楽読 (ラクヨミ) 2016年10月17日 Vol. 1,152 商品市況の持ち直しの継続・拡がりは、 豪ドルの追い風に 鉄鉱石の市況持ち直しに続き、軟調地合いが継続していた石炭の市況が足元で急反発したこともあり、 オーストラリアの輸出見通しが上方修正されるなど、豪ドルを支える要因が拡がりつつあります。 同国当局は9月、主要輸出品である鉄鋼石および石炭(特に鉄鋼製造に用いられる原料炭)の価格見通し の引き上げ(鉄鉱石:43米ドル→47米ドル、原料炭:85米ドル→118米ドル、いずれもトン当たり)に伴ない、 2016/17年度の資源/エネルギー輸出額予測を前年度比+12%の1,758億豪ドルに上方修正しました(従来 予想:1,643億豪ドル)。価格見通しの引き上げは、需要刺激策などに伴なう中国での住宅建設の回復という 需要面での要因に、天候など供給面の要因も重なり、石炭市況が急上昇したことなどを反映したものですが、 当局は、市況反発は一時的なものとして、見通しを抑え気味にしています。ただし、日本の鉄鋼会社の今年 10-12月期の原料炭の契約価格は200米ドル/トンと、7-9月期の2.2倍の水準に決まったと10月中旬に報じ られている状況にあり、石炭価格が落ち着くまでにはしばらく時間を要することも考えられます。 なお、ターンブル首相率いる保守連合政権は、今年7月の総選挙で議席を減らし、上院では引き続き過半 数割れ、下院では過半数を僅かに1議席上回るだけと、ねじれ状態を解消できませんでした。こうした政権基 盤の弱さなどを背景に、同国の財政支出削減は難しいと見る向きもあるものの、ターンブル政権は9月、一 定の妥協と引き換えに野党の協力を取り付け、財政支出削減案の議会通過に成功しました。今後、財政健 全化に向けたさらなる取り組みが望まれるものの、その道筋は容易でないとみられます。それだけに、商品 市況の持ち直しの継続・拡大に伴なう輸出額の増加は、財政面でも一定の安心材料になると考えられます。 同国では、海外からの留学生や旅行者の受け入れが拡大し、関連サービス分野の輸出構成比が高まるな ど、資源産業に過度に依存した経済構造からの転換が徐々に進んでいます。加えて、新興国経済の成長の 再加速などを背景に、世界景気の拡大ペースが回復に向かえば、資源分野への恩恵も大きくなるとみられ るだけに、オーストラリア経済の押し上げや豪ドルの上昇につながると期待されます。 140 120 主要商品市況の推移 豪ドルの推移 (2014年7月~2016年10月) (米ドル) (2014年7月31日~2016年10月14日) (円) 1.1 120 <ご参考>オーストラリアの % 項目 財・サービス輸出上位 1 鉄鉱石 15.5 (2015年、構成比) 1.0 110 2 石炭 11.7 対米ドル(左軸) 3 教育関連旅行サービス 5.9 対円(右軸) 鉄鉱石 石炭 天然ガス先物 (月末値、16年10月は14日時点) 100 80 0.9 60 4 天然ガス 5.2 5 個人旅行サービス* 5.0 100 *除く教育関連 14年7月末=100として指数化 40 (億豪ドル) 0.8 90 0 -20 0.7 80 豪ドル高 -40 貿易収支 -60 14年7月 15年1月 (16年8月のデータまで) 豪ドル安 0.6 15年7月 16年1月 16年7月 14年7月 15年1月 15年7月 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成 70 16年1月 16年7月 ※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘 資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建 資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付 目論見書)をご覧ください。 1/1
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