米国MLPマーケット・ウィークリー

米国MLPマーケット・ウィークリー
当レポートでは、パイプライン等のエネルギー関連資産を保有・運営する米国のMLP(共同投資事業の一形態)に関する情報提供を行います。
≪先週の米国MLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)市場概況≫
アレリアンMLP指数
価格指数
トータル
リターン指数
米国株(S&P500)
予想配当
利回り
トータル
リターン指数
予想配当
利回り
2016年3月29日
米国REIT
トータル
リターン指数
米10年国債
利回り
予想配当
利回り
WTI
原油先物
( ドル/ バレル)
ヘンリーハブ
天然ガス先物
( ドル/ 百万
BTU)
2015年12月31日
289.76
1,103.67
8.53%
3,821.60
2.15% 14,650.51
3.83%
2.27%
37.04
2.34
2016年3月18日
274.33
1,071.17
8.76%
3,852.15
2.26% 15,190.33
4.39%
1.87%
39.44
1.91
2016年3月24日
261.86
1,022.49
9.03%
3,827.14
2.28% 15,003.18
4.44%
1.90%
39.46
1.81
前週比
-4.5%
-4.5%
0.27%
-0.6%
0.02%
-1.2%
0.05%
0.03%
0.1%
-5.3%
年初来
-9.6%
-7.4%
0.50%
0.1%
0.13%
2.4%
0.61%
-0.37%
6.5%
-22.7%
前年比
-38.6%
-33.7%
2.66%
-0.5%
0.23%
-0.4%
0.92%
0.03%
-16.9%
-35.2%
(2012年末=100)
トータルリターン指数(配当込み)
180
14%
S&P500
160
MLP・S&P500・米国REITの配当利回りと長期金利
12%
10%
140
8%
120
米国REIT
100
MLP
6%
米国REIT
4%
80
2%
MLP
60
13/1/1
13/7/1
14/1/1
14/7/1
15/1/1
15/7/1
0%
13/1/1
16/1/1
米10年国債利回り S&P500
13/7/1
14/1/1
14/7/1
15/1/1
15/7/1
16/1/1
(出所)ブルームバーグ (注)データ期間:2013年1月1日~2016年3月24日、MLP=Alerian MLP Index、米国REIT=FTSE NAREIT All Equity REITs Index
≪アレリアンMLP指数構成銘柄の週間騰落率ランキング(3月21日~3月24日)≫
上昇率上位5銘柄
業種
時価総額
( 1 0 0 万ドル)
1
Columbia Pipeline Partners LP
天然ガス輸送
1,429
2
Capital Product Partners LP
石油海上輸送
368
3
AmeriGas Partners LP
小売販売
3,999
4
Crestwood Equity Partners LP
集積・処理
5
Phillips 66 Partners LP
石油輸送
(出所)ブルームバーグ
週間騰落率
(%)
下落率上位5銘柄
業種
時価総額
( 1 0 0 万ドル)
週間騰落率
(%)
9.1 Calumet Specialty Products Partners LP
石油精製
860
-18.4
3.0 Antero Midstream Partners LP
集積・処理
3,833
-14.6
0.2 Williams Partners LP
集積・処理
11,142
-9.8
704
0.2 Plains All American Pipeline LP
石油輸送
8,659
-9.7
5,155
0.2 Alliance Resource Partners LP
石炭生産
874
-8.8
(注)時価総額は2016年3月24日時点。
≪先週の米国MLP市場の動き≫
先週のアレリアンMLP指数(トータル・リターン)は前週末比-4.5%となり、2月中旬からのMLP市場の上昇も足元では一服
しつつあります。先週のWTI原油先物価格は、1バレル=40ドル前後の水準で概ね横ばいの推移となりました。
リーマンショックが発生した2008年前後のMLPの資金調達は、金融危機の発生に伴って縮小傾向にあったものの、原油
価格急落後の2015年には、主にデット資金を中心に前年を上回る底堅い資金調達が実施されました。金融危機時とは異
なって、原油価格が急落した後もMLPがエクイティやデットによる一定の資金調達手段を確保できていることは、今後の設
備投資や合併・買収(M&A)などの成長投資を資金調達面から支援する要因となると考えられます(先週も中堅MLPの
Shell Midstream Partners LP(SHLX)が3.5億ドルの公募増資を実施)。
また、現在計画済みの設備投資やM&Aについては、2015年の資金調達によって概ね資金の手当ては完了しているとみ
られ、2016年以降は計画中の投資案件が順次稼働し始めることで、MLPのキャッシュフローの拡大が期待されます。
