横浜国立大学 出願特許概要シート(出願公開後) 測定時間を短縮化し、試料へのダメージを低減する原子間力顕微鏡装置 技術名 発明の名称 原子間力顕微鏡装置 出願番号 特願2008-52663 公開番号 分類 G01N 13/10 G01N 13/16 発明者 藤本 博志、白石 貴行 特開2009-210361 整理番号: YNU07069 特許番号 技術概要 本発明はタッピングモード型の原子間力顕微鏡装置(AFM:Atomic Force Microscope)の制御をディジタル化し、表面 形状オブザーバー(STO:Surface Topography Observer)を用い、走査速度の高速化と観測精度の向上を図る方式 (特願2007-238219)について、試料へのダメージを低減しつつ、さらに走査速度の高速化を図る方法を提供する ものである。 タッピングモードAFMの構成を下記の代表図に示す。カンチレバー103の先端に取り付けられたカンチレバーの先端 104をカンチレバーの共振周波数で振動させて試料表面120を振動的にタッピングさせる。本発明に関わるAFMでは、 レーザー光をカンチレバーの先端の背面に当て、反射光をフォトダイオード106で検出し位置を検出する。その信号を基 にカンチレバーの先端と試料表面との間に働く原子間力算定する。算定された原子間力を一定に保つようにピエゾ素 子でできたz方向走査台111に印加する電圧をフィードバック制御し、z方向に試料を動かす。この電圧信号が試料表面 のz方向の位置、すなわち表面形状を示す信号となる。x y方向に試料を動かす走査器112で試料を動かすことにより、 試料の表面の形状をナノメータレベルで計測することが出来る。本発明は原子間力を一定に保つようにピエゾ素子でで きたz方向走査台111に印加する電圧から推定された試料表面形状信号とフォトダイオードで検出されたカンチレバー の先端位置信号との誤差信号を用いSTOにより試料の表面形状を推定する。STOはz方向走査台のフィードバック系 に含まれないため系の安定性を損なわないで、早い走査速度で表面形状の信号を得ることが出来る。しかし、より走査 速度を増すとカンチレバーの先端が試料表面と強く当たり、試料にダメージを与えたり、試料表面から離れ試料表面形 状を正しく推定できなくなる。本発明はSTOに学習効果を導入して、このような事態を防ぎ、より高速な走査を可能とす る方法を提供するものである。 解決すべき技術課題 STOを用いたAFMで、より高速な走査を行おうとすると、カンチレバーの先端が試料表面と強く当たり、試料にダメージ を与えたり、試料表面から離れ試料表面形状を正しく推定できなくなる。このような状況を防ぎ、より高速の走査、すな わち、計測時間の短縮を実現することが課題である。 どのように解決したか 本発明では、STOを用いたAFMで、1つの走査ラインにおいてFWS(Forward Scanning 行きの走査)で表面形状を計 測および記憶し、同じラインに沿ってのBWS(Backward Scanning 帰りの走査)において、記憶された表面形状信号を 用いてz方向走査器をフィードフォワード制御を行い、カンチレバー先端の試料表面追従性を向上させ、上記課題を解 決しする。また、1ライン前のFWSとBWSの間に得た表面形状を記憶し、次のラインの走査をフィードフォワード制御す る方法、1ライン前のBWSで記憶した表面形状を用い次のラインのFWSの制御を行い、そのときに得た表面形状を基 にBWSの制御行い、その間の表面形状を推定する方法も有効である。このような学習効果を導入して測定の高速化 を可能としている。 効果 本発明によれば、試料へのダメージを低減しつつ、AFM測定の計測時間の短縮が可能になる。 優位性・特徴技術 STOを用いたAFMで、上記説明したような当該走査前の測定結果を用い当該走査におけるz方向走査器のフィード フォワード制御を行い、カンチレバー先端の試料表面追従性を向上させることにより、試料のダメージを低減しつつ走査 速度を増やすことに本発明の特徴、優位性がある。 代表図 本発明の制御ブロック 図 101:発振用ピエゾ素子 102:DDS 103:カンチレバ 104:カンチレバの先端 105:LD(レーザ光) 106:PD(フォトダイ オード) 115:ピエゾ素子面 【本件問い合わせ先】 横浜国立大学 研究推進部 産学連携課 知的財産係 TEL045-339-4450
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