マンションで受動喫煙の 被害にあったら?

山村 行弘
Yamamura Yukihiro
弁護士。第一東京弁護士会所属
一般民事・刑事事件、知的財産、法律相談などを手がける。
協力:萩谷雅和(萩谷法律事務所)
第
47 回
マンションで受動喫煙の
被害にあったら?
相談者の
気持ち
マンションの隣室の人がベランダや通路でたばこを吸っています。流れてくる
たばこの煙を吸うと気分が悪くなるので、喫煙をやめてもらう方法はあるので
しょうか?
えていると言える必要があります。
家族に喫煙を嫌われて、集合
この点、裁判例には、マンションの真下の部
住宅のベランダ等の共用部分で
たばこを吸う人は少なからずいると思います。
屋に住む被告がベランダで喫煙を継続したこと
しかし、そのことによって、近隣の部屋の住人
により、上階の住人である原告の居室のベラン
に受動喫煙の被害を及ぼすことがあります。こ
ダや室内にたばこの煙が流れ込み、それが原因
のような場合、受動喫煙の被害にあっている人
で体調が悪化したため、被告に対して損害賠償
は、どのようなことができるでしょう。
を求めたという事案において、
「マンションの専
まず、集合住宅の使用細則にベランダ等の共
有部分及びこれに接続する専用使用部分におけ
用部分における喫煙に関する取り決めがあるか
る喫煙であっても、マンションの他の居住者に
確認しましょう。使用細則に共用部分における
与える不利益の程度によっては、制限すべき場
喫煙を制限する取り決めがある場合は、その取
合があり得るのであって、他の居住者に著しい
り決めに基づき、管理組合から喫煙を控えるよ
不利益を与えていることを知りながら,喫煙を
う働きかけてもらうことができるでしょう。
継続し、何らこれを防止する措置をとらない場
では、共用部分における喫煙を制限する取り
合には、喫煙が不法行為を構成することがあり
決めがなかったり、あっても、喫煙者が従わな
得ると言える」
としたうえで、原告の室内に入る
い場合、受動喫煙の被害者はどのようなことが
たばこの煙の多さや、原告が被告に対して繰り
できるでしょうか。
返し喫煙をやめるように求めていたこと等を理
このような場合、受動喫煙者が、喫煙者に対
由に、不法行為の成立を認めたものがあります
し、不法行為(人格権侵害)
に基づく損害賠償請
(名古屋地裁平成 24 年 12 月 13 日判決)
。もっ
求やそれを根拠とする喫煙行為の差止請求を行
とも、この裁判においても、慰謝料の算定にお
うことが考えられます。ただ、喫煙が不法行為
いては、原告側にも
「ある程度は受忍すべき義
に当たると言えるためには、その受働喫煙の害
務がある」として、50,000 円をもって相当と
が、社会通念上我慢できる限度
(受忍限度)
を超
判断しています。
2016.4
国民生活
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