1 講話 「主体的に学ぶ国語科授業づくり」

平成 27 年度の講座は,今日的な教育課題に応えるべくテーマを設定し,研究・研修するととも
に授業力を中心とした教師力の充実を目的としています。
6 月 27 日の第 1 回の講座は 29 名の参加を得て,意欲にあふれ,熱気の感じられる実践の交流
がありました。その概要を報告します。
1 講話
「主体的に学ぶ国語科授業づくり」
広島教育実践研究所長
山本名嘉子
ことばの力は、主体的な言語活動を通して育まれる。そのために、
主体的に学ぶ国語科の授業づくりは最大の課題である。
子どもたちの主体的な学びは、主体的に学び、学ぶ喜びの感じられ
た授業の中で育つ。
大切なことは、自分を問うところにある。何を学びたいのか、自分
のわかったことは何か、そのことについて気付いたことや、自分の考
えたことは何かなどである。
授業づくりにおいては、授業を「学びたい場」にするために、単元
構成を工夫する。問題解決的な展開や、
「単元を貫く言語活動」の工夫
などがある。さらに、学習の見通しを持ち、評価を行い、自ら学ぶよ
うにすることが重要である。
なお、授業づくりの詳細は、東研研究報告NO.4(写真)の中の「1 主体的な学びを育てる
国語科授業づくり―単元を貫く言語活動と選択の過程―
2
実践発表
山本名嘉子」に示されている。
「主体的に学ぶ国語科授業づくり」
広島市立長束小学校主幹教諭
新宅祐子
新宅先生は主幹教諭という立場から,さまざまな学年の国語科授業づくりに参加し指導されてい
る。5,6月に全体授業を行った先生は,二人とも3年,4年と経験が浅い。4月に二人が「授業,
どうしましょうか」と新宅先生のところへ相談にきて,3人で話し合いが始まった。が,やがて話
し合いの輪が学年,部会へと広がっていった。
主体的な学びにするための工夫(第3学年~第6学年の授業に共通)
ア
教材文を大きなフレームでとらえ,中心人物の変容を追う。
イ
読書活動の充実につなげる並行読書
ウ
長束授業スタイル(個人思考→班・ペアでの話し合い→全体学習)で授業を行う。
4つの学年の授業を通して,次のような成果と課題を得た。
○ 教材文を大きなフレームでとらえることによって,作品を構造的に読んでいくことができ,
物語教材の読み方を学ばせることはできた。しかし,細かい描写の読み取りは難しかった。
特に 3,
4年生は言葉を一つ一つ確認するなど詳しい場面読みが必要であることがわかった。
○ 並行読書,多読へとつなげることができた。また,読書する時も教科書教材で学んだ視点を
持って読書することができ,学んだことを活用しようとする児童の姿が見られた。
○
協働学習をするために,できるだけ教師の話す時間を尐なくし,子どもたちの活動の時間を
増やした。長束授業スタイルを取り入れることによって,友達と話し合い,多くの子どもた
ちが自分の考えを発表した。しかし,さらに高めあう授業にするためには,いくつかの課題
が明らかになった。
・ 学習の時に,教師は主要発問を用意して臨むが,話し合いをもっと深めるためには,ゆ
さぶり発問,問い返し発問を充実させなければならない。また,児童が教師のゆさぶり発
問や問い返し発問を聞くことによって,自分たちもグループやペアで話す場合に使えるよ
うにしていきたい。
・
児童が自分の考えを説明する時の話し方を提示していきたい。
・
児童のつながり発言を育て,話し合いの力を高めたい。
新宅先生は「ハブ的な役割が
いいね」と言われ,「はずかしい
ですね。一番勉強になったのは私
3 グループ協議・交流
です。
」と照れていました。
この後,A:授業改善グループ B:研究推進・校内研修グループに分かれ,協議を行い交流し
た。これまでの授業を振り返って,子どもたちが主体的に学習した経験(相手意識・目的意識を持
たせる,導入の工夫,楽しい活動を仕組む,ゴールを示す,学びのイメージ化,単元構成の工夫,
言語活動を仕組む etc)がいろいろ出された。どの方法が適切かを見極めるためには,やはり教材
研究をしっかりする必要があるだろう。
また研究推進では,方向性を示したり,教員が共通認識したりするために新宅先生のようなハブ
的な役割が必要という意見も出た。校内研修を深めるためには,研究領域をしぼるとか司会の力量
を高めること等が必要という意見が出された。
次回のご案内
1
日 時
7月25日(土)
13:00~17:00
2
場 所
イーストビル4階会議室
3
内 容
「学ぶ喜びを育てる教師の言葉」
所長講話
実践発表:佐伯房代