第14章複素数交流計算

早
複素数 による交流の計算
虚数と複素数
皆 さんは ,数 学で 「虚数」 というもの を聞いたことがあると思 い ます。虚数
は2乗 して-1に なる数で ,記 号′
で表 しました.方 程式 を解 いてルー トの 中身
が負 になった時 ,「 虚根」 というように習 いました
.
「負の数の平方根をとる」 ということは ,「 2乗 した数 が負 になるよ うな数」
を意味 します。例えば ,-1の 平方根 をとるとい うのは
,
両辺を二乗する
1
′
ギ
i2:-1
ということで ,こ れを満たすゴ
は存在 しません.現 実 には存在 しない数を想定
した ものです
(jは J“ agJ“ αり
bι rの 略).
“““
数学では ,虚 数を「′
」で表 しましたが ,電 気の世界では「電流」 と間違える
ので「
を用います。ここで,虚 数プは
Ji」
,
卜√ T
と定めます
2=_1
ノ
―
.
複素数
次のような実数と虚数を使った式の表現を「複素数」といいます。
b … … … … … … ……… … ………
そ=θ 十ブ
…… …
(14.1)式
αを
「実部」といい,ノ bを「虚部」といいます。また,(14.1)式 の虚部の符号
を変えたもの「αニル」を
「共役(き ょうえき)な 複素数」といい,7(ゼ ットバー)で
表 します
.
7=α Jib… … …… … … … … … … … … ……(14.1)式 の共役な複素数
複素数の 計算は ,今 まで習った χや ッの入 った計算 の仕方で ,だ いたい計算
できます .あ まり特別な もの と意識 しな くて もよ さそうです。習 うより慣れ ろ
です。実際 に例題 をみてみ ましょう。
l竺
― 蓄 ―― ― ― ― ―
・
次 の複素数 を計算 しましょう
.
i4)十 (3+ブ )=
(2■」
<解 答 >
実部 どうし,虚 部 どうしをそれぞれ計算 します
.
i)=(2+3)十 ノ(4+1)=5+ノ 5
(2+li4)+(3■ 」
複素数z=2+β を使って次の計算をしましょう。
ZZ==
<解 答 >
万はzの 共役な複素数 です か ら
z万
=(2句 3)0司 3)
3)
=(2× 2)― (2× メ)+03× 2)-03×プ
6-(-1× 9)
=4丁 十ノ
=4+9=13
“
つ まり
,
(α
十ル)(α Tル )=α
とい うことです
.
2+ら 2
複素 数 によ る交流 の計算
となります。
ガウス平面 (複 素平面)
Z=α 十ル をグラフ化 してみましょう.図 14.1の ように,複 素数の実部を横
(X)軸 にとり,虚 部を縦 (y)軸 にとります
.
このようなグラフを
「ガウス平面」または,「 複素平面」といいます。α十ル は
ガウス平面の点(α ,b)と 対応 していることが分か ります。
γ(虚 )軸
b)
Za■ Jb
]
軸
実
0百 X
θ=ta百
図14.1ガ ウ ス平面
X軸 は実 部なので「実軸」 と呼び ,11噛 は虚 部なので「虚軸」 といいます
.
グ ラフ化 してみ ると ,そ は ,大 きさと方向 (角 度 θ)を 持 つベ ク トルに なっ
ています。つ まり複素数でベ ク トル を表す ことがで きるのです。
b
を=α 十′
ベクトルを
の大きさzは ,絶 対値をいい,三 平方の定理で求めます。
=z=/α 2+b2
│を
また ,実 軸
(χ
軸 )と の角度θは
一
とな ります
ら 一α
θ=tan
.
>ガ ウス平面
(複 素平面 )
,
「Jま たは
「―
けてみよう
複素数に
Jを か
例えば複素数z=α 句 らに,虚 数町」または,「 Tブ 」をかけると,ど のように変
化するのでしょうか。まずは町」をかけてみましょう
.
2b
ブ2 Jittf」 ib)Jiaヵ
… … …… 町鈍=ヽ2=_1で すJ
Jiα +(-1)b…
とな り ,実 数 だ っ たθは虚 数 に ,ま た ,虚 数 だ っ たらは実数 にな りま したね
.
次に,Tプ をかけると
,
iZ=→ し七 b)
」
2=1で す」
=Tノαttb・ ……………「Ji× Ji==ノ
=b=ブ α
となりますね。 これらの変化をガウス(複 素)平 面に描 いたのが ,図 14.2(a)
です
.
