『黙働清掃』

生徒諸君へ
校長室の窓から
2015.7.7
第4号
『黙働清掃』
皆さんは松下幸之助(まつした こうのすけ、明治 27 年 11/27~平成
元年 4/27)という人物を知っていますか。パナソニック(旧社名は松下
電器産業)を一代で築き上げた経営者で、経営の神様とも言われていま
す。この松下幸之助氏は掃除が人の修養に役立つという信念を持ってい
たそうです。「掃除によるしんぼうが人を成長させ、しんぼうの果てに
身についた技術が仕事の質の向上につながり、何事によらずコツをつか
むヒントになっていく。掃除と仕事は同質のもの。」という考えを講演
でお話されたこともあったそうです。
さて、本校では「黙働清掃」に取り組んでいます。ここで、黙働清掃について考えてみ
ましょう。集団で清掃しているにもかかわらず、黙って清掃することで得られるものの一
つは「決断力」だと考えます。あらかじめ「はき掃除」「ふき掃除」と役割が決められて
いるとはいえ、ことあるごとにその場その場でいつも違う場面に出くわします。今日に限
って出た大量のプラゴミとか、枯れかけた生け花とか、無くなってしまった黄色のチョー
クとか・・・・・。その時々で人に聞くことはできないので、自分に決断が迫られます。
小さな選択とはいえ、決断力が磨かれます。二つ目は「考える力」です。黙って集中して
清掃すれば、自分の与えられた仕事などすぐに終わってしまうかもしれません。そんな時、
「他の清掃分担で、人手が足りないところはないかな」「どこかまだ汚れているところは
ないかな」「もっと気持ちのよい教室にするにはどうしたらいいかな」そんなことを考え
るはずです。三つ目は「気配りの力」です。「あの机、一人では運べない。手伝ってあげ
よう」と手助けをします。「バケツの水、汚れたな・・・きれいな水にくみかえてこよ」
と気を配ります。
たった15分の清掃ですが、無言で行うことで3つの力が磨かれると思えば、何かやる
価値があるのではないでしょうか。黙働清掃、黙って清掃をしていますが、実は自分自身
と会話を交わしながら清掃を行っているのですね。