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて作成したも
のですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証するものではありません。
また記載されている運用スタンス、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びここに記載された情報・商品
に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で配布することはご遠慮ください。●当
資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当該銘柄の売買または保有を推奨するものではありません。
米国MLPマーケット・ウィークリー
≪先週の米国MLP関連ニュース≫
【3月23日、増資】 Shell Midstream Partners LP(SHLX、石油輸送、時価総額55億ドル)は3.5億ドルの公募増資を実施。
【3月23日、買収シナジー効果】 Energy Transfer Equity LP(ETE、天然ガス輸送、同73億ドル)は、大手パイプライン企
業Williams社の買収による2020年までのシナジー効果の推定値を、当初の年間20億ドルから年間1.7億ドルへ引き下げ。
【3月24日、売出し】 Antero Midstream Partners LP(AM、集積・処理、同38億ドル)は親会社のAntero Resources社が
保有するAM株式(800万株、総額約1.79億ドル)の売出しを実施。
(出所)MLP公表資料、各種報道、ブルームバーグ、ファクトセット (注)各MLPの時価総額は2016年3月24日時点。
≪MLP関連トピック≫ 原油価格急落後のMLPの資金調達動向
原油価格急落後もMLPの資金調達環境は安定
リーマンショック前後の局面と原油価格急落後の2015
年のMLPの資金調達環境を比較すると、リーマンショック
図1:中流・下流MLPによる資金調達動向
原油価格急落後
(10億ドル)
100
前後には金融危機の発生に伴ってMLPによる資金調達は
90
エクイティ調達額
縮小傾向にあったものの、原油価格急落後の2015年に
80
デット到達額
は、MLPは主にデット資金を中心に前年を上回る底堅い資
70
金調達の実施に成功しています(図1)。
60
大手MLPほど安定した財務基盤を持つ傾向
2015年のデット資金調達の内訳は、社債発行が45.6%、
50
30
20
社債市場での資金調達能力の高さを背景に、デット資金
10
2016年2月末時点の中・下流MLPの格付別時価総額
構成を見ると、全体の約65%を投資適格級のMLPが占め
ています(図2)。特に時価総額規模が大きい上位10銘柄
のうち9銘柄が投資適格級格付を保持しているなど、大手
MLPほど安定した財務基盤を持つ傾向がみられます。
デット調達
796億米ドル
リーマンショック前後
40
銀行借入が54.4%でした。特に投資適格級のMLPでは、
調達の中でも社債発行が優勢な傾向にありました。
エクイティ調達
152億米ドル
0
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(年)
(出所)ファクトセット (注)2015年末時点の時価総額上位50社の中
流・下流MLP。デット調達は社債発行および銀行融資の合計。
図2:中流・下流MLPの格付別時価総額構成比
(2016年2月末時点)
格付なし
安定的な資金調達はMLPの成長投資の支援要因
金融危機時とは異なって、原油価格が急落した後も
16.7%
MLPがエクイティやデットによる一定の資金調達手段を確
保できていることは、今後の設備投資や合併・買収
(M&A)などの成長投資を資金調達面から支援する要因
となると考えられます。また、現在計画済みの設備投資や
投機的等級
18.5%
64.8%
M&Aについては、2015年の資金調達によって概ね資金
の手当ては完了しているとみられ、2016年以降は計画中
投資適格級
の投資案件が順次稼働し始めることで、MLPのキャッシュ
フローの拡大が期待されます。
(出所)ブルームバーグ
(注)格付はS&Pに基づく。母集団は2016年2月末時点の74銘柄。
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて作成したも
のですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証するものではありません。
また記載されている運用スタンス、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びここに記載された情報・商品
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資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当該銘柄の売買または保有を推奨するものではありません。