週間マーケット展望( 11月 23日 ~ 11月 27日) 展望 先週は、フランスでの同時多発テロに対する懸念を背景に、週明けからリスク回避の動きが強まり、比較的安全資産と される円が買われる動きとなり、ドル円・クロス円は週明けからギャップダウンで始まった。しかし、経済への影響は限 定的の見方が広がり、その後値を戻す動きとなった。その後は、米国の 12月の利上げ期待の高まりに対して、ECBの追加 緩和観測を背景に、ドルは堅調な動きとなり、ユーロは軟調な動きとなった。ただ、週後半には、ドルは上値の重い動き となった。 今週は、まちまちの展開が予想される。12月の米国の利上げの可能性が高まっているものの、マーケットでは来週の雇 用統計次第との見方も出ていることから、積極的な売買が手控えられる可能性もあり、やや上値の重い動きが考えられる。 また、ECB総裁が、来週の理事会での追加緩和の可能性を示唆したことから、引き続き上値の重い展開が続く可能性が考 えられる。一方、堅調な株価動向や、下落した資源価格が値を戻す動きが加速するようなら、資源国・新興国通貨は比較 的底固い展開が続く可能性も考えられる。特に、利下げサイクルが後退したとの見方が強まっている豪ドルは、堅調な動 きが続く可能性が考えられる。 ドル/円 先週は、前週末に発生したパリ同時多発テロを受けて、リスク回避の動きから、週明けはギャップダウンして始まった。 しかし、経済への影響は限定的の見方が広がり、比較的安全な資産とされる円を売ってドルを買う動きが優勢となった。 また、米国の 12月利上げの可能性が高まったとの見方から、ドルが主要通貨に対して堅調な動きとなり、ドル/円は 123.76 まで上昇し、8月 20日以来の高値を付ける動きとなった。しかし、週後半には利益確定の動きなどから、122円台まで反 落する動きとなった。 今週は、やや上値の重い動きが予想される。先週の FOMC議事録では米利上げの可能性を示唆す る声明が出たことが改めて示されたものの、依然として利上げの先送りを支持する意見があったことや、利上げを示唆す る文言に反対する意見があったことも明らかとなった。そして、実際の判断は今後の経済指標次第としたことから、マー ケットでは来週の雇用統計を見てからとの意見も出ている。そのため、やや一服感が出る可能性も考えられる。ただ、今 週は 24日に GDP、個人消費、消費者信頼感指数、25日に耐久財受注など、米国の重要な経済指標の発表が続くことから 、 予想外の結果が出るようなら過敏に反応する可能性も考えられることから注目したい。 120.23 ~ 123.76 ユーロ/円 先週は、前週末のフランスでの同時多発テロの影響を受けて、週明けギャップダウンして始まり、ユーロ/円は 130.64 まで下落し、4月 29日以来の安値を付ける動きとなった。しかし、同時多発テロの経済への影響は限定的の見方が広がり 反発する動きとなり、一時 132.27まで上昇する場面もあった。ただ、週末の講演で、ドラギ ECB総裁が 12月の追加緩和 の可能性を示唆したことを受けて、ユーロ売りが優勢となり、ユーロ/円は 130.72まで下げる動きとなった。 今週は、 上値の重い動きが予想される。ECBは、物価を押し下げるリスク要因として、経済見通しの不確実性や原油安などを挙げ ており、12月 3日の次回理事会で ECBは量的緩和(QE)プログラムの拡大や、マイナス圏にある中銀預金金利をさらに引 き下げるなどの措置が必要かどうかを検討する考えを表明している。一方、米国では 12月に利上げ開始が決定されるとの 見方も根強く、ユーロは当面上値の重い展開が続く可能性が考えられる。今週は、米国の指標結果を受けて、米国の利上 げ期待が高まるようなら、ユーロの下げが加速する可能性も想定しておきたい。 129.01 ~ 132.27 1 ポンド/円 先週は、前週末のフランスでの同時多発テロの影響を受けて、英国でのテロ懸念などから週明けギャップダウンして始 まった。しかし、テロの経済への影響は限定的の見方が広がり、値を戻す動きとなった。その後、188.82まで上昇し、8 月 25日以来の高値を付ける動きとなったが、英国の小売売上高が予想以上の悪化となったことや、公的部門の借入額が 2009年以来の高水準となったことを嫌気して、週末には 186.52まで下げる動きとなった。 今週は、やや上値の重い 動きが予想される。ここまで比較的堅調な動きが続いたものの、英国経済指標の鈍化傾向も目立っており、これまでのよ うな堅調な流れが続くか疑問が残る。それを占う上で、今週 27日に発表される英国の GDP、個人消費の結果に注目したい。 それまでは、やや限定的な動きも考えられる。ただ、大きく流れが崩れる可能性も少なく、下値は限定的だろう。 185.39 ~ 188.82 豪ドル/円 先週は、週明けから世界的に株価が堅調な動きとなったことや、新興国通貨が上昇したことも影響し、豪ドルは堅調な 動きとなった。また、豪中銀の政策金利の引き下げサイクルが終了したとの見方が高まったことも、豪ドルの押し上げ材 料となった。豪ドル/円は、週明けの87.61から89.02まで上昇し、8月24日以来の高値を付ける動きとなった。 今週は、 比較的堅調な展開が予想される。今週は、主要な豪州の経済指標の発表がないものの、豪州の労働市場の改善が続いてい ることから、豪中銀は過去最低の政策金利の引き下げサイクルを終了するとの観測が広がっており、引き続き堅調な動き が続く可能性が考えられる。米国の利上げを占う米雇用統計の発表を来週に控えており、米国の利上げに対する思惑も一 服すると考えられることも、豪ドルの上昇を下支えるだろう。ただ、中国経済に対する懸念が高まる場合や、株価が下落 する場合には上値の重い動きとなる可能性も想定しておきたい。テクニカル的には、88.61を上抜けたことにより、当面の 上値目標の計算値は91.22となる。 87.40 ~ 91.22 南アフリカ・ランド/円 先週は、週明けから南ア株が大幅上昇となったことや、新興国通貨が堅調な動きとなったことから、南ア・ランドは堅 調な動きとなった。また、南アの物価見通しが引き下げられたことや、南ア中銀が政策金利を予想外の引き上げを発表し たことから、南ア・ランドは一段の上昇となり、ランド/円は週明けの 8.46から 8.84まで上昇し、11月 4日以来の高値 を付ける動きとなった。 今週は、堅調な展開が予想される。先週、南ア中銀が利上げを決定したことから、米国との 金利差拡大が意識されて堅調な動きとなっている。今後は、米国の利上げ決定までは底固い展開が続く可能性も考えられ る。ただ、米国の利上げ期待が高まる場合には、上値の重い動きとなる可能性もあるだろう。また、先月終盤から 100ド ル以上下落し、2010年 2月以来の安値を付けた金価格が値を戻す動きとなっており、この流れが続くようならランドにと っても支援材料となるだろう。 8.60 ~ 8.92 提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社 お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提供、再配信を行うこ と、独自に加工すること、 複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。情報の内容につい ては万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。 また、これらの情報によって生じたいかなる損害に ついても、当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。 本レポートに表示されている事項は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありま せん。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。 2
© Copyright 2024 ExpyDoc