3 学年 応用物理I「ローレンツ力」 日付 10.1 10.1 アンペール力 直線電流 のつくる磁場 = のなかにおかれた平行電流 には,その I2 I1 電流の単位長さ当たり = の力が作用する.このとき,図に示すように, F 直線電流 に作用する力の方向は,電流 と磁束密度に垂直の方向である. と電流の方向が直交しない場合には,電流素片∆に作用する 磁束密度 力∆ は, B R で与えられる.図 2 に,この力を図示してある.力の大きさは,電流素片と磁 束密度のなす角をとして, 図1 平行電流間の力 ∆F と電流素片∆のつくる平面に垂直な となる.この力の方向は,磁束密度 へ右ねじを回し,ねじが進む方向が∆ の方向となっ 方向である.∆から ている. I B θ 図2 アンペール力 10. 10.2 ローレンツ力 導線内を速さで運動している荷電粒子に作用する磁場による力を考える.導線の単位長さあたりに含 まれる荷電粒子の数を,荷電粒子の電荷をとすると,電流の強さは, のなかにおいたとき,長さ∆の導線内の全荷電粒子にはたらく力∆ は, となる.この電流を磁束密度 と与えられる.ここで,∆ = ∆としたのは,荷電粒子は電流素片と同じ方向に流れるからである.荷 電粒子 1 個あたりに作用する力 は, となる. 42 一方,電場 中におかれた荷電粒子には,の力がはたらく.これらを加え合わせて,電場 と磁束密 のなかにおかれた荷電粒子には, 度 の力が作用する.この力を( )という. 荷電粒子の質量をとすると,荷電粒子の運動はニュートンの運動方程式より,以下の式に従って運動 する. 10. 10.3 一様な静磁場におかれた荷電粒子の運動 ,荷電粒子の質量を,電荷量を > 0とする. 磁束密度を B O r v 43 例題 1010- 1 静止している電子を電極間の電圧で加速し,速さで磁束密度の一様な磁場に垂直に入射させた.以下の各問 に答えよ.ただし,電子の質量を,電気量をとする. (1) 磁場に入射するときの電子の速さを求めよ. (2) 電子は磁場中で等速円運動する.このときの回転半径を求めよ. 44 例題 1010- 2 右の図は荷電粒子を磁場の中で円運動を行わせながらくり返し加速するサイ クロトロンの原理を示すものである。左右の半円筒形の電極 (ディーという) は内部が中空になっており,ディーの部分には紙面に垂直に表から裏の向きに 磁束密度 B の一様な磁場が与えられている。質量 m,電荷 q の荷電粒子はディ v v0 ーの内部では円運動を行い,ディーの間隙を通過するときだけ高周波電圧によ り加速される。はじめ粒子は,ディーおよび磁場に垂直に速さ v 0 で入射し, B B 図のような軌道を描いた。 (1) 図の荷電粒子の電荷は正,負のどちらか。 (2) 粒子が磁場から受ける力の大きさ F を求めよ。 ~ 高周波 電圧 (3) 粒子が描く円軌道の半径 r0 を求めよ。 (4) 粒子がはじめ,ディーの中を半周するのにかかる時間を求めよ。 高周波電圧の周期は粒子の円運動の周期に等しいように設計され,粒子が効率的に加速されるようになっている。粒 子は速さ v 0 でディーを垂直に飛びだした。ディーの間隙で加速された粒子は,隣のディーの中でより大きな円軌道を 描く。 (5) 粒子が間隙を通過する間,ディーの間の電位差を一定と見なしこれを V とする。間隙を通過するとき粒子が得るエ ネルギーを求めよ。また,速さ v 0 でディーを垂直に飛びだした粒子が隣のディーに進入する際の速さ v と新たな円運 動の半径 r を求めよ。 45
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