「気づき」「探究」「言語力」に焦点を当てた学習活動を目指して・・・ 【笠取

「気づき」「探究」「言語力」に焦点を当てた学習活動を目指して・・・
【笠取「宇治学」(探究学習)の実践記録】
◆ サワガニの不思議
サワガニの 不思議を
不思議 を 探 ろう/
ろう / 5 ・ 6 年生 総合的な
総合的 な 学習の
学習 の 時間◆
時間 ◆
笠取川に入ると、子どもたちが必ずすることがあります。
それは、サワガニ探し。サワガニは、笠取小の子どもたちに
とって魅力的な生き物です。5・6年生では、サワガニに着
目し、探究活動を進めていきました。
まずは、サワガニと仲良くなることが大切です。捕まえ
たサワガニに名前をつけ、一人一匹ずつ飼育することにし
ました。笠取小ならではの活動です。
◆サワガニについて知
サワガニについて知っていることはどんなことですか?
っていることはどんなことですか?
サワガニとりや飼育を通して知ったこと、図鑑や本で得た知識を交流しました。
「横歩きをします。」「泡をふきます。」といったカニといえばこうでしょといった発言や、「水槽の壁
をのぼって逃げていきました。」「甲羅が赤黒いものだけでなく、ピンクや紫色したものもいまし
た。」など、観察や飼育の経験をもとにした発言もありました。
そこから様々な疑問が生まれます。
◆サワガニの不思議
サワガニの不思議~
不思議~サワガニはなぜ横歩
サワガニはなぜ横歩きをするのだろうか
横歩きをするのだろうか?~
きをするのだろうか?~
「サワガニは横歩きをします。そんなの当たり前やん。そういうもんやん。」で終わらせないのが
探究学習です。地球で暮らす生き物の中で常に横歩きをするのはカニぐらいのものです。横歩きを
するのは何らかの理由があるはずなのです。
◆体のつくりをじっくりと観察
のつくりをじっくりと観察して
観察して考
して考える
ルーペとピンセットを手に持ち、じっくりと観察しました。「薄っぺらい
体をしています。」「歩くとき、足をバラバラに動かしています。」「足には
いくつも節があります。クレーンみたいに曲がるところと、四十肩みたい
になっているところがありました。」「裏返って起き上がるときに使う足
があります。」「針みたいにトゲトゲした細かい毛が生えています。」これ
まで気づかなかった発見が出てきます。
クレーン、四十肩、針みたいに等の発言は、自分の気づきをみんなが
イメージしやすく、共有しやすくなるようにと工夫したものでした。
◆サワガニの暮
サワガニの暮らす環境
らす環境と
環境と関連させて
関連させて考
させて考える
笠取川の環境と、サワガニ探しの活動を思い浮かべて考え
ました。「体が横に幅広いので、前に歩くと流されてしまうから
だと思います。」「石の隙間に隠れていました。僕も狭いところ
に隠れるときは横歩きをして隠れます。隠れやすいからだと思
います。」「川には色々な大きさの石がありました。乗り越えよ
うとするときは横歩きのほうが安心だからだと思います。私も
遠足で山道を下ったときは、滑らないように横歩きをしまし
た。」「横歩きは他の生き物にはない動きだから、敵がびっくりして逃げやすいのだと思います。」
自分の経験とサワガニの動きとを照らし合わせて考えた発言も多くありました。
◆サワガニが横歩
サワガニが横歩きをするわけは・・・
横歩きをするわけは・・・
気づき、考えをもとに一つの答えを導き出しました。
それは、『
『 サワガニにとって前
サワガニにとって前 に歩 くよりも横
くよりも 横 に歩 く 方が 都合が
都合 が 良いからだ。』
いからだ 。』ということです。
。』
サワガニが進化の過程で川という環境に合わせて体のつくりを変え横歩きを選択したのか、も
ともと横歩きしやすい体のつくりだったから川を生活の場として選んだのかはわかりません。しか
しながら、この学習を通して、環境と生き物の体のつくりは密接に関わっているということに気づ
くことができました。
◆サワガニは前
サワガニは前には歩
には歩かないの?
かないの?
カニは横歩きという常識は正しいのでしょうか?サワガニ
の観察で、足の付け根の部分は四十肩のようだけれど色々な
方向に動くことに気づきました。実は前に歩くことができるの
ではないかという新たな疑問が生まれ、早速実験開始です。
サワガニを野菜の水切り器に入れ回転させます。目を回し
たサワガニは、よたよたと二・三歩前進した後、横歩きをしまし
た。サワガニが前に進む様子を目の当たりにした子どもたちの目を丸くした驚きの表情、興奮冷め
やらぬ教室の雰囲気は長い間続きました。
サワガニは前にも歩きます。これは図鑑や本にも載っていない大発見です。
◆まだまだ疑問
まだまだ疑問は
疑問は尽きません
「サワガニは前に歩いたけれど、海に暮らすカニは前に歩くのかな?」どんどん疑問や不思議は
広がっていきます。この学習を通して、何でだろう、不思議だな。といった事柄への気づきや、自分
の考えをもつための手がかりは子どもたちそれぞれの体験にあるものでした。色々な事柄に興味
を持ち面白さに気づく目を培うには、実際に体験することが必要不可欠です。今後も笠取地域の
特性を生かした自然の中での体験を多く積ませることを大切にし、学習を進めていきます。