自己免疫性溶血性貧血の患者から検出された抗 LW の 1 例

119
自己免疫性溶血性貧血の患者から検出された抗 LW の 1 例
◎古川 玲奈 1)、茂籠 弘子 1)、山下 朋子 1)、内林 佐知子 1)、湯本 浩史 1)、吉田 孝 1)
滋賀医科大学医学部附属病院 1)
【はじめに】抗 LW は、同種抗体のほか、自己免疫性溶血
血球に(3+)、37℃60 分 Coombs 法 (0~w+)。血清を DTT 処
性貧血の温式自己抗体としての報告、および、悪性リンパ
理したところ、(3+)から(w+)に減弱。同定困難であったた
腫などの急性期に自己の LW 抗原量が低下した際に認めら
め近畿ブロック血液センターに依頼した結果、各種血球と
れる一過性の抗体としての報告がある。今回、自己免疫性
の反応は、Oi adult 4 種に(1+~2+)、O cord Rh(D)陽性 3 種・
溶血性貧血の患者から抗 LW を検出したので報告する。
陰性 2 種いずれも(3+)、Rh null (0)、-D- (1+)、LW(a-)2 種
【症例】80 歳、女性。某年 3 月より全身倦怠感出現。他院
に(0)であった。患者血清中の抗体は抗 LW と同定された。
にて血液検査 Hb4.6g/dl と著名な貧血を認め、直接 Coombs
【まとめ】血液検査結果から自己免疫性溶血性貧血と診断
試験陽性であり自己免疫性溶血性貧血が疑われたため、当
され、入院翌日にステロイド治療が開始された。貧血は
院に搬送され即日入院となった。入院時検査は Hb3.6g/dl、
徐々に回復し赤血球輸血は行われなかった。本症例は、血
LDH 642U/l、T-Bil 4.67mg/dl、網状赤血球 321‰、ハプトグ
清中の免疫グロブリンの影響が強く、治療開始後は抗体価
ロビン 10mg/dl 以下、IgG 3369mg/dl、IgM 902mg/dl、ANA
が低下したため、抗体を同定するまでにかなりの時間を要
640 倍、抗 Sm 抗体陽性、抗 SS-A 抗体陽性であった。
した。さらに患者が転院後早期に死亡したため、この抗L
【検査結果】Auto Vue Innova(Ortho 社)の結果は、抗 A(0)、
Wが温式自己抗体か、抗原量の低下により一過性に産生さ
抗 B(0)、抗 D(4+)、Rh control(4+)、A1 血球(4+)、B 血球
れた抗体か判別することは出来なかった。
(4+)。LISS-IAT 法とフィシン法で全ての血球に(w+~2+)。
直接 Coombs 試験は、多特異(2+)、抗 IgG(2+)、抗補体(0)。
連絡先:077-548-2672
スクリーニング血球の結果は 37℃60 分 Coombs 法(0~1+)、
O cord 血球(4+)。パネル血球の結果は PEG-IAT 法で全ての