熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title 遊離ヘム介在性臓器障害に対する一酸化炭素付加赤血球 の有用性評価 Author(s) 大柿, 滋 Citation Issue date 2014-03-25 Type Thesis or Dissertation URL http://hdl.handle.net/2298/30529 Right 大柿滋 論文題目 論文審査の要旨 遊離ヘム介在性臓器障害に対する一酸化炭素付加赤血球の有用性評価 審査内容 本論文は、一酸化炭素(CO)を赤血球(RBC)に付加した CO-RBC の特性に着目し、 種々の遊離ヘム介在性臓器障害に対する有用性を解明した研究であり、以下の点を明ら かにした。 ぐ 1 )洗浄 RBCの 5分間の c oバブリングにより、簡便かっ短時間に作製した CO-RBCを、出 血性ショックモデルラットに投与したところ、 RBC と同等の蘇生効果を示した。加えて、 出血性ショック後 RBC輸血で誘発されるヘム依存的な肝障害に対して、 CO-RBC輸血では 抑制効果を示した。以上の結果から、 CO-RBC が、出血性シー ヨツク蘇生効果と輸血に伴う 遊離ヘム介在性の肝 I / R障害の抑制効果を兼ね備えた新規な蘇生剤であること見出し た 。 2 ) CO-RBC輸血では、 c oを緩徐に放出しながら酸素と置換する結果、 RBC輸血後急性期に 生じる活性酸素(ROS)産生を抑制し、肝チトクロム P450 (CYP)の分解を軽減化するこ とが示唆された 並びに TLR-4の膜上の発現を抑える結果、輸血後後期におけるクッパ ー細胞由来の炎症性サイトカインによる CYP発現低下を抑制することが推察された。 3 ) CO-RBC は、グリセロール誘発の非外傷性横紋筋融解症急性腎障害(A K I ) モデ、ルラッ トに対して、救命効果を認めた。これには、腎 CYP 由来へム及びミオグロビン酸化体の 腎蓄積を抑制する結果、腎保護効果を示すことによることが示唆された。加えて、外傷 性横紋筋融解症 AKI モデ、ルで、ある出血性ショック併発モデル及びクラッシュ・シンドロ ームモデルに対しでも、 CO-RBCの救命効果が認められた。 く 以上、本研究では、 CO-RBC がヘムタンパク質及びそれに由来するへムが介在する酸化 ストレス関連疾患に対して、治療効果を発揮することを初めて見出し、臨床応用も期待 されることから、学位論文として評価できると判定した。 授授授 薬剤学分野 教教教 審査委員 丸山徹 審査委員 , 薬剤情報分析学分野 入江徹美 審査委員 大槻純男 微生物薬学分野
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