「暮らし続けられる」連携を

医療が変われば、介護が変わる
その②
高 齢 者 の 多 く は 何 ら か の 用 で き ず、治 療 を 中 断 し て
体 の 不 調 を 訴 え、腰 や 足 が し ま う 場 合 も あ る よ う で
痛 い と い え ば 整 形 外 科 に、 す。そ ん な 高 齢 者 が 地 域 の
高血圧や糖尿病等の生活習 中で﹁暮らし続ける﹂ため
慣 病 で は 内 科 に、そ の 他、 に は、地 域 の 中 で 医 療 と 介
歯 科 や 眼 科、耳 鼻 咽 喉 科 に 護 が ど の よ う に 連 携 す れ ば
歳を超えた夫婦世帯A
と、さ ま ざ ま な 診 療 を 受 け よいのでしょうか。
歳以上 70
て お り、十 分 に 内 服 薬 を 服 は 糖 尿 病 を 患 っ て お り 投 薬
は 認 知 症 に な る と も 言 わ れ に 移 り 住 み ま し た。ご 主 人
の 高 齢 者 の う ち 2 人 に 1 人 さ ん は、退 職 と と も に 郊 外
て い ま す。ま た、
85
経営診断のプロが
アドバイス 第152回
MMPG会員紹介 株式会社佐々木総研
代表取締役 佐々木 大
福岡県北九州市。1986年設立。医
療・福祉・介護を中心に、地域に
根差したワンストップのコンサル
ティングに定評がある。
筆者紹介(長 幸美)
福 岡 県 出 身。2 0 1 5 年 株 式 会 社
佐々木総研入社。経営コンサルテ
ィング部経営支援課、シニアコン
サルタント。20年の病院勤務経験
を活かした医療・介護にまつわる
様々な相談に従事。
株式会社佐々木総研 長 幸美(ちょう ゆきみ)
「暮らし続けられる」連携を
治療が必要でしたが、徐々 あると判断。結果、施設を 活に向けてカンファレンス
に物忘れが生じ、ご自身で 転々とされ、自宅で夫婦一 を行うなど、とても親身に
の服薬ができなくなりまし 緒に生活することはなかっ 支援してくださいました。
た。奥さんが毎食後の投薬 たそうです。﹁たら﹂﹁れば﹂ 同じ病院であったため、日
管理を行っていましたが、 の話になりますが、もしも、 中も一緒に過ごす時間があ
奥さんも胃に不調を訴え、 ショートステイ先の病院で り、ご主人の不穏や認知症
かかりつけ医を受診したと ご主人に寄り添うことが出 もあまり進行することはあ
ころ、胃がんが見つかり、 来たら、向精神薬の投薬を りませんでした。また、地
手術のため急性期病院へ3 行わずに済んだら、かかり 域に開かれた病院であった
週間ほど入院することに。 つけ医が﹁在宅医療﹂を考 ためかかりつけ医が入院中
その間、ご主人は別の病院 えてくれたならば、ご主人 に見舞いにくることもあっ
が運営するショートステイ はもっと自分らしく余生を たそうです。介護サービス
紹介・提案してもらい、ご
を利用することになりまし 過ごすことが出来たかもし や福祉サービスについても
た。奥さんの手術は無事成 れません。
功しましたが、ご主人はシ Aさんご夫婦と同じよう 夫婦揃ってご自宅に帰るこ
ョートステイ先で認知症が に認知症を患っているご主 とができました。
進行。投薬量が増え、さら 人とその奥さんが、ともに 今回の診療報酬改定の中
には、転倒、骨折し手術を 入院が必要となったケース でも、専門職がその専門性
﹁い か に 生 活 を
受けました。骨折により体 では、お二人揃って同じ病 を 活 か し、
も思うように動かせなくな 院の地域包括ケア病床に入 支えるか﹂ということに視
り、在宅医療と介護を必要 院しました。この病院では、 点が置かれています。20
とする状態でしたが、かか 地域連携室の看護師とリハ 25年を見据えて地域の中
りつけ医は﹁在宅医療を行 ビリのセラピストが入院前 でどのようなことが求めら
わない﹂
方針であったため、 からサポートのあり方につ れているのかを考えていき
︵株 式 会 社 佐 々
奥さんの退院後も自宅で一 いて面談を重ね、看護師や ま し ょ う。
緒に生活することは困難で 社会福祉士等が退院後の生 木総研/長幸美︶