2015年10月31日

週間マーケット展望( 11月 2日 ~ 11月 6日)
展望
先週は、日米の金融政策発表を控えて、やや方向感に乏しい動きが予想されたものの、米経済指標の悪化や株価の下落、
また南シナ海における米中の緊張なども影響し、序盤は安全資産とされる円が買われる動きとなった。そして、FOMCでは、
利上げが見送られたが、「米経済は緩やかなペースで拡大している」との米経済の見通しが維持されたことや、「12月会
合で利上げの是非を検討する」と、年内の利上げの可能性が残されたことを受けて、ドルが主要通貨に対して上昇する動
きとなった。一方、日銀の金融政策発表では、金融政策の現状維持が決定されたことを受けて円が買われる場面もあった
が、2015年度補正予算案を総額で 3兆円を超える規模にする方向で政府が調整に入ったとの報道を受けて、円売りが優勢
となる場面もあった。しかし、物価見通しが下方修正されたことなどから、再び円が買われる動きも見られるなど、思惑
が交錯する動きとなった。
今週は、米国の主要な経済指標の発表が注目されており、結果を受けて動きが出る可能性も考えられる。米国の利上げ
判断が先送りされたことから、主要な経済指標の結果に注目したい。特に、FOMCの声明で「雇用の拡大ペースは減速した」
との見方が示されたことから、週末の米雇用統計の結果には注目したい。また、南シナ海における米中の緊張が高まるよ
うなら、リスク回避の動きが強まる可能性も想定しておきたい。ただ、米国の年内利上げ観測や日銀の追加緩和期待がド
ル/円下値を支える要因となる可能性もあり、逆に、資源国・新興国通貨の上値を圧迫する要因となるだろう。そして、日
本では、4日に郵政グループ 3社の上場が予定されており、売出し金額は合計 1.4兆円と大規模である。また、本邦企業
の決算発表も続くことから、株価が刺激されて為替市場も影響を受ける可能性もあることから、当日の東京市場での動き
にも注目したい。
ドル/円
先週は、週前半に発表された米国の主要な経済指標が軒並み悪化する結果となったことから、ドルは主要通貨に対して
軟調な動きとなった。そして、注目された FOMCでは、利上げが見送られたことを受けて、一時 120.04まで下げたものの、
「米経済は緩やかなペースで拡大している」との米経済の見通しが維持されたことや、「12月会合で利上げの是非を検討
する」と、年内の利上げの可能性が残されたことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇する動きとなった。そして、週
末の日銀の金融政策決定会合で追加緩和が見送られ、円が買われたものの、3兆円規模の補正予算案を検討との報道を受
けて円売りが強まる場面もあった。
今週は、底固い展開が予想される。週明けから米国の主要な経済指標の発表が続
き、週末には雇用統計の発表も予定されている。利上げ決定の要素として、経済指標の結果も含まれることから、結果を
受けて思惑が交錯する可能性が考えられる。FOMCでは、雇用の回復ペースについて「減速した」と判断を引き下げられた
ことから、特に雇用関連や雇用統計の結果には注目したい。また、内外の当局者や政府関係者の発言も多くなることから、
マーケットの反応にも注意したい。
119.62 ~
121.60
ユーロ/円
先週は、米 FOMCで利上げが見送られたものの、年内利上げの可能性が残されたことから、ドルが主要通貨に対して上昇
となり、ユーロ圏との金融政策の違いが意識され、ユーロは対ドルなどで軟調な動きとなった。ユーロ/円は一時 131.59
まで下落し、4月 30日以来の安値を付ける動きとなった。ただ、日本の金融政策発表で追加緩和が見送られたものの、政
府の補正予算案の報道を受けて円が売られたことや、ユーロ圏の消費者物価の下落止まったこと、失業率が低下したこと
を受けて、ユーロ/円は 133円台まで値を戻す動きとなった。
今週は、上値の重い展開が予想される。先週末に、ユー
ロ圏の経済指標が改善したことからユーロ/円は反発したが、今週は米国の雇用統計が週末に予定されるなど、週明けから
続く主要な米経済指標の発表に注目したい。米国の年内利上げの可能性は残っており、その判断材料として経済指標の結
