リスクオンの前提はドル安

Market Flash
リスクオンの前提はドル安
2016年4月19日(火)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】~NAHB指数:高水準を維持~
・4月NAHB住宅市場指数は58と3月から横ばい。昨年10月につけた65をピークにトレンドが下向きに転じて
いるものの、依然として高水準を維持しており、住宅市場の底堅さを示している。内訳は現況(65→63)
が僅かに軟化した一方、期待(61→62)、購入見込み客指数(43→44)が改善。住宅市場の強さは保たれ
ている。
NAHB住宅市場指数
90
80
NAHB住宅市場指数
80
70
70
60
60
50
現況
50
40
40
30
30
20
20
10
10
期待
購入
見込客
0
0
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(備考Thomson Reutersにより作成
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(備考Thomson Reutersにより作成
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株は反発。ドーハ会合が決裂してアジア時間に原油先物が一時7%近く下落、日経平均も3.4%
の下落に見舞われるなど強いリスクオフが観察されたが、欧州時間入り後からはクウェートのスト等を背
景に原油先物が緩やかに反発、そうしたなかで米株現物は次第に買い優勢となり、NYダウは18000㌦を回
復して引け。WTI原油は39.78㌦(▲0.58㌦)で引けた。クウェートのストでは同国の産油量が半分近く
に減少しているとの見方が示され、需給悪化懸念が緩和された。
・前日のG10 通貨はJPYが最弱でそれにUSDが続いた。一方でその他主要通貨は全般的に堅調。USD/JPYはア
ジア時間の原油価格下落・日本株下落に歩調を合わせて下落した後、欧州時間入り後のリスクオンを背景
に上昇に転じ、結局は108後半に戻した。資源・新興国通貨は当初の急落を埋めて反発。
・前日の米10年金利は1.771%(+1.9bp)で引け。前日までの米債ラリーの反動が意識されるなか、大型起
債もあり、米国株上昇を横目に金利上昇。他方、欧州債市場はコア軟調、周縁国まちまち。ドイツ10年金
利が0.161%(+3.4bp)で引け、イタリア(1.349%、+1.5bp)が小幅金利上昇、スペイン(1.493%、▲
0.4bp)、ポルトガル(3.131%、▲3.7bp)が金利低下。3ヶ国加重平均の対独スプレッドはタイトニング。
【国内株式市場・経済指標・注目点】
・日本株は前日の急落の反動もあって高寄り。18日の窓を完全に埋める展開となっている(10:00)。
・18日の為替市場は、ドーハ会合の交渉決裂を受けてアジア時間に資源・新興国通貨が急落したが、その後
の米国時間にかけては原油価格の反発を横目に資源・新興国通貨が反発を開始。結局、一日を通してみる
とMXN(0.67%)、TRY(0.52%)、ZAR(0.5%)、RUB(0.5%)、NZD(0.46%)、NOK(0.46%)、AUD
(0.32%)など資源・新興国通貨の強さが目立つ展開となった。株式市場では米国株の強さが目立ったほ
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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か、欧州株も総じて上昇、資源国株の下落も限定的で「ドーハの悲劇」とはならず。昨日のリスクオンは
原油市場発なのか、為替市場発なのか、株式市場発なのか、それぞれ見方が分かれるところだが、筆者は
ここ数週間のリスクオン(ここでは米国株上昇をもってそれとする)の起点になっているのは(資源・資源
国通貨の反発というよりは)USDの下落であると考えており、昨日のリスクオンも市場参加者の根強い
ドル安期待が背景にあると考えている。要するに4月のFOMCがハト派的な内容になるとの期待が生じ、
それが、金利の付かない原油をはじめとするコモディティをサポートして、資源・新興国通貨を下支えし
たとの解釈だ。こうした見方が正しければ、FEDの緩和バイアスが保たれている間はリスクオフを回避
できるということになる。USD/JPY上昇を見込む向きにとっては、やや逆風の展開だが、それでもFEDの
タカ派姿勢が米株下落を伴ったリスクオフを誘発して、強烈な円高圧力に晒されるよりは“マシ”だろう。
2200
S&P500・USD名目実効レート
2100
95
S&P500
100
2000
1900
USD安
105
1800
USD名目実効レート(右、逆)
1700
110
15/06
15/09
15/12
(備考)Thomson Reutersにより作成
16/03
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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