Title Author(s) Citation Issue Date URL モモの忌地に関する研究( Abstract_要旨 ) 平野, 曉 Kyoto University (京都大学) 1966-11-24 http://hdl.handle.net/2433/212040 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 【3 35】 「 氏 野 平 ひら 暁 の き とる 士 学 位 の 種 類 農 博 学 位 記 番 号 論 学位授与の 日付 昭 和 4 1年 11月 2 4日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 2項 該 当 学位 論文題 目 モ モの忌地 に関す る研究 論文 調査 委員 教 授 小 林 学 農 博 第 1 4 8号 (主 査) 論 文 章 内 教 授 塚 本 洋 太郎 容 の 要 教 授 今 村駿 一 郎 旨 モモの生育土 を用 いてモモ苗を育て ると, 新土 を もって育て る場 合 に 比 べ て, 生長がいち じる しく劣 る。 この場合 , 圃場では 2-3年 , ポ ッ トでは 3-4月 のモモ生育土で あ って も, その影響 は明 らかで あ る。 しか しなが ら, この生長 の劣 った苗木を新土 に移植す ると, 再 び正常 に生育 しは じめ る。 新土 にモモ樹 の各部器官を加 えてモモ宙 を育てて も生長 は劣 り, その傾 向は葉加用区で もっともいち じ る しく, ついで根加用区, 枝加用 区の順で ある 。 この場合 に, 加 え るモモの菓 および根 を長期間乾燥す る 0 0o Cで3 0-6 0 '分間加熱す ると, 生長抑制作用 はやや弱 くな る。 また, 生葉を破砕 して約 か, あるいは 1 3 0 分間空気 中に放 置 してか ら加 え ると, その影響 は全 くみ られない。 なお, この巽 中の生長抑制物質 は, 活性炭によ り容易に吸着 され る。 モモの忌地 を起 こす物質 と して, モモの樹体 内に存在す る青酸, ベ ンツアルデ ヒ ド, および安息香酸が これまで あげ られて きたが, これ らとは別 に, モモ百 の生長 を抑え る物質が体 内 に 含 ま れ て い る。 それ は, エチルエーテルに可溶で , 石 油エーテルに不溶で あ り, 高濃度では燕麦 の子葉 しよ うの伸長 を抑え る が, 低濃度で は これ を促進 し, 植物 ホルモ ンの作用にはなはだ似てい る。 他方, 各種 の果樹 の忌地性 の強 さと根の中の植物 ホルモ ンの含量 との間 には密接な関係が あ り, 忌地性 の強いモモ, イチ ジクで はホルモ ン含量が多 く, ナシ, リンゴで は これ につ ぎ, カンキ ツ, カキで は少な い。 また, 忌地性 の強い種類 ほど, 根 の呼吸作用は盛んで耐水性 は弱い。 モモの根分泌物が後作モモの生長を抑え るとすれば, その樹 自体 および隣接樹 の 生 長 を も抑 え るわ け で, 埴壌土を用いた密植試験 の結果で は, モモは忌地性 の弱い カキに比べて, 日光や養水分の不足以外 の 原因で, 単位土地面積 あた りの生長量の減少が はなはだ しい。 さらに, 忌性 の強いモモはイチジクとと もに, その生育土が 自体 と同 じ種類 の苗の生長を抑 え るだ けで な く, 他の種類の果樹 の帯の生長 を もはなはだ しく妨 げる。 そ して, ある種 の果樹 の根分泌物の他種 の果 樹 に対す る生長抑制度 と, 後者 の根分泌物の前者 に対す る生長抑制度 との問には, きわめて高い正 の相関 -8 8 5- が あ る。 この関係 はまた, 同 じ組 み合 わせ の種 類 を, 圃場 で実 際 に前後作す るときに もみ られ る。 モ モ生育土 および新土 に対 して , 燥蒸 , 加 熱 , 乾燥 および界面活性 剤添加 などの処理 を して その影響 の o Cx約 1b.) および植穴へ の新土 の客人 が もっと も効 1 00 比較 をす ると, 忌地 の原 因除去 には, 蒸気燥蒸 ( 果 的で あ る。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 作物 の忌地 は古 くか ら実 際栽 培上で大 きな問題 とな って い るが , その発 生の原 因 , 条件 , および防除法 な どにつ いて は, いまだ科学 的 に不 明の点 が はな はだ多 い。 本 論文 は, 果樹 の中で ももっと も強 く連作障 害 を あ らわす モモ を材料 と して , その原 寓 を究 め よ うと した もので あ る。 内容 の主 な部分 を あげ ると, つ ぎの通 りで あ る。 第 1 には, 忌地性 の強 いモモはその板分 泌物 が モモ番 の生長 を抑 え るだ けで な く, 他 の種類 の果樹 の苗 の生長 を もい ち じる し く抑 え る。 これ らの関係 を さ らに多数 の果樹 の種類間 につ いて み ると, ある種 の果 樹 の生育土 の他種 の果 樹 に対す る生長抑制度 と, 後者 の根分 泌物 の前者 に対す る生長抑制 度 との問 には, きわ めて高 い正 の相 関が存在す る。 第 2には, これ まで は, モ モの樹体 内に含 まれ る青酸 , ベ ンツアルデ ヒ ド, および安 息香酸 が , 土壌 中 で忌 地 の原 因 にな ると云 われ て きたo L か しこれ らとは別 に, エチル エ- テル に可溶 で , 石 油 エ- テル に 不溶で あ り, 高 濃度で は燕麦子葉 しよ うの伸長 を抑 え, 低 濃度で は これ を促進す る植物 ホルモ ン類似 の物 質 が存 在す る。 第 3には, モモ園跡 地 の忌地物質 の除去 には , 土壌 の蒸気焼蒸 また は植穴へ の新土 の客人 効果が い ち じ る しい。 以 上 の よ うに本 論文 は, モモ栽 培 におけ る忌地 の原 因 を, 植物生理学 的な らび に生化学 的 にあ る程度解 明す るとと もに, 実 用 的な防除法 に も及 んで お り, 果樹 園芸 学 に寄与す るところが はなはだ大 きい。 よ って , 本 論文 は農 学博士 の学位論文 と して価値 あ る もの と認 め る。 -- 886 …
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