Author(s) Sawada, Hideo Citati - Kyoto University Research

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STUDIES OF BLOOD GAS ANALYSIS AND
VENTILATION IN VARIOUS ENDOCRNOPATHIES(
Abstract_要旨 )
Sawada, Hideo
Kyoto University (京都大学)
1966-11-24
http://hdl.handle.net/2433/212014
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
一
一 【114 】
氏)
沢
田
英
さわ
だ
ひで
お
学 位 の 種 類
医
学
博
士
学 位 記 番 号
医
学位授与 の 日付
昭 和 41 年 11 月 24 日
学位授与 の要件
学 位 規 則 第 5 条 第 1 項 該 当
研 究 科 ・専 攻
医 学 研 究 科 内 科 系 専 攻
学位論文題 目
ST U D IE S O F B LOOI) G A S A N A LY SIS A N D V EN T IIp
A T IO N IN V A R IOtJS EN D O CR IN O P A T H IE S
博
夫)
第 274 号
(各種 内分泌疾患 における換気 , 血液 ガス分析 に関す る研究)
(主 査)
論文調査委員
教 授 深 瀬 政 市
教 授 脇 坂 行 一
教 授 高 安 正 夫
l塾
論
文
内
容
の
要
旨
各種 ホルモ ンの代謝 に及 ぼす影響 につ いては多 くの研究が行 なわれてきたが, 呼吸系 に及 ぼす影響 につ
いての研究 は少 ない。 著者は甲状 ホルモ ン, 各種副腎皮質 ホルモ ン, プ ロゲステ ロンと呼吸機能の関係を
追求す るため, これ らホルモ ン分泌に異常 を示 した内分泌疾患患者 およびホルモ ン投与者 につ いて, 換気
および血液ガス分析 を行 な った。 .この中, 特 に興味ある成績 を示 したアル ドステ ロン症 につ いては, 炭酸
ガ ス吸入 による呼吸中枢感受性試験 を行 ない, アル ドステ ロンの呼吸中枢 に及ぼす影響 につ いて も検討 し
た。
その成績を要約す ると, 各種 内分泌疾患の安静時換気, 血液ガス分析成績では, 1 ) 甲状腺機能先進症
における過剰換気は代謝克進 による炭酸 ガス産生の増加 による もので, 動豚血炭酸ガス分圧は高 いとの報
告 もあるが, 著者の成績では正常 またはやや低値 を示 し, 呼吸中枢 の感受性 が一般 に高 い ことを認めた。
甲状腺 中毒 ク リーゼ状態で測定 した 1 症例では, 強い代謝性 ア シ ドーシスに もかかわ らず炭酸 ガス分圧は
低値 を と らず炭酸ガス産生の克進が換気能 に勝 っていることを示唆 した。 2 ) 甲状肪機能低下症では酸素
飽和度は低値 , 炭酸 ガス分圧 は高値 を示 し肺胞換気量 も低値を示 した。 3 ) 原発性 アル ドステ ロン症患者
は全例代謝性 アル カローシスを呈 したが, 炭酸ガス分圧は高値 とな らず換気量 の 低 下 も認 め なか った。
4 ) クッシンダ氏症候群患者 5 例 中 1 例 に代謝性 アル カロ- シスを認め, 5 例のアジソン氏病患者 にア シ
ド・- シスを呈す るものはなか った。 5 ) 慢性肺気膜患者 にプ ロゲ ステ ロンを投与 した実験では全例 に炭酸
ガス分圧の低下 , 換気量の増加を認めたが, 呼吸困難は軽減 されなか った。
代謝性 アル カロ- シスでは低換気, 高炭酸ガス分圧を塁 し, 炭酸 ガス吸入試験で も低 い換気反応, 低 い
