Page 1 Page 2 論文題目 GIRKチャネルを標的にした次世代型難治性脳

熊本大学学術リポジトリ
Kumamoto University Repository System
Title
GIRKチャネルを標的にした次世代型難治性脳疾患治療薬
(抗うつ薬とアルツハイマー病治療薬)の開発に関する研
究
Author(s)
河原, 遼
Citation
Issue date
2016-03-25
Type
Thesis or Dissertation
URL
http://hdl.handle.net/2298/34824
Right
河原
論文題 目
GIRKチ
遼
論 文審査の要 旨
ャ ネ ル を標 的 に した 次 世 代 型 難 治 性 脳 疾 患 治 療 薬(抗
ツハ イ マ ー 病 治 療 薬)の
うつ 薬 とアル
開発 に 関す る研 究
審 査 内容
本 論 文 は 、鎮 咳 薬 と して 長 年 臨床 適 用 され て き た チ ペ ピ ジ ンや ク ロペ ラ スチ ン等 の薬 物
が 内 向 き整 流 性 カ リウ ムチ ャネ ル(GIRKチ
ャネ ル)遮 断 作 用 を有 す る こ とに着 目 し、これ
らの薬 物 の うつ 病 お よび アル ツ ハ イ マ ー 型 認 知 症 へ の適 応 拡 大 を念 頭 に置 い て蓄 積 した
基 礎 研 究 の結 果 を提 示 して い る。 まず 、脳 内 で の作 用 に 関 して既 存 の 抗 うつ 薬 との比 較
を行 うた め 、種 々 の脳 部位 の神 経 活 動 レベ ル に及 ぼ す 鎮 咳 薬 の効 果 に つ い て解 析 した 。
そ の結 果 、正 常 ラ ッ トにお い て は 、 チ ペ ピジ ン が既 存 の 抗 うつ 薬 で あ るデ シプ ラ ミン と
同様 に扁 桃 体 中心 核 の神 経 活 動 を充 進 す る の に加 え、 モ ノア ミン神 経 の 起 始 核 で あ る縫
線 核 や 青 斑 核 な どの他 の 脳 部 位 にお い て も神 経 活 動 を著 明 に充 進 す る こ とを新 た に見 出
した。ま た 、既 存 薬 に よる治 療 に抵 抗 性 を示 す うつ 病 のモ デ ル で あ るACTH処
置ラッ ト
にお い て も、 正 常 ラ ッ トに対 す る作 用 とは一 部 異 な るプ ロ フ ァイ ル を示 す もの の、 チ ペ
ピジ ンが 複 数 の 脳 神 経 核 にお い て神 経 活 動 充 進 作 用 を発 揮 す る こ とを示 した 。 次 に、 ア
ル ツハ イ マ ー 型 認 知 症 に 関連 す る数 種 のモ デ ル 動 物 を用 い て 鎮 咳薬 の 作 用 を検討 した と
ころ 、ア ミロイ ドβタ ンパ ク質 部 分 ペ プ チ ド(Aβ25.35)を
脳 内投 与 した マ ウス にお い て 、チ
ペ ピジ ンお よび ク ロペ ラス チ ン が認 知機 能 障 害 を改 善す る こ とを 見 出 した の に加 え、脳
内 ドパ ミン神 経 系 が この 改 善 作 用 を媒 介 す る可 能 性 を初 めて 見 出 した。 さ らに、 ア ミロ
イ ド前 駆 タ ンパ ク質 過 剰 発 現 マ ウス(APP23マ
ウス)の 呈す る認 知 機 能 障 害 に対 して 、 ク
ロペ ラス チ ンの 持 続 投 与 が 改 善 作 用 を示 す こ と も明 らか に した 。
これ らの知 見 は 、 チ ペ ピジ ンや ク ロペ ラ ス チ ン を は じめ とす る 中枢 性 鎮 咳 薬 が 、既 存
薬 で は十 分 な治 療 が 困難 と され る うつ 病 や アル ツハ イ マ ー型 認 知 症 に 対す る有 用 な 治療
選 択 肢 とな り得 る との仮 説 に対 して 、 基 礎 研 究 レベ ル で の 重 要 な根 拠 を 与 え る もの で あ
る。 申請者 は、 自身 の研 究 に 関連 す る諸 分 野 の知 識 を広 く有 してお り、 そ の 知識 に 基 づ
い て綿 密 な研 究 を遂 行 し、 これ らの 新 知 見 を得 る に至 っ た。 以 上 の こ とか ら、本 申請 論
文 は博 士(薬 学)の 学 位 授 与 に値 す る もの と判 断 され た。
審査委員
薬物活性学分野
教
授
香月
博志
審査委員
遺伝子機能応用学分野
教
授
甲斐
広文
審査委員
薬学生化学分野
教
授
杉本
幸彦
錨 .
々
轟
除