量子力学 I レポート問題 (H20, 7/28) 担当:栗本

量子力学 I レポート問題 (H20, 7/28) 担当:栗本
〆切 8/8(金):
栗本の研究室 (理 1 号館 2F A218 室) のドアのポストへ提出せよ.
(提出時にいちいちドアをノックする必要なし.)
物理学科の同級生に説明するつもりで論理をはっきりとさせて解答せよ.結果だけの解答、途中の計算が不明な解答
はたとえ答が合っていても大幅な減点とする。
1. 量子力学的な物理現象を 2 つ挙げ,それぞれについて説明せよ.説明には,古典物理学では説明が困難な点と,量
子力学を用いることによってそれがどう解決されるかを明確に示すこと.
2. 以下の計算を行え.
(a) 波長 7 × 10−7 m の光量子のエネルギーと運動量を有効数字一桁で求めよ.ただし,エネルギーの単位は eV
で求めること.
(b) 0.32 [KeV] のエネルギーを持つ電子の物質波の波長を有効数字一桁で求めよ.
3. 3 次元で考える.粒子の波動関数が ψ(x, y, z) = Ae−(k/2)(x
a) 規格化条件から A を求めよ.
b) x2 + y 2 + z 2 の期待値を求めよ.
2
+y 2 +z 2 )
(A, k > 0, は実数の定数) で与えられている時,
4. 1 次元で考える.粒子の波動関数を
ψ(x, t) とし,x = ±∞ で ψ = 0 とする.シュレーディンガー方程式を用いて
Z
d
ρ = ψ(x, t)∗ ψ(x, t)dx が時間によって変化しないこと,すなわち ρ = 0 ,を示せ.
dt
5. 水素原子のハミルトニアン H は,球座標 (x = r sin θ cos φ, y = r sin θ sin φ, z = r cos θ) を用いると
H=−
h̄2
e2
∆−
,
2m
4π0 r
∆=
∂2
1 ∂2
1
∂2
2 ∂
cos θ ∂
2
2 + r ∂r + r 2
2 + r 2 sin θ ∂θ + 2
r sin θ ∂φ2
∂r
∂θ
で与えられる.ここで,m は電子の質量,−e は電子の電荷,0 は真空の誘電率である. N と a0 を定数として,
水素原子の基底状態の波動関数は ψ = N e−r/a0 と表すことができる.ψ が H の固有関数となるように a0 を決め
よ.また,基底状態でのエネルギー固有値を求めよ.
6. 演算子 a, a† が交換関係 [a, a† ] = 1 を満たしている.また,真空状態 |0i を a|0i = 0 を満たす状態として定義す
る.このとき以下の問いに答えよ.
(1) N = a† a と定義するとき,N a† |0i = a† |0i を示せ.
(2) N |ni = n|ni を満たす状態 |ni (n は 1 以上の整数) に対し,N a|ni = (n − 1)a|ni を示せ.
(3) N |ni = n|ni を満たす状態 |ni (n は 0 以上の整数) に対し,N a† |ni = (n + 1)a† |ni を示せ.
7. |`1 , `1 i|`2 , `2 i が (J~1 + J~2 )2 の固有値 (`1 + `2 )(`1 + `2 + 1) の固有状態になっていることを示せ.
8. Z
同種粒子を考え,1 つの粒子についての波動関数が φn (x1 ) (n は量子数) で与えられ,
(φk (x))∗ φ` (x)dx = δk` とする.系全体の波動関数が
Ψ = C12...N φn1 (x1 )φn2 (x2 ) · · · φnN (xN ) + C21...N φn1 (x2 )φn2 (x1 ) · · · φnN (xN ) + · · ·
(C... は定数の係数) のように個々の粒子の波動関数の積の線形結合で与えられる場合,
(a) N = 2 でボーズ粒子の場合の系全体の規格化された波動関数を書け.
(b) N = 2 でフェルミ粒子の場合の系全体の規格化された波動関数を書け.
(c) N = 3 でフェルミ粒子の場合の系全体の規格化された波動関数を書け.
以上