南信州地域農業再生協議会 水田フル活用ビジョン

南信州地域農業再生協議会 水田フル活用ビジョン
1
地域の作物作付の現状、地域が抱える課題
地域の現状
当地域は、長野県の最南端に位置し、1 市、3 町、10 村で構成されている。
面積は約 2,000 ㎢で、大阪府や香川県より広いが、全体の約 87%を森林が占め、耕
地は 5%程となっている。
西には中央アルプス、東には南アルプスに挟まれ、中央を流れる天竜川によって創
られた河岸段丘に様々な作物が生産されている。
管内人口は、昭和 60 年をピークに減少しており、平成 25 年現在で 17 万人を下回る
人口となっており、そのうち 65 歳以上が約 30%、高齢化率県内上位市町村の 5 位ま
でのうち管内 4 村が占めており、他地域に先んじて高齢化が押し寄せている。
農業の抱える課題
中山間地域が大数を占めており、一戸あたりの耕地面積も県平均より小規模で分散
しており、農業従事者も高齢化により農作物の生産が減少し耕作放棄地も拡大しつつ
ある。
土地利用型作物での作物転換や団地化なども圃場の条件等から取組みが難しいた
め、多彩な園芸作物を小面積の圃場に作付けしている。
温暖な気候と標高差から年間を通じて多彩な作物を供給できる産地として認識され
ており、その中でも高い収益を確保が可能な、きゅうり・アスパラガスを重点作物に
指定し、ブランド化の推進、生産量の拡大を図ることで産地化し農家所得の確保をす
ることが重要となっている。
2
作物ごとの取組方針
(1)主食用米
需要動向に対応し効率的な生産に向け、集落営農組織の立ち上げ、集積化を進めつ
つ計画生産を進める。
(2)非主食用米
ア 飼料用米
主食用米の需給動向と合わせ、水田の水張り面積と生産能力の維持をしつつ、多収
性専用品種の導入、生産流通体系の構築を進め生産拡大を目指す。
イ
米粉用米
需要者、生産者のネットワーク化で需要を喚起し、地域内のベーカリーの取り組み
の維持を目指す。
ウ
WCS 用稲
地域内の畜産農家と耕種農家の取り組みを推進する。
エ
加工用米
産地交付金の複数年契約による支援を活用し、地域内の製菓業者の取り組みと連携
し、主食用米の需給調整と、農家手取りの向上を目指す。
(3)麦、大豆、飼料作物
麦については、小麦の地域内の流通の取り組みと面積を維持する。
大豆については、地域内の食品メーカーと協力し収穫調整を体系化し品質の向上を目
指す。
飼料作物については、畜産農家の取り組みと耕種農家との連携を進める。
(4)そば
播種前契約により需要に対応した生産拡大を進める。また、農作物検査に対応し、
収穫調整体系の構築を目指す。
(5)野菜
標高差を生かしたリレー出荷により多彩な作物を要する産地として生産の維持と拡
大、品質にこだわった生産を、産地交付金を活用し進める。
≪重点作物≫
きゅうり
地域園芸作物の主軸として水田による生産の拡大を進め、リレー出荷産地化による
ブランド力の向上により農家所得の増加を図る。(平成 25 年 31ha→平成 28 年 33ha)
アスパラガス
水田においての取り組みを進め、施設化などの生産性の向上により収穫量の増加、
品質の確保を目指し、きゅうりと並んだ産地化を図る。(平成 25 年 22ha→平成 28
年 22ha)
≪その他振興作物≫
トマト、ねぎ、スイートコーン等については、多彩な産地として生産の維持と拡大
を図る。
(6)花き・花木
市場から評価の高いダリア、ほおずきを中心に産地のさらなるブランド化で品質の
向上と取組の拡大を目指す。
(7)果樹
地域のブランド品として評価の高い市田柿を、樹園地の継承対策と合わせ担い手
へ集約し品質の向上、生産の維持を目指す。
(8)不作付地の解消
現状約 70ha の不作付地を飼料用米、大豆、そば等の取り組みで発生防止、1ha の解
消を目指す。
3
作物ごとの作付予定面積
作物
平成 25 年度の作付面積
平成 27 年度の作付予定面積
平成 28 年度の目標作付面積
(ha)
(ha)
(ha)
主食用米
1,993
1,917
1,890
飼料用米
1
2
3
米粉用米
1
1
1
WCS 用稲
3
4
6
加工用米
0
1
1
麦
1
1
1
大豆
9
10
12
飼料作物
32
35
38
そば
20
22
25
151
156
159
野菜
137
140
142
花き
10
11
12
果樹
4
5
5
その他地域振興作物
4
平成 28 年度に向けた取組及び目標
取組
番号
1
対象作物
取組
きゅうり
重点作物の振興によ
アスパラガス
る農家所得の向上
分類
※
ア
指標
実績面積
平成 25 年度
平成 27 年度
平成 28 年度
(現状値)
(予定)
(目標値)
53ha
56ha
59ha
※「分類」欄については、要綱(別紙 11)の2(5)のア、イ、ウのいずれに該当するか記入して下さい。
(複数該当
する場合には、ア、イ、ウのうち主たる取組に該当するものをいずれか 1 つ記入して下さい。
)
ア
農業・農村の所得増加につながる作物生産の取組
イ
生産性向上等、低コスト化に取り組む作物生産の取組
ウ
地域特産品など、ニーズの高い産品の産地化を図るための取組を行いながら付加価値の高い作物を生産する
取組