Title Multimodal組織を有するMg-Zn

熊本大学学術リポジトリ
Kumamoto University Repository System
Title
Multimodal組織を有するMg-Zn-Gd合金押出材のクリープ
変形挙動の解明
Author(s)
城野, 百合
Citation
Issue date
2015-03-25
Type
Thesis or Dissertation
URL
http://hdl.handle.net/2298/32325
Right
氏
名
城野 百合
主論文審査の要旨
【学位論文の内容説明】
本学位論文では、不均一組織を有する長周期積層構造型マグネシウム合金展伸材の高
温クリープ特性に関する研究の成果がまとめられおり、全編 6 章から構成されている。
第一章「序論」では、新規開発された長周期積層構造(LPSO)型 Mg 合金に関する研究
の現状を述べ、不均一組織を有する Mg 合金の高温変形機構の解明の意義を明確にした上で、
本研究の目的について記述されている。
第二章「実験方法」では扱った長周期積層構造型 Mg-Zn-Gd 合金押出材の作製方法および
クリープ試験法、金属組織観察方法について記述されている。
第三章「Mg-Zn-Gd 合金のクリープ変形挙動に及ぼす multimodal 初期組織形成の影響」で
は、不均一な multimodal 組織を構成する領域の中で耐クリープ性向上に寄与する領域を明
らかにしている。
第四章
「Multimodal 組織を有する Mg-Zn-Gd 合金における局所クリープひずみの定量評価」
では、クリープ変形を担う領域を明らかにするために微細格子描画法による各領域のひず
み量を定量的に調査し、変形を律速している領域を明らかにしている。
第五章「クリープ変形中の multimodal 組織の安定性」では、クリープ変形中の各領域の
安定性についてクリープ変形前後の組織観察を行うことで調査し、その変形機構について
明らかにしている。
第六章「総括」では、各章で得られた結果を要約し総括している。
【出願者の総合理解力についての説明】
学位論文提出者は、軽量構造材料の研究開発の現状を的確に把握した上で、本論文で取
り扱った LPSO 型 Mg 合金に関する最新の研究結果に関する正しい理解のもとに、不均一組
織を有する Mg 合金押出材の高温変形機構の解明に取り組んでおり高い総合理解力を有し
ている。
【結果に至った客観的評価内容】
本学位論文の主旨を第一著者として著した論文 2 編が査読付き欧文学術誌に掲載されて
いることを確認した。また、国内学会 13 件、国際学会 6 件の口頭およびポスター発表がな
されており、優秀ポスター賞を 5 件受賞していることを確認した。
【各専攻講座における学位授与基準を満足していることの裏づけ】
マテリアル工学講座は学位授与基準として、(1) 修了に必要な所定の単位 12 単位を習得
し、(2) 第一著者として査読付き査読付き学術誌に学位論文研究の内容を 2 編以上公表(1
編以上が国際的学術誌に公表)しており、(3) 国内外の学会にて十分な成果発表(内 1 回以
上が英語による発表)を行なっていることとしているが、客観的評価内容の説明で述べた
通り、学位論文提出者は上記基準の全てを満たしている。
最終試験の結果の要旨
【最終試験結果の説明】
審査委員会は、学位論文提出者に対して論文の内容および関連分野について諮問を行っ
た。その結果、論文提出者は、当該研究分野及び周辺領域について十分な知識と理解力を
有していると判断した。また、学位論文提出者は既に第一著者として査読付き欧文学術誌
に英論文を公表しており、語学力に関しても十分な能力を有すると判断される。以上の理
由から、学位論文提出者は研究者として十分な研究遂行能力を有し、英語による論文作成
能力についても学位授与に付随して要求される水準にあると認めた。以上の結果に基づき、
審査委員会は最終試験を合格と判断した。
【学位論文のインターネット公表を「全文」
「要約」のどちらにするかの結論とその理由】
本学位論文の第三章の一部および第四章については学術誌を通して公表がなされている
ものの、第三章の一部および第五章には未発表データが含まれている。これら未発表デー
タについてもまとめて論文として学術誌へ投稿する予定であり、投稿前に学位論文のイン
ターネットによる「全文」掲載を行うことは二重公表と判断される恐れがあるため、
「要約
」掲載に留める。
審査委員 複合新領域科学専攻複合新領域科学講座
教授 河村 能人
審査委員 産業創造工学専攻マテリアル工学講座
教授 安藤 新二
審査委員 産業創造工学専攻マテリアル工学講座
准教授 山崎 倫昭
審査委員 複合新領域科学専攻複合新領域科学講座
教授 真下 茂