救急医療は徳洲会の原点

月曜日
9 月14 日
直 言
H E A D L I N E
故・城山三郎先生ご夫妻との思い出
❷地域全体のERに/自ら医師らをスカウト
❸連携強化で質向上・救急患者搬送業務連絡会/距離感ぐっ
と縮まる・消防署向け月2回勉強会/病院挙げ救急に注力/
県の救急功労賞
❹新型救命救急センターへ・救急機能の拡充着々/救急隊へ
の教育通じ連携を強化/早期警告スコアNEWS・院内CPA
予防に有効
療に対応。加えて脳神経
じめとした各診療科の医
外科の門間文行総長をは
発行:一般社団法人徳洲会
〒102-0083 東京都千代田区麹町3-1-1 麹町311ビル8階 TEL:03-3262-3133
制作:一般社団法人徳洲会 編集室
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救急搬送入り口前には複数の救急車で混み合うことも
徳洲会は早くから北米型ER(救急外来)を導入、重篤な症例に高度な医療技術
答えたり、入院管理をサ
救急処置室からの相談に
仙台徳洲会病院・東京西徳洲会病院
医師だけでなく臨床検査
技師、診療放射線技師、
臨床工学技士、リハビリ
テーションスタッフ、事
務職員など病院スタッフ
会の外科医で組織する集
佐野院長は笑顔。門間総
れ、助かっています」と
が総出で救急に応じてく
団「湘南外科グループ(S
病院全体が活性化し、「院
長も「何かあったら互い
救急が急増したため、
S A )」 の メ ン バ ー で あ
内の雰囲気は大きく変わ
でフレキシブルに入って
同院の手術件数の実に半
に気軽に院内PHSに電
診療。このため救急処置
りました」と両院の職員。 ることから、SSAが強
4月、佐野憲院長に、東
数近くが救急からの緊急
話し、相談する体制が整
仙台徳洲会病院と東 京
京西病院は昨年 月、渡
後の手術や入院対応が迅
いつつあります」と院内
西徳洲会病院の救急搬 送
部和巨院長に、それぞれ
手術となっている。佐野
力にサポート。SSAは
受け入れ件数が急増し て
院長交代。これに前後し
人が中心となり、救急医
SSAからの応援医師1
医師、後期研修医1人と
Aの佐野院長、加藤一郎
仙台病院は現在、SS
が上がっている。
なりました」と歓迎の声
らも「搬送要請しやすく
能となった。救急隊員か
も素早く応じることが可
速化、消防署からのホッ
救急医療だけでなく一般
積極的に救急車を受け
入れられるようになった
いる。8月の受け入れ 件
て徳洲会各院から応援が
の強化を図ることができ
11
た。とくに両院長が徳洲
院長は「救急医療は地域
連携をアピールした。
背景には救急医療体制の
数は仙台病院が前年比
入ったことでマンパワー
刷新がある。仙台病院は
1・ 倍、東京西病院 が
前年比1・ 倍で、と も
クラスの 増
加率だ。 救
急受け入 れ
件数が増 え
れば検査 が
増え、入 院
トライン(直通回線)に
外来、病棟管理、手術ま
が増え、手術が増える。
救急増の陰にSSAの力
の取り組みの一端を紹介する。
各院は充実に余念がない。今号では、全ページにわたり徳洲会病院の救急医療へ
「各科
る外傷センターをもつ病院もある。救急医療は医の原点、徳洲会の原点でもあり、 ポ ー ト し て い る。
を提供する救命救急センターや、外傷後遺障害の減少を目指し専門治療を実施す
から信頼を得るための第
一歩。救急だけが医療で
はないので、これを足掛
かりに総合的に信頼され
る病院をつくっていきま
す」と力強く抱負を語る。
同院は将来、隣地に新
築移転計画があり、佐野
院長は「それまでに、ス
タッフが伸び伸びと仕事
をできる環境をつくりた
い」と意欲を見せている。
東京西病院は、循環器
センター長兼救急医療セ
災害時専用ヘリポート
じてくれるうえ、手が足
く手術や入院の相談に応
SAの先生はいつでも快
に集中できると強調。「S
いるからこそ、救急医療
アップしてくれる医師が
手術や病棟管理をバック
北原医長は、救急医は
い救急に対応している。
りではフォローしきれな
祝日を含め北原医長ひと
後期研修医3人が、
夜間・
医師らスタッフ医師3人、
Aの渡部院長、池谷佑樹
急搬送される例も少なく
く、新宿など都心から救
ない東京都西部だけでな
良太看護師は「病院の少
からだ。救急外来の岩橋
起こっている現状がある
断わられ、たらい回しが
などの理由で救急要請が
っても「専門外だから」
東京のような大都会であ
