敷地の一部を賃貸人の請求あり次第明け渡すとの特約 賃借人は、本件建物の敷地の別紙図面斜線部分を賃貸人からの請求があ り次第明け渡すものとする。 (解 説) このような特約は無効であると解釈される可能性が高いでしょう。 賃借建物の敷地の一部で賃借建物裏の約22坪の土地部分の利用権につい ての争いで「敷地の一部を賃貸人の請求あり次第明渡す」旨の特約の効力が 争われました。判決は、建物賃貸借の達成を妨げるものである以上、借家法 6条(現借地借家法30条)に定める賃借人に不利な特約にあたるとしまし た(最判昭 47.3.30・判時 663.62)。したがって、広い敷地付の建物を貸す ときは、建物賃貸借に必要な敷地部分を定め、それ以外の部分の敷地の契約 と建物の契約とを別にし、敷地部分について使用貸借にしておくことも一つ の方法とされていますが、明渡し請求について権利濫用が認められる場合も あると思われます。
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