尿素呼気試験とは? ―ピロリ菌の除菌判定― 臨床検査科 SRL 西山 久 1 ピロリ菌について 今ではご存知の方も多いかと思われます「ピロリ菌」とは正式名称を Helicobacter pylori といって、強い酸性 (胃酸のなか)でも長期間生存できる菌であることがわかっています。胃の壁を傷つけ、胃の守っている粘液を減ら し、酸の攻撃を受けやすくしてしまうので、胃炎や消化性潰瘍を発症させる要因になります。したがって、ピロリ菌の 感染はヒト胃粘膜に大きな影響を及ぼすといえます。ピロリ菌陽性であれば除菌治療を受けることはとても重要なの です。 2 尿素呼気試験とは 2013 年に「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対してピロリ菌除菌への保険適用が拡大となりました。尿素呼気 試験とはピロリ菌に感染しているかどうかを調べる方法です。 ピロリ菌が持つウレアーゼという酵素が尿素を分解することを利用した診断法で、患者さんに尿素剤を服用してい ただきます。ピロリ菌に感染している場合では、尿素が分解されるため呼気に二酸化炭素(13CO2)が多く検出さ れることになります。一方ピロリ菌に感染していない場合では、尿素が分解されないため、13CO2 の呼気排泄はほとん ど起こりません。 3 尿素呼気試験の手順 ―呼気採取方法― 息を吹く 尿素剤を飲む 左側臥位で 5 分 座位で 15 分 息を吹く 【呼気採取のポイント】 1)呼気採取バッグを口にあて(鼻から)息を吸って、5~10 秒程度息を止めてください。 2)その後呼気採取バッグにゆっくりと息を入れてください。 4 ピロリ菌除菌治療後の除菌判定 尿素呼気試験は便中ピロリ菌抗原測定(便中抗原法)とともに除菌の診断に有用です。感度・特異度ともに 診断精度が高く、採血する必要もない比較的簡便な検査です。 菊川市立総合病院では、尿素呼気試験を院内で実施する予定ですので、呼気試験の結果が当日中に確認で きるようになります。
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