理由を探そう」
。これは
探すよりは、受けられる
急を受けられない理由を
渡部院長の標語は「救
在です」と信頼感を示す。
渡るまでの〝つなぎの時
専門診療科の先生の手に
すが、それ以外の疾患も
病は最後までかかわりま
ちの専門である外科の傷
飯 島 医 師 は、
「自分た
ラムを導入し、後期研修
的な組織。米国式プログ
もに立ち上げた病院横断
が1990年、有志とと
徳洲会の鈴木隆夫理事長
断 は 難 し い う え、 夜 間・
が、救急車内での確定診
速に診療できれば一番だ
の重要性を訴える。
にこだわらない救急医療
と思います」と、診療科
医療界には絶対に必要だ
SA管理者の渡部院長は
自の教育体制があり、S
ーテーションして回る独
る。そうした立ち位置が、 4年間で8〜9病院をロ
SSAは一般社団法人
いを語っている。
ます」と、笑顔でやりが
ならではのものだと感じ
張るスピリッツは徳洲会
い医療』の実現に向け頑
チ ー ム と し て、
『断らな
に関係なく全スタッフが
Aの先生方はじめ、職種
之・後期研修医は「SS
病院に来ていた新津敬
内科研修の一環で東京西
りない時は救急処置にも
間〟を責任もって診療す
休日は専門の医師が見つ
ず受け入れる姿勢が大切
Aの飯島広和医師は、「ま
病院で診療しているSS
援に入り、現在は東京西
仙台病院に1か月間、応
かかわっている。循環器
り、内科系の救急医療に
科医師の応援も入ってお
病院(神奈川県)から内
両院には湘南鎌倉総合
と胸を張る。
る能力が身に付きます」
わらず初療には対応でき
うち、内科、外科にかか
も違う病院で研修を積む
「地域も規模も診療内容
からないケースが多い。
です」と強調。
対応。フットワークが非
専門診療科の医師が迅
ありません」と明かす。
白根徳洲会病院が敷設
白根徳洲会病院(山梨県)は2001年、白根町(現・南アルプ
ス市)での誘致運動に応える形で開設に至った。背景人口は
約20万人。開設時より「救急を断らない」をモットーにしており、
太田文人院長は救急の最前線に立って30年になる。
同院は県西部にあり・北巨摩郡、南巨摩郡などを含む。地
震で橋が不通になると孤立を免れない地勢にあり、昨年は大
雪で院長も登院できない事態が生じた。
昨年2月、同院は民間病院としては珍しく県から地域災害拠
点病院の指定を受けた。これは徳洲会グループでは初めて。
災害時に県の要請により傷病者を受け入れたり、医療救護
班を派遣したりする役割を担う。同院は免震・耐火構造で、90
㎡の受水槽や平常時の6割の発電量をもつ自家発電機を所有。
同拠点病院の指定を受けたのを機に、約5日分の水や食料、
医薬品の備蓄を増やした。
「厚生労働省が運用するEMIS
(広域災害救急医療情報システ
ム)に加入し、全国の行政や医療機関、消防、保健所などと
情報共有できる環境も整えました。災害時に孤立する可能性が高いので、
院内整備はもとより地元の皆さんと、いざという時に助け合える関係を築
いています」と太田院長。
災害時に威力を発揮するヘリポート設置の際には、周辺の地権者から
「白
根病院の災害医療機能が高まるなら、
ぜひ使ってほしい」と用地提供を快諾し
てもらえた。
ヘリポートは36×36㎡(内離着陸部
分20×20㎡)
。患者さんを院内に搬送
する時間は5分程度。川邊貴嗣事務長
は「幸い、大きな災害が発生していな 地域の方に提供してもらった土地にヘリポート
いので、使わずにすんでいます」
。
を設置
常に軽く、頼りになる存
日々の搬送に対応。SS
専従として北原理医長が
橋渡し役を務め、救急科
が救急科と循環器内科の
徳洲会グループの全病院が受け入れている救急搬送件数は、全国の約3%に上る。 師らが専門知識を生かし、 ンター長の堂前洋副院長
14/SEP.2015 No.
997
「救急医療は地域の信頼を得る第一歩」
と佐野院長(左)
、門間総長
にグループ病院でトッ プ
62
救急搬送件数が増えるとともに、救急搬送要
請自体も増えてきている
人としての温かさや懐の深さ大切
「ハラスメント」をいかになくすか
総合診療力を身に着けること
ができる SSA の教育体制を
アピールする渡部院長
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生 命だけは平等だ
い の ち
聞
新
洲
徳
❶ 平成 27 年 9 月 14 日 月曜日│No.997
救急医療は徳洲会の原点
全国の救急搬送受入件数の3%担う