校長便り 2015 第6号

開拓者精神(Frontier Spirit)
四日市南高校 校長便り 2015 第6号
1.
夏休みの振り返り(内省)と気づき
約 40 日間にわたる夏休みが終わりました。終わってみると早いもので、もう少し長く夏
休みが続けばいいのに、と思うのは世の常。皆さんはどうでしたか。夏休み前の校長便り
でそれぞれの学年について、夏休みの大切さを書きましたがどれくらい実行できましたか。
私はそれでも(先生にとっては夏休みは休みではないのですが)、今年の夏休みはけっこう
充実した 40 日間を過ごせたかなと思っています。
さて、2 学期が始まりました。ここで大切なのが自分自身でこの夏休みを振り返って反省
しておくこと。内省(リフレクション)といいますが、ここでは「よかった」とか「よく
なかった」にとどまらず、
「何が良かったのか、良くなかったのか」「これからどうするべ
きなのか」まで未来志向で振り返ることです。東京大学の中原淳先生は社会人のリーダー
シップを研究している人ですが、彼はこの内省(リフレクション)をとても大切にしてい
ます。なぜなら、それが「気づき」につながるからです。21 世紀に生きるためには、この
「気づき」の力がとても大切です。それはこの力がグローバルな世界にあって日本が独自
に持つ武器にもなり(「おもてなし」も気づきから生まれる行動ですよね)、多様な価値観
を持つ人たちとつきあうために必要な能力になるからです。上記の中原先生は 21 世紀のリ
ーダーシップはぐいぐいと人を引っ張っていくのではなく、
「質問を繰り返すことで相手が
自ら気づき、行動を変えていくようにすること」とおっしゃっています。皆さんには、普
段から内省をすることで「気づく」人間になっていってほしいと願っています。これは夏
休みだけでなく、毎日の授業や部活動でも同じこと。1 日 1 日は小さな積み重ねでも何年
も続けることで大きな力になるのです。
よく企業の人事担当者が「どんな学生が合格するのか」を問われて、
「コミュニケーショ
ン能力や積極性や協調性」などと答えます。確かに質問されて考えればそのような答えに
なるのでしょう。でも面接の時に何を見るかといえば「自分たちがこの学生となら一緒に
仕事がしたいか、できるか」なんですよ。そう、私が人事担当者なら一生懸命に「盛った
話」や「実績」を述べる学生より、プレゼンが終わった後のホワイトボードを消して出て
いく学生、座っていた椅子をさりげなく引いて戻していく学生、お辞儀をする姿勢が美し
い学生を合格させますね。
みなさんにとっても「気づき」の力を向上させるのは難しいことではありません。例え
ば、グラウンドの隅に投げ出されているホースやごみ、体育館に向かう通路に積み重なっ
ている落ち葉など、教室ではゴミ箱にたまっているごみを捨てること、黒板を気づいて消
せる、授業のあいさつが丁寧にできる、特別教室で自分が使った机の消しゴムのかすをき
ちんと掃除して帰るなど「自分がやらなければいけないことではないけれど、誰かがやる
べきこと」を自分からできるか(人に言われてでなく)が気づきのポイントです。そして、
それは「大人になっていく」ことの大きな要素でもあります。
2.主体性と行動力
南高祭が終わりました。私にとって初めての本校での文化祭でしたが、みなさんが自分
たちで考えて動く場面をたくさん見ることができ、うれしい経験でした。日常の活動の中
でも今回のように皆さんが主体となって行う場面をもっともっと増やしていってもらえば
四日市南はもっと素晴らしい学校になります。確かに先生方が入って指示をして行ったほ
うがきれいな見栄えのいい行事や活動になるでしょう。しかし、たとえ失敗しても、格好
悪いものになってしまったとしても、生徒が主体性を発揮してやることにこそ価値がある
と思います。
また、始業式でも言いましたが、2 学期以後、特に 1,2 年生は多くの生徒が「行動する
高校生」になってほしいと思います。例えば、県教育委員会の主催する科学オリンピック、
英語キャンプ、進学ハイパー講座などは、ほかの高校生、多様な価値観を持つ同年代の仲
間との貴重な交流になります。ぜひ積極的に参加してください。先日は四日市市議会議員
団の主催で本校において「あすなろう鉄道の明日を考える会」が開催されました。市議会
議員、県議会議員、四日市の行政関係者、あすなろう鉄道の関係者、地元の自治会、NP
Oの方々などたくさんの大人に交じって 5 名の生徒がプレゼンやディスカッションに参加
してくれました。このようにテーマを持って集まった「本気の大人」と交流することは大
変価値のある体験になります。異年齢、異業種の方々、多様な考え、価値観を持った大人
たちと触れ合い、意見交換することで 5 名の生徒は(しんどい思いもあったでしょうが)、
大変貴重な体験をしたと思います。これからもそのような本気の大人と交流する機会をみ
なさんに提供していきたいと思います。ぜひできる限り多くの人が「行動する高校生」に
なっていってください。
前にも書きましたが、全国にはこのような本気の大人、多様な価値観を持った仲間と交
わることで素晴らしい成長を遂げている高校生がたくさん存在します。私は 15 年間にわた
ってキャリア教育に取り組んできて、高校生が本当にわずかな期間に驚くほど成長する姿
をたくさん見てきました。それはみなさんが普段経験する時間の何十倍もの成長をもたら
してくれます。その経験は私に「どんな生徒でも気持ちの持ちようで大きく成長する」
「自
分で歩もうとする意志を持つものに限界はない」ということを教えてくれました。みなさ
んも「自分の力はこんなものだ」と限界を作ることなく、積極的にチャレンジして成長を
遂げてください。
3.保護者の方へ
ここは保護者の方へのお知らせです。また、正式には連絡がありますが、ちょうど中間
考査の時期に保護者用に 2 つのイベントを企画しています。10 月 10 日(土)の 10 時から
11 時半まで「PTA進路講演会」として私が昨今の教育改革の現状とその中で今の高校生
がやらなければならないこと、および本校でそれにどのように対応していくかなど、進路
指導部からの説明会とは別の切り口でお話しします(もちろん入試の話も出てきますが)。
また、10 月 13 日(火)にはPTA大学見学会として名工大、南山大を訪問します。近々、
生徒を通じてご案内しますので、ぜひともご参加ください。
(9 月 7 日)