2015年10月24日

週間マーケット展望( 10月 26日 ~ 10月 30日)
展望
先週は、堅調な株価の動きもあり、ドル円・クロス円は比較的堅調な動きとなった。ドルは、主要な経済指標が予想
を上回る結果が続いたことから、主要通貨に対して上昇となり、1ヵ月ぶりに 121円台まで上昇する動きとなった。一
方、ユーロは、ECB総裁が追加緩和の可能性や、理事会で利下げが議論されたことを明らかにしたことを受けて、大半
の主要通貨に対して下落となった。週末には、中国が追加利下げなどの景気刺激策を新たに打ち出したことから、世界
経済の減速懸念が後退し、株価が大きく上昇する動きとなり、円が売られる動きとなった。
今週は、週央の米 FOMCや週末の日銀金融政策決定会合に注目が集まっている。FOMCでは、政策変更は見送りがコン
センサスだが、一部では利上げ期待もある。年内利上げの可能性が高まるようなら、ドルの一段の上昇も考えられる。
そして、30日に予定される日銀の金融政策決定会合では、追加緩和を打ち出すかどうかが焦点になる。また、同時に
発表される展望リポートで物価見通しの下方修正も有力視されており、注目したい。さらに、週明けから、中国の党中
央委員会(5中全会)が開催され、ここで 5ヵ年計画が示される予定だが、大規模な経済対策が出るとの思惑も強まっ
ている。そのため、発表される経済対策の規模が、中国経済の失速懸念を後退させる材料になるのかどうかを見極めた
い。
ドル/円
先週は、週明けから続いた米住宅関連の経済指標が軒並み市場予想を上回る結果が続いたことから、ドルは主要通貨
に対して堅調な動きとなった。また、ECB総裁が定例会見で、12月の追加緩和の可能性を示唆したことや、中銀預金金
利の一段の引き下げについて協議したことが明らかにされたこともから、ユーロ対ドルで大きく下落したこともドルの
押し上げ要因となった。ドル/円は、週末には 121.30台まで上昇し、9月 10日以来の高値を付ける動きとなった。
今
週は、底固い展開が予想される。今週は、日米の金融政策発表が予定されており、様子見ムードが強まる可能性がある
一方、思惑が交錯する可能性もあり、発表前の動きには注意したい。28日の FOMC政策発表では、利上げ見送りとの予
想が広がっている。市場では利上げ開始が越年になるとの見方が強まりつつあるが、声明文などで年内利上げ開始への
期待が高まるようなら、ドルが一段の上昇となる可能性もあるだろう。また、一部では、利上げ開始が決定されるとの
見方もあり、一応警戒はしておきたい。そして、週末には日銀の金融政策発表も予定されている。こちらも直前まで思
惑が交錯する可能性があるだけに、値動きには注意したい。今週は、米国の重要な経済指標の発表が続くことから、結
果を受けて思惑が交錯する可能性も考えられることから注目したい。
119.62 ~
122.50
ユーロ/円
先週は、ECB理事会を控えて様子見ムードが強まっていたことから、序盤から小動きの展開となった。ただ、ECB理
事会のメンバーが量的緩和プログラムを調整する必要はないと発言したことが材料視され、上昇する場面もあった。そ
して、ECB理事会後の会見で、ドラギ総裁が QEプログラムについて、必要になれば規模と構成、期間を調整できると
発言したことで、12月の金融緩和拡大が意識された。また、中銀預金金利の一段の引き下げについても協議したこと
を明らかにしたことも影響し、ユーロは主要通貨に対して大きく下落する動きとなった。ユーロ/円は、週央の 136円
台から 133円台まで下落し、9月 23日以来の安値を付ける動きとなった。
今週は、上値の重い展開が予想される。
先週、12月の追加緩和の可能性が示唆されたことが引き続きユーロの上値を抑える要因となるだろう。また、先週末
の中国の利下げで世界経済の減速懸念が後退しており、引き続き株価が堅調な動きとなる場合には、資源国・新興国通
貨に対して軟調な動きが出ることも考えられる。そして、日米の金融政策発表を控えており、特に米国の利上げ期待が
高まるようなら、対ドルでの一段の下落の可能性もあり、対円でも影響が出る可能性もあるだろう。
132.20 ~
134.80
1
ポンド/円
先週は、週明けからやや新規材料に乏しい中、引き続き英国の早期利上げ期待などが材料となり、序盤から比較的堅
調な動きとなった。そして、英国の小売売上高が市場予想を大きく上回る結果となったことや、ECB総裁が追加緩和の
可能性を示唆したことから、ユーロ圏との金利差が意識され、英ポンドは堅調な動きとなった。また、週末には中国の
利下げを受けて円が売られ、ポンド/円は週明けの 183円台から 186円台まで上昇する動きとなった。
今週は、堅
調な展開が予想される。今週は、日米の金融政策発表が予定されているが、事前では現状維持が予想されている。一方、
最近の英国の経済指標結果などから、利上げの期待感が高まっていることから、引き続き堅調な動きが続く可能性も考
えられる。英国では、27日に GDPの発表が予定されており、結果には注目したい。
184.51 ~
187.38
豪ドル/円
先週は、豪州の主要な経済指標の発表もなく、ECB理事会を控えて様子見ムードが高まっていたこともあり、週明け
からレンジ内の展開が続いた。ECB理事会後の総裁の会見で、追加緩和の可能性を示唆したことから、ユーロが売られ、
株価が大きく上昇したこともあり、豪ドル/円は堅調な動きとなった。しかし、レンジを抜けるような動きとはならな
かった。ただ、週末には、中国が追加利下げなどの景気刺激策を新たに打ち出し、世界経済の減速懸念が後退したこと
から、豪ドル/円は 88.10まで上昇する場面もあった。
今週は、やや底固い展開が予想される。今週は、日米の金
融政策発表が予定されており、週序盤から様子見ムードが強まる可能性も考えられる。ただ、先週末のアジア市場の引
け後に、中国が追加利下げなどを発表したが、週明けのアジア市場で改めて材料視される可能性も考えられる。また、
FOMCでは、一部で利上げ期待があるものの、現状では利上げは見送りが優勢であり、豪ドルにはプラス材料となる。
ただ、年内の利上げに対する期待感が再び高まるようなら、豪ドルにはマイナス要因となることから注目したい。
85.81 ~
88.61
南アフリカ・ランド/円
先週は、週明けに米当局者が米国の早期利上げの可能性を示唆する発言をしたことを受け、軟調な動きとなった。そし
て、南アフリカの 2015年の GDP見通しが、2.0%から 1.5%に下方修正されたことを受けて、ランドは主要通貨に対し
て下落となり、ランド/円は週明けの 9.17から 8.80まで下落し、10月 6日以来の安値を付ける動きとなった。その後、
ユーロ圏の追加緩和の可能性が高まったとの見方や、株価の大幅上昇を受けて、9円台まで反発する動きとなった。
今週は、上値の重い展開が予想される。今週は、米国の FOMCや日本の金融政策発表が予定されており、思惑が交錯す
る可能性も考えられる。現状では、共に政策変更は見送られることが予想されているが、一部では、米国の利上げや日
銀の追加緩和を予想する向きもあることから、直前まで思惑が交錯する可能性が考えられる。国内では、30日に貿易・
財政収支の発表が予定されているが、前月に続きともに赤字が予想されている。また、コモディティ価格の下落が続い
ていることも、ランドの上値を圧迫する要因となるだろう。テクニカル的には、8.78を下抜ける場合には、8.40台ま
での下げとなる可能性もあることから、注目したい。
8.69 ~
9.10
提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社
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