果が考慮されることから、引き続き米国の経済指標の結果に注目が集まっている。指標結果により米国の利上げ期待が高
まるようなら、対ドルで軟調な動きとなり、対円でも上値の重い展開が考えられる。一方、ユーロが上昇する場合でも、
先のドラギ総裁の追加緩和を示唆する発言が意識され、上値は限定的だろう。
131.60 ~
134.26
1
ポンド/円
先週は、週明け小動きながら軟調な展開で始まったが、英国の GDPが予想を下回る結果となり、特に建設業が 2012年以
降の最大の落ち込みとなったことや、製造業の悪化が影響し、世界経済の鈍化傾向が英経済にも影響していることが明ら
かとなった。これを受けて英ポンドが大きく下落し、ポンド/円は週明けの 186.02から 183.91まで下落する動きとなった。
その後は、週末の日銀の金融政策発表に関連して円が売られたことから、ポンド/円は一時 186.03まで上昇する動きとな
った。
今週は、底固い展開が予想される。英国の GDPが悪化したことはややネガティブな材料だが、欧州や日本の追
加緩和観測が残っているなど、主要国との金融政策の違いも意識され、底固い動きが続くだろう。ただ、週末に米雇用統
計を控えており、週明けから主要な米経済指標の発表が予定されているが、ここで良好な結果が続くようなら、年内の米
国の利上げ期待から対ドルで軟調な動きとなり、対円でも上値の重い動きとなる可能性も想定しておきたい。英国内では、
5日に金融政策委員会があり、金融政策が発表される。政策の変更はないものの、前回の 8対 1から利上げを主張する委
員が増えるのか注目したい。
183.91 ~
187.38
豪ドル/円
先週は、週明け小動きの展開で始まったものの、南シナ海を巡る米中関係の緊迫化に対する懸念が高まったことや、原
油価格が2ヵ月ぶりの安値を付けるなど、資源価格の下落、またFOMCで米国の年内の利上げの可能性が残されたことから 、
豪ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。そして、週末には日銀の金融政策が現状維持されたことなどを受けて、
豪ドル/円は週明けの87.99から85.43まで下落し、10月6日以来の安値を付ける動きとなった。
今週は、上値の重い動
きが予想される。週末の米雇用統計など、週明けから米国の主要な経済指標の発表が予定されており、結果が米国の利上
げに対する思惑に結び付く可能性があることから、上値の重い展開が続く可能性が考えられる。また、3日には豪中銀の金
融政策発表が予定されており、政策金利は据え置きがコンセンサスとなっている。ただ、ハト派的な声明や発言があるよ
うなら、年内の利下げの可能性が意識される可能性もあり、内容などには注目したい。
84.00 ~
87.40
南アフリカ・ランド/円
先週は、週明けから株価が軟調な動きとなったことや、米 FOMCの政策発表を控えて上値の重い展開で始まった。そして、
南アの失業率が悪化したことや、南ア中銀が報告書で、南アの対外債務が高水準であり、経済にとって引き続き米利上げ
がリスクになると指摘したことを受けて、ランドは主要通貨に対して軟調な動きとなった。また、米 FOMCで年内の利上げ
の可能性が残されたことから、週末まで軟調な動きが続き、ランド/円は 8.70まで下落し、10月 5日以来の安値を付ける
動きとなった。
今週は、上値の重い展開が予想される。今週は、週末に米雇用統計の発表が予定されるなど、週前半
からの米経済指標の結果を受けて、米国の利上げに対する思惑が意識されることから、南ア・ランドは上値の重い展開が
続く可能性が考えられる。ただ、相対的に年内の利上げ期待が後退するようなら、値を戻す動きも考えられるが、南ア経
済に対する懸念も根強く、上値は限定的だろう。そして、先週の南ア中銀の報告で、第 2・四半期に南アの債務が GDP比
47.5%と高水準にあることが報告されており、大手格付け会社も懸念を示していることから、格下げのリスクも高まりつ
つあると考えられ、中期的にも上値の重い展開が続く可能性が考えられる。
8.50 ~
8.90
提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社
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