Z a十 ノ
b
JZ b ra
│
ノ
をかける
一Y
(a)Z,ノ 乙
図14.2
JZO大 きさと角度
z,″ ,― クの関係
そ
畳型η
警量
Ⅲ型ぢ
璧型
複素数 によ る交 流 の計算
α
=― b十ノ
(b)角 度関係
図14.2(b)ろ ぁ ―クの関係
図の (b)は ,3つ のベ ク トルの角度の関係 を見やす く抜 き出 した図です。 (b)
の
角
度関
ルは
係を
見ると,3つ のベクト
互いに
と
れがあるこ
,[rad](90° )の ず
に気 が付 きます
.
さ
にを
かけると
ら
かけると
逆に
,=ノ を
る
,[rad](90° )進 み
,[rad]遅 れ
,プ
ことに も気が付 きますね19
をかける→音(00° )遭 む
′
―
ける→舌(90° )運 れる
Jを か
これは非常に重要なことです.必 ず覚えて ください
°
9:オ イラーの公式などによりII明 する専門書が多 いです
.
複素数を使つた交流回路の計算
図 14.3は
,RLC直 列回路 に ,交 流電源
`[V]を
つ ないだ回路です
.
複素数 による交 流 の計算
枷
枷
則
鋼
m
・
(a)Rι O直 列 回路
i:'ir.s+vt+Vc
:ZI
X:Xt-Xa:uL'
1
--^
utJ
.t1\
RIiluL__=l
:,
'\
vR Z:
o)vt
I(基 準 )
ル関係
(b)ベ クト
図14.3 複素数 で交流 を表 す
各素子 の端子電圧 yR,yι
,vcの 大 きさyR,VL,ycは
,
L=JR[V]・ ……………電流 fと 同相
・
より
電流′
t=XLf=df… ………
,進 む
複素数 を使 った交流回路の計算 く
yc=xcr=」
・
電
流fよ り
ダ…………
,遅 れ
これ らをベ ク トル として複素数 で表す と
,
VR=RI… ¨………… …………………………………………………… (14.2)式
(電
流′と同相なので変化なし
)
yL 」
ixLf〒 ″製7… ……………………
………
………
…¨
… (14.3)式
の
でいる
進ん
ける
縄流fよ り
oを か
,だ け
…
……………………
(И .の 式
ち一ゾcf=→ 嘉′
のでづを
かける
より
帽流′
遅れている
,だ け
)
)
と表 しま .γ っ '日 路全体の電圧yは ,各 端子電圧の和なので
す
下
,
y=yRttyι +yc
=R′
七d′ →滞f
=(R七 配づ滞 )ノ ……………………(И ."式
となります。また,イ ンピーダンスZ[Ω
2=R七 配づ
+[Ω
=R力
(正
]は y=zIな
ので ,(14.5)式 より
,
]
………………(140式
一
+)… ………
となりますね。インピーダンス2の 大きさZは ,絶 対値ですから,図 のように
三 平方 の 定理 を用 い
,
z=/R2+(正 _召
となります
.
号
ア
[Ω
]
図 14.3の 回路 で ,抵 抗R=10[Ω ],誘 導 リアクタンス礼 =10・ 6[Ω ],
容量 リアクタンス為 =6[Ω ]で した。電圧 y=100[V]の 時 ,電 流 f[A]と
大 きさf[A]を 求 めま しょう。
く解 答 >
y=fZを 使 い ます .ま ず ,(14.6)式 か ら ,イ
ン ピー ダ ンスZ[Ω
の
めまし
大きさ
う
江=χレ召
ょ
。
4Ω ]を 求
讐=Xcよ り
]と そ
,
121=z=/1o2+4.62≒
11[Ω
]
]
次に,電 流′[A]と 大きさf[A]を 求めます。
分母 のプをな くす た
めに ,分 母 。分子 に
共役な複素数 をかけ
る
…
…
′
=チ =而 岩 雨 結
愕 器 躙讐毎丁
=¬
= 1000-T′
460== 1000 /460
102_卜 462
121.16
=121.16 J121.16=8.25Tノ 3.8[A]
従 って ,電 流 の 大 き さfは
,
=′ =/8.252+3.82≒ 9.1[A]
│′
となります
,二 平 方 の 定理 よ り
.
_型
1壇 〕
゛
笠
1
複素 数 による交流 の計算
Z=10+ノ (10.6-6)=10+ブ 4.6[Ω