《小学生向け科学研究の資料》 か が く け ん き ゅ う ちょうせん ぎもん せいかつ おも か が く 生活の中で「ふしぎだなあ」「どうしてだろう」と疑問に思うことはないかな?そこが,科学 けんきゅう い ぐち ぎもん かんが かんさつ しら じっけん 研 究 の入り口。疑問について 考 え,観察や実験をして調べてみよう。きっと,なぞがとけ あたら はっけん じゅんじょ せいり たり, 新 しい発見があったりしてわくわくするよ。このことを 順 序 よく整理してまとめれ けんきゅう かんせい ば,研 究 の完成!どう?きみもチャレンジしてみない? いえ なか はい ぎょうれつ み た 家の中に入ってくるありの 行 列 を見たよ。ありのすきな食べ もの た もの なに 物やきらいな食べ物は何かな? ぎもん すきなものしらべ きらいなものしらべ かんさつ じっけん さとう おお わさびとからしマヨネーズにも たべものにすなをかけることがあるよ。大きく はこ はこ すなをかけていたよ。運ばない のに,なぜだろう? て運べないから,みつからないようにかくして はこ おいて,あとで運ぶのかな? なん ぎもん ありは何のためにすなをかけるのかな? よそう 食べ物をはこぶときに通りやすくするためかな? た もの かんさつ じっけん た もの はこ とお ありがすなをかけるのは,食べ物を運ぶときに通りや すくするためではないことがわかった。 わかった! かんさつ じっけん なか あたら はっけん ぎもん しら 観察・実験の中で 新 しく発見した疑問を調べているところがいいね。 よそう じっけんほうほう かんが 予想しているから,しっかりとした実験方法を 考 えることができているね。 〔第 58 回広島県科学賞小学校第4学年特選作品「ありのふしぎ発見」から〕 《中学生向け科学研究の資料》 例えばこのように,疑問に思ったこと,興味のあることを調べてみませんか。 疑問・興味 事前調査 調べる方法を 考え,実験する 自分たちの住む地域は,かつて「蚊やハエのいない町」を実現し,日本全国から注 目を浴びたことがある。しかし現在は蚊もハエもたくさんいる。どうすれば再び「蚊 のいない町」をつくることができるだろうか?蚊の幼虫であるボウフラを退治する方 法について研究してみようと思った。 ○地域の方から,ボウフラの発生源をなくすことが重要であることを聞いた。 ○郷土史から,「クララ草」がボウフラ退治に効果があることを知った。 ○地域の方から,銅板にもボウフラ退治の効果があることを聞いた。 ①ボウフラの発生しやすさを,条件(水に溶かすもの,日当たりなど)を変えて調べる。 ②水を入れる容器の色でボウフラの発生しやすさに違いがあるかを調べる。 ③スケッチして,成長の仕方や蚊の種類を調べる。 ④クララ草を加えた水にボウフラを入れ,クララ草のボウフラ退治効果を調べる。 ⑤銅板を入れたビーカーにボウフラを入れ,銅板のボウフラ退治効果を調べる。 ⑥洗剤を加えた水にボウフラを入れ,洗剤のボウフラ退治効果を調べる。 (企業から提供してもらった人工飼育のボウフラと野生のボウフラを使用) ⑦ボウフラが入ったビーカー内の水に菜種油を加えて,ボウフラ退治効果を調べる。 ⑧条件を変えて,ボウフラが発生しない 方法を調べる。 分かったことを まとめる ①ボウフラは,「栄養分が含まれている水」「木がある場所」「日陰」という条件のときに発生しやすい。 ②白色の容器にはボウフラが発生しなかった。明るさが関係しているのではないか。 ③ボウフラは脱皮して成長していた。ヒトスジシマカなど3種類がいた。 ④クララ草は,煮汁の場合,根に最もボウフラ退治効果があり,若葉と枯葉汁にはあまり効果がなかった。 粉末の場合,若葉に最も効果があり,根や枯葉にも十分な効果があった。 ⑤銅板には,ボウフラ退治効果があまりなかった。 ⑥野生のボウフラの方が,人工飼育のボウフラよりも洗剤に対する耐性があった。 ⑦菜種油を加えると,1日ですべてのボウフラが駆除された。水面に油を浮かせることで呼吸ができなく なったためであると考える。 ⑧銅板を入れた水にはボウフラは発生しなかった。クララ草は ボウフラを退治する効果はあったが,蚊の産卵を防ぐ効果は 無いことがわかった。 くう 〔第 58 回広島県科学賞中学校特選作品「蚊が0研究 PROJECT」から〕 《高校生向け科学研究の資料》 例えばこのように,疑問に思ったこと,興味のあることを探究してみましょう。 疑問・興味 目的 仮説の設定 仮説の検証 音楽の授業でヴァイオリンを演奏する機会があった。弦楽器を演奏する前には,必ず弓に松脂を 塗ることを知り,何のために塗るのだろうかと疑問に思った。 弦の動きを観察し,松脂の役割を調べる。 擦弦の際,摩擦によって弓に引っかかった状態で弦が移動し,限界に達すると滑りが生じて戻る というサイクルを繰り返している。松脂を塗ることで摩擦力が大きくなり,弦の振動の振幅が大き くなる。また,擦弦の際,松脂が融けた後,冷え固まるという現象が起きているのではないか。 【実験1】松脂の凝固点測定 方法:湯浴で融かした松脂を冷却し,温度を記録する(図1)。 考察:結果のグラフ(図2)からは凝固点が読み取れない。そこで,測定値と冷却曲線に当てはめ た近似式による値との差(図3)をとって検討したところ,松脂の凝固点は 39℃であると 考えられる。 【実験2】弓の毛の表面の観察 …光学顕微鏡(400 倍) 方法:松脂を塗布した弓の毛の, 擦弦前と擦弦後の表面の 様子を観察する。 図1 図2 考察:弓の毛(馬の毛)の模様 の間隔と松脂の粒の大きさが同程度である。擦弦後,弓の表面の 松脂の粒子の数が減った。 図3 【実験3】弓の毛および弦の表面の観察…走査型顕微鏡(1000 倍) 方法:松脂を塗布する場合としない場合の弓と弦を観察する。 考察:弦では,擦弦の痕跡の両側に,表面だけ融けた松脂が確認できた (図4)ため,擦弦時の摩擦によって松脂が融けて,また固まる ことで弦の振動に影響を与えていると考えられる。 【実験4】高速度カメラを用いた擦弦時における弦の観察 方法:①弦の振動と弓の振動をハイスピードカメラ(毎秒 1200 フレ ーム)で撮影する。 ②発生する音も同時に録音し,FFT 解析ソフトを用いて振動数 を求める。 ③撮影した動画をプロジェクタで拡大し,弦の変位を測定する。 ④振動数の小さいチェロでも同様の実験を行う。 考察:松脂を全く塗っていない弓では音が出ない。松脂を塗った弓で 擦弦した場合,弦ははじめ弓とともに運動したあと,素早く戻 るという運動を周期的に繰り返している(図5)。弦に働く力 のつり合いの式と運動方程式を立て,弦の運動を等速運動部分 (往路)と単振動部分(復路)に分けて考えた。 結論 図4 図5 ○弦を振動させるには,松脂を塗る必要がある。 ○松脂を塗った弓が周期的な振動を弦に与え,音を発生させる振動が生じている。 ○弓が作る周期的な振動の特徴は,等速運動と単振動の組み合わせになっている。等速運動中は弓と 弦の速度は等しく,摩擦力と張力がつり合っている。このとき松脂は固体の状態である。滑り出す 瞬間に最大摩擦力となる。単振動中の弦は弓に対して滑り,動摩擦力と張力の合力により運動して いる。このとき松脂は液体の状態である。 ○松脂が状態変化することで弓と弦の摩擦力を変化させ,弦に周期的な振動を与えている。 〔第 58 回広島県科学賞高等学校特選作品「ヴァイオリンの弓になぜ松脂を塗るのか」から〕
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