28CD-pm15

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「貼るワクチン」の開発 VII ~生分解性マイクロニードルを用いたインフルエンザ
ワクチンの開発~
◯川端 洋輝 1 ,
松尾 一彦 1 ,
権 英淑 2 ,
神山 文男 2 ,
向 洋平 1 ,
吉岡 靖雄 1,3 ,
2
3
岡田 直貴 1 ,
中川 晋作 1,3
( 1 阪大院薬,
コスメディ製薬,
阪大MEIセ)
【目的】毎冬の季節性インフルエンザの流行や昨年来の H1N1 型ブタ由来インフル
エンザの感染拡大でも明らかなように、国民の社会・経済活動に大きな影響を及
ぼす感染症への対策においてワクチンの果たす役割は大きい。しかし、現行のイ
ンフルエンザワクチンは注射投与型であるため、パンデミック発生時における迅
速大規模接種への対応が困難である。そこで本研究では、簡便で安価な新規剤形
ワクチンとして、生分解性マイクロニードル(MicroHyala)を応用したインフル
エンザ経皮ワクチンの開発に関する基礎検討を行った。
【方法】三価季節性インフルエンザ経皮ワクチン製剤として、A/ブリスベン
/59/2007(H1N1 型)株、A/ウルグアイ/716/2007(H3N2 型)株、B/フロリダ/4/2006
株由来の各 HA 抗原を混合封入した MicroHyala800(針長:800 μm)を調製した。
本製剤を BALB/c マウスの背部皮膚に 6 時間、4 週間隔で 2 回貼付し、経日的に回
収した血清中に含まれる各インフルエンザ HA 抗原特異的 IgG 抗体価を ELISA 法
により測定した。尚、対照群には混合 HA 抗原を 4 週間隔で 2 回皮下注射した。
【結果・考察】経皮ワクチンしたマウスにおいては、わずか1回の免疫で HA 抗原
特異的 IgG 抗体の高い産生が検出され、追加免疫によって抗体価はさらに上昇し
た。また、3 価のインフルエンザ HA 抗原に対する免疫応答を一挙に誘導すること
が可能であり、それらの効果は皮下注射免疫群に匹敵することも明らかとなった。
現在、誘導された HA 抗原特異的抗体のウイルス中和活性ならびに粘膜局所での感
染防御に働く IgA 抗体の産生についての検討を進めている。さらにこれらの基礎
情報を踏まえて、抗原として H5N1 型組換え HA 抗原蛋白質を用いた新型インフル
エンザ用プレパンデミック経皮ワクチンの開発にも着手する予定である。