Market Flash 日銀は総裁会見、FEDは点に注目 2016年3月14日(月) 第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト 藤代 宏一 TEL 03-5221-4523 【海外経済指標他】~稼動リグ数:原油の減産シナリオをサポート~ ・ベーカー・ヒューズ米国石油稼動リグ数は386基と前週(392基)から減少。11週連続の減少で原油の減産 および原油価格底入れシナリオをサポートする結果。 WTI・稼動リグ数 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 (百万bbl) 500 1750 原油在庫・生産 (千bbl/日) 10000 1550 稼動リグ数 (右) 9000 450 1350 生産(右) 8000 1150 7000 400 950 6000 750 在庫 550 WTI 12 13 14 (備考)Thomson Reutersにより作成 350 300 350 05 06 07 08 09 10 11 12 (備考)Thomson Reutersにより作成 15 5000 4000 13 14 15 16 【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】 ・前日の米国株は上昇。ECB理事会通過後のドル安・原油高が米国株の追い風に。金融株、エネルギーセ クターを中心に上昇。欧州株も総じて堅調。WTI原油は38.50㌦(+0.66㌦)で引け。 ・前日のG10 通貨は資源国通貨(AUD、NOK、NZD、CAD)が1%超上昇した一方、マイナス金利通貨(JPY、 DKK、EUR)が小幅に下落。USD/JPYは113後半まで上伸、EUR/USDは1.11半ばで越週。 ・前日の米10年金利は1.984%(+5.2bp)で引け。人民元高を背景にアジア時間にリスク選好が強まると米 債は軟調に推移。その後、米株現物が高く寄り付くと一段と売りが膨らんだ。他方、欧州債市場は総じて 堅調。ドイツ10年金利が0.271%(▲3.5bp)で引け、イタリア(1.327%、▲13.4bp)、スペイン (1.485%、▲10.4bp)、ポルトガル(2.940%、▲19.3bp)が大幅に金利低下。3ヶ国加重平均の対独ス プレッドは大幅にタイトニングした。T-LTRO2の制度設計が周縁国国債に有利と再評価された模様。 【国内株式市場・経済指標】 ・日本株は欧米株高に追随して大幅高で寄り付いた後、やや上げ幅を拡大。 ・12日発表の2月中国鉱工業生産は前年比+5.4%と市場予想(+5.6%)を下回り、前月から0.7%pt鈍化。 小売売上高も+10.2%と市場予想(+11.0%)を下回り、前月から0.5%pt減速。ともに1-2月期平均は 10-12月平均から大幅に減速しており、1Qの実質GDP成長率は減速が見込まれる。反対に都市部固定資 産投資は+10.2%と市場予想(+9.3%)を上回り、前月から0.2%pt加速。その他では11日発表のM2が 前年比+13.3%と前月から0.7%pt減速。1-2月データは春節に絡んだ統計の不完全さによって基調が把 握しにくいという難点があるにせよ、再加速の兆しは認められない。 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 1 ・日本の1月機械受注は前月比+15.0%と市場予想(+1.9%)を上回り、2ヶ月連続で増加。水準は10-12 月平均を+11.7%上回るが、1月は鉄鋼業からの大型案件によって強さが誇張されている点に注意が必要。 それを除いたベースでみると前月比▲0.2%とほぼ横ばいに留まっている。他方、資本財輸出に先行性を有 する「外需」は▲29.4%と大幅な落ち込みを記録。3ヶ月連続の減少で基調的な弱さが鮮明だ。 (前年比、%) 20 中国 鉱工業生産 機械受注 (10億円) (10億円) 1800 1000 コア 900 1400 15 800 1000 700 10 外需(右) 600 500 5 09 10 11 12 13 (備考)Thomson Reutersにより作成 14 15 200 08 09 10 11 12 13 14 (備考)Thomson Reutersにより作成 3ヶ月平均 16 600 15 16 【注目点】 ・今週は日本で日銀の金融政策決定会合(結果は15日発表)、米国でFOMC(結果は16日発表)と重要イ ベントが控えている。ともに金融政策の現状維持が見込まれ、コンセンサスどおりの結果となるだろう。 コミュニケーションでは日銀の黒田総裁会見、FEDのドット・チャートが注目される。黒田総裁会見は マイナス金利導入後の効果測定に質問が集中しよう。日銀の狙い通りに円安・株高が進まず、一部メディ アでは“逆噴射”などと酷評され、予想外に国民の評判も悪い。こうしたなかで今後のオプションがマイ ナス金利拡大になるのか、或いは量的・質的部分に軸足を戻すのか、そのヒントが出るか注目される。F EDについてはごく一部の市場関係者(Bloomberg集計では72機関のうち4機関)が利上げを予想している ものの、コンセンサスは0.5%で据え置きだ。注目のドット・チャートは2016年末に加え、2017年末にも注 意を払いたい。民間エコノミストの予想は、予測期間が遠くなるに従ってバラつきが大きくなっているた め、FEDの見通しが重要な意味を持つ。エコノミスト予想をBloomberg調査ベースで集計すると、2017年 2Qの予想を開示している60機関の内、2.00%以上を予想しているのが6機関、1.75%が12機関、1.50% が15機関、1.25%が19機関、1.00%が4機関、0.50%が3機関、0.25%が1機関といった具合に強気派・ 弱気が混在。昨年12月時点のドット・チャートでは2016年末:1.375%(民間版での1.50%に相当)、2017 年末:2.375%(同2.50%)と、2017年中も四半期毎に1回の利上げペースが予想されていた。したがって、 3月FOMCで2017年末の数値が下方にリバイズされた場合、市場関係者の利上げパスも下方シフトし易 いだろう。一部市場参加者が2017年の利上げ打ち止めを意識する可能性もある。 12月FOMC 5 4.5 中央値 4 3.5 中央値 3 2.5 中央値 中央値 2 1.5 1 0.5 0 -0.5 2016 2017 2018 Longer Run (備考)FRBより筆者作成 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 2 <主要株価指数> 日経平均※ NYダウ DAX(独) FTSE100(英) CAC40(仏) <外国為替>※ USD/JPY EUR/USD <長期金利>※ 日本 米国 英国 ドイツ フランス イタリア スペイン <商品> NY原油 NY金 終値 17291.15 17,213.31 9,831.13 6,139.79 4,492.79 113.92 1.1155 -0.019 1.984 1.575 0.271 0.619 1.327 1.485 (円) 17400 17300 17200 17100 17000 16900 16800 前日比 352.28 218.18 332.98 103.09 142.44 (㌦) 17300 0.02 0.00 % % % % % % % -0.014 0.052 0.036 -0.035 -0.064 -0.134 -0.104 日経平均株価 11:46 現在 NYダウ平均株価 17200 % % % % % % % 17100 17000 16900 114.5 USD/JPY 114.0 113.5 38.50 ㌦ 1259.40 ㌦ 0.66 ㌦ -13.40 ㌦ ※は右上記載時刻における直近値。図中の点線は前日終値。 113.0 112.5 112.0 (出所)Bloomberg 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 3
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