高圧処理技術の食品への応用に関する研究 (H4~H6) 応用技術部食品

高圧処 理技術 の食品 へ の応 用 に関す る研究
H6)
(H4∼
応 用技術部食品 工学科 山 崎邦雄 熊 林義晃 清 水英樹
渡邊 治
清 水條資
1.研 究 の概要
近年 CIP、
HIP等
の超高圧装置 の技術 が発達 し、色 々な 分野 で生産手段 と し
て使 われ るよ うにな り、数千気圧 の高圧 を加熱 に代 わ って食品 の調理 、加工 、殺菌
、保蔵 へ の利用研究 が注 目 されて い る。本研究 は高圧処理 プ ロ セスを食品加 工 に利
用す る ことによ り、食品素材 の元 の風味 、香 り、 ビタ ミンな ど を残 した 、今 まで に
ない食感 、歯 ざわ りを持 った食 品 の開発 を 目的 とした。
2.こ れ まで の経過
高圧処理装 置 は神戸製鋼所製 の 、処理室寸法 D60mm× L20 0mm、最高圧力 7000気
圧 、温度範 囲RT∼80℃で ピス トン直圧式 を用 いた 。本年度 は微 生物 に対す る高圧 の
効 果試験 と し酵母 と生乳 の高圧処理 を行 った 。また タ ンパ ク質 に対す る圧 力効 果 の
試験 と して豆乳 のゲル化 につ い て検討 した 。使用酵母 はOC-2(協 会 1号 )で YPD
培 地 で培養 し、試料 とした。培養液 をテ ス トー ル (10ml)に 入 れ 、加圧処理後 、生
用 い細胞 の変化 を観察 した。生 乳 の 殺菌効果 について は
スイ)を 用 い生菌数 の測定
酪農学園大学牛舎 の混合乳 を用 い 、標準寒天培地 (二 ,ノ
を行 った 。豆乳 は大豆 を 3倍 量 の水 で一 昼夜浸漬 し、磨砕 、ろ過 した後 、タ ンパ ク
濃度 を調製 、加圧処理後 、ゲル強度 を レオメー ター で測定 した 。
菌数 を測定 した 。 SEMを
酵母 を圧 力 1000∼7000気圧 、 5∼ 20分で処理 した結果 、4000気 圧 5分 の処理 で死
滅 した 。 SEM観 察 の結果 5000気圧以上で表面 が凹凸 とな りは じめた 。3000気圧 で
よる細胞内部構造 の観 察 が必 要 であ る。
も一 部死滅 して い ることか ら、 TEMに
生 乳 の殺菌効果 につ いてみる と3000気圧 15分で死滅率約 70%、 4000気圧で急激 に
減少 し93%、 7000気圧 で99%で 完全 には死滅 しなか った。
タ ンパ ク質 の変性試験 で は豆乳 のゲル化開始条件 を検討 した 。タ ンパ ク質濃度 6
%以 上処理圧 力 5000気圧 で ゲル化 (試料片 を作 り得 る固 さ)を 開始 した。 7%、 処
理圧力6000気圧 で はきぬ ご し豆腐 と同程度 のなめ らかなゲ ルが 出来 た 。ゲ ル強度 は
30gであ った 。
3.平 成 5年 度計 画
前年度 に引 き続 き高圧 による殺菌効 果 につい て (サ ルモ ネ ラ菌)。
タ ンパ ク質 (大豆 、卵 自 、そ の他)の 高圧処 理 による新規食品 の開発 。
乳製品 の品質及 び保存性 の向上 における高圧処 理 の可能性 につ いて 。
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