週間マーケット展望( 1月 16日 ~ 1月 20日)

週間マーケット展望( 1月 16日 ~ 1月 20日)
展望
先週は、トランプ次期米大統領の当選後初の記者会見を控えて様子見ムードが漂っており、序盤は小動きの展開が続い
た。そして、会見では期待されていた減税や公共事業拡大など、具体的な経済政策に言及しなかったことを受けてドルが
売られ、また株価が下落に転じたことから、投資家のリスク志向も後退し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一
方、メイ英首相の発言を受けて、EU離脱で深刻な影響が及ぶ可能性が高いとの見方が広がったことを受けて、英ポンドは
主要通貨に対して軟調な動きとなった。
今週は、週末 20日に米大統領の就任式が予定されており、ここでこれまで掲げてきた保護主義政策を改め主張するのか
どうか注目されている。ただ、それまでは思惑が交錯する可能性も考えられる。また、米国の大手企業の決算発表が続く
ことや、16日に黒田総裁の支店長会議での挨拶、19日には ECB理事会が予定されている。また、英国のリスボン条約第
50条発動に関する最高裁の判決が出る可能性もあることから、週末まではこれらの結果や内容で動きが出る可能性も考え
られる。また、12営業日続伸が続く英 FT100指数や、20000ドルの大台を前に足踏み状態が続く米ダウ平均株価、また債
券利回りの動きにも注目したい。
ドル/円
先週は、週央にトランプ次期米大統領の当選後初の記者会見を控えて様子見ムードも出ており、小動きの展開で始まっ
た。しかし、米債券利回りの低下が続き、日米金利差縮小が意識されたことから、軟調な動きが続いた。そして、トラン
プ次期米大統領が、会見で期待されていた減税や公共事業拡大など、具体的な経済政策に言及しなかったことからドル売
りが強まり、ドル/円は週明けの 117.53から 113.76まで下落し、約 1ヵ月ぶりの安値を付ける動きとなった。
今週は、
上値の重い動きが予想される。週明け米国市場が休場となることから、序盤は限定的な動きも考えられる。また、週末に
米大統領の就任式が予定されており、今回は経済政策の具体的な内容に言及するとの見方もあり、期待感が高まっている。
しかし、具体的な言及がない場合や、これまで強い保護主義を掲げてきた内容が緩やかになる場合には、トランプラリー
で積み上がったドルロングの解消の動きが加速する可能性も考えられる。また、米大手企業の決算発表が続くことから、
こちらの結果に注目したい。堅調な内容なら、ダウ平均株価の 20000ドル台の大台乗せの可能性もあるだろう。
112.89 ~
116.86
ユーロ/円
先週は、原油価格や欧米の株価の下落を背景に、投資家のリスク回避の動きが強まり、週明けから相対的に安全な通貨
とされる円が買われる動きとなった。そして、ECB理事会の議事録で、量的緩和に反対する一部メンバーが、資産買い入
れの延長に反対していたことに加え、欧州株高や米長期金利の低下もユーロの支援材料となり、対ドルでは堅調な動きと
なった。しかし、米債利回りの低下を背景に、日米金利差縮小観測から円買いが強まったことから、ユーロ/円は週明けの
122.72から 121.20まで下落した。
今週は、週末の米大統領の就任式に注目が集まっており、先週に続いて財政出動
や減税に関する具体的な発言がなければ、再び米長期金利の上昇圧力が強まり、日欧との金利差拡大を見越したドル買い・
ユーロ売りの展開となる可能性もある。ただ、トランプラリーで積み上がった円売りが解消される場合には円買い戻しの
動きが強まる可能性も考えられる。そして、19日には ECB理事会、ドラギ ECB総裁の会見が予定されているが、前回政策
変更を実施していることから、今回の政策変更の可能性は低いと考えられる。ただ、政策の先行きに関する発言がある場
合には反応する可能性もあることから、注意したい。
121.00 ~
123.50
1
ポンド/円
先週は、週明けにメイ英首相が、単一市場からの離脱は不可避ではないとの認識を示したことなどを受けて、離脱によ
りハード Brexitに陥る可能性が高いとの見方が広がり、英ポンドは主要通貨に対して軟調な動きとなった。その後も懸念
が払拭されず、軟調な動きが続き、ポンド/円は週明けの 143.87から 138.93まで下げる動きとなった。一方、ポンド安進
行を受けて、輸出企業などの業績改善の期待感から、英 FT100は 12営業日続伸となった。
今週は、軟調な展開が予想
される。リスボン条約第 50条発動には議会の承認が必要との判断に関する最高裁の判決が今週にも出ると見られているが、
敗訴の可能性が濃厚と報じられており、手続きが遅れる可能性も指摘されている。そして、EU離脱の悪影響を懸念する声
も大きくなり始めており、一段と深刻な状況になるとの懸念もある。そのため、ポンドは上値の重い動きが続く可能性が
考えられる。
138.50 ~
141.47
豪ドル/円
先週は、週央にトランプ次期米大統領の当選後初の記者会見を控えており、米国の保護主義的な政策を示唆する可能性
が予想されていたことで、様子見ムードから小動きの展開が続いた。そして、会見では、具体的な経済政策に触れなかっ
たことからドルが売られ、豪ドルは対ドル大きく上昇した。また、対円でも堅調な動きとなり、豪ドル/円は、85.06から
86.28まで上昇する動きとなった。そして、金属価格など資源価格の上昇も押し上げ要因となった。
今週は、上値の重
い動きが予想される。週末に米大統領の就任式が予定されており、ここでの発言に注目が集まっている。大統領に就任に
際して、経済政策に関して発言があるとの期待感がある一方、先週同様に具体的な内容には言及しないとの見方もあるこ
とから、やや思惑が交錯する可能性も考えられる。また、19日には豪州の雇用統計の発表も予定されており、結果には注
目したい。
85.00 ~
87.15
南アフリカ・ランド/円
先週は、トランプ次期米大統領の記者会見を控えて、世界経済に影響を及ぼす可能性のある財政拡大や、貿易政策の変
更を示唆する発言があるとの警戒感から、相対的に安全な通貨とされる円を買う動きとなり、ランド/円は週明けの 8.56
から 8.33まで下落した。しかし、トランプ米大統領が、期待されていた具体的な経済政策に言及しなかったことを受けて、
リスク回避の動きが後退し、ランド/円は 8.54まで上昇した。また、貴金属価格の上昇も押し上げ要因となった。
今
週は、上値の重い動きが予想される。今週末に、トランプ氏の米大統領就任式が予定されており、再び対ドルで軟調な動
きとなる可能性も考えられる。そして、円売りが続いた流れの調整の動きが前半に出るようなら、下げ幅が拡大する可能
性も考えられる。また、南アの鉱物生産や消費者物価指数の発表も予定されており、こちらの結果にも注目したい。
8.30 ~
8.60
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