呼吸中枢 感受性 を示す と言われているが, 上記 アル ドステ ロン症患者では高炭酸 ガス分圧 を示 さず, 呼吸
中枢感受性 に変化のあることが想像 され た。
上 の機転 を明 らかにす るため, 原発性 アル ドステロン患者 , アル ドステロン投 与健常者 , 重 炭酸 ソーダ
投与健常者等 の各秤代謝性 アル カロ- シスにおける炭酸 ガス吸入試験 を試 みたC. その轄私
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1 ) 蚕炭酸 ソ
ーダ投与 によ りアル カローシスを呈 した例では対照例 に比 し炭酸 ガス吸入 に対 し低 い換気反応を示 した。
呼吸中枢感受性 を示す指数 , 単位動豚血炭酸ガス分圧の上昇 に対す る換気量の増大分 AウE/A P
渠 中水素 イオ ン濃度の上昇 に対す る換気量の増大分
AウE/A (H 十)p
aco
2 単札 血
は い ず れ も正 常 例 に 比 し低値 を示 し
た。 2 ) 重炭酸 ソーダ投与 に もかかわ らず , p H 7.45 以上 に至 らなか った例では対照例 との問 に有意差 を
認めなか った0 3 ) 原発性 アル ドステ ロン症では一般 に換気反応, 呼吸中枢感受性 ともに高 い傾 向を示 し
たが, その値 は変動が大 き く, 統計上対照例 との比較はで きなか った。 4 ) アル ドステ ロン投 与健常例で
ち, アル ドステ ロン症 と全 く同様の傾 向を認 めた。 す なわ ち, 過 アル ドステ ロン状態では, 呼吸中枢感受
性 は高 い ものが多 いが変動が大 き く, この変動の大 きい ことが一つの特徴 をなす もの と思われた。 アル ド
ステ ロンの作用 によ り炭酸 ガス吸入 中 も水素 イオ ンが積極的 に細胞内にとりこまれ ることが予想 され, こ
のため細胞 内水素 イオ ン濃度の上昇 に対す る換気量の増大分 を検討す ることが望 まれ る
。
著者は ドナン膜
平衡が成立す ることを仮定 し, 赤血球 内水素 イオ ン濃度 (H 十)C を算 出 し, 単位赤血球 内水素 イオ ン濃度
AVE/A(H +)C
を求 め, 呼吸中枢細胞 内水素 イオ ン濃度の上昇 に対す る換
気量の増大分 を類 推せ んと試 みたが, この値
AウE/A ( H 十)C は AウE/A(H 十 )p に比べ よ り鋭敏 な指標 とは
の上昇 に対す る換気量の増大分
な らなか った。
論 文 審 査 の結 果 の 要 旨
著者 は甲状腺ホルモ ン, アル ドステ ロン, プ ロゲ ステ ロン, 副腎皮質 ホルモ ンの呼吸機能 におよぼす影
響 につ いて臨床研究 を行 な った。
慢性 甲状腺機能冗進症では呼吸中枢の感受性 が高 く, 過剰換気の傾 向を示 した。 しか し甲状腺中毒 ク リ
- ゼでは, ア シ ド- シスとな り換気の相対的不足を もた ら した。 甲状碑機能低下症では呼吸能 は低下 し,
酸素飽和度の低下 , 炭酸 ガス分圧は上昇 した。 アル ドステ ロン症 (原発性 および人工 的) ではアル カロシスを呈 しなが ら, 呼吸中枢 の炭酸ガスに対す る感受性 は高 く, したが って炭酸 ガス分圧 の上昇 , 換気量
の低下 は認 め られなか った。 プ ロゲステ ロンの投与 によ り慢性 肺気腫患者 は換気量の増大 , 炭酸 ガス分圧
の低下 を認 めたが, 臨床的な呼吸困難 は改善 されなか った。 クッシング症候群 およびアジソン氏病では呼
吸能 に著変 を認めなか った。
本論文は学問的 に も臨床的 に も有益であ り, 医学 博士 の学位論文 と して価値 あ るもの と認定す る。
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