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第2学年A組
道徳の時間
学習指導案
授 業 者
研究協力者
1
主題名
中村
小池
玉緒
孝範
友だちと なかよく
2-(3) 友情・信頼,助け合い
資料名「こまのプレゼント」(出典: 学研 編集委員会作)
2
子どもと主題
(1) 子どもについて
2年生として,1年生のお世話をしたり,お手本になることを意識して活動したりする
など,年下に対する思いやりの気持ちが見られるようになってきている。また,それらを
通して,誰かのために活動することが楽しく,自分への自信となっている様子も見られる。
一方で,同じ学年の友達に対しては,よりよく活動しようとする余り,友達の気持ちを考
えずに行動したり,考えを受け入れられずに活動を離れたりしてしまうこともある。もっ
とよく相手のことを理解し,同時に積極的に自分のことを理解してもらおうとすることの
必要性を感じる。
(2) ねらいとする価値について
「友情」は,共感や信頼をもって互いを肯定し合う関係,感情のこととされている。
「信
頼」は,相手を信じたうえで,さらに相手を頼りにすることができる心情である。また「友
情・信頼」は助け合うことを通して深まる,あるいはそれらを有するが故に自己中心的な
考えを脱し,助け合うことができる心情である。
子どもたちは,学校生活において常に友達とのかかわりの中で過ごしている。友達と仲
良く過ごしたいと思いながら,自分の気持ちを押し通してしまったり,相手の気持ちを自
分の思い込みで否定してしまったりすることが往々にしてある。集団生活の中で子ども同
士のかかわり合いを制限するのではなく,よりよい関係をどのように構築するかが重要で
ある。なぜなら,よりよい関係つまり相互理解を成し得た時に,これまで以上の友情で結
ばれることになり,その連続が双方の成長のもとになると言えるからである。
本資料は,「ふれあいパーティー」の準備中に起こった出来事である。「けんちゃん」
が「まきちゃん」に,折紙のこまを作るのは自分たちのまねっこだと言ったことから,け
んかになってしまう。しかし,「まきちゃん」が折紙のこまをずっと前からたくさん作っ
ていたことが分かり,次の日「けんちゃん」が「まきちゃん」に自分たちの分を提供する
と話す。「まきちゃん」は,一緒に作ることを提案する。そして,みんなでこれまでより
一層楽しく,準備を進める。勝手な思い込みから心の行き違いになってしまう場面で,自
分と登場人物の心情を重ね合わせ,共感し,自分を見つめ直すことのできる資料である。
この時期,同じような体験をしている子どもも少なくない。友達と同じ目的に向かって活
動していることを踏まえ,仲間の存在,仲良く力を合わせて一緒に活動することの大切さ
を,改めて考える契機となるであろう。
(3) 指導にあたって
資料の中の出来事は,形は異なれど,これまでの生活の中で起こりがちな場面である。
中心人物「けんちゃん」「まきちゃん」の双方に共感しながら,その心情について話合い
を進める。その中で自分の体験をふり返りながら共感し,それぞれの人物の行動について
思いを深めるはずである。また,相手の気持ちを受け入れずに行動してしまっていること
に気付くであろう。
資料の展開の中で,人物の心情を考えるためには,相互の関係を捉えることも重要とな
る。そこで互いの気持ちを考えるために,資料を3つに区切って話合いの場を設定する。
1回目は「まきちゃん」がずっと前から折紙のこまをたくさん作っていた事実を知り,何
も言わずにプレゼントを見つめていた「けんちゃん」の気持ちを考える。2回目は「けん
ちゃん」がおいた折紙の入った箱をじっと見つめていたときの「まきちゃん」の気持ちを
考える。この時,子どもたちは自分の体験と客観的な視点を合わせながら,自分ならどう
するか,友達関係をどのように創りあげていくのかを考えて話すはずである。
資料は,相手を受け入れ理解し合ったことで,解決策が見いだされ,いつもより楽しそ
うに活動を進めているという場面で終わっている。ここでこれまでと何が違うのかを問い,
友達と一緒に活動することの意義,大切さについて今一度意識化させたい。
この学習を通して,それぞれの「友情」に対するとらえ方があることに気付くはずであ
る。3年生への進級を前に,普段自分が抱いている友達との関係のとらえ方を見つめ直す
きっかけになって欲しい。そしてこれからの生活の中で,友達と互いを信頼し,協力しな
がら物事を進めることの大切さ,充実感を十分に味わいながら成長できる子どもになって
欲しいと考える。
3
資料分析
主な場面
登場人物の心の動き
「ふれあいパーティー」準
備 中 に ,「 け ん ち ゃ ん 」 が
「まきちゃん」に折紙のこ
まをまねっこしたと言って
けんかになった。
〈けんちゃん〉
・ぼくたちのまねっこじゃないか。
・こまは,ぼくたちのアイデアなのに
〈まきちゃん〉
・まねっこなんかしてない。はじめからこまを作っ
ていたのに。
「まきちゃん」は,教室
を 出 て 行 っ た 。「 け ん ち ゃ
ん 」 は 何 も 言 わ ず に ,「 ま
きちゃん」が作ったプレゼ
ントを見つめていた。
〈けんちゃん〉
・泣いたって,まねっこした方が悪い。
・謝る必要はない。
〈まきちゃん〉
・絶対まねっこなんかしてない。もういい。
〈けんちゃん〉
・ぼくたちより先に作っていたのかも・・・。
・どうしたらいいかな。
次 の 日 ,「 け ん ち ゃ ん 」
