だいこんの空どう症防止対策について 1.試験のねらい 夏だいこんは、近年みの早生系品種から市場評価の高い青首系へと品種が移行した。しかし、 青首だいこんでは、肥犬根の中心下部に縦に穴があく空どう症が発生し問題となっている。そこ で、空どう症を回避するため、発生の品種間差異を明らかにするとともに窒素施用量の多少が空 どう症発生に及ぽす影響について検討した。 2.試験方法 試験は前年空どう症が多発した、郡須町大字豊原乙1857室井一郎氏ほ場(標高500〃) で行った。品種’試験は、耐病総太りほか12品種を供試した。一方、窒素施用量試験は、a当た り窒素施用量0.6,0.9,1.2及び1.5kgの4処理区を設げ、品種は耐病総太りと快進総太りの 2品種を供試した。施肥前の供試ほ場乾土1009中の硝酸態窒素は3.5∼5.3ηであった。両 試験とも6月3日と7月10目の2回には種し、栽植距離は畝幅140㎝、株間25㎝の2条千 鳥まきとした。調査は6月まきが8月4目、7月まきは9月12目に空どう症の発生状況につい て、根部を縦断して行った。 3 試験結果及び考察 空どう症の症状は、写真に示したが、肥大 根の中心下部中心柱に沿って縦に穴があき、 穴の内部は白色の場合が多かづたが、褐変し ているものや黒変して水がたまっているもの もあって、外見上からの発見は難しかった。 品種は、耐病総太りに多発し、ついで、耐 病東山、精鋭青首、YRくらま、緑輝の順に 発生した。重た、貴王は6月まき、快進総太 りは7月まきにのみ若干発生した。しかし、 . 空どう症の症状 おしんほか5品種には6月・7月まきとも全く発生を認めなかった。空どう症は発生に品種間差 が大きかづたことから、発生しにくい品種を選定することが重要と考えられ走。 窒素施用量の多少が空どう症発生に及ぽす影響については図一2に示した。空どう症は耐病総 太りに多発したが、快進総太りにはその発生をほとんど認めなかった。空どう症が多発した耐病 総太りは、窒素施用量を減らすほど発生度は小さく、発生株率も低下し、特にこの傾向は6月ま きで顕著に認められた。なお、は種期間では6月まきに比べ高温下で生育した7月まきの方が発 生はやや多かった。空どう症の発生しやすい品種では、窒素肥料の滅肥も防止対策上、有効た手 段と思われた。 一68一 凡例国園発生度 80 60 (6月3目童き) 囮発生株率 発 40 生 度・・萎 ・ z 0 発100 ク 生 株 80 率 60 胸 (7月19日まき〕 40婁 20 0 耐( Y( お( お( 緑(貴( 糖( 天( 源( 青( 耐( 青( 快( 病タ Rタ タ タ タ 大 鋭サ サ 丸 首稔 病高 み 進武 総キ くキ しキ はキ キ カ カ か総蔵 太イらイイイイ和青タタ’種信和東山ど太野 り) ま) ん) る) 輝)王) 首) 翠) 光) 貴) 山) 豊)・り) 図一1 空どう症発生の品種間差異 Σ(程度別指数×同株数) 注) 発生度: ×100 ただし、程度別指数は無0ト・多(4)とした。 調査株数×4 発100 、.、 凡例塵璽発生度(6月3目まき) 生㌧\、f、・・〆’ 囮〃(7月19目まき) 苧・・ 一発生株率(・月・目まき) 一一一’ 〃 (7月19目まき) 発 60 生 株 40 率 ㈱ 20 一三く 0 窒素施用量(k%/a) 0.6 0.9 1・2 1・5 0・6 0・9 12 1・5 品 種 酎病総太り 快進総太り 図一2 窒素施用量の多少が空どう症発生に及ぽす影響 2(程度別指数X同株数) 注) 発生度= ×100 ただし、指数は鯛Oト・多(4)とした。 調査株数X4 4.成果の要約 だいこんの空どう症を回避するには、おしんほか5品種のような発生しにくい品種を導入する ことが重要と考えられた。一方、耐病総太りなどの発生しやすい品種を栽培する場合には、窒素 施用量を滅らすことでかなり空どう症の発生を軽滅できると判断された。 (担当者 黒磯分場 室井栄一) 一69一
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