米企業決算発表ピークで - 第一生命保険

(業務用参考資料)
Market Watching
テ ー マ :Weekly
市場レポート
Market Report (2003年4月21日∼)
発 表 日 :2 0 0 3 年4 月2 1 日(月)
∼米企業決算発表ピークで、相場の新たな流れできるか∼
(No.MW −7 )
第一生命経済研究所 経済調査部
担当 嶌峰 義清 ( 03-5221-4521)
今週のスケジュール
日本では、23日(水)に貿易収支(3月)、24日(木)に第三次産業活動指数(2月)、25日(金)に家
計調査(3月)、雇用統計(3月)、CPI(3月全国)などが発表される。このほか、27日(日)には統
一地方選挙(後半)が行われる。
米国では、23日(水)にベージュブック、24日(木)に耐久財受注(3月)、25日(金)に実質GDP
(1∼3月期)、ミシガン大学消費者センチメント(4月確報)、住宅販売(新築、中古、3月)などが発
表される。また、先週に引き続き企業決算発表が多数行われる。
欧州では、25日(金)に英実質GDP(1∼3月期)が発表される他、週内に独生産者物価(3月)、独
CPI(3月)などが発表される予定。
このほか、24日(木)にはOPEC臨時総会において減産が協議される。
今週の注目点
今週は、ピークを迎える米企業決算を受けての米株動向が最大の注目点となろう。一方、経済指標では米
国と英国で1∼3月期の実質GDP成長率が発表されるが、イラク戦争開戦前ということもあって、ほとん
ど参考にはならない。
米決算については、これまでのところ例にもれず直前予想対比では概ね予想の範囲内、あるいはこれを上
回る内容のものとなっている。直前予想自体は下方修正されてきたものであるため、これをもって“良好”
とは言い難いことも、ここ数四半期と同様である。しかし、1∼3月期企業収益に対する市場予想の下方修
正幅は、過去2四半期に比べ明らかに小さい。景気停滞時において企業収益予想の下方修正幅が小さくなっ
てくることは、企業収益回復、あるいは株価上昇の前兆であることが多い。そうであれば、決算発表がピー
クを迎える今週から、株価は上昇力を徐々につけていく可能性があるということになる。
経済指標では、大型だが過去の話となる米英GDPや米耐久財受注よりも、米ミシガン大消費者センチメ
ントの方が重要。注目点は、速報段階から上方修正されるかどうか。上方修正幅が大きいようだと、景気に
対する市場の見方は一気に変わる可能性がある。
イラク問題も再び注目を集める可能性がある。問題は戦争から復興へと移っていくが、イラク国内を始め
中東諸国でも、米軍が居座ることに対する反感が強まっている。米軍は、その一部がバグダッドからの撤退
を始めたが、現時点でイラク復興の主導権を手放す気はさらさら無いはずだ。イラクを含めた中東諸国の対
米批判と、欧州各国の対米批判とでは全くその内容が違うが、特に後者についてはその気はなくても、前者
については柔軟な対応を取らないと、暴動などのリスクもあり、要注意となる。
日本では北朝鮮問題も頭が痛くなる。イラク戦争中盤から北朝鮮の態度軟化の兆しが見られ、これを受け
て韓国株など上昇基調を強めたが、協議形態として中国が仲介することとなった以外、根本的には何ら変わ
っていない。過ぎた楽観論は禁物だ。
リスクはOPEC総会と原油相場の反応。原油先高感を招くようだと株にとってマイナス。現在、サウジ
アラビアを中心として、OPECは生産枠を超える過剰生産を行っている。ただし、その幅は75万バレル/
日で、ストからの復旧が続いているベネズエラの回復を待っても、最大で150万バレル以上の生産枠削減が行
われると、生産枠は実質的にも削減ということになる。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1
(業務用参考資料)
[国内金利]:引き続き株式市場睨みの展開
10年債利回りの推移
0.80
0.75
債券先物中心限月の推移
143.5
5日移動平均
20日移動平均
143.0
0.70
142.5
0.65
0.60
5日移動平均
20日移動平均
142.0
2003/3/24
2003/3/31
2003/4/7
2003/4/14
2003/3/24
2003/3/31
2003/4/7
2003/4/14
10年債利回りの推移(週足)
2.5
2.3
2.1
1.9
1.7
1.5
1.3
1.1
0.9
0.7
0.5
98
99
00
(bp)
01
02
03
日本のイールドカーブの推移
10
0
-10
-20
前年度末差
-30
1ヶ月前差
前週末差
-40
1y
2y
3y
4y
5y
6y
7y
8y
9y
10y
15y
20y
30y
10年債利回りの一目均衡表
1.4
遅行スパン
10年債利回り
基準線
転換線
1.3
1.2
1.1
1.0
0.9
0.8
0.7
0.6
9/16/02
10/14/02
11/11/02
12/9/02
1/6/03
2/3/03
3/3/03
3/31/03
4/28/03
5/26/03
先週は、10年債利回りは低下基調を辿り、0.635%で越週した。先週に引き続き低迷が続いた株価を背景に、
債券市場は堅調に推移した。
今週も株式市場睨みの展開が続く見込み。株価が反発傾向を強めていかなければ、債券市場は基本的に堅
調な展開が続こう。既に超長期ゾーンでは20年債までが1%割れとなっているほか、30年債も1.038%まで低
下して越週した。ここ数週間は、特に超長期ゾーンの低下幅が大きかったが、再び中∼長期ゾーンの低下幅
が大きくなる可能性もある。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