は「まきちゃん」に自分た
ちのこまを使って欲しい,
自分たちは他のプレゼント
を作ってみるからと,箱を
置 い た 。「 ま き ち ゃ ん 」 は
その箱をじっと見つめてい
た。
〈けんちゃん〉
・疑って悪かった。これを使ってもらおう。ぼくた
ちは,別のプレゼントに替えよう。
〈まきちゃん〉
・「 け ん ち ゃ ん 」 の グ ル ー プ も , 同 じ よ う に 作 っ て
いたんだ。
・一緒に作ったらどうかな。たくさんできる。でも
なんて言ったらいいかな。
「まきちゃん」の提案で
みんなで一緒に作ることに
なった。いつもより楽しそ
うに折っていた。
〈 け ん ち ゃ ん 〉〈 ま き ち ゃ ん 〉〈 み ん な 〉
・一緒にできることになってよかった。
・協力すれば,たくさん作ることができる。
・みんなでやると,もっと楽しい。うれしい。
・友達って,いいな。
-1-
主な発問
「けんちゃん」は,プレゼン
トを見つめながら,何を考えて
いたでしょう。
「まきちゃん」は,箱をじっ
と見つめながら,何を思ったで
しょう。
いつもより楽しそうになった
のは,なぜでしょう。
4
本時の実際
(1) ねらい
相手の立場を理解すること,共に高め合うかかわり方について考えることを通
し,友達と仲良く活動し,助け合おうとする心情を養う。
(2) 展
開
時間
5分
○:「対話」の機能を生かすための手立て
学習活動
①
友達とけんかをしたと
きのことを紹介し合う。
教師の支援
・
評 価
自分の生活経験と合わせて考えることができるよ
うに,資料を読む前に,友達とけんかをしたことが
あるかを問う。
15分
②
資料(始め・中)を読ん
・
「けんちゃん」の気持ちに寄り添うことができる
で,登場人物の気持ちにつ
ように,「疑ったことの再考」,「一方的に決めつけ
いて話し合う。
てしまったことへの後悔」,「これからの行動につ
いての考え」を整理して板書する。
・ 「まきちゃん」の思いに迫ることができるように,
歩み寄ってくれた友達を受け止め,理解しようとす
る「まきちゃん」の前向きな気持ちへの変化につい
ての考えを板書にまとめる。
20 分
③
資料(終わり)を読んで, ○
自分の考えをもつことができるように,ペアでの
みんなが「いつもよりたの
「対話」の場を設定し,その後,自分の考えをシー
しそう」になったのはなぜ
トに書くように指示する。
か話し合う。
○
友達の考えと比較できるように,シートを基に,
グループでの「対話」の場を設定する。
なぜ,みんながいつもよ
・
り楽しそうになったのか。
「いつもより」の意味についてとらえることがで
きるように,これまでと何が違うのかを考えるよう
にする。その際,単に仲直りができたからだけでな
【仲間との対話】
く,友情がはぐくまれていること自体への充実感や
〈予想される子どもの反応〉
満足感に触れられるように,それぞれの意見を整理
・もっとたくさんプレゼントができ
していく。
・
る
・仲直りできて安心したから
ワードとして話合いを進めることで,「友情の深ま
・自分と相手のアイデアが生かされ
り」について意識できるようにする。
・
ているから
5分
「一緒に」「協力」「楽しさ」などの言葉をキー
友達と仲良く協力して活動することの大切さにつ
・仲良くみんなで協力すると楽しい
いて深められるように,友達と協力して成し遂げた
し,もっとよい活動ができると分
これまでの行事や学習などの事例を挙げ,自分の体
かったから
験をふり返るように促す。
④
学習で考えたことを,シ
ートに書く。
【自分との対話】
自分のことだけでなく,友達のことを受け入れて
仲良く活動することが,よい結果につながることに
気付き,これからの自分に照らし合わせて考えてい
る。
(シート,発言)
-1-
(3)
本時における「仲間との対話」を通した思考の深まり
《学習活動③において》
子どもの姿
【協働して追究する問い】
「 ど う し て , み ん な は い つ も よ り 楽 し そ う に な っ た の か 。」
・
仲直りできたからという理由に止まっている。
【教師の手立て】
・ けんかをしていた二人が仲直りしたからだけでなく,それま
でとは違う何かをみんなが感じたから楽しくなっていくことを
「いつもより」という言葉から考えるようにする。
・ 発問「2人ではなく,みんな楽しそうになったのはなぜ?」
C :「 仲 直 り で き て 安 心 し た か ら 。」
T :「 安 心 し た ら 楽 し く な る の ? 」
C :「 み ん な で で き る こ と に な っ た か ら 。」
・ 発 問 「 い つ も と 何 が 違 う の か な 。」
仲間との対話
・
・
・
・
・
・
・
・
人数が増えた。折紙のこまもたくさん作ることができる。
2人のけんかが終わったので,安心した。
みんな予定通りの活動になったのでうれしかった。
みんな一緒の気持ちになった
友達と一緒に活動できると何だかうれしい。
もっとみんなで何かできるといいな。
仲良く協力すると,もっといろいろなことができそう。
やってみたい。
前よりもっと友達のことが好きになった。大事に思う。
↓
友情が深まった
子どもの姿
【目指す子どもの姿】
自 分 に と っ て の 「 友 達 」「 友 情 」 と は 何 か を と ら え て い く
一緒になって何かのために頑張ろうとする気持ち
一緒に頑張る友達を大切に思う気持ち
-1-