.7 ▲ 5.9 ▲ 10.7 ▲ 8.6 1.7 14.8 ▲ 0.3 ▲ 0.3 ▲ 2.6 0.2 1.2 ▲ 3.6 1.5 2.9 (注)在庫投資、純輸出は寄与度 出所:米商務省のデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2016/5/2 金融商品取引法に係る重要事項 グローバル・マクロ・トピックス ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化 等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料 をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税 込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含 む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込 むことがあり、損失を被ることがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与 えることがあります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が 当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売 却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市 場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商 品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および 諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。 詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金 に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、 約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別 途手数料および諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託 手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券 取引口座管理料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決 定した為替レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または お客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-160502-06 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33
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