2
(業務用参考資料)
[国内株式]:米株次第ではあるが、そろそろ一旦買い戻しが入っても良いか
日経平均の推移(週足)
(円)
24000
22000
20000
18000
16000
14000
12000
10000
26週移動平均
52週移動平均
8000
6000
95
96
97
98
99
00
01
02
03
TOPIXの推移(月足)
2200
2000
1800
1600
1400
1200
1000
60ヶ月移動平均
12ヶ月移動平均
800
600
91
(%)
15
92
93
94
95
96
97
98
(倍)
25日移動平均からの乖離率(日経平均)
99
00
01
02
03
騰落レシオ(25日移動平均)
140
10
120
5
100
0
80
-5
60
-10
40
-15
01
01
01
02
日経225種平均株価の推移
8600
8200
8000
7800
7600
2003/3/24
2003/3/31
2003/4/7
02
TOPIX株価指数の推移
840
830
820
810
800
790
780
770
2003/3/24
5日移動平均
25日移動平均
8400
01
2003/4/14
5日移動平均
25日移動平均
2003/3/31
2003/4/7
2003/4/14
先週は、週明け直後にバブル崩壊後安値を更新したものの、その後はやや持ち直し、前週末水準を上回っ
て引けた。ただし、全体的に停滞色は強く、株価の値動きも極めて狭いレンジにとどまった。
今週も、買い意欲が強まるような材料が国内要因では見つからず、一方で米株式市場も決算発表がピーク
を迎えるため全体的な方向感が出にくく、日本株は基本的には停滞の域を出ないと見込まれる。しかし、こ
れまで米景気懸念や代行返上売り懸念などを材料として特に大型株の冴えない展開が続いたが、下げ渋りの
兆しが見えている。材料的には新鮮味もなくなってきており、一方で米景気失速懸念が薄らぐようであれば、
買い戻しが入るタイミングでもある。騰落レシオが高水準にあるものの、所謂優良銘柄などが牽引する形で
株価指数を押し上げる余地はあろう。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
3
(業務用参考資料)
[米国金利]:株価、経済指標睨みの神経質な展開継続
米10年債利回りの推移(週足)
7.0
6.83
6.5
6.0
5.5
5.0
4.5
26w avg
90w avg
4.0
3.5
99
00
01
02
(%)
T-Bond先物価格(期近物)の推移(月足)
140
135
130
125
120
115
110
105
100
95
90
85
FF金利先物のイールドカーブ
1.30
24ヶ月移動平均線
60ヶ月移動平均線
03
1ヶ月前
前週末
4/17
1.25
1.20
1.15
1.10
1.05
1.00
98
99
(bp)
00
01
02
03
FF
主要債券利回りの変化
25
20
15
10
5
0
-5
-10
2y
5y
10y
FF3
FF4
FF5
FF6
FF7
FF8
25日移動平均
5日移動平均
3/24
30y
FF2
10年債利回り(日足)
4.10
4.05
4.00
3.95
3.90
3.85
3.80
3.75
3.70
02年末比
1ヶ月前比
前週末比
FF1
3/31
4/7
4/14
先週は、週初上昇して始まったものの、その後は低下して結局行って来いの形となった。10年債利回りは
前週末水準から小幅低下して越週した。株価や経済指標に振り回されたが、景気の回復期待が強まらない反
面、短期的な失速懸念も薄らいでおり、長期金利が低下する一方、短期金利は上昇した。
今週も経済指標や株価に神経質な展開が続くと見込まれる。特に重めの経済指標は週後半に集まっている
ため、週前半は動きの鈍い展開が続こう。経済指標は開戦前の指標が主のため、基本的には新味に乏しいは
ず。先行きを真に占う上では、ミシガン確報値が速報段階から上振れているかどうかが重要となるはずだが、
羅針盤のない市場では過去の統計である1∼3月期実質GDPや、先行きを示唆するものの開戦後の状況を
的確には捉えていない3月耐久財受注などで大きく動くリスクは否定できない。基本的には4%を挟んだ現
行レンジ内での推移を予想。ただし、株価が上昇幅拡大すれば、ここもと壁となっている4.1%超えも。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
4
(業務用参考資料)
[米国株式]:決算発表ピークだが、基本的には堅調を予想
NYダウの推移
8600
ナスダックの推移
1450
8400
1400
8200
8000
1350
5日移動平均
25日移動平均
7800
03/24/03
03/31/03
04/07/03
5日移動平均
25日移動平均
1300
3/24/03
04/14/03
3/31/03
4/7/03
4/14/03
NYダウの推移(月足)
12000
11750.28(00/1)
11000
10000
9000
8000
7000
6000
12ヶ月移動平均
60ヶ月移動平均
5000
4000
3638.97(94/11)
3000
95
96
97
98
99
00
01
02
03
ナスダックの推移(月足)
5500
5000
5132.52(00/3)
2500
4500
2000
4000
3500
12ヶ月移動平均
1500
3000
2500
1000
2000
1500
1000
500
322.98(90/10)
0
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
先週は、株価は一進一退となったが前週末水準を上回って越週した。特に、ナスダックはハイテク企業の
決算が予想以上だったこと、BBレシオの改善が続いたことなどから、前週末対比+4.9%と好調。NYダウ
の同+1.6%を凌駕した。
今週は、ピークを迎える企業決算発表に振り回される週となろう。ただし、言い方を変えれば大方の決算
の内容が見えてくることになり、徐々に株価の方向性は定まってくる可能性がある。これまでのところは下
方修正されてきたとは言え市場予想の範囲内にとどまっており、概ね順調と言える。また、下方修正ペース
は前2四半期に比べ明らかに鈍い。株価はまだしばらくは不安定な状態が続きそうだが、徐々に下値不安は
薄らいでくると予想される。チャート的にも、NYダウ、ナスダックともに5∼200日移動平均線を越えてお
り良好。なお、リスクはOPEC総会で減産が決定され、原油価格が上昇を強めた場合、一旦調整の可能性
がある。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
5
(業務用参考資料)
[欧州金利・株式]:株、債券両市場がそれぞれの材料で動く展開継続か
(%)
5.6
(%)
5.4
イギリス10年債利回りの推移
5.4
5.2
5.2
5.0
5.0
4.8
4.8
4.6
4.6
4.4
4.4
4.2
4.2
4.0
3.8
4.0
01
02
01
03
英国イールドカーブ
(%)
4.8
前週差(右)
前週末
4月17日
4.4
40
20
4.0
10
3.8
0
3.6
-10
3.4
5年
10年
30年
4.0
3.5
3.0
2.5
-20
(bp)
2年
4000
3950
3900
3850
3800
3750
3700
3650
3600
3550
3500
03/24/03
5日移動平均
25日移動平均
2900
2800
2700
2600
2500
2400
2300
03/24/03
03/31/03
04/07/03
04/14/03
5年
10年
30年
40
35
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
(bp)
英FT100の推移
5日移動
25日移動
03/31/03
04/07/03
04/14/03
FT100の推移(月足)
DAXの推移(月足)
9000
7500
8000
6000
前週差(右)
前週末
4月17日
4.5
独DAXの推移
3000
03
ドイツイールドカーブ
30
4.2
2年
02
(%)
5.0
50
4.6
7000
ドイツ10年債利回りの推移
6500
5年移動平均線
1年移動平均線
5500
5000
4500
4000
3500
3000
2500
2000
1000
1500
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03
先週は、株、債券とも堅調(金利は低下)。株式市場では米企業を始め域内でも企業収益改善期待が株価
を牽引した一方、債券市場では景気停滞懸念から利下げ期待が高まるなどした結果、両市場とも堅調な形と
なった。
今週も引き続き株式市場が米国を始めとした収益動向見極めに動く一方、株価上昇幅が余程大きくならな
い限り債券市場では慎重に景気動向を見極める動きが続く可能性が大きい。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
6
(業務用参考資料)
[外国為替]:米株、イラク復興が材料。米株堅調でドルの戻りを予想
(¥/$)
円・ドル相場の推移(月足)
150
140
130
120
110
100
90
12ヶ月移動平均線
60ヶ月移動平均線
80
70
94
95
96
97
($/ユーロ)
98
99
00
01
02
03
ユーロ・ドル相場の推移(週足)
1.20
1.190
1.15
1.107
1.10
1.05
1.00
0.95
0.90
26週移動平均
0.85
0.823
0.80
99
(円)
00
01
02
(ドル)
ドル・円相場の推移
122
1.100
121
1.090
120
1.080
119
1.070
5日移動
20日移動
118
117
2003/3/24
2003/3/31
2003/4/7
03
ユーロ・ドル相場の推移
10日移動
20日移動
1.060
1.050
2003/3/24
2003/4/14
2003/3/31
2003/4/7
2003/4/14
先週は、ドル円相場は120円を挟んでもみ合う一方、ユーロドル相場はユーロ高が進んだ。米景気回復遅れ
の懸念からドルが軟調な展開となる一方、円に関しては介入警戒感や日本独自の悪材料などからもみ合いに
とどまった。
今週は、先週に続き米株式市場動向が材料視されることに加え、イラクの復興に対する米国、及び国連の
対応なども取り沙汰される可能性がある。米株市場については、企業決算発表がピークを迎えることから神
経質な展開が続こうが、下ぶれ懸念は薄らぎつつあり、堅調な展開を予想(=ドル高要因)。一方、イラク
問題については、イラク関係者の間で米国が居座ることに対する反発が強まっており、これに米国側が意地
を張るようだとドル安要因。米軍の一部がバグダッドから撤退していることを勘案すれば(現時点での完全
撤退はあり得ないと見られるが)、ドル安要因はやや弱いか。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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