1. 複素数とは 複素数‥‥ a+bi (a,b は実数)と表される数 (例) 実数は複素数 例えば 3=3+0 i i は複素数 i=0+1 i ※ i は(実数ではない)1 つの数で, i 2=−1 . 実部と虚部 複素数 α=a+ib に対して a=Re(α) : α の実部 b=Im(α): α の虚部 複素平面 実数が数直線上に表されるように,複素数は複素平面上に表される。 虚軸 Im(α) 虚部 ・ α=a+bi ・ r cos θ α=a+bi r Re(α) 実部 実軸 r = |α| : 大きさ θ = arg(α) : 偏角 θ r cos θ 大きさと偏角 複素数 α = a + b i に対して,原点から α へ線分を引くとき, 線分の長さ r を α の大きさ | α | 実軸から線分へ測った一般角 θ を α の偏角 arg(α) という。 例題 1.1 複素数 α=1−i ∣α∣=r =√ a 2+b 2 a=r cos θ , b=r sin θ に対して,Re(α), Im(α), |α|, arg(α)を求めよ。 (解) α=1+(−1)i と考えて, 2 2 Re(α) = 1 , Im(α) = -1 , ∣α∣=√ 1 +(−1) =√ 2 , また,偏角 θ = arg(α) は, 7 cos θ=1/ √ 2 , sin θ=−1 / √2 より θ= π 4 ※偏角は代表値で答えればよい。 ( +2 k π が省略されていると考える。) 1 -1 共役複素数‥‥虚部の符号のみ異なる複素数 複素数 α=a+b i に対して, α ̄ =a−b i とおき, α の共役複素数という。 α 複素数の加減乗除 例題 1.2 α=1+2 i , β=1−i であるとき, α+β , α−β , α β を計算し,標準形で表せ。 (指針) i の文字式として整理し, i 2 は −1 に置き換える。 (解) α+β = (1+2 i)+(1−i) = 2−i α−β = (1+2 i)−(1−i) = 3 i α β = (1+2 i)(1−i) = 1−i+2i−2 i 2 = 1+i+2 = 3+i 例題 1.3 α=1+2 i , β=1−i のとき, α を標準形で表せ。 β (指針) 分母が実数になるように変形する。 α = 1+2i = (1+2i )(1+i) = −1+3 i β 1−i (1−i)(1+i) 2 1 3 標準形では α = − + i β 2 2 (解) ← 分母の共役複素数を分母と分子にかける ことにより,分母を実数に変形させた。 例題 1.4 z= x+i y , w=u+i v のとき,つぎの等式を確かめよ。 (1) z ̄z =∣z∣2 (2) (z w) = ̄z w ̄ (3) ∣z w∣= ∣z∣∣w∣ ∣z∣ z (4) ∣ ∣ = w ∣w∣ (解) (1) z ̄z = ( x+i y)( x−i y ) = x 2−i 2 y 2 = x 2+ y 2 = ∣z∣2 (2) z w = (x+i y )( u+i v) = x u+i x v+i y u+i 2 y v = ( x u− y v )+i( x v + y u ) 2 ̄z w ̄ = (x−i y )(u−i v) = x u−i x v−i y u+i y v = ( x u− y v )−i(x v+ y u) 上の2式より ( z w) = ̄z w ̄ (3) (1),(2)の結果を用いると 2 2 ∣z w∣2 = ( z w)(z w) = ( z w)(̄z w) ̄ = ( z ̄z )( w w) ̄ =∣z∣ ∣w∣ ∣z w∣≥0 , ∣z∣∣w∣≥0 であるから ∣z w∣= ∣z∣∣w∣ ∣z∣ z z z (4) (3)より ∣ ∣∣w∣=∣( )w∣ =∣z∣ ゆえに ∣ ∣= w w w ∣w∣ ※ (3),(4)は標準形で直接示してもよい。 例題 1.5 つぎの計算をせよ。 (1) ∣( 2+i)2∣ (2) ∣ 1+3 i ∣ 2−i (指針) 大きさの性質を利用すると労力が軽減する。 (解) (1) ∣(2+i)2∣ =∣2+i∣2 = 22+12 = 5 ∣1+3 i∣ √12+32 1+3 i ∣= = = √2 (2) ∣ 2−i ∣2−i∣ √ 2 2+12
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