別紙様式第2号 横浜国立大学 学位論文及び審査結果の要旨 氏 名 中澤

別紙様式第2号
横浜国立大学
学位論文及び審査結果の要旨
氏
名
中澤 治雄
学 位 の 種 類
博士(工学)
学 位 記 番 号
工府博甲第409号
学位授与年月日
平成26年3月26日
学位授与の根拠
学位規則(昭和28年4月1日文部省令第9号)第4条第1項及び横浜国立
大学学位規則第5条第1項
学 府 ・ 専 攻 名
工学府
機能発現工学専攻
学 位 論 文 題 目
パワー半導体製造工程における高温熱処理とシリコン結晶欠陥の研究
(A study on high-temperature annealing and silicon crystal
defects for power semiconductor manufacturing process)
論 文 審 査 委 員
主査
横浜国立大学
教授
羽深
等
教授
田中 正俊
教授
荻野 俊郎
教授
羽路 伸夫
教授
高橋 宏治
論文及び審査結果の要旨
パワーエレクトロニクス応用装置の小型化や高効率化に対応するために、本研究では、
高耐圧(600V,1200V)のRB-IGBT(Reverse-Blocking Insulated Gate
Bipolar Transistor:逆阻止IGBT)を製作することを目的として、ウェハの縦方向に p
型分離層を形成するRB-IGBTの新たなプロセス方法と、p 型分離層を形成するために
必要不可欠となる長時間熱処理により生じる析出物の発生機構を明らかにし、その解消方
法を見出した。
第1章では、パワー半導体デバイスの基本動作とアプリケーションを説明した。また、
シリコン結晶の製造方法の概要を述べた。そして、本研究の目的と各章のつながりを明確
にした。
第2章では、新構造RB-IGBTの新たな作製プロセスとそのデバイス特性、および
そ れ を 適 用 し た ア ド バ ン ス ト T タ イ プ N P C ( AT-NPC : Advanced T-type
Neutral-Point-Clamped)モジュールについて述べた。新構造の1200VRB-IGBT
デバイスは、ウェハの縦方向に p+分離層を形成するために、表面側からの高温長時間拡散
とウェハ裏面側からのV溝形成を組合せた新しいハイブリッド型分離層形成プロセスを考
案し、V溝側壁へのp層の活性化技術を確立することにより安定して製作できるようにし
た。1200VRB-IGBTを組み込んだAT-NPCモジュールを製作し、3レベル
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横浜国立大学
インバータに適用した場合の発生損失は、従来の2レベルインバータよりも31%、NP
Cインバータよりも15%低減された。
第3章では、RB-IGBTの製作に必要とされる高温長時間熱処理技術に的を絞り、
FZ1ウェハ(CZ法により育成された結晶インゴットを用いて生産されたFZウェハ)
に窒素雰囲気で生じる結晶欠陥の発生機構を解析し、その解消方法も明らかにした。
FZ1ウェハを(N2(70%)+O2(30%))で1300℃100hの熱処理をする
ことにより、30%程度のウェハで2μm程の大きさの窒素析出物(α-Si3N4結晶)が
発生していることがわかった。また、上記の窒素雰囲気中での熱処理を行う前にアルゴン
雰囲気(Ar(70%)+O2(30%))で1300℃1hの熱処理を行うことにより窒
素析出物の発生が解消されることを明らかにした。
第4章では、第2章、第3章で得られた本研究の成果について統括した。
以上の内容は博士(工学)論文として価値あるものであると判断した。