週間マーケット展望( 11月 30日 ~ 12月 4日)

週間マーケット展望( 11月 30日 ~ 12月 4日)
展望
先週は、週後半に米感謝祭を控えており、全般的にやや限定的な動きとなった。その中で、ユーロは、前週の追加緩和
を示唆した ECB総裁の発言が引き続き意識され、主要通貨に対して軟調な動きが続き、英ポンドも国内の経済指標の悪化
を背景に、利上げ期待の後退などからやや軟調な動きも見られた。一方、豪ドルは、ここまでの利下げサイクルが終了し
たとの見方が引き続き好感され、底固い動きとなった。
今週は、ECBが 12月 3日に金融政策決定会合、4日は米国の雇用統計の発表が予定されており、この結果を受けて、大
きな動きに繋がる可能性も考えられる。また、イエレン FRB議長が 2日に講演、3日に議会証言を行う予定であり、来週
の FOMCを控えて、発言内容から利上げの有無や、利上げペースのヒントを探る上で注目されている。また、トルコ軍のロ
シア機撃墜を受けて、トルコとロシア両国の緊張が高まっているが、地政学的リスクが急速に高まる可能性は考え難く、
相場への影響は限定的と考えられる。
ドル/円
先週は、序盤に発表された米経済指標が、市場予想を下回る結果が続いたことから、序盤はやや軟調な動きとなった。
その後は、感謝祭を控えて市場参加者も少なくなり、週末まで 122円台での狭いレンジ内の展開が続いた。
今週は、
底固い展開が予想される。先月からの堅調な流れにより、米国の 12月利上げ開始が織り込まれているが、このところの米
経済指標は、まちまちの結果が続いていることから、やや上値の重い動きとなっている。注目は、週末の米雇用統計であ
り、この結果で来週の FOMCでの利上げ開始の有無の最終判断をするとの見方もある。一方、すでに利上げは決定的である
との見方も多く、利上げ決定後の動きに備える向きもある。そして、今週は、週明けから主要な米国の経済指標の発表も
予定されていることや、2日、3日にはイエレン FRB議長の講演も予定されている。イエレン FRB議長は、雇用統計の発表
前ということもあり、タカ派的な発言はしないと見られているが、12月の利上げやその後の利 上げペースを占う上では 、
やはり発言内容には注目したい。
121.01 ~
124.63
ユーロ/円
先週は、前週末にドラギ ECB総裁が 12月の追加緩和の可能性を示唆したことが引き続き材料視され、週明けから軟調な
動きとなった。そして、ECBが具体的な追加金融緩和策を論議しているとの報道を受けて、ユーロは主要通貨に対して一
段の下落となった。その後、値を戻す動きも見られたが、米国市場が休場となるなど、材料に乏しい中、来週の ECB理事
会を控えて、追加緩和が改めて意識され、週末には一段の下げとなった。ユーロ/円は、週明けの 131円台から 129.68ま
で下落し、4月 28日以来の安値を付ける動きとなった。
今週は、軟調な展開が予想される。ドラギ ECB総裁の発言以
降、追加緩和を織り込む形でユーロは軟調な動きが続いているが、3日の ECB理事会の政策発表に注目が集まっている。
マーケットでは、追加金融緩和を打ち出すとの見方も多くなっている。追加緩和策を打ち出す場合には、一段の下げも考
えられ、見送りなら大きな反発となる可能性も考えられる。また、週末の米雇用統計で米国の利上げの思惑次第で、欧米
の金融政策の違いが改めて意識される可能性もあり注目したい。
127.45 ~
133.19
1
ポンド/円
先週は、前週末に英国の経済指標が軒並み悪化したことや、週明けの指標も 2月以来の低水準となったことから、英国
の利上げ期待がやや後退し、ポンドは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ポンド/円は週明けの 186.99から 184.35ま
で下げる動きとなった。しかし、その後は英政府が 2016年 GDP成長率予測を上方修正したことを受けて、185円台後半ま
で上昇する動きとなったものの、上値の重い動きとなり、週末には 184.27まで下落し、10月 29日以来約 1ヵ月ぶりの安
値を付ける動きとなった。
今週は、上値の重い動きが予想される。3Qの英 GDP改定値では、対外貿易の押し下げが 1997
年の統計開始以来最大となった半面、個人消費は金融危機前の 2007年終盤以来の高い伸びとなるなど、まちまちの結果と
なり、やや方向性が掴み難い。ただ、英国景気の減速は一時的との見方も根強く、底固い動きも考えられる。当面は、来
週の英中銀の金融政策会合での声明などが目先の方向性を左右する可能性が考えられる。今週は、英国の主要な経済指標
の発表もないことから、欧州の金融政策発表や米国の主要な経済指標などが影響するが、やや限定的な動きが考えられる。
183.56 ~
186.02
豪ドル/円
先週は、新規材料に乏しく、米国市場の感謝祭による休場を控えて序盤から小動きの展開が続いた。ただ、ロシア軍機
撃墜により、トルコとロシア両国の緊張が高まっていたことや、金属などの資源価格の低迷が続いたこと、また豪州の民
間の設備投資が予想以上の大幅悪化となったことから、豪ドルは終盤まで上値の重い動きとなった。豪ドル/円は、88.04
から89.12でのレンジ内の展開が続いた。
今週は、やや上値の重い動きが予想される。豪中銀総裁が、金利引き下げは
以前ほど刺激効果がないとの考えを示したことで、追加緩和の可能性はほとんどないことが織り込まれており、1日の豪州
の金融政策発表では、金利据え置きが予想されている。また、2日の豪州GDPや3日の貿易収支も前回からの改善が予想され
ていることから、予想通りの結果となれば底固い動きも考えられる。ただ、週末には米雇用統計の発表が控えていること
や、週序盤から米当局者の発言や主要な米経済指標の発表も多く、利上げ期待が高まるようなら、対ドルでの一段の下落
となり、対円でも上値の重い動きとなる可能性も考えられる。
87.25 ~
89.46
南アフリカ・ランド/円
先週は、週前半に発表された南アの景気先行指標や、GDPが市場予想を下回る結果となったことから、南ア・ランドは
序盤から軟調な動きとなった。また、金やプラチナ価格が低迷したことや、企業関連指標が悪化したことも加わり、南ア・
ランドは週明けの 8.82から 8.52まで下げる動きとなった。
今週は、上値の重い展開が続く可能性が考えられる。先
週発表された南ア GDPでは、2四半期連続のマイナス成長で定義されるリセッション入りは回避されたものの、南アフリ
カ経済にはまだ問題も多く、今年の政府の成長率目標に到達できないとの懸念も指摘されている。また、先々週利上げが
実施されたものの、ランド安は解消傾向になく、0.25%(7月も 0.25%の利上げだった)と小出し的な利上げがどれだけ
効果があるのか疑問も残る。そして、今週は、ECB理事会や米雇用統計の発表が予定されており、特に米国の利上げ期待
が高まるようなら、ランドは一段の下げとなる可能性もあり、利上げ効果が吹き飛ぶ(対ドルでの安値更新する)可能性
もあるだろう。
8.42 ~